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第84話 番外 ツバメ2日目、三人の籍入れ書類と記念撮影

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「はい、おはようございます、今日の御用は?」
 入り口の受け付け案内で、知った顔が来たので、先に話しかけた。
 昨日も見た顔のミサゴと翡翠さんと、ちょっと珍しいハチクマ姉さんだ、自衛官から護衛官に転身したらしいが、最近帰って来て無かったので、ちょっと懐かしい。
「コレ手続きお願いしますっと」
 3人プラス1人分の名前が書かれた婚姻届け出の書類と、国民IDカードだった。
「あら、おめでとうございます..........」
 条件反射的に返事を返そうとして。
「いや、なん、だと?」
 思わず書類と面々を二度見する。
「早く無い?」
 思わずミサゴを見てつぶやいた。
「早いと思うけど、こう言うのは速攻で決めないと、負けるし、後々だと面倒だってやたばあちゃんがね?」
「まあ、それは分かる、確実に色々ちょっかいかけてくる」
 何処がとは言わないが、思わず深刻に頷いた。

「少々お待ちくださいっと」
 軽い調子で断りを入れ、私が担当しますからと先輩や同僚達に身振りで示して、入り口業務を入れ替わる。

 名前、ID共に間違いなく。
 書類とIDカードと静脈認証を各々リーダーに読ませる、不正の形跡は無しと、翡翠さんのIDにまるっきりログ無いのは引っかかるけど、エラーは出ないから正規品何だろうし、護衛のハチクマ姉さんのIDもセットで紐付いてるっぽいから、私がアレコレ言うもんじゃ無い。
 因みに所属する人が分かりやすい様に、読み込ませた時に護衛対象と護衛官のバックイメージカラーが同じになる様に仕込まれている。
 表示された色は薄く透明感のある白緑、翡翠の色だった。
 収入見込みと言うか実績は………
 見事に億ってるから補助金支給とか干渉は喧しいって拒否する構えですね?
 分かります。
 保証人欄に居るヤタお祖母様の存在感がエグい。
 結婚するに当たり、お役所的に一定金額の稼ぎとかなくても問題は無いのだが、少ないと政府から補助金やら援助を与える名目で色々干渉されるのだ。何処に住めとか、有力者の身内なんちゃらとか。
 内心でヤタお祖母様の用意周到加減に舌を巻きつつ、手続きを進める。
 お役所権限でIDカードと番号から色々読めるのだ、守秘義務あるので漏らせないけど。

「って事で、無事通過です、おめでとう御座います」
 身内過ぎて砕け気味の口調で、書類にハンコを押す。
 デジタル化は進んでもまだまだ変な所がアナログだった。

 控えの書類をミサゴ達に返す。
「さあて、記念撮影でもして良い?」
「どうするって?」
 ミサゴが首を傾げる。
「決まってるじゃ無いか、窓口の掲示板に大々的に貼り出すのさ!」
 力強く、現在大した連絡が存在しない掲示板を指さす。
 割と深刻に空き家の入居者募集とか、過疎化で足りない求人とかしか載って居ないのだ。
「良いじゃ無いか、明るいニュースは皆んなで祝うもんだぜ」
 へっへっへ~とわざとらしい笑みを浮かべる。
 どんよりして居るこの地域の雰囲気とかコレで明るくしたい。
 悪いようにはしないと言うか。悪いように出来るのが居ないんだから。
 この土地であの人に敵うとか、そんなの考えるのはよっぽどのアホしか居ないんだから、平気平気。

 3人揃ってぎこちなく笑みを浮かべる記念撮影。
 いやあ、良いもんだなぁ、男の子居るって。華が有るよ。
 いつの間にか職員総出でアレコレと撮影会が執り行われ、私達も役得と、ちゃっかり混ざって撮影する。
 ミサゴ達の幸せにしみじみと喜びを噛み締める。
 不意に何だか自分の目まで水っぽくなっていた。
 いや、何で私まで泣いてんだっての。
 と言うか、皆んなそんなノリか、いくらミサゴが実質末の妹にしても、ずびずびと湿っぽいんじゃ、もっと笑え。


「どうせだから、私にもお溢れの幸運とか、具体的には種とか寄越せってね」
 軽い調子でミサゴを茶化す。
「と言うか、やったんだよね?」
 思わず身を乗り出して、ミサゴの耳元でこっそり聞く。
「うん、ばっちり」
 顔を赤くしてお腹を撫でるミサゴ。
 うん、幸せそうで何よりだね。


 なお、後日、地域丸ごと結婚祝い名目で手土産持参して翡翠さんの顔を見に行く大騒ぎのイベント状態になったのは、ちょっとだけすまんかった。



 追伸
 描き忘れてたツバメ視点です。
 ミサゴとは同学年だけど、ちょっとだけお姉さんなツバメです。
 スズメはコレのもうちょっと上で、一学年違い。
 ミサゴの身長170㎝よりは小さい160㎝
 実はミサゴは姉妹としては末っ子です、直接では最後の落とし種。そんな訳で皆の妹として可愛がられてます、限界童貞だけどそれなりに元気良かった要因、自己肯定感はその辺で上がってた訳です。
 同じ種の腹違いシリーズが名前出てないだけで山程居るので、職員の方々も割と身内で、鳥組にはアットホームな職場です。ほぼほぼ地元民で遺伝的にも家族状態なのです。ツバメが20の新入り下っ端なのに職場で結構態度がデカいのはそのせいです。海岸線で叫んだ時に外回りやってたのは下っ端仕事だからですけどね。
 コレ1日目の仕切りで、第1章完の感動的なアレだったんだと作者自身が書いてて気が付きました。
 作者自身、書いてて泣いてて、読み返して泣いててと言う、謎状態です。
 直ぐエロに行かなきゃ、展開遅いかなって切っててすいません。もっとコイツらに自信を持つべきだったなあと反省しきりです。

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