上 下
211 / 274
6章 変な石とその後の話

第210話 好き放題する予定な文明の利器

しおりを挟む
(ふむ、確かに齧歯類というか、鼠が多いな・・・)
 猫達と一緒に鼠を駆除して回る、猫達としては只の捕食行動だ、未だ成体じゃ無いと言っても、ボス猫で有るぬーさんが選んだ精鋭だけ有って、狩る事に躊躇が無い。
 同時に、どういう訳だか他の肉食動物の気配が無い事に首を捻るが、仕事自体はやりやすいので気にしない事にする。
 序に人目も無いな、集落の外れにしても此処迄無いとは・・・
 見渡せば豊かな穀倉地帯、川の近くには米を育てる水田と、水が無いらしい山側に麦畑も見える、そろそろ収穫期だろうと言うより、多数の畑で収穫期を過ぎている、農夫の人手が足り無いのだろうか?
 そして、その代わりに鼠が多い、畑で収穫期を過ぎてしまった米や麦を食って鼠が増えすぎたのだろうか?
 それにしても肉食獣が少ない、捕食者の仕事は如何した?
 あっという間に猫達は満腹になってしまったようだ、もっと数を連れて来るべきだったなと今更後悔する。
 猫達は今日の仕事はもう終わりと木陰で休み始めている、休むのなら和尚達と合流したい所なのだが。
 くあぁぁぁと欠伸をした後、猫達は昼寝を開始してしまった。
 起きる迄はこのままだなと諦める。

 待っている間に先程捕まえた鼠の血液サンプルからウイルスや細菌の分析をする、分類的にはエルシニア属の細菌、ペスト菌と仮性結核菌はほぼ同類で見分けが付かないのだが、本体側の観測と通信で患者の症状を確認する、身体中の表皮に内出血による黒斑及び手足の黒化、喉の腫れ、呼吸困難と発熱、どうやら黒死病で間違いない様子だ、対処法的な手当て自体は間違えて居ない、細菌学やウイルスの概念、殺菌・抗菌薬が無いとするのなら最上と見て良いだろう、この状態でこの世界の魔法で、毒を浄化、肺ペスト等の重症化さえしなければ、患者の自己免疫である程度持ち直せると思われるが、この綱渡りの治療方法で生存率を求めて2割残れば良いと言った所か、無力感に苛まれて居る様だが、時代的な医療LVを見れば十分であろう、この世界、ファンタジー世界にしても、魔法が其処まで発達して居る訳では無いし、錬金術等で我々の世界で使えなかった様なビックリ薬品が有ったりもしない、何とも地に足の着いた世界だ、魔法で傷や骨折の治療が出来る事には驚いたが、質量保存の法則、エントロピー増大の法則が着用され、科学技術が通用するのなら自分の必要性は変わらない。
 私は実験用観測機械の筈で、明らかにそれ以上の役割を振られて居る気がするが、何だかんだで大量の資材提供は受けて居るし、遺伝的にこの世界の人類は、自分が元居た地球とほぼ変わらない様子だ、同郷で近い時代の出身で有るとみられる和尚と灯の存在と、其の混血としての子供達の存在からも判る通り、遺伝的な差異は殆ど無い、即ち人類と分類される。上記の二人がこの世界に存在する意味は謎であるが、御仏が存在すると言うのなら突っ込むだけ野暮と言う物であろう。
 平たく言うとロボット三原則で人類を傷つけてはいけない、人類を見殺しにしてはいけない、上記に反しない範囲で自分の身を守らなくてはいけないという原則には反しない事から、こうして働く事に問題は無い。
 我々のXシリーズの至上命題は実験の成功。太陽系、母星へのデータリターンなので最終的に其れさえできれば問題は無い、資源も集まって来たので、観測及び通信衛星の為に子機を大気圏から離脱させてもいいかも知れないが、未だ材料が足りない、気球とロケットエンジンを作る為にはゴム系の樹脂や、石油が必要になる、未だ石油系の資源も見つかっていないので、酒のアルコールやミドリムシ等の藻から燃料用アルコールを精製するのが速いが、流石にコストが高いので労働力の対価として強請(ねだ)るにも悪い、バイオエタノールにする為に人里離れた山の中に農場を開墾して玉蜀黍(トウモロコシ)でも作ろうか? そもそも米と麦が有るのだから、別に玉蜀黍にこだわる必要性は無い訳だが、そもそもアルコール化させるなら糖類なら何でも良い、植物のセルロースを酵素分解して糖化して、菌類発酵でアルコールにした後、連式蒸留でアルコール純度を上げれば問題無いので、時間勝負。
 いや、そもそも人を乗せる必要性は無いのだから、電磁加速のレールガンで水平に射出すれば・・・
 第一宇宙速度、秒速約7.9kmで打ち出せばこの星を周回して落下する。
 第二宇宙速度、初速約11.2kmで打ち出せば人工衛星の楕円軌道に投入できる。
 投入エネルギー量550MJ(メガジュール)の長さ5mの加速用砲身で秒速5.9㎞だったことから純粋にその倍+αと見て、加速用の砲身の長さと投入エネルギーを倍に、強度的に一撃で砲身が裂けるが、もう一度作り直せば問題無い、問題はそんな大電力を作るにはやはり資源が足りないので堂々巡りする訳だが・・・
 当然、LHCでの電磁加速で子機を人工マイクロブラックホールで発生するワームホールから何処かに飛ばす場合、これ以上のエネルギーが必要、具体的には330MW(メガワット)な事から、最早小型核融合炉若しくは原子炉を自前で確保しない事には無理なので、其れこそ先の事と成りそうである、放射能汚染と規模を考えると融合炉がベスト。
 その場合の燃料は3重水素、ヘリウム3は自然界にほぼ存在しないので、海水から電気分解で重水素を作成、更にその場合原子崩壊させてヘリウム3に変換、そこから半減期に12年かかるので・・・・

 それなら水力発電は・・・・
 河に水車でタービンを回せば?
 あの小川では水量が足りない、ダムにするにも現状では圧倒的に質量が足りない、バッテリーとコンデンサーで誤魔化すにしても色々無理がある。
 火力・・・
 当然だが燃やす物が足りない、石炭と石油が未だ見つかっていない。
 地熱・・・
 子機にシールドマシンを仕込んで、現状領主邸の敷地にある温泉を奥迄掘り進めて、地熱を熱伝導で伝えてお湯を沸かしてタービン・・・
 ふむ、之が一番現実的か、鉱物資源の確保の出来るかもしれない、後で色々仕込んでみよう。

 以上の事から結局現状ではデータリターンの為に方向を確認、観測通信する宇宙観測用の電波望遠鏡付き衛星を作るのが速いか。
 前述の通り横着してレールガンはアレなので、資源(りそーす)節約の為には素直に気球と固体ロケットの組み合わせが速いな。
 まあ、電波や光信号が届くと仮定して、観測されて居る地球型惑星の中のどれかと見ても数十年後、その外側だった場合、先ず数百年後、数世紀先と成るだろう。此処迄来るとLHCによるランダムな無差別爆撃とどっちが速いのやらと言う状態なので、数年差など全て誤差である。
 此方からのリターンを待つ実験室は待ち過ぎて世代交代して居る以前に、予算カットで部署が無くなっている可能性の方が高いのは目を瞑る方向で。
 本部が無くなろうと自分の仕事が終わる訳では無いし、この実験の意義が消滅する訳では無いのだ。
 
 其れは其うと、本体が墓土の土壌をサンプル確保、同時にそれぞれの子機の中でも確保してあるペスト菌のと土壌サンプルの放線菌培養も始める、この時点の採取で本命が確保できるかは不明だ。最終的にこのペスト菌を放線菌が駆逐してくれれば薬品製造の第一段階は達成だが、治験も無しに患者に直接投入する事に気後れが有るが、大丈夫だろうか?



追伸
例のファンタジーコンテスト始まりました、良かったら応援投票お願いします。
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使う事でスキルを強化、更に新スキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった… それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく… ※小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

【完結】元・おっさんの異世界サバイバル~前世の記憶を頼りに、無人島から脱出を目指します~

コル
ファンタジー
 現実世界に生きていた山本聡は、会社帰りに居眠り運転の車に轢かれてしまい不幸にも死亡してしまう。  彼の魂は輪廻転生の女神の力によって新しい生命として生まれ変わる事になるが、生まれ変わった先は現実世界ではなくモンスターが存在する異世界、更に本来消えるはずの記憶も持ったまま貴族の娘として生まれてしまうのだった。  最初は動揺するも悩んでいても、この世界で生まれてしまったからには仕方ないと第二の人生アンとして生きていく事にする。  そして10年の月日が経ち、アンの誕生日に家族旅行で旅客船に乗船するが嵐に襲われ沈没してしまう。  アンが目を覚ますとそこは砂浜の上、人は獣人の侍女ケイトの姿しかなかった。  現在の場所を把握する為、目の前にある山へと登るが頂上につきアンは絶望してしてしまう。  辺りを見わたすと360度海に囲まれ人が住んでいる形跡も一切ない、アン達は無人島に流れ着いてしまっていたのだ。  その後ケイトの励ましによりアンは元気を取り戻し、現実世界で得たサバイバル知識を駆使して仲間と共に救助される事を信じ無人島で生活を始めるのだった。  ※この作品は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さん、「ノベルアップ+」さん、「ノベリズム」さんとのマルチ投稿です。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

処理中です...