3 / 5
第2話 総ての始まり
しおりを挟む
現代
「なんだその髪色は!?」
朝の風紀チェックは憂鬱だった。
「地毛です」
そうとしか言えない。
自分の頭には、日本人には珍しい、明るすぎる金色の髪が生えていた。
「そんなわけ有るか!?」
初見の教師はこのように聞く耳を持ってくれない。
「根元見てください、色違いますか?」
少しでも染めた後に伸びると、染まった髪色と、伸びた地毛で、色合いがカラメルの掛かった卵菓子のように見えることから、プリンと呼ばれる状態に成るのだが。自分の髪はそんな事には成らない。
「嘘つけ! 少し濃いぞ!」
食い下がられる、何故か自分の髪は日本人のハズなのに、黒髪ではなく、結構明るく金髪が混じっている為、こういった事は慣れっこだが、面倒なのには変わりが無い。
「日焼けです」
髪の色素も弱いので、少し日に当たると紫外線で脱色して薄くなるのだ。
「ちゃんと染めてこい」
お約束の髪色差別をさせられている。
因みに言ってしまうと、染色剤も安くないので、貧乏学生の自分には余り手が伸びないのだ。
「まあまあ、髪の染色禁止は校則ですから、金を黒く染めるのも校則違反ですよ?」
珍しく救援が飛んできた。
話題に飛び込んできた教師は威圧感もなくニコニコとしているが、先程まで鬼の首を取ったように得意気に威勢の良かった風紀の教師は一気になりを潜めた。
「しかし風紀が……」
ソレでも食い下がろうとしてくるが。
「私が話を聞きますから、ここは私に任せて……」
「……」
話の主役がいつの間にか自分から離れて、二人の教師に異動していた、呆然と空を見る、春の朝、青空が広がっていた。
「まったく、あの先生は仕事熱心なのは良いが、高圧的でよろしくない」
いつの間にか騒いで居た方の教師はいなくなっていた。
「ありがとうございます?」
思わず礼をする、疑問形だが。
「礼にはおよばんさ、私も少し興味があってな?」
どうやら、完全に助かったわけでもないらしかった。
とある歴史教師視点
「今年もキラキラしとるなあ?」
生徒名簿を何とも言えないことを呟きつつ眺める、名簿には所謂若者に特徴的な名前が並んでいた。
「ピカチュウ、クラウド、ルナ、サタン……」
良くあてたなと言う当て字が並んでいた。人名に対する当て字は自由だとしても、最近は少々自由が過ぎる。
「佐古苦(さあふるく)?」
これは名字だが……
「珍しいな?」
思わずルーツを調べた。マニアックすぎて国内件数一桁二桁台、ごくわずかとしか表示されないシリーズだ。
「レアだな?」
こう言ったモノをたどってみるのも楽しいかもしれない。
大学時代は歴史専攻で、昔取った杵柄と、もはやライフワークとなった趣味の歴史考察に思いをはせる。
「見かけたら色々聞いてみよう」
そんなこんなで……
思ったより目立つ容姿をしていた当人を捕まえてみた次第である。
「所で、その髪色と名字、何処かしらルーツが有ると思うのだが、色々教えてくれないか?」
そして、この出会いが後々でそんなことになるとは、当時は一切わからなかった。
数年後
「どうせだから、君のルーツについて、論文書いてみないか?」
「いや、言うほど珍しくもないですよ?」
「確実にそれどころじゃない、記録に残ってるのは渡った当初だけだ、その後はほぼほぼ行方不明だ、万一資料でも残ってたら第一人者だぞ?」
「司馬遼太朗の如く、フィクション扱いされません?」
「なあに、最悪私が卒論の単位をやろう」
「……ちょっと祖父母にでも聞いてみます」
田舎にて
「ワシもあんまり詳しくないが、蔵に色々珍しいのあったな?」
「そろそろワシらも歳じゃし、価値も分からんから、調べてくれるならありがたいのう?」
そこそこ歓迎され、立派な蔵の中に案内された。
追伸
名字云々は適当なフィクションです、良いの思いつかなかった。
「なんだその髪色は!?」
朝の風紀チェックは憂鬱だった。
「地毛です」
そうとしか言えない。
自分の頭には、日本人には珍しい、明るすぎる金色の髪が生えていた。
「そんなわけ有るか!?」
初見の教師はこのように聞く耳を持ってくれない。
「根元見てください、色違いますか?」
少しでも染めた後に伸びると、染まった髪色と、伸びた地毛で、色合いがカラメルの掛かった卵菓子のように見えることから、プリンと呼ばれる状態に成るのだが。自分の髪はそんな事には成らない。
「嘘つけ! 少し濃いぞ!」
食い下がられる、何故か自分の髪は日本人のハズなのに、黒髪ではなく、結構明るく金髪が混じっている為、こういった事は慣れっこだが、面倒なのには変わりが無い。
「日焼けです」
髪の色素も弱いので、少し日に当たると紫外線で脱色して薄くなるのだ。
「ちゃんと染めてこい」
お約束の髪色差別をさせられている。
因みに言ってしまうと、染色剤も安くないので、貧乏学生の自分には余り手が伸びないのだ。
「まあまあ、髪の染色禁止は校則ですから、金を黒く染めるのも校則違反ですよ?」
珍しく救援が飛んできた。
話題に飛び込んできた教師は威圧感もなくニコニコとしているが、先程まで鬼の首を取ったように得意気に威勢の良かった風紀の教師は一気になりを潜めた。
「しかし風紀が……」
ソレでも食い下がろうとしてくるが。
「私が話を聞きますから、ここは私に任せて……」
「……」
話の主役がいつの間にか自分から離れて、二人の教師に異動していた、呆然と空を見る、春の朝、青空が広がっていた。
「まったく、あの先生は仕事熱心なのは良いが、高圧的でよろしくない」
いつの間にか騒いで居た方の教師はいなくなっていた。
「ありがとうございます?」
思わず礼をする、疑問形だが。
「礼にはおよばんさ、私も少し興味があってな?」
どうやら、完全に助かったわけでもないらしかった。
とある歴史教師視点
「今年もキラキラしとるなあ?」
生徒名簿を何とも言えないことを呟きつつ眺める、名簿には所謂若者に特徴的な名前が並んでいた。
「ピカチュウ、クラウド、ルナ、サタン……」
良くあてたなと言う当て字が並んでいた。人名に対する当て字は自由だとしても、最近は少々自由が過ぎる。
「佐古苦(さあふるく)?」
これは名字だが……
「珍しいな?」
思わずルーツを調べた。マニアックすぎて国内件数一桁二桁台、ごくわずかとしか表示されないシリーズだ。
「レアだな?」
こう言ったモノをたどってみるのも楽しいかもしれない。
大学時代は歴史専攻で、昔取った杵柄と、もはやライフワークとなった趣味の歴史考察に思いをはせる。
「見かけたら色々聞いてみよう」
そんなこんなで……
思ったより目立つ容姿をしていた当人を捕まえてみた次第である。
「所で、その髪色と名字、何処かしらルーツが有ると思うのだが、色々教えてくれないか?」
そして、この出会いが後々でそんなことになるとは、当時は一切わからなかった。
数年後
「どうせだから、君のルーツについて、論文書いてみないか?」
「いや、言うほど珍しくもないですよ?」
「確実にそれどころじゃない、記録に残ってるのは渡った当初だけだ、その後はほぼほぼ行方不明だ、万一資料でも残ってたら第一人者だぞ?」
「司馬遼太朗の如く、フィクション扱いされません?」
「なあに、最悪私が卒論の単位をやろう」
「……ちょっと祖父母にでも聞いてみます」
田舎にて
「ワシもあんまり詳しくないが、蔵に色々珍しいのあったな?」
「そろそろワシらも歳じゃし、価値も分からんから、調べてくれるならありがたいのう?」
そこそこ歓迎され、立派な蔵の中に案内された。
追伸
名字云々は適当なフィクションです、良いの思いつかなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる