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第一部
20 盗聴器と小型カメラ
しおりを挟む伯父さんに体を弄られて目覚めると昼過ぎだった。
リビングのテーブルに、警察署と消防署に行ってくる、勝手に外出しないようにと書かれた置手紙が残っていた。
僕がぼうっとしていると玄関チャイムが鳴った。
パジャマのままだったけど、そのまま出たら菱田さんと白木さんだった。
「菱田さん!? どうしてここが分かったの?」
「伸欣がいれば大抵の事は分かる。入るぞ」
「えっ」
菱田さんと白木さんは勝手に家の中に入って来た。
「伯父さんは多分、警察と消防署だよな?」
「うん」
「桂斗、これからある物を仕込む。お前は俺達が無断でここに侵入したんじゃないって証人だからな? ちゃんと許可取ったぞ? お前に」
「えっ? うん?」
「じゃあ、始めるぞ伸欣」
「おぅ」
二人は何か小さい機械を部屋のあちこちに取り付けていた。
「桂斗、伯父さんの寝室どっち?」
「こっち」
菱田さんは寝室にも小さな機械を取り付けた。
「それ、何?」
「盗聴器と小型カメラ。あちこちに付けたから。証拠が上がるまで色々されても我慢だぞ? 桂斗」
「……うん」
「明け方ここに来て……何された?」
「……菱田さんには言いたくない」
「何で?」
「……恥ずかしいから」
「……そんな恥ずかしい事されたのかよっ! あいつめ!」
菱田さんは伯父さんに怒ってた。
「指、一本挿れられただけ」
「桂斗、痛くなかったか? 大丈夫か?」
「痛くないけど、気持ち悪い。凄く厭だ。でも、嫌がると殴られちゃうから、言う事聞いてる……」
菱田さんはただ黙って怒りを抑えてたように見えた。
「遼、次、弁護士の所に行くぞ」
「ああ、先に車に行っててくれ」
「おぅ」
白木さんは先に外に出て行った。
ここには菱田さんと僕だけになった。
「桂斗に言わなきゃいけないことがある」
「……何?」
「花蓮さんの亡骸が火災現場で見つかった」
「……そっか」
「桂斗、あいつにこれからもっと厭なことされるかも知れない。だけど、俺が必ず助けに行くから……待ってろ!」
「……うん。僕、待ってる」
「桂斗……!」
菱田さんは僕をぎゅっとしたあと、とても辛そうな顔をして外に出て行った。
僕は窓から白木さんの黒い車が道路の脇から走って行くのを見ていた。
……お母さんが死んだ。
そう聞いて、お母さんが死んだ事はショックだけど、不思議とにっこが死んだ時より悲しくなかった。子供ならお母さんが死んだら悲しむのが普通なんだろうな、と思いながらぼんやりテレビを見ていた。
それよりお姉ちゃんは伯母さんとどこに行ったんだろう?
全然帰ってきてる様子が無い。
菱田さんにお姉ちゃんの事も助けてって言うべきだったかな?
でも、僕、お姉ちゃんのこと、あんまり好きじゃなかった。
居なくなって少しほっとしてる。
夕方の4時に伯父さんは帰って来た。
『もっともっともっと弁当』をお土産に買って来てくれた。
「桂斗はから揚げ弁当が好きだったもんな?」
「うん、ありがとう、伯父さん」
「俺は桂斗が大好きだからな、こういう風にするんだぞ?」
「……うん、分かってるよ」
伯父さんは僕にベロチューをしてきた。
「ちゃんと俺にも舌を絡ませて吸うんだ、桂斗」
「んっ」
僕は伯父さんの言う通りに、伯父さんの舌に自分の舌を絡ませた。
本当はこんな事やりたくないけど、やるしかない。
菱田さんが助けに来てくれるって言った。
絶対来てくれる。
だから僕は我慢する。
夜になっても、伯母さんもお姉ちゃんもやっぱり帰って来なかった。
「ねぇ、伯父さん、お姉ちゃんはもしかして売られちゃったの?」
「ああ。塩見さんに売った。例のペドファイルにな。書類は役所の奴らを金で巻き込んで作らせたから、もう親子として海外に移住してる。日本にはいない」
「伯母さんは?」
「あいつは金が入ったから、若い男と遊び歩いてるんじゃないか? 金が無くなりゃまた家に帰ってくるさ」
「……そっか」
「桂斗はもうひとりぼっちだけど、俺がいるからな? 桂斗、愛してるよ」
「……」
伯父さんは僕をぎゅっと抱きしめた。
その日も一緒にお風呂に入って、伯父さんはお風呂で一度白い液体を出した。
それから寝室に行って、僕のお尻の穴に指を挿れながら自分の物を擦って、白い液体を出していた。
今日の僕の穴に入った指は二本だった。
凄くきつかった。ぬるっとしたゼリーみたいなのを一杯塗られたから痛くは無かったけど、入り口がきつくて苦しかった。
寝室にも菱田さんは盗聴器や小型カメラを付けていた。
ってことは、僕がこんな事されちゃってるのも、伯父さんに厭らしい事を言えって言わされてるのも、喘ぎ声を出せって、出されているのも皆聞かれてるって事だ。
次に菱田さんと会う時、恥ずかしくて堪らない。
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