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第4章
羊雲編 チ○ポジュース先生と偽装チェリーボーイ
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ユキは道頓堀の川面に映って揺れる赤や青のネオンをぼんやりと眺めていた。
今の時間なら、男をひっかけるのは容易だ。
これから、手頃な男を見つくろってみようかな……と思案しながら、ユキは欄干にもたれかかっていた。
「お姉さん、寂しそうにしてるね、どうしたん?」
その声にふり返ると、若い男が立っていた。
長い髪に整った顔立ち、いわゆるイケメンの若者だ。
「何よ? あたしとおマンコしたいの?」
「うわっ! お姉さんって、話、早やっ」
「坊やはいくつなの? 未成年を誘惑したら淫行になるんだからね」
「二十歳だよ、もう大人だってば」
可愛いようなすじ者の怖さが混じったような不思議な声色。
「あたしとしたい?」
「させてくれるの?」
「させてあげるけど、あたしは男よ」
「うっそお、また冗談言って」
ユキは彼の手首をとって、自分のタイトスカートの内に導いた。
「ほら、坊やと同じのが付いてるでしょ?」
「うわあーっ、ニューハーフだったの……」
たいして驚いてもいない。
「坊や、名前は何ていうの?」
「シズカ」
「シズカ?男の子じゃ面白い名前ね。でも最近そういうの流行ってるのか。シズカくん、男のお尻の穴にチンポをハメたいの?」
「うーん……、お姉さん男やったんや……、けど、すっごい美人やね」
「ちゃんと質問に答えなさいよ」
「…………」
なんだか要領を得ない。
「男どうしはホモっていうのよ。坊やはホモ?」
「ホモやないけどさ、……でも、きれいなニューハーフのお姉さんだったらいい」
「あたしは男、男がお化粧してるだけ、わかる? この胸はね、おっぱいの形をしたパッドを入れてるのね。だから、裸になったら、顔だけが女で、あとは男なのよ、それでもいいの?」
「なんか面白そうだよね。お姉さん、フェラチオは上手?」
「バカねえ、あたしは女装ホモなんだから、おフェラは得意に決まってるじゃないの」
「フェラチオしてくれる?」
「シズカくんのチンポ、しゃぶってあげてもいいわよ」
「じゃ、ラブホに行こうよ」
「その前にね、もう一度言うけど、シズカくんは男とアナルセックスするのよ。ウンコするお尻の穴なのよ、いいの?」
「わかってるって」
「じゃ、キスして」
「え?」
「男とキスするのよ。できる?」
彼はユキを抱きしめて、口唇を重ねてきた。
相当に女遊びをしている猛者のキステクだ……。
なんで、あたしがこんなガキと……?
ユキは常々、年上の男を標的にしている。
三十五歳以上で、妻帯者で、ノーマルな性向の持ち主、つまり、まちがってもホモセクシュアルの方向に自分からは足を踏み外さない男がターゲットなのだ。
そんな男の良識を女装の艶美で攪乱し、手術やホルモンの力を借りて女性化していない男の身体で発情させる醍醐味を味わいたいのだ。
ところが、こいつときたら勝手がちがう……、とユキは戸惑いを隠せなかった。
世の中でニューハーフが認知されている御時世とはいえ、男とアナルセックスしたいと望むのは、やはり倒錯した性嗜好の持ち主ではないのか?
しかし、この若者は、「それって面白そうだから、いっぺんやってみようか」というノリのように見える。
あるいは別の目的があるのか?
酒に酔って、その勢いで、というわけでもない。
さっき、キスして、舌をねっとりとからみ合わせたけれど、アルコールの匂いも味もしなかった。
ユキはラブホのベッドにシズカを座らせて、彼の目の前で衣服をすべて脱ぎ去った。
外資系OLと偽っても不自然ではない、ベージュのウエストシェイプのジャケットとタイトスカートのスーツ姿だった。
乳房パッドを入れたブラを外し、ショーツも脱ぎ捨て、「ほら、男なのよ。チンポもキンタマもついてるわ」と、細身の白肌の裸体を若い男の前に晒した。
「でも、美人だよ、ね」
彼は動じる気配もない。
美人なのはわかっている。
自慢ではないが、美人に見えるようにメイクしているし、ふだんのお肌の手入れにも時間をかけているのだ。
……ユキは苛立っていた。
いつもなら、こんなガキはお呼びじゃないのだ。
それなのに、今日に限って、何を血迷ってしまったのか、このガキとラブホに入ってしまった。
ユキはバッグからシガレットケースとライターを取り出し、
「ちょっとどいてよ」
と、シズカを脇に寄せて、ベッドに腰を掛けた。
何が何でもこの若者にアナル性交してもらいたい、などとは思っていない。
もしも、男とホモセックスするのが嫌だ、と言い出すのならそれでけっこう。
今は、男に媚びたり、エネルギーを使って誘惑する気分ではない。
ユキは煙草を、艶やかな赤に塗ったルージュの口唇に咥えた。
「シズカくん、あんた、いつまで服、着たままなのよ」
紫煙を、フー、と吹き出して言ってやると、彼は何かを今思いついたという顔で「うん、脱ぐよ」と素直に従う。
ベッドから下りてジャケット、シャツ、と脱いでゆく。
決して逞しい男ではない。
ほっそりとした手も脚も長くて、今どきのモテるタイプの青年だ。
「そこの灰皿、取ってよ」
「はい」
と、やけにピッチリした派手なブリーフだけになったシズカが手渡してくれる。
「あたしとやりたいのなら、ぜんぶ脱いで、こっちに来なさいよ」
「うん」
ほんとにカワイイんだから……張り合いがないというか……。
ベッドの枕板にもたれているユキの横に、全裸になったシズカが並ぶ。
ユキのペニスもシズカのペニスも萎えたままだ。
このまま盛り上がってセックスにまで至るのだろうか……。
今日のユキは男に飢えているわけではない。
このシズカという若者も女に飢えているわけではないはずだ。
さらに、この坊やは、ユキの色香に迷ったわけでもないのだ。
女を偽って、女には出せない色香に惑わされるような中年男ではないのだ……。
「シズカくん、あたしの胸、触ってみなさいよ」
「うん」
ユキに言われたとおりに、シズカは手を伸ばしてくる。
「ほら、男の胸でしょう? おっぱいなんかないのよ」
「ぺったんこだね、ははは」
何がおかしい?
笑うような場面ではないと思うが……。
「貧乳の女のコだと思えばいいじゃん」
「じゃ、手をもっと下のほうに動かせてみて」
シズカの手がユキの下腹部に移ってゆく。
「シズカくん、あんたね、男のチンポを握ってるのよ。ホモっ気がない男なら気色悪いはずよ」
「そうかなあ……」
「男のチンポなのよ。気持ち悪くないの?」
「お姉さんのなら、いいよ」
しれっと言う。困ったガキだ。
こいつには、男どうしの性交が変態だという認識がない。
ユキは膝を立てて太腿を開いた。
「じゃ、女のオ○コの代わりになるところを触ってみてよ」
「お尻?」
「そうよ。あたしにはチンポが付いてるんだもの。あとはお尻の穴しかないじゃないの」
ここで健全な男なら、程度の差はあるにしても、必ず嫌悪感を示す。
しかし、特に厭悪を見せるわけでもなく、シズカはユキの肛門穴口をまさぐり始めるのだった。
「あんん……」
「お尻の穴、感じるの?」
「指、中に入れてよ」
「こう?」
「ゆっくり、少しずつね」
シズカの指がユキの肛門性器に侵入してくる。
ユキは女装ホモだから、やはりこうして肛孔を指でくじられると気持ちよくて悦然となってしまう。
「お姉さんのチンコ、立ってきたよ」
そうなのだ。これはホモの条件反射と言ってもいいだろう。
「ねえ、シズカくん、男のお尻の穴をいたぶるのって、初めてなんでしょう?」
「うん。初めてだよ、女のあそこみたいだね」
指使いが堂に入っていて始めてではないような気もするが、嘘をつく理由も思い浮かばない。
「女のオマコみたい?」
「僕の指を締めつけてくるよ。すごいね」
「いやらしい、って言ってよ」
「女のあそこよりいやらしいね。」
まるであらかじめ答えを知っている様な言い草だ。
「シズカくん、上手ね。いつもこんな風に指、使って女のコを悦ばせてるの?」
「まあね」
「あんうぅぅ……」
「こうやって、擦るといいみたいだね」
「あんっ……」
ユキからはどの指を使っているのか見えないが、たぶん中指なのではないだろうか。
ずいぶん奥まで犯入してきて肛壁粘膜を絶妙にいたぶられて、もう泣きそうなぐらいの快感なのだ。
「お姉さんのチンコ、もうギンギンにボッキしてるよ」
「シズカくんが上手だからよ」
「ほらほら、これでどう?」
「シズカくん、キスして」
シズカはユキの首の後ろに腕をまわし、抱きしめるようにして口唇を合わせた。
ユキはうっとりと舌をからませながら、シズカの指先の肛門嬲りに酔い痴れつつあった……。
ユキが自分より若い男を避けてきたのには理由がある。
若い肉体の健康さが馴染めないからだ。
男どうしのホモセックスはすでに異常だと思うが、スポーツで汗を流すような健康的な肛門性交はしたくない、と敬遠してきたのだ。
ユキが求めているのは、相手が自分よりは10歳以上は年上で、変態倒錯の色合いが濃い女装ホモの爛れたセックスだ。
グロテスクに妖しく、ふたりの男の体臭と脂粉の香が粘っこく混じり合い、腐敗したような精液の臭気と甘糞の臭いが漂う中でのたうちまわるような狂乱の淫行を望んでいた。
ところが、若い男とのホモ性交も捨てたものではない。
そう思わせてくれる相手だった。
シズカはユキの尻穴を巧みに指ホジしながら、舌と口唇を絶妙に使いながらのキスでユキを翻弄する。
シズカからは若さの匂いがした。
ユキもまだ若いのだが、羨ましさを覚えるほどの若い匂いがするのだ。
若いツバメを持とうとする熟女の気持ちがわかるような気がする。
さらに、舌をからませるキスが、シズカの経験の豊富さを感じさせる。
「シズカくん、あんたって、若いくせに女泣かせなのね」
ようやく口を離してキスが中断したので、ユキは感心して言った。
「そうかな……」と、シズカは端正な顔に笑みを見せてとぼける。
「ねえ、シズカくん、あたしのお尻の穴にチンポを入れてみたくなった?」
「うん」
「ほら、シズカくんのチンポ、立ってきてるし」
ユキはさっきから、シズカの下腹部に手を伸ばしていた。
シズカの男根を触って揉み摺りしていると勃起してきて、ユキは嬉しくなっていた。
「お姉さんって、色っぽくてさ、女みたいに悶えるね」
「でも、チンポが付いてる?」
「女のあそこみたいなお尻だし……」
「生で入れさせてあげるわよ。それから、中出しさせてあげる。はやく入れたい?」
「うん」
肛門性器は湿潤機能がないのでオイルローションを使わねばならない。
ドライ挿入だと痛苦を伴って強姦されるような荒味はあるけれど、ここは正攻法で楽しみたい。
ユキは、「そこのバッグ、取って」と、シズカをあごで使い、かわいいまでに従順なシズカの手に小さなボトルを握らせた。
「これ、何?」
「ラブオイルよ」
「どうすんの、これ?」
既に知っていて本気で聞いているような気がしなかったが、この頃はそういった疑問はどうでも良くなっていた。
「塗るのよ。オマコじゃないからマン汁は出ないの。わかるよね?」
「そうか……、なるほどね」
「たっぷり塗ってちょうだい」と言ってから、ユキは身体を起こし、うつぶせに這った。
白い臀丘を高く掲げて、媚肛を晒し、「あたしのアナルマンコにたっぷりと塗ってちょうだいね」
と、ユキは甘えた声音でねだった。
シズカの指先が肛門穴に侵入してくる。
ローションをまぶしたヌルヌルの指先には猥淫触感があって、うっとりとなってしまう。
「奥のほうまで塗って、って言ってるでしょ」
ヒップをくなくなとくねらせながらシズカの指を肛門輪筋で締めつけて、強い命令口調だが甘えるような媚を含んだ声を出す。
この指の代わりに、次は若いオスの肉棒を挿入されるのだ、と思うと陶然となってくる。
これは、ユキのような女装ホモでないとわからない感覚だ。
「シズカくん、あんたのチンポにも塗っとくのよ、わかってる?」
「うん」
男でありながら男のペニス棒を欲してしまう自分の浅ましい性向に思いを馳せると、よりいっそうの激沸快感に襲われるのをユキは熟知していた。
あたしは変態の女装ホモ……、その倒錯をかみしめながら、「シズカくん、はやく入れてよ、あんたのチンポ、欲しいのよ……」と、ユキはアナルセックス初体験の筈の若者を促すのだった。
もちろん、ユキのアナル孔は荒淫を日常とする娼婦の性器のような締まりのない穴洞ではない。
シズカの熱い亀頭が肛口に触れた瞬間、「あんっ!」と喘いでしまった。
しかし、ここからはアナル初心者を誘導してやらねばならない。
「シズカくん、入る?」
「うん……、きついね」
「チンポの先を押しつけて、捻じこむのよ」
「こう?こういう感じがいいの?」
「そうそう、もっと腰に力を入れて」
シズカの勃起ペニスの先端が細孔に、めり込みはじめる。
開いた傘面が肛口をくぐりぬけるまでの、こじ開けられるような強圧感がたまらない。
「あんん……」
ユキは思わずのけぞって悶え喘いだ。
シズカの責め棒が尻孔口を通過し、収縮力の強い輪管をかき分けて犯入してくる。
その、排泄器への逆入は、ユキのペニスの昂立と連動する。
肛門にローションを塗ってもらっているときから、すでに海綿体は充血しているのだが、この挿入によって、射精してしまうのではないか、と思えるぐらいにユキのペニスは滾った。
「もっと、入れて……、奥まで……」
声が掠れてくる。
男に淫棒を肛門穴に嵌め入れられると、獣の昂奮に見舞われて身体が煮立ってくるのだ。
女装ホモというだけでなく、淫奔と言われても仕方のないほどの本性が顕わになってくる。
シズカがユキの背中におおいかぶさってきて、手入れの行き届いた艶やかな黒髪をかき分けて汗ばんだうなじに口唇を当てた。
「あんっ!」
「お姉さん、凄いネ。女の匂いがするよ」
「んん……」
「痛くない?」と、シズカに耳元で囁かれ、ユキは首筋に這う若者の口唇のくすぐったくて嬉しい余韻から我に返った。
「痛くなんかないわよ、心配しないで……」
「お尻だよ」
「バカねえ、男どうしのホモなんだからさ、お尻の穴を使うのが当たり前でしょ」
「そうだけどね……」
「シズカくんのほうはどう? いい?」
「うん……」
「アナルは初めてなんでしょ?それとも、女の子のアナルを掘ったことがあったりして」
「ないよ。そんな……」
まんざらでもなさそうな口ぶりだった。
「シズカくんは本当にオマコ専門なの?男のアナルもいいでしょ?」
「やる方だとやっぱ、なんかちがうよね」
「どうちがうの?」
「これだけ奥に入れても何も当たらないんだよね、お尻って、やっぱり」
「シズカくんのチンポの先は腸よ、子宮じゃないんだから」
「それにさ、フリクョンがすごいね」
「何よ、それ?」
「摩擦っていうか、締りがいいっていうか……」
「気に入ってくれた?」
「うん」
「病み付きになったりして、ふふふ」
「ホモに目覚めてもいいけどさ、お姉さんみたいな美人じゃないとダメだな、受けなら別だけど」
「あら、うれしいこと言ってくれるじゃないの」
「中で出してもいい、って言ってたよね」
「いいわよ。いっぱい出してくれたら、そのあとたっぷり時間をかけておしゃぶりしてあげる」
「お姉さんって、おフェラ、上手そうだもんね」
「シズカくんは若いから、1回抜いたぐらいじゃ物足りないでしょ。今夜はとことん付き合ってあげるわよ」
……………………………………………………………………………………
「そうかあ……、ユキは自分のルールを破っちゃったわけだ」と、まゆみが言った。
恒例の、日曜日の夜のファミレスで、まゆみとのお食事会だ。
ユキが自分に課しているタブーはふたつあって、そのひとつが年下の男を誘惑しないことだ。
もうひとつのタブーは、同じ相手と重ねて関係しないこと。
これは、単純に淫欲だけに関係を特化したいからだ。何度も逢瀬を重ねて馴染むと、ユキのプライベートの生活を知られることになる。
それに、関係の良好を維持できるとは限らない。
情念がからんでくれば嫉妬も生まれるし、束縛されるようにもなるだろう。
だから、情交は一夜かぎりと決めている。
「でさ、そいつ、二十歳だって?」
「そう自称ね。四才ちがいなんだけど、弟みたいで、何かヘンだったな」
「いいなあ。ナンパされたんだよね」
「あたしのほうはぜんぜんその気じゃなかったんよ。だけど、成り行きでね」
「年上のおじさまと比べて、どうよ?」
「たまには、いつもと違う料理を食べてみるのも悪くない、って感じかな」
「ねえねえ、それで?」
まゆみの目が輝きはじめてくる。
ユキの体験した尻淫性交の詳細をはやく聞きたがっている。
ここは、臨場感あふれる描写で語ってやらねばならない。
シズカという名前の若者は、たぶんだけど、そう多分、初めて男のアナルを味わい、その敵娼(相方)の女装者の排泄孔に盛大にザーメンを噴出したのだった。
熱い飛沫を直腸に浴びせかけられたユキは、通常の反応として、のけぞって呻いたけれども、今ひとつ盛り上がりに欠けていると感じていた。
狂おしいまでに淫らに盛り上がってこないのだ。
しかし、女装ホモの淫情には、確実に点火された。
「あいつね、若いからだと思うけど、あたしのアナルマンコに射精してもチンポはおっ立ったままなのよ。ふつう、射精したら縮むでしょ」
「溜まりまくってた?」
「どうかな……、イケメンのいい男だし、あたしをナンパするぐらいの度胸もあるしさ、キスの仕方とか、かなり女を知ってるって気もするし」
「じゃ、特定の彼女がいる?」
「女には不自由してないと思う」
「するとさ、ユキのアナルマンコが名器?」
「男のアナルが珍しくて昂奮したんじゃない?」
シズカが離れて、ふと顔だけ振り返ると、シズカのペニスは勃起したままだった。
あら、シズカくん、元気いっぱいなのね、とユキが言うと、シズカは複雑な笑みを見せた。
その笑顔は一種の磁力だった。
ユキはシズカにあぐらをかかせ、生尺奉仕してやったのだ。
精液の残滓に濡れた亀頭は湯気をたてているような熱気を発散していた。
ユキはシズカの前に這いつくばって、彼の旨棒の肉幹を握り、亀頭に鼻をすりつけた。
若いオスの匂いだ。
年上のおやじでは、こんな溌剌としたエネルギーは嗅ぎ取れない。
だが、それこそがユキの物足りなさの原因なのだ。
シズカのペニスには爛れた淫靡さがない……。
「お姉さんって、淫乱だね。男のチンポが好きなんだ」
「そうよ。女装してるのは何のためだと思う? 女になりたいとかじゃないのよ。男のチンポが欲しいからお化粧してスカートはいてるの、わかる?」
「わかるよ。女になりたかったらおっぱい造るとかするもんね」
「だからね、あたしはニューハーフとかじゃないのよ。ただのオカマ、男のチンポが大好きなオカマ、わかる?」
「フェラチオしてくれるんだよね」
「舐めさせてくれるの? 男にしゃぶってもらうのよ、いいの?」
「男って、思えないんだけどな……」
「シズカくんは、もう男とホモセックスしてしまったものね、ふふふ」
ユキの尻穴から、シズカの放出した精液が漏れ出してくる。
とろみを帯びた液汁が玉袋を濡らして伝い落ちてゆく感触がユキの淫焔を煽る。
こんな若い男の前で恥知らずな醜態を晒している。
肛門を犯してもらったペニスを、直後に、生尺している……。
男のペニスに舌をからめて舐める……。
男の汗や恥垢やアンモニアの臭いやらが混じり合って鼻腔に流れ込んでくる。
生臭い精液の味としょっぱいようなカウパー腺液の味……。
ユキは陶然となっていた。
男のペニスをフェラチオするのは大好きだ。
ひょっとしたら、肛門に挿入されているときよりも、フェラチオしているときのほうが嬉しいような気もする。
女のオマンコを舐めたいと思ったことは、一度もない。
哀しい性と自責するのではなくて、いつもポジティブ思考に徹してきた。
こんな変態の性向を持って生まれついてしまった以上、世間のマジョリティに合わせて無理にノーマルに変える必要はない。
変態であろうが何であろうが自分を偽らずに精一杯に楽しんで変態セックスを謳歌してやるのだ。
亀頭ねっとりねぶりから、唾液を泡立たせてのヌルヌルのマウスピストンをしてやると、シズカは「お姉さん、すっごい……」と、うっとりとなって喘ぎだした。
「あいつ、口の中で射精してしまいそうだったんよ」
「そういうのって、わかるの?」
「わかるわよ。まゆみだって、オナるとき、チンポ、シコシコするでしょ」
「わかるかなあ……」
「もうすぐドピュッ、って兆候、経験があればわかるのよ。まゆみはさ、十本ぐらいは経験してるでしょ?」
「そんなに多くないって、三本よ三本だけ。まだ3人の男しか知らないんだから」
まゆみはユキの前では正直だ。
特にセックスの話題となると、まゆみは教祖を盲信している信者のようになる。
あたしの話はいいから、とまゆみはユキの昨夜の体験の続きを促した。
射精する寸前の、絶頂の甘美の一歩手前で口腔と舌の淫撫を中断すると、シズカは泣きそうな表情になる。
不思議な表情だった。
「シズカくん、飲んであげようか?」
と、誘うような言い方でシズカの顔を眺めてみる。
こうやって男をいたぶるのは楽しいものだ。
「飲んでくれるの?」
「飲んであげるわよ。男のチンポジュース、大好きなの」
「飲むの、嫌がる女は多いけどね、そこが違いなのかな?」
「さっきも言ったでしょ。あたしは男狂いのスケベオカマなのよ。チンポから直接、吸い出してあげるわよ」
すぐにでも発射に導いて直飲できたが、ユキはそのあとも時間をかけて、たっぷりと若いオスの肉棒を舐めまわして味わったのだ。
「女のフェラテクと、あたしたちみたいなホモのフェラテクとはちがうの、わかるでしょ」
「うん、わかるわかる」
「女の淫乱と、ホモの淫乱とはちがうの、わかるでしょ」
「うん、そうよね。あたしもユキみたいな淫乱になりたい……」
「まゆみはしっかり淫乱でしょ。ただ実践していないだけ」
「男とやりまくりたいんだけど、ユキみたいな美人じゃないし……」
まゆみは体が大きすぎる。
身長の高さと肩幅の広さを補って余りある色香があればいいのだが……。
ユキは、女装者の色香は男のペニスで磨かれるものだ、と思っている。
だから、まゆみを気に入った男が現れて、まゆみがホモ愛欲に溺れてしまったら、きっとまゆみはお色気むんむんの女装美女になるだろう。
自分のことはいいから、とまゆみは話の続きを聞きたがる。
「口もあごも疲れてきたからさ、ひと休みしたくなってフィニッシュさせたんよ」
「口の中で?」
「ベロにこすりつけながらシコシコしてやったら、ドバッ!」
「二十歳のザーメンってどんな?」
「きれいね。何食べてるんだかわかんないような嫌な味のするザーメンとか、医者通いしててクスリの臭いのするザーメンとか、おやじ相手にしてるといろいろなんだけどね。あいつのは健康的だったな」
「飲んだ?」
「もちろん。おいしくいただきました。ふふふ」
…………………………………………………………………………………
舌をユキの乳の上で転がすシズカの嬉しげな表情が可愛い。
心の底からこのプレイを愉しんでいるようだ。
乳首合わせ。そこに二人の唾のカクテルが滴る。
男の可愛らしい乳首が互いを愛撫し合う様は、まるで乳首がキスしているみたいに見えて、なかなか刺激的だ。
そして乳首のつねり合い。これで一気に昂まる二人。
珍しくユキは「私のこと気持ちよくして…」と女の子みたいなことを口にした。
舐めるために突き出したベロが興奮しているように見えるほど、シズカはユキのおねだりが嬉しくてしょうがない。
乳首を舐め、噛み、吸いまくる。
ユキの足首を大事そうに掴むと、足指を口に含み、美脚を舐め下していく。
そのまま、ユキのけつまんこに吸いつく。
年甲斐もなく恥ずかしそうに感じまくるユキ。
思い入れたっぷりシズカの男クンニに、ユキがとうとうイカされてしまった。
考えようによっては、これもシズカにこの一風変わったレズビアンのスキルを与えるためのユキなりの作戦だったかもしれない。
その上で「私のけつまんこにラバーフィンガーを入れて」とフィストファッカーの役割を与えたってわけだ。
シズカには手術に使うような手首までビッチリ肌を密封するゴム手袋を付けさせている。
「それはちょっと怖い…」とビビるシズカのゴム手首を握り、自分のけつまんこにゴム指を挿入させる。
ゴム指1本でも、これから続くことを考えてたちまち感じ始める。
自分の指で感じまくるユキの姿が信じられない様子のシズカ。
しかし目の当たりにする現実を受け入れ、ユキの誘導でとうとう飴色のラバーフィンガーを奥まで押し込みきった。
不安と悦びが入り混じったシズカの表情が、なんとも可愛い。
“初めてのお使い顔”だ。
ユキの哀願で、激しくラバーフィンガーをピストンさせる。
ユキもラバーフィンガーを自分の男Gスポットに押し当てようと腰を動かし、どんどん昂まっていく。
「すごい締まってる」
シズカの言葉で、ユキのアナル参道の異変がイメージできて、脳ミソからペニクリまで電流が走りる。
ユキはとうとう絶頂へ。
それでも男膣を強く締めてシズカのラバーフィンガーを抜かせず、さらにフィスティングを命じる。
そしてイキまくりる。
ここまでくるとシズカもノリノリになっている。
「自分の手が気持ちいい!」とさらに奥まで突きまくりるのだ。
ユキはとうとうシズカの手首を掴んで自分のけつまんこを犯しまくって果ててしまった。
これこそ……自分で自分を犯す、自分ファックだ……。
今の時間なら、男をひっかけるのは容易だ。
これから、手頃な男を見つくろってみようかな……と思案しながら、ユキは欄干にもたれかかっていた。
「お姉さん、寂しそうにしてるね、どうしたん?」
その声にふり返ると、若い男が立っていた。
長い髪に整った顔立ち、いわゆるイケメンの若者だ。
「何よ? あたしとおマンコしたいの?」
「うわっ! お姉さんって、話、早やっ」
「坊やはいくつなの? 未成年を誘惑したら淫行になるんだからね」
「二十歳だよ、もう大人だってば」
可愛いようなすじ者の怖さが混じったような不思議な声色。
「あたしとしたい?」
「させてくれるの?」
「させてあげるけど、あたしは男よ」
「うっそお、また冗談言って」
ユキは彼の手首をとって、自分のタイトスカートの内に導いた。
「ほら、坊やと同じのが付いてるでしょ?」
「うわあーっ、ニューハーフだったの……」
たいして驚いてもいない。
「坊や、名前は何ていうの?」
「シズカ」
「シズカ?男の子じゃ面白い名前ね。でも最近そういうの流行ってるのか。シズカくん、男のお尻の穴にチンポをハメたいの?」
「うーん……、お姉さん男やったんや……、けど、すっごい美人やね」
「ちゃんと質問に答えなさいよ」
「…………」
なんだか要領を得ない。
「男どうしはホモっていうのよ。坊やはホモ?」
「ホモやないけどさ、……でも、きれいなニューハーフのお姉さんだったらいい」
「あたしは男、男がお化粧してるだけ、わかる? この胸はね、おっぱいの形をしたパッドを入れてるのね。だから、裸になったら、顔だけが女で、あとは男なのよ、それでもいいの?」
「なんか面白そうだよね。お姉さん、フェラチオは上手?」
「バカねえ、あたしは女装ホモなんだから、おフェラは得意に決まってるじゃないの」
「フェラチオしてくれる?」
「シズカくんのチンポ、しゃぶってあげてもいいわよ」
「じゃ、ラブホに行こうよ」
「その前にね、もう一度言うけど、シズカくんは男とアナルセックスするのよ。ウンコするお尻の穴なのよ、いいの?」
「わかってるって」
「じゃ、キスして」
「え?」
「男とキスするのよ。できる?」
彼はユキを抱きしめて、口唇を重ねてきた。
相当に女遊びをしている猛者のキステクだ……。
なんで、あたしがこんなガキと……?
ユキは常々、年上の男を標的にしている。
三十五歳以上で、妻帯者で、ノーマルな性向の持ち主、つまり、まちがってもホモセクシュアルの方向に自分からは足を踏み外さない男がターゲットなのだ。
そんな男の良識を女装の艶美で攪乱し、手術やホルモンの力を借りて女性化していない男の身体で発情させる醍醐味を味わいたいのだ。
ところが、こいつときたら勝手がちがう……、とユキは戸惑いを隠せなかった。
世の中でニューハーフが認知されている御時世とはいえ、男とアナルセックスしたいと望むのは、やはり倒錯した性嗜好の持ち主ではないのか?
しかし、この若者は、「それって面白そうだから、いっぺんやってみようか」というノリのように見える。
あるいは別の目的があるのか?
酒に酔って、その勢いで、というわけでもない。
さっき、キスして、舌をねっとりとからみ合わせたけれど、アルコールの匂いも味もしなかった。
ユキはラブホのベッドにシズカを座らせて、彼の目の前で衣服をすべて脱ぎ去った。
外資系OLと偽っても不自然ではない、ベージュのウエストシェイプのジャケットとタイトスカートのスーツ姿だった。
乳房パッドを入れたブラを外し、ショーツも脱ぎ捨て、「ほら、男なのよ。チンポもキンタマもついてるわ」と、細身の白肌の裸体を若い男の前に晒した。
「でも、美人だよ、ね」
彼は動じる気配もない。
美人なのはわかっている。
自慢ではないが、美人に見えるようにメイクしているし、ふだんのお肌の手入れにも時間をかけているのだ。
……ユキは苛立っていた。
いつもなら、こんなガキはお呼びじゃないのだ。
それなのに、今日に限って、何を血迷ってしまったのか、このガキとラブホに入ってしまった。
ユキはバッグからシガレットケースとライターを取り出し、
「ちょっとどいてよ」
と、シズカを脇に寄せて、ベッドに腰を掛けた。
何が何でもこの若者にアナル性交してもらいたい、などとは思っていない。
もしも、男とホモセックスするのが嫌だ、と言い出すのならそれでけっこう。
今は、男に媚びたり、エネルギーを使って誘惑する気分ではない。
ユキは煙草を、艶やかな赤に塗ったルージュの口唇に咥えた。
「シズカくん、あんた、いつまで服、着たままなのよ」
紫煙を、フー、と吹き出して言ってやると、彼は何かを今思いついたという顔で「うん、脱ぐよ」と素直に従う。
ベッドから下りてジャケット、シャツ、と脱いでゆく。
決して逞しい男ではない。
ほっそりとした手も脚も長くて、今どきのモテるタイプの青年だ。
「そこの灰皿、取ってよ」
「はい」
と、やけにピッチリした派手なブリーフだけになったシズカが手渡してくれる。
「あたしとやりたいのなら、ぜんぶ脱いで、こっちに来なさいよ」
「うん」
ほんとにカワイイんだから……張り合いがないというか……。
ベッドの枕板にもたれているユキの横に、全裸になったシズカが並ぶ。
ユキのペニスもシズカのペニスも萎えたままだ。
このまま盛り上がってセックスにまで至るのだろうか……。
今日のユキは男に飢えているわけではない。
このシズカという若者も女に飢えているわけではないはずだ。
さらに、この坊やは、ユキの色香に迷ったわけでもないのだ。
女を偽って、女には出せない色香に惑わされるような中年男ではないのだ……。
「シズカくん、あたしの胸、触ってみなさいよ」
「うん」
ユキに言われたとおりに、シズカは手を伸ばしてくる。
「ほら、男の胸でしょう? おっぱいなんかないのよ」
「ぺったんこだね、ははは」
何がおかしい?
笑うような場面ではないと思うが……。
「貧乳の女のコだと思えばいいじゃん」
「じゃ、手をもっと下のほうに動かせてみて」
シズカの手がユキの下腹部に移ってゆく。
「シズカくん、あんたね、男のチンポを握ってるのよ。ホモっ気がない男なら気色悪いはずよ」
「そうかなあ……」
「男のチンポなのよ。気持ち悪くないの?」
「お姉さんのなら、いいよ」
しれっと言う。困ったガキだ。
こいつには、男どうしの性交が変態だという認識がない。
ユキは膝を立てて太腿を開いた。
「じゃ、女のオ○コの代わりになるところを触ってみてよ」
「お尻?」
「そうよ。あたしにはチンポが付いてるんだもの。あとはお尻の穴しかないじゃないの」
ここで健全な男なら、程度の差はあるにしても、必ず嫌悪感を示す。
しかし、特に厭悪を見せるわけでもなく、シズカはユキの肛門穴口をまさぐり始めるのだった。
「あんん……」
「お尻の穴、感じるの?」
「指、中に入れてよ」
「こう?」
「ゆっくり、少しずつね」
シズカの指がユキの肛門性器に侵入してくる。
ユキは女装ホモだから、やはりこうして肛孔を指でくじられると気持ちよくて悦然となってしまう。
「お姉さんのチンコ、立ってきたよ」
そうなのだ。これはホモの条件反射と言ってもいいだろう。
「ねえ、シズカくん、男のお尻の穴をいたぶるのって、初めてなんでしょう?」
「うん。初めてだよ、女のあそこみたいだね」
指使いが堂に入っていて始めてではないような気もするが、嘘をつく理由も思い浮かばない。
「女のオマコみたい?」
「僕の指を締めつけてくるよ。すごいね」
「いやらしい、って言ってよ」
「女のあそこよりいやらしいね。」
まるであらかじめ答えを知っている様な言い草だ。
「シズカくん、上手ね。いつもこんな風に指、使って女のコを悦ばせてるの?」
「まあね」
「あんうぅぅ……」
「こうやって、擦るといいみたいだね」
「あんっ……」
ユキからはどの指を使っているのか見えないが、たぶん中指なのではないだろうか。
ずいぶん奥まで犯入してきて肛壁粘膜を絶妙にいたぶられて、もう泣きそうなぐらいの快感なのだ。
「お姉さんのチンコ、もうギンギンにボッキしてるよ」
「シズカくんが上手だからよ」
「ほらほら、これでどう?」
「シズカくん、キスして」
シズカはユキの首の後ろに腕をまわし、抱きしめるようにして口唇を合わせた。
ユキはうっとりと舌をからませながら、シズカの指先の肛門嬲りに酔い痴れつつあった……。
ユキが自分より若い男を避けてきたのには理由がある。
若い肉体の健康さが馴染めないからだ。
男どうしのホモセックスはすでに異常だと思うが、スポーツで汗を流すような健康的な肛門性交はしたくない、と敬遠してきたのだ。
ユキが求めているのは、相手が自分よりは10歳以上は年上で、変態倒錯の色合いが濃い女装ホモの爛れたセックスだ。
グロテスクに妖しく、ふたりの男の体臭と脂粉の香が粘っこく混じり合い、腐敗したような精液の臭気と甘糞の臭いが漂う中でのたうちまわるような狂乱の淫行を望んでいた。
ところが、若い男とのホモ性交も捨てたものではない。
そう思わせてくれる相手だった。
シズカはユキの尻穴を巧みに指ホジしながら、舌と口唇を絶妙に使いながらのキスでユキを翻弄する。
シズカからは若さの匂いがした。
ユキもまだ若いのだが、羨ましさを覚えるほどの若い匂いがするのだ。
若いツバメを持とうとする熟女の気持ちがわかるような気がする。
さらに、舌をからませるキスが、シズカの経験の豊富さを感じさせる。
「シズカくん、あんたって、若いくせに女泣かせなのね」
ようやく口を離してキスが中断したので、ユキは感心して言った。
「そうかな……」と、シズカは端正な顔に笑みを見せてとぼける。
「ねえ、シズカくん、あたしのお尻の穴にチンポを入れてみたくなった?」
「うん」
「ほら、シズカくんのチンポ、立ってきてるし」
ユキはさっきから、シズカの下腹部に手を伸ばしていた。
シズカの男根を触って揉み摺りしていると勃起してきて、ユキは嬉しくなっていた。
「お姉さんって、色っぽくてさ、女みたいに悶えるね」
「でも、チンポが付いてる?」
「女のあそこみたいなお尻だし……」
「生で入れさせてあげるわよ。それから、中出しさせてあげる。はやく入れたい?」
「うん」
肛門性器は湿潤機能がないのでオイルローションを使わねばならない。
ドライ挿入だと痛苦を伴って強姦されるような荒味はあるけれど、ここは正攻法で楽しみたい。
ユキは、「そこのバッグ、取って」と、シズカをあごで使い、かわいいまでに従順なシズカの手に小さなボトルを握らせた。
「これ、何?」
「ラブオイルよ」
「どうすんの、これ?」
既に知っていて本気で聞いているような気がしなかったが、この頃はそういった疑問はどうでも良くなっていた。
「塗るのよ。オマコじゃないからマン汁は出ないの。わかるよね?」
「そうか……、なるほどね」
「たっぷり塗ってちょうだい」と言ってから、ユキは身体を起こし、うつぶせに這った。
白い臀丘を高く掲げて、媚肛を晒し、「あたしのアナルマンコにたっぷりと塗ってちょうだいね」
と、ユキは甘えた声音でねだった。
シズカの指先が肛門穴に侵入してくる。
ローションをまぶしたヌルヌルの指先には猥淫触感があって、うっとりとなってしまう。
「奥のほうまで塗って、って言ってるでしょ」
ヒップをくなくなとくねらせながらシズカの指を肛門輪筋で締めつけて、強い命令口調だが甘えるような媚を含んだ声を出す。
この指の代わりに、次は若いオスの肉棒を挿入されるのだ、と思うと陶然となってくる。
これは、ユキのような女装ホモでないとわからない感覚だ。
「シズカくん、あんたのチンポにも塗っとくのよ、わかってる?」
「うん」
男でありながら男のペニス棒を欲してしまう自分の浅ましい性向に思いを馳せると、よりいっそうの激沸快感に襲われるのをユキは熟知していた。
あたしは変態の女装ホモ……、その倒錯をかみしめながら、「シズカくん、はやく入れてよ、あんたのチンポ、欲しいのよ……」と、ユキはアナルセックス初体験の筈の若者を促すのだった。
もちろん、ユキのアナル孔は荒淫を日常とする娼婦の性器のような締まりのない穴洞ではない。
シズカの熱い亀頭が肛口に触れた瞬間、「あんっ!」と喘いでしまった。
しかし、ここからはアナル初心者を誘導してやらねばならない。
「シズカくん、入る?」
「うん……、きついね」
「チンポの先を押しつけて、捻じこむのよ」
「こう?こういう感じがいいの?」
「そうそう、もっと腰に力を入れて」
シズカの勃起ペニスの先端が細孔に、めり込みはじめる。
開いた傘面が肛口をくぐりぬけるまでの、こじ開けられるような強圧感がたまらない。
「あんん……」
ユキは思わずのけぞって悶え喘いだ。
シズカの責め棒が尻孔口を通過し、収縮力の強い輪管をかき分けて犯入してくる。
その、排泄器への逆入は、ユキのペニスの昂立と連動する。
肛門にローションを塗ってもらっているときから、すでに海綿体は充血しているのだが、この挿入によって、射精してしまうのではないか、と思えるぐらいにユキのペニスは滾った。
「もっと、入れて……、奥まで……」
声が掠れてくる。
男に淫棒を肛門穴に嵌め入れられると、獣の昂奮に見舞われて身体が煮立ってくるのだ。
女装ホモというだけでなく、淫奔と言われても仕方のないほどの本性が顕わになってくる。
シズカがユキの背中におおいかぶさってきて、手入れの行き届いた艶やかな黒髪をかき分けて汗ばんだうなじに口唇を当てた。
「あんっ!」
「お姉さん、凄いネ。女の匂いがするよ」
「んん……」
「痛くない?」と、シズカに耳元で囁かれ、ユキは首筋に這う若者の口唇のくすぐったくて嬉しい余韻から我に返った。
「痛くなんかないわよ、心配しないで……」
「お尻だよ」
「バカねえ、男どうしのホモなんだからさ、お尻の穴を使うのが当たり前でしょ」
「そうだけどね……」
「シズカくんのほうはどう? いい?」
「うん……」
「アナルは初めてなんでしょ?それとも、女の子のアナルを掘ったことがあったりして」
「ないよ。そんな……」
まんざらでもなさそうな口ぶりだった。
「シズカくんは本当にオマコ専門なの?男のアナルもいいでしょ?」
「やる方だとやっぱ、なんかちがうよね」
「どうちがうの?」
「これだけ奥に入れても何も当たらないんだよね、お尻って、やっぱり」
「シズカくんのチンポの先は腸よ、子宮じゃないんだから」
「それにさ、フリクョンがすごいね」
「何よ、それ?」
「摩擦っていうか、締りがいいっていうか……」
「気に入ってくれた?」
「うん」
「病み付きになったりして、ふふふ」
「ホモに目覚めてもいいけどさ、お姉さんみたいな美人じゃないとダメだな、受けなら別だけど」
「あら、うれしいこと言ってくれるじゃないの」
「中で出してもいい、って言ってたよね」
「いいわよ。いっぱい出してくれたら、そのあとたっぷり時間をかけておしゃぶりしてあげる」
「お姉さんって、おフェラ、上手そうだもんね」
「シズカくんは若いから、1回抜いたぐらいじゃ物足りないでしょ。今夜はとことん付き合ってあげるわよ」
……………………………………………………………………………………
「そうかあ……、ユキは自分のルールを破っちゃったわけだ」と、まゆみが言った。
恒例の、日曜日の夜のファミレスで、まゆみとのお食事会だ。
ユキが自分に課しているタブーはふたつあって、そのひとつが年下の男を誘惑しないことだ。
もうひとつのタブーは、同じ相手と重ねて関係しないこと。
これは、単純に淫欲だけに関係を特化したいからだ。何度も逢瀬を重ねて馴染むと、ユキのプライベートの生活を知られることになる。
それに、関係の良好を維持できるとは限らない。
情念がからんでくれば嫉妬も生まれるし、束縛されるようにもなるだろう。
だから、情交は一夜かぎりと決めている。
「でさ、そいつ、二十歳だって?」
「そう自称ね。四才ちがいなんだけど、弟みたいで、何かヘンだったな」
「いいなあ。ナンパされたんだよね」
「あたしのほうはぜんぜんその気じゃなかったんよ。だけど、成り行きでね」
「年上のおじさまと比べて、どうよ?」
「たまには、いつもと違う料理を食べてみるのも悪くない、って感じかな」
「ねえねえ、それで?」
まゆみの目が輝きはじめてくる。
ユキの体験した尻淫性交の詳細をはやく聞きたがっている。
ここは、臨場感あふれる描写で語ってやらねばならない。
シズカという名前の若者は、たぶんだけど、そう多分、初めて男のアナルを味わい、その敵娼(相方)の女装者の排泄孔に盛大にザーメンを噴出したのだった。
熱い飛沫を直腸に浴びせかけられたユキは、通常の反応として、のけぞって呻いたけれども、今ひとつ盛り上がりに欠けていると感じていた。
狂おしいまでに淫らに盛り上がってこないのだ。
しかし、女装ホモの淫情には、確実に点火された。
「あいつね、若いからだと思うけど、あたしのアナルマンコに射精してもチンポはおっ立ったままなのよ。ふつう、射精したら縮むでしょ」
「溜まりまくってた?」
「どうかな……、イケメンのいい男だし、あたしをナンパするぐらいの度胸もあるしさ、キスの仕方とか、かなり女を知ってるって気もするし」
「じゃ、特定の彼女がいる?」
「女には不自由してないと思う」
「するとさ、ユキのアナルマンコが名器?」
「男のアナルが珍しくて昂奮したんじゃない?」
シズカが離れて、ふと顔だけ振り返ると、シズカのペニスは勃起したままだった。
あら、シズカくん、元気いっぱいなのね、とユキが言うと、シズカは複雑な笑みを見せた。
その笑顔は一種の磁力だった。
ユキはシズカにあぐらをかかせ、生尺奉仕してやったのだ。
精液の残滓に濡れた亀頭は湯気をたてているような熱気を発散していた。
ユキはシズカの前に這いつくばって、彼の旨棒の肉幹を握り、亀頭に鼻をすりつけた。
若いオスの匂いだ。
年上のおやじでは、こんな溌剌としたエネルギーは嗅ぎ取れない。
だが、それこそがユキの物足りなさの原因なのだ。
シズカのペニスには爛れた淫靡さがない……。
「お姉さんって、淫乱だね。男のチンポが好きなんだ」
「そうよ。女装してるのは何のためだと思う? 女になりたいとかじゃないのよ。男のチンポが欲しいからお化粧してスカートはいてるの、わかる?」
「わかるよ。女になりたかったらおっぱい造るとかするもんね」
「だからね、あたしはニューハーフとかじゃないのよ。ただのオカマ、男のチンポが大好きなオカマ、わかる?」
「フェラチオしてくれるんだよね」
「舐めさせてくれるの? 男にしゃぶってもらうのよ、いいの?」
「男って、思えないんだけどな……」
「シズカくんは、もう男とホモセックスしてしまったものね、ふふふ」
ユキの尻穴から、シズカの放出した精液が漏れ出してくる。
とろみを帯びた液汁が玉袋を濡らして伝い落ちてゆく感触がユキの淫焔を煽る。
こんな若い男の前で恥知らずな醜態を晒している。
肛門を犯してもらったペニスを、直後に、生尺している……。
男のペニスに舌をからめて舐める……。
男の汗や恥垢やアンモニアの臭いやらが混じり合って鼻腔に流れ込んでくる。
生臭い精液の味としょっぱいようなカウパー腺液の味……。
ユキは陶然となっていた。
男のペニスをフェラチオするのは大好きだ。
ひょっとしたら、肛門に挿入されているときよりも、フェラチオしているときのほうが嬉しいような気もする。
女のオマンコを舐めたいと思ったことは、一度もない。
哀しい性と自責するのではなくて、いつもポジティブ思考に徹してきた。
こんな変態の性向を持って生まれついてしまった以上、世間のマジョリティに合わせて無理にノーマルに変える必要はない。
変態であろうが何であろうが自分を偽らずに精一杯に楽しんで変態セックスを謳歌してやるのだ。
亀頭ねっとりねぶりから、唾液を泡立たせてのヌルヌルのマウスピストンをしてやると、シズカは「お姉さん、すっごい……」と、うっとりとなって喘ぎだした。
「あいつ、口の中で射精してしまいそうだったんよ」
「そういうのって、わかるの?」
「わかるわよ。まゆみだって、オナるとき、チンポ、シコシコするでしょ」
「わかるかなあ……」
「もうすぐドピュッ、って兆候、経験があればわかるのよ。まゆみはさ、十本ぐらいは経験してるでしょ?」
「そんなに多くないって、三本よ三本だけ。まだ3人の男しか知らないんだから」
まゆみはユキの前では正直だ。
特にセックスの話題となると、まゆみは教祖を盲信している信者のようになる。
あたしの話はいいから、とまゆみはユキの昨夜の体験の続きを促した。
射精する寸前の、絶頂の甘美の一歩手前で口腔と舌の淫撫を中断すると、シズカは泣きそうな表情になる。
不思議な表情だった。
「シズカくん、飲んであげようか?」
と、誘うような言い方でシズカの顔を眺めてみる。
こうやって男をいたぶるのは楽しいものだ。
「飲んでくれるの?」
「飲んであげるわよ。男のチンポジュース、大好きなの」
「飲むの、嫌がる女は多いけどね、そこが違いなのかな?」
「さっきも言ったでしょ。あたしは男狂いのスケベオカマなのよ。チンポから直接、吸い出してあげるわよ」
すぐにでも発射に導いて直飲できたが、ユキはそのあとも時間をかけて、たっぷりと若いオスの肉棒を舐めまわして味わったのだ。
「女のフェラテクと、あたしたちみたいなホモのフェラテクとはちがうの、わかるでしょ」
「うん、わかるわかる」
「女の淫乱と、ホモの淫乱とはちがうの、わかるでしょ」
「うん、そうよね。あたしもユキみたいな淫乱になりたい……」
「まゆみはしっかり淫乱でしょ。ただ実践していないだけ」
「男とやりまくりたいんだけど、ユキみたいな美人じゃないし……」
まゆみは体が大きすぎる。
身長の高さと肩幅の広さを補って余りある色香があればいいのだが……。
ユキは、女装者の色香は男のペニスで磨かれるものだ、と思っている。
だから、まゆみを気に入った男が現れて、まゆみがホモ愛欲に溺れてしまったら、きっとまゆみはお色気むんむんの女装美女になるだろう。
自分のことはいいから、とまゆみは話の続きを聞きたがる。
「口もあごも疲れてきたからさ、ひと休みしたくなってフィニッシュさせたんよ」
「口の中で?」
「ベロにこすりつけながらシコシコしてやったら、ドバッ!」
「二十歳のザーメンってどんな?」
「きれいね。何食べてるんだかわかんないような嫌な味のするザーメンとか、医者通いしててクスリの臭いのするザーメンとか、おやじ相手にしてるといろいろなんだけどね。あいつのは健康的だったな」
「飲んだ?」
「もちろん。おいしくいただきました。ふふふ」
…………………………………………………………………………………
舌をユキの乳の上で転がすシズカの嬉しげな表情が可愛い。
心の底からこのプレイを愉しんでいるようだ。
乳首合わせ。そこに二人の唾のカクテルが滴る。
男の可愛らしい乳首が互いを愛撫し合う様は、まるで乳首がキスしているみたいに見えて、なかなか刺激的だ。
そして乳首のつねり合い。これで一気に昂まる二人。
珍しくユキは「私のこと気持ちよくして…」と女の子みたいなことを口にした。
舐めるために突き出したベロが興奮しているように見えるほど、シズカはユキのおねだりが嬉しくてしょうがない。
乳首を舐め、噛み、吸いまくる。
ユキの足首を大事そうに掴むと、足指を口に含み、美脚を舐め下していく。
そのまま、ユキのけつまんこに吸いつく。
年甲斐もなく恥ずかしそうに感じまくるユキ。
思い入れたっぷりシズカの男クンニに、ユキがとうとうイカされてしまった。
考えようによっては、これもシズカにこの一風変わったレズビアンのスキルを与えるためのユキなりの作戦だったかもしれない。
その上で「私のけつまんこにラバーフィンガーを入れて」とフィストファッカーの役割を与えたってわけだ。
シズカには手術に使うような手首までビッチリ肌を密封するゴム手袋を付けさせている。
「それはちょっと怖い…」とビビるシズカのゴム手首を握り、自分のけつまんこにゴム指を挿入させる。
ゴム指1本でも、これから続くことを考えてたちまち感じ始める。
自分の指で感じまくるユキの姿が信じられない様子のシズカ。
しかし目の当たりにする現実を受け入れ、ユキの誘導でとうとう飴色のラバーフィンガーを奥まで押し込みきった。
不安と悦びが入り混じったシズカの表情が、なんとも可愛い。
“初めてのお使い顔”だ。
ユキの哀願で、激しくラバーフィンガーをピストンさせる。
ユキもラバーフィンガーを自分の男Gスポットに押し当てようと腰を動かし、どんどん昂まっていく。
「すごい締まってる」
シズカの言葉で、ユキのアナル参道の異変がイメージできて、脳ミソからペニクリまで電流が走りる。
ユキはとうとう絶頂へ。
それでも男膣を強く締めてシズカのラバーフィンガーを抜かせず、さらにフィスティングを命じる。
そしてイキまくりる。
ここまでくるとシズカもノリノリになっている。
「自分の手が気持ちいい!」とさらに奥まで突きまくりるのだ。
ユキはとうとうシズカの手首を掴んで自分のけつまんこを犯しまくって果ててしまった。
これこそ……自分で自分を犯す、自分ファックだ……。
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