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17 あんたセックスって知ってんの? ソフィ視点
しおりを挟むペトラさんはお父さんの荷物の中の古代語の書を熱心に読んでいた。
凄いと思った。お父さんは読めなかったのに。
そして、読み終わると興奮して『マイラブ! スィートハニー! 運命だったんだよー!』とか言ったあと、すぐに出かけてしまった。
何にも説明されてないので、何がなんだかまったく分からない。
そもそもペトラさんはちょっと変わってる。
見た目は凄い美人なのに。
背が高くてスラッとして、スタイルが良いし、おっぱいも私が谷間に顔を埋めれる位大きい。
腰まである長い銀髪を後ろで一纏めに結んでいて、肌は色白で、ぱっちりとした瞳の色は真紅で綺麗だし、睫は長くてばさばさで、キスされちゃうと睫が顔に当たってくすぐったい。
鼻筋がスッと通って高くて、唇は薄くて形が良いし、血色のいいピンク色。
はっきり言って、誰が見ても凄い美女だと思うはず。
なのに、痩せっぽちで、おっぱいなんか全然ない私にいやらしい事をしたがる。
ついには結婚までしてしまった。
大好きって言われるのは凄く嬉しいけど、ホントに私で良かったのかな?
ほんとにペトラさんて、美人だけど残念な人だ。
コンコンと部屋のドアをノックする音がして、私はドアを開けた。
そこにいたのは宿屋の娘のアリエルさんだった。
アリエルさんは10歳で、私よりも背が高くて胸もちょっと大きい。
「ちょっと入っていい? 話があるんだけど」
「えっ……はい」
部屋には小さなテーブルに木の丸椅子が二つある。その丸椅子にどうぞと言った。
アリエルさんは勧められた丸椅子に座り、私ももう一つの丸椅子に座った。
でも、どうしたんだろう、顔が怖い。
「あんた、いつもペトロネラさんといるから話したくても話せなかった。今、ペトロネラさん、いないでしょ? だから来たの」
「どうしていないの知ってるの?」
「部屋前でゲート開いて行ったの見たから」
そっか、なるほど。
「私さ、ペトロネラさんが好きなの。最初に会った時に言ったから分かるよね?」
「はぁ……」
「ペトロネラさんと別れてくれない?」
「別れてって言われても、まだお父さん見つけて貰ってないから……」
「ああ、お父さん見つけてあげるって言われたんだっけ?」
「うん」
「あんたいくつ?」
「え? ……7歳」
「男と女の事って、分かってんの?」
男と女の事? ペトラさんの事言ってるのかな?
「ペトラさんは女の人だよ?」
「ペトロネラさんは男だよ! だってチンポ付いてるじゃない!」
「正確に言うとペトラさんはアンドロギュヌスだよ? 男でも女でもあるよ?」
「そんなのどっちでもいいの! とにかく、ペトロネラさんは私のだから!」
「ペトラさんは物じゃないよ? 誰の物でもないよ?」
「あんたって、むかつくよね……分かりなさいよ! 私とペトロネラさんはセックスしたの! だからあのひとは私の物!」
「……」
私が黙るとアリエルさんは勝ち誇ったような厭な笑顔を浮かべた。
「あんたセックスって知ってんの?」
「よくは……知らない」
「あの手の早いペトロネラさんが手を出してないの!? あんた、それって好かれてないんじゃないの?」
そう言って、くすくす見下したように笑う。
「ペトラさんは、私がまだちっちゃいから、出来ないだけって言ってたもん。私の事、大好きだって言ってたもん!」
「ペトロネラさんは私にも大好きだよ、とか、愛してるって言ってくれたよ? だから本当に愛されてるのは私なんだよ? あんた愛されてないんだから別れてよ!」
「いやっ! だってもう結婚しちゃったもん!」
「えっ……結婚!?」
「結婚したらお父さん探してくれるって言ったもん!」
「……あんた、そんな事のために好きでもないペトロネラさんと結婚したっての!? ふざけんなっ! 私はずっとペトロネラさんが好きだったのに! 今すぐ離婚しろよ! クソ馬鹿女っ!」
アリエルさんは怒って立ち上がった。
『好きでもない?』
……そんなことない! 私はペトラさんの事……、好きだよ!
私の為に苦労してお父さんを探そうとしてくれてるし、私の事、命がけで守ろうとした。いつも優しくて、私のお股に変な事するけど、でも……ペトラさんのこと好きだよ!
言い返そうとしたけど、言葉が出てこない。
ペトラさんは私の事大好きって言ってくれた。でも、アリエルさんも同じ事を言われたって言ってる。
どっちに言った言葉が本当なの? それともどちらも好きってこと?
……わかんないや。
私が黙ってるとアリエルさんはまた椅子に座った。
じっと私の顔を見て言った。
「ロリコンて知ってる? 小っちゃい子しか愛せない人のこと。ペトロネラさんてロリコンなんだよ? 知ってた?」
「ロリコンてそういう意味だったんだ」
「でも、私には本気なの、ちゃんと大人になってもずっと愛するって言ってくれたもん。あんたはそうやって言われた?」
「……言われてない」
「……そう」
「ねぇ、じゃあ、何で? ペトラさんはアリエルさんと結婚しなかったの?」
「そ、それは……あの時は丁度ケンカをしてたのよ! だから私に当て付けるためにあんたと結婚したのよ! それしか考えられないわ?」
「当て付け……?」
ペトラさんはそんな人じゃないと思うんだけどな。
「とにかく、そういう事だから、ペトロネラさんとは離婚してよ」
「……や」
「え? 何?」
「厭」
「私の話ちゃんと聞いてなかったの?」
「……聞いてた。でも、ペトラさんはきっと私に飽きたらちゃんとはっきり言うよ。『もう興味無い』って。今はまだそう言われてないもん」
私がそう言った所でゲートが開いてペトラさんが帰ってきた。
「ただいま~! ソフィたん!」
「おかえりなさい、ペトラさん」
「ってか、何でアリエルがここにいるんだよ!? 何しに来た?」
「わ、私はこの子と話をしに……」
「お前がソフィたんと何話す事あるってんだよ? 変な事言ってないだろうな? 何言われたの? ソフィたん」
「……えっと」
ちらりとアリエルさんを見たけど、俯いて黙ってた。
「……離婚してって言われた。ペトラさんと。大人になってもアリエルさんの事を愛するって言ったって……聞いた」
「まじかよ? アリエル? いつ私がそんな事言った? つか、お前とはお前が抱いてくれって言ってきた、あれ1回きりだったはずだよね? 好きなんて言った事も無いよ」
アリエルさんの目から涙がぽろぽろと零れていた。
「まさか、ソフィたん、それ信じてないよね? 私にはソフィたんだけだから!」
「そんなこと言ってたって、いつかはソフィだって大人になるんだからっ!! 私みたいに『月の物』だって来て、大人の女の身体になるんだから! そしたら……それでもソフィのこと好きでいられるのっ!?」
「そ、……それは」
アリエルさんが叫んでペトラさんが黙ってしまった。申し訳無さそうに私を見る。
やめてよ、いつもバカみたいに明るいペトラさんでいてよ。
「もし……そんな時が来たら、一緒に泉を探して?」
私が言った言葉の意味をペトラさんは分かった。
私が言った泉とは、前にペトラさんが言っていた『女体幼女化の泉』のことだ。
その話を知らないアリエルさんには分かっていない。
「わかった! 絶対探して見つける!」
ペトラさんは私を高く抱き上げてぎゅっと抱きしめた。
アリエルさんはペトラさんが私を抱きしめるのを見て、部屋を出て行ってしまった。
「ソフィた~ん、ペトラ幸せぇ!」
ペトラさんがまた『チンポ腫れちゃった』と言うので、膿を出して飲んであげた。
ペトラさんの膿を何回も出してるのに一向に治らない。
私が手当てをするよりも、お金があるならお医者様に診てもらった方が良いんじゃないかと本気で思う。
でも……、膿を出したあとのペトラさんはとても幸せそうな顔をするので、命の危険が無いならこのままでもいっか。と思った。
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