28 / 32
手を伸ばすと
しおりを挟む「悠斗くん、体調はどう?」
悠斗くんが熱を出して一晩が経った。
昨日よりかは顔色も良くなっている気がする。
「昨日よりかはだいぶ良くなったよ。小春のおかげだ」
「それなら良かった。一応体温計ってね」
私は手に持っている体温計を悠斗くんに渡す。
三十八度を下回っていれば嬉しいんだけど……
待つ事数秒、体温を計り終えた悠斗くんは私に体温計を渡してきた。
「うん。結構下がったね」
体温計には三十八度丁度と表示されている。
「でもまだ治っては無いから安静にしなきゃダメだからね!」
「うん。分かってる」
私は悠斗くんに毛布をかけながら言う。
「食欲はある? あるなら今日はお粥じゃなくて違うの作るよ?」
「食欲は昨日よりもあるかな。小春に任せるよ。簡単なもので良いからね」
「じゃあ今日は饂飩《うどん》にしようか。今から作って来るね」
私はキッチンへと向かい、冷凍の饂飩を取り出し料理した。
毎日お粥だったら飽きちゃうもんね。早く治ってほしいけど、いつ治るか分からないし、もしかしたらまた上がってきちゃうかもしれないもん。
冷凍の饂飩は直ぐに作れる、だから直ぐに持っていける。
「悠斗くん、できたよ。冷凍の饂飩だけど、ごめんね」
「ありがとう。そんな、謝らなくても良いよ簡単なもので良いって言ったのは俺だし。それに俺は作ってもらってる側なんだから」
私は悠斗くんのベッドの横にミニテーブルを設置して、そこに饂飩を置いた。
「ちょっと待ってね。ふー、ふー。はい、あーん」
「じ、自分で食べれるよ」
せっかくあーんしてあげようと思ったのに、悠斗くんに断られちゃった。
結構勇気出したのに……
「え⁉」
私が落ち込んでいることに気づいたのか、悠斗くんは私が差し出している饂飩を食べてくれた。
やっぱり悠斗くんは優しい。
「うん。美味しい。ありがとね、小春」
悠斗くんは笑顔でお礼を言ってくれた。
「れ、冷凍の饂飩なんだから誰でも美味しくできるよ」
私は嬉しさを抑えて笑いながらそう言う。
「小春が作ってくれたから美味しいんだよ。好きな人が作ってくれたものはなんでも美味しいんだよ」
急にそんなこと言われて照れないでいるなんて私には無理だった。
私も熱が出たのではないかというほど顔が赤くなって熱くなる。
「ん? どうかしたの? 顔赤いけど」
「な、なんでもないよ」
「まさか小春も体調悪くなったの⁉ もしかして俺が移しちゃった⁉」
顔が赤くなったのは悠斗くんのせいだけど……でも熱も多分ないと思う。体も重くないし頭痛も無いから。
「だ、大丈夫だよ。本当に熱ないから」
私は両手を振りながら否定する。
「本当に? でも本当に移しちゃったらダメだから後は自分で食べるよ。ありがとう」
「う、うん。じゃあ私リビングに居るから、何かあったら読んでね。早く治してね」
そう言って私はリビングに向かった。
「私も熱だして悠斗くんに看病してほしいな……」
悠斗くんが熱を出して苦しんでいるのにそんな事言っちゃダメなのは分かってる。分かってるはずなのに言ってしまった。
熱を出して弱ってる私のためにお粥作って私に食べさせてほしいもん……
でも、悠斗くんの熱が治っていつも通りこのリビングで、このソファーで二人で並んで座って、笑い合って話したい。
それが今の私の一番の理想。
「明日には治っててほしいな……」
悠斗くんが熱を出して一晩が経った。
昨日よりかは顔色も良くなっている気がする。
「昨日よりかはだいぶ良くなったよ。小春のおかげだ」
「それなら良かった。一応体温計ってね」
私は手に持っている体温計を悠斗くんに渡す。
三十八度を下回っていれば嬉しいんだけど……
待つ事数秒、体温を計り終えた悠斗くんは私に体温計を渡してきた。
「うん。結構下がったね」
体温計には三十八度丁度と表示されている。
「でもまだ治っては無いから安静にしなきゃダメだからね!」
「うん。分かってる」
私は悠斗くんに毛布をかけながら言う。
「食欲はある? あるなら今日はお粥じゃなくて違うの作るよ?」
「食欲は昨日よりもあるかな。小春に任せるよ。簡単なもので良いからね」
「じゃあ今日は饂飩《うどん》にしようか。今から作って来るね」
私はキッチンへと向かい、冷凍の饂飩を取り出し料理した。
毎日お粥だったら飽きちゃうもんね。早く治ってほしいけど、いつ治るか分からないし、もしかしたらまた上がってきちゃうかもしれないもん。
冷凍の饂飩は直ぐに作れる、だから直ぐに持っていける。
「悠斗くん、できたよ。冷凍の饂飩だけど、ごめんね」
「ありがとう。そんな、謝らなくても良いよ簡単なもので良いって言ったのは俺だし。それに俺は作ってもらってる側なんだから」
私は悠斗くんのベッドの横にミニテーブルを設置して、そこに饂飩を置いた。
「ちょっと待ってね。ふー、ふー。はい、あーん」
「じ、自分で食べれるよ」
せっかくあーんしてあげようと思ったのに、悠斗くんに断られちゃった。
結構勇気出したのに……
「え⁉」
私が落ち込んでいることに気づいたのか、悠斗くんは私が差し出している饂飩を食べてくれた。
やっぱり悠斗くんは優しい。
「うん。美味しい。ありがとね、小春」
悠斗くんは笑顔でお礼を言ってくれた。
「れ、冷凍の饂飩なんだから誰でも美味しくできるよ」
私は嬉しさを抑えて笑いながらそう言う。
「小春が作ってくれたから美味しいんだよ。好きな人が作ってくれたものはなんでも美味しいんだよ」
急にそんなこと言われて照れないでいるなんて私には無理だった。
私も熱が出たのではないかというほど顔が赤くなって熱くなる。
「ん? どうかしたの? 顔赤いけど」
「な、なんでもないよ」
「まさか小春も体調悪くなったの⁉ もしかして俺が移しちゃった⁉」
顔が赤くなったのは悠斗くんのせいだけど……でも熱も多分ないと思う。体も重くないし頭痛も無いから。
「だ、大丈夫だよ。本当に熱ないから」
私は両手を振りながら否定する。
「本当に? でも本当に移しちゃったらダメだから後は自分で食べるよ。ありがとう」
「う、うん。じゃあ私リビングに居るから、何かあったら読んでね。早く治してね」
そう言って私はリビングに向かった。
「私も熱だして悠斗くんに看病してほしいな……」
悠斗くんが熱を出して苦しんでいるのにそんな事言っちゃダメなのは分かってる。分かってるはずなのに言ってしまった。
熱を出して弱ってる私のためにお粥作って私に食べさせてほしいもん……
でも、悠斗くんの熱が治っていつも通りこのリビングで、このソファーで二人で並んで座って、笑い合って話したい。
それが今の私の一番の理想。
「明日には治っててほしいな……」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
ヒョイラレ
如月芳美
児童書・童話
中学に入って関東デビューを果たした俺は、急いで帰宅しようとして階段で足を滑らせる。
階段から落下した俺が目を覚ますと、しましまのモフモフになっている!
しかも生きて歩いてる『俺』を目の当たりにすることに。
その『俺』はとんでもなく困り果てていて……。
どうやら転生した奴が俺の体を使ってる!?
児童小説をどうぞ
小木田十(おぎたみつる)
児童書・童話
児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ハンナと先生 南の国へ行く
マツノポンティ さくら
児童書・童話
10歳のハンナは、同じ街に住むジョン先生に動物の言葉を教わりました。ハンナは先生と一緒に南の国へ行き、そこで先生のお手伝いをしたり、小鳥の友達を助けたりします。しかしハンナたちが訪れた鳥の王国には何か秘密がありそうです。
訳あり新聞部の部長が"陽"気すぎる
純鈍
児童書・童話
中学1年生の小森詩歩は夜の小学校(プール)で失踪した弟を探していた。弟の友人は彼が怪異に連れ去られたと言っているのだが、両親は信じてくれない。そのため自分で探すことにするのだが、頼れるのは変わった新聞部の部長、甲斐枝 宗だけだった。彼はいつも大きな顔の何かを憑れていて……。訳あり新聞部の残念なイケメン部長が笑えるくらい陽気すぎて怪異が散る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる