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第52話 最終章 嵐の日の出来事
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「此処ってこういう時使うんですね?」
仕事場の見回りで呆然とそんな事を呟く。
現在地は都市部の地下にある大型貯水槽、通称「地下大神殿」だ。
「俺も見るのは初めてだと言うか、有効活用されたのはほぼ初と言ってもいいくらいだな」
後ろを歩く先輩も呆然とした様子で返してくれる。
現在ごうごうと音を立てて流れ込んで来る水をたたえている。
外は嵐、最近は線状降水帯やゲリラ豪雨と言う言葉が珍しく無くなった事からも判る通り、各地で水害が多発するように成って来た事から、政府が先見の明で準備していた供えの、大型貯水槽が珍しく稼働している。
「てっきり、仮名ライダーとかの特撮の撮影地の為に作った物かと」
「其ればっかりだから税金の無駄遣いとか言われてたが、コレで其れも言われる心配が無くなるのは何よりだ」
「其れって私達に影響有ります?」
「当然あるわ、阿呆が」
「え?」
「これが無駄扱いされると治水の予算枠減らされて最終的に俺たちの給料が減るぞ」
「うわ・・・そんな事に?」
私達の仕事は所謂水道局の一種だ。治水、水害等の管理を行って居る。
「公務員直接雇用は高いから委託業者でバイト扱いでもって成った挙句に、派遣でも良いやで、中抜きされるとバイト以下の扱いにされる」
「いや、其処まで下がります? 具体例とか?」
「職業安定所の扱いが公務員からアルバイト非正規で時給が800円とかだぞ?」
「ぎゃあ、何でそんな酷い事を・・・・」
「公共事業の予算減らす政党に政権取らせるとこうなる」
「そんなアホな政党が選挙に勝てる訳が・・・・・」
「勝ってるんだからどうしようもないだろう、そもそもお前等前回選挙行ったんだろうな?」
「えっと、未だ選挙の案内が・・・」
「来てないと?」
「はい!」
「お前幾つだ?」
「19です、ぴちぴちですよ?」
「ならもうこの間の選挙の時には届いてる筈だ、アホな政党が政権取るのは選挙に行かないお前等のせいだな?」
「えー」
「18でで選挙権ついて来るからな、最早お前らは選挙権が無いただの被害者側じゃ無く、選挙権がある加害者側だ」
「何ですその酷い呼び方」
「選挙権は付与された時点で社会人としての責任が沸く、勝っても負けても加害者にして被害者だ」
「もう訳が分かりませんよ・・・・」
「最低限、案内が着たらいけ、最悪白紙で良いから、行かないよりはマシなんだよ」
「白紙じゃあ意味無いんじゃ?」
「誰が何入れたかじゃない、むしろ誰が、年齢幾つぐらいのが来たかが念入りに集計取られてる、年齢別得票数って奴があるんだよ、無駄じゃ無いから、お前らはゴミだって白紙でも出せ」
「はーい?」
「因みに、誰に入れて下さいは基本屑だから無視して良いぞ?」
「最早どっちなのか判りませんね・・・・・」
そんな事を言いながら点検用通路をきょろきょろ見回しながら通る、水位は限界点の7割ぐらい、先輩は見る所が多いらしく、少し遅れて付いて来る。
地上の大雨は既に一段落付いたらしく水が牽き始めて居る、
この施設、通称「地下大神殿」は正式名称を首都圏外郭放水路と言い、大雨が降った時等に、雨水を一時的に逃がす事により、首都圏の水害を予防する為に建造されたのだが、この間までまともに稼働した事が無い事から、税金泥棒とも名高い施設だったが、こうしてしっかり稼働して活躍出来たので、そんな声も薄まる事だろう。
「俺達にはこの後の泥攫いが待ってるがな?」
「わー」
聞きたくない聞きたく無いと耳を塞いで何とも言えない声を上げるリアクションを取る、自分達は国営の公務員なので簡単な仕事なのかと思いきや、思った以上に泥臭い仕事がてんこ盛りなのだ、特に、泥攫いは文字通り泥臭いと言うかどぶ臭い、流れて来るのは雨水や川の水と言うが、想像以上に汚いモノなのだと言う事を解らされる。
バチャバチャ
「ん?」
何かが跳ねた水音に、足を止める。
「どうした?」
「いや、水音が?」
「魚でも上がって来たんだろう、川と繋がってるからな?」
「成程?」
どんな当り障りのない理由に納得し、見回りを再開する。
バチャン!
「おわ?!」
思った以上に近くで響いた大きな水音に驚き、びくりと身体を震わせて、音の方向、先輩の居た辺りを振り向く。
「あれ?」
誰もいなかった。
後ろをのんびりと付いて来ていた先輩がいたはずなのだが?
「まさか?!」
手持ちのライトで暗い水面に向ける、水に落ちたのか?
労働災害?
何も無い水面が揺れているだけだ。
「先輩! 何処です?!」
思わず叫ぶが、返事は無く、ただ自分の声が広大な地下空間に響くだけだった。
慌てて無線機を手に取る。
「応答願います、先輩とはぐれました、大きな水音が聞こえたので、落水した可能性が有ります、応援お願いします」
通話ボタンを押して一息に言い切る、無線の向こうで息をのんだのが聞こえた。
「了解、これから向かいます、場所は?」
「場所は・・・」
バチャン
がぼぼぼぼ
無線の向こうで大きな水音が響いた。
同時に無線の音声も途切れた。
「何かあったぞ! 急いで迎え!」
待機所から急いで向かった一団が見たのは、誰もいない点検通路と、揺れる水面、剥がれて落ちた何枚かの鱗だけだった。
追伸
最終章に成ります、この章が終わったら最終回投下して終わりとなる予定です。
そんな訳で、選挙に行きましょう?
何か書いて居たら謎の脱線しました。
うぇーいを殺す分には平気なんですけど、一般人殺すと精神ゲージ削れますね。
仕事場の見回りで呆然とそんな事を呟く。
現在地は都市部の地下にある大型貯水槽、通称「地下大神殿」だ。
「俺も見るのは初めてだと言うか、有効活用されたのはほぼ初と言ってもいいくらいだな」
後ろを歩く先輩も呆然とした様子で返してくれる。
現在ごうごうと音を立てて流れ込んで来る水をたたえている。
外は嵐、最近は線状降水帯やゲリラ豪雨と言う言葉が珍しく無くなった事からも判る通り、各地で水害が多発するように成って来た事から、政府が先見の明で準備していた供えの、大型貯水槽が珍しく稼働している。
「てっきり、仮名ライダーとかの特撮の撮影地の為に作った物かと」
「其ればっかりだから税金の無駄遣いとか言われてたが、コレで其れも言われる心配が無くなるのは何よりだ」
「其れって私達に影響有ります?」
「当然あるわ、阿呆が」
「え?」
「これが無駄扱いされると治水の予算枠減らされて最終的に俺たちの給料が減るぞ」
「うわ・・・そんな事に?」
私達の仕事は所謂水道局の一種だ。治水、水害等の管理を行って居る。
「公務員直接雇用は高いから委託業者でバイト扱いでもって成った挙句に、派遣でも良いやで、中抜きされるとバイト以下の扱いにされる」
「いや、其処まで下がります? 具体例とか?」
「職業安定所の扱いが公務員からアルバイト非正規で時給が800円とかだぞ?」
「ぎゃあ、何でそんな酷い事を・・・・」
「公共事業の予算減らす政党に政権取らせるとこうなる」
「そんなアホな政党が選挙に勝てる訳が・・・・・」
「勝ってるんだからどうしようもないだろう、そもそもお前等前回選挙行ったんだろうな?」
「えっと、未だ選挙の案内が・・・」
「来てないと?」
「はい!」
「お前幾つだ?」
「19です、ぴちぴちですよ?」
「ならもうこの間の選挙の時には届いてる筈だ、アホな政党が政権取るのは選挙に行かないお前等のせいだな?」
「えー」
「18でで選挙権ついて来るからな、最早お前らは選挙権が無いただの被害者側じゃ無く、選挙権がある加害者側だ」
「何ですその酷い呼び方」
「選挙権は付与された時点で社会人としての責任が沸く、勝っても負けても加害者にして被害者だ」
「もう訳が分かりませんよ・・・・」
「最低限、案内が着たらいけ、最悪白紙で良いから、行かないよりはマシなんだよ」
「白紙じゃあ意味無いんじゃ?」
「誰が何入れたかじゃない、むしろ誰が、年齢幾つぐらいのが来たかが念入りに集計取られてる、年齢別得票数って奴があるんだよ、無駄じゃ無いから、お前らはゴミだって白紙でも出せ」
「はーい?」
「因みに、誰に入れて下さいは基本屑だから無視して良いぞ?」
「最早どっちなのか判りませんね・・・・・」
そんな事を言いながら点検用通路をきょろきょろ見回しながら通る、水位は限界点の7割ぐらい、先輩は見る所が多いらしく、少し遅れて付いて来る。
地上の大雨は既に一段落付いたらしく水が牽き始めて居る、
この施設、通称「地下大神殿」は正式名称を首都圏外郭放水路と言い、大雨が降った時等に、雨水を一時的に逃がす事により、首都圏の水害を予防する為に建造されたのだが、この間までまともに稼働した事が無い事から、税金泥棒とも名高い施設だったが、こうしてしっかり稼働して活躍出来たので、そんな声も薄まる事だろう。
「俺達にはこの後の泥攫いが待ってるがな?」
「わー」
聞きたくない聞きたく無いと耳を塞いで何とも言えない声を上げるリアクションを取る、自分達は国営の公務員なので簡単な仕事なのかと思いきや、思った以上に泥臭い仕事がてんこ盛りなのだ、特に、泥攫いは文字通り泥臭いと言うかどぶ臭い、流れて来るのは雨水や川の水と言うが、想像以上に汚いモノなのだと言う事を解らされる。
バチャバチャ
「ん?」
何かが跳ねた水音に、足を止める。
「どうした?」
「いや、水音が?」
「魚でも上がって来たんだろう、川と繋がってるからな?」
「成程?」
どんな当り障りのない理由に納得し、見回りを再開する。
バチャン!
「おわ?!」
思った以上に近くで響いた大きな水音に驚き、びくりと身体を震わせて、音の方向、先輩の居た辺りを振り向く。
「あれ?」
誰もいなかった。
後ろをのんびりと付いて来ていた先輩がいたはずなのだが?
「まさか?!」
手持ちのライトで暗い水面に向ける、水に落ちたのか?
労働災害?
何も無い水面が揺れているだけだ。
「先輩! 何処です?!」
思わず叫ぶが、返事は無く、ただ自分の声が広大な地下空間に響くだけだった。
慌てて無線機を手に取る。
「応答願います、先輩とはぐれました、大きな水音が聞こえたので、落水した可能性が有ります、応援お願いします」
通話ボタンを押して一息に言い切る、無線の向こうで息をのんだのが聞こえた。
「了解、これから向かいます、場所は?」
「場所は・・・」
バチャン
がぼぼぼぼ
無線の向こうで大きな水音が響いた。
同時に無線の音声も途切れた。
「何かあったぞ! 急いで迎え!」
待機所から急いで向かった一団が見たのは、誰もいない点検通路と、揺れる水面、剥がれて落ちた何枚かの鱗だけだった。
追伸
最終章に成ります、この章が終わったら最終回投下して終わりとなる予定です。
そんな訳で、選挙に行きましょう?
何か書いて居たら謎の脱線しました。
うぇーいを殺す分には平気なんですけど、一般人殺すと精神ゲージ削れますね。
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