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#03
五個荘旅情情炎男之娘恨み節
しおりを挟む待合室で次のお客様待ちの時間潰しをしてたら「アッキーラ、明日こんなのがあるんだけど、どう行ってみない?」って軽い感じで、顔を覗かせたNNさんが、A4の印刷物を手渡してくる。
NNさんは結構古い会員様だから、そうする事によって「買い取り」になる事が判っている筈で、ちょっと意外な感じがした。
一頃のアタシだと熱心なファンの会員さんが沢山いて「買い取り」数もそーとーだったけど。懐かしいなぁ、嘘好景気とアタシ自身の若さが相乗りしていた時代。
「渋いロケーションなんだよ。ただし正直言ってホテルとかは見劣りするんだけどね。」
「さては誰かさんに振られたんでしょ?」
NNさんは苦笑いして答えない。
噂によると最近NNさんは「ノーマルなお水の娘」に入れあげているらしいんだけど根っからのSM好きが障害になって上手くいかないとか。
アタシは代理だからって、へそを曲げるような歳でもないので、その紙に目を落とすと「街並み灯り路・五個荘」とあった。
五個荘は、側までは一度行った事のある滋賀県の観光地だ。
そこで、京都は"ねねの道"のライトアップショーみたいなのが行われるらしい。
「ええぇ・・NNさんにしたら凄くマイナーなロケーションですね。」
「実はこう見えても写真の趣味があってね。ここは結構穴場で目を付けていたんだ。女の子を口説くのに使えないのはわかってるんだけど、最近忙しくてね。下見と実益を兼ねて行ってみようかと、、」
「で、案の定断られた?」
「恥ずかしながら、、でも噂じゃアッキーラも写真やるんだろ?それじゃって感じでさ。」
やっとアタシにお鉢が回って来た理由が判った。
……………………………………………………
大きなお寺さんの構内に飾られた色鮮やかな抽象画がライトアップされて暮れなずんでいく商人町五個荘に不思議な異次元の窓を開けている。
さすがに三脚やら馬鹿でかい撮影機材が詰め込まれたバッグこそ携行してなかったけれど、NNさんの肩からはちょー高級一眼デジタルカメラがぶら下がっていた。
いかにも遊び人ってゆー感じのスーツと全然釣り合いがとれていない。
アタシの方も、お水ばりばりの服装だけど、バッグの中には小さなデジカメが入っているんだからNNさんの選択は正しかったのかも知れない。
有名な、鯉の泳ぐお堀際に三脚を立てて陣取っている沢山のアマチュアカメラマンを羨ましそうに横目で見ているNNさんがおかしくて可愛くて、思わず手を握りしめる。
「ホントにこんな場所に女の子連れてこようとしてたんですか?」
「あ。ああ。大失敗をする所だったね、、。二兎を追う者はの典型例だな、アッキーラで助かったよ。そうそう夕暮れまでにはまだ少し時間がある、面白いうどん屋があるんだ、案内するよ。」
残夏の夕暮れの下、金堂通り等の催しのメインロードでは、灯籠に灯りが灯され着々と準備が終わりつつあり、地元の人達や観光客の表情に期待でほんのりと上気した色が見える。
けれどNNさんが案内してくれたのはそんなメインの裏通り、五個荘という商人町が途切れて、滋賀という地方の田園風景が見え始める場所だった。
ただしそのうどんや屋さんが位置する四つ角には時代劇でしかお目にかかれないような一メートルほどの行燈灯籠が立っていて、強烈な郷愁を誘っている。
「村境ですね。」
「えっ?」
「落語の一つ目国とか知ってます?小さい頃聞いたんだけど、一つ目の人間ばかりが住む世界とこちら側の世界の境目に一面のすすき野の原があってそれが真っ赤な夕日に燃えて、みたいな。こことはちょっと違うけど、境目って感じしません?」
回りが日暮れで青ずんでいるのに赤のイメージが浮かんでくるのは道々に飾られた行灯のせいだ。NNさんはアタシの話を聞きながら何か物欲しげな表情だ。
早くうどんが食べたいのか、人気がない薄墨色の夕闇の中でニューハーフという欲望のシンボルにキスでもしてもらいたいのか、、、。
「それとか狐の嫁入りとか、ここもうちょっとしたら狸がとっくり持ってお酒買いに来そう。」
すっと身体をNNさんにもたせかけ、右手でズボンの股間を撫で上げ、NNさんがアタシを掴まえない内に身体を離す。
しばらく二人で、自分たちの住む水中に墨をたらし込まれた金魚みたいな気分になりながら、人気のない五個荘の町並みを、そこから眺めていたんだけれど、やがてNNさんが肩をすくめてアタシを促した。
それでやっと重要文化財になってそうなうどん屋さんに入った。
旧家然とした座敷に案内されて膝をつき合わせながら二人で手打ちうどんを啜る。
思わず「こうしてると歳の離れた夫婦みたい」とか言いそうになったけど止めた。
たぶんNNさんは今、ホテルに帰ってからのアタシとのプレイの段取りを一生懸命考えている筈だ。
(買い取りの時のプレ内容はお客様が主導権を握る場合が多い)そんな時の男の表情は直ぐに判る。
NNさんの肩越しに見える庭の灯籠に火が点った、、外はすっかり闇に覆われているのだろう。
町内を流れる堀は天保川という名前らしい。
中でも金堂町ではその堀の中にフラワーデザインが設置され水中ライトによる幻想的なライティングが施されている。
アートフラワーが水中からの光で自らの影を背後の白壁に落とす様は凍り付いた花の色彩と相まって、幽玄の境地へ引き込んでくれる。
確かにアマチュアカメラマンには絶好のロケーションだろう。
写真好きと言ったって、スマホじゃなくデジカメで気ままに旅行先の風景を撮っている程度なんだけど、ここに来たら機材を揃え腰を落ち着けてじっくり写真を撮りたくなる。
そしてこの催しは今夜だけ、忙しいNNさんが色欲と趣味を一度に手に入れようとしたのも頷ける。でもここは若い子は無理(笑)。
NNさんがお水の派手なオンナを連れた実業家振りをかなぐり捨てて写真を夢中で取り始めた頃に雨がぽつりぽつりと降り始めた。
天気予報では雨なんて一言もなかったから、にわか雨なんだろうけど、その勢いは本降りのそれで空の様子はかなり重い。
傘なんて二人とも用意していなかったから、急いで退散した。夢が弾ける時はいつもこんな感じ。
五個荘の夜祭りで雨に降られ、身体をぬらしたので急いでホテルに帰った。
9月の末だというのに毎日真夏日だし、車の中にはタオルも簡単な着替えもあったから濡れネズミという事はなかったけれど湿ったからだで気持ちがいいわけはない。
部屋に備え付けのバスルームを無視して大浴場に急行、アタシは温泉好きだから、このホテルの大浴場の露天が人工泉でも一般開放されていても気にならない。
いくらプライベートな空間が確保されていても部屋の中の狭苦しい湯船に魅力は感じない。
それにプレイの後は嫌でも部屋のバスをつかわなきゃいけないし(笑)。
NNさんは色々と準備があるからと運び込んだご自参のプレイ道具の詰まったスーツケースと睨めっこしながら「私は部屋ので済ますよ、はやく帰っておいで」とのこと。
スーツ一杯の自前のプレイ道具を持つ男、確かに普通のお水の子じゃいくらNNさんがお金を持っていても難しいだろう。
こゆー形での「買い取り」は出張デートと比べてこちらが色々とプレイ用具を準備しなくて済むのがいい。
まあその分、プレイの主導権が握れないので疲れる事も多いんだけど。
露天に浸かって夜空を見上げると、もう雨が止んでいて少しだけ星が見え始めている。
それにさすがに気温が下がっていて秋を感じさせる。
湯から上がって待合室で身体を休める。
ここの待合室の隣は簡単な食事所になっていて、何気なくそちらに顔を向けたらあるカップルに目が行った。
ロンゲ(「長髪」ではないロンゲとしか言いようがない髪型)の老人と、少年と青年の中間ぐらいの年頃の男の子が二人並んで食事をとっていた。
少年はかなり顔立ちがよくアーロンズロッド系(アッキーラ流造語)なんだけど、食べ方が無茶苦茶で、躾度0で育ってきた感じ。
老人の方は、年齢不詳って感じじゃなく、皺とか身体の痩せ具合とかどこからみても立派な「お年寄り」なんだけど、出で立ちは無茶苦茶若作り、骨の浮いた手首に巻いてあるミサンガが痛々しい。
でアタシがこのカップルに注目したのは、アタシの頭頂部にある「不倫アンテナ」が「父さん、この二人怪しいです」ってビビビと立ち上がったから。
少年は緩いTシャツの襟元から見える鎖骨が生々しいけど、お箸の持ち方が無茶苦茶、あーご飯は、プリンじゃないんだから、、、とかのリアルな視覚情報を入力しつつ、アタシの頭は、このお爺ちゃんを「元気」にさせる方法ってあるのかしらと高速回転するのであった。
二人の雰囲気を見てると、少年の方がお爺ちゃんにサービスするって感じじゃなく、お爺ちゃんの方が彼のペニスをフガフガとくわえたり、しこってあげて、それで満足するみたいな感じ。
そこまで考えたら、何か頭の中でチカチカ点滅する記憶があって、さっきまで入っていた温泉の効用なのか、ある光景が浮かんできた。
・・でもそれはアタシにとって余り好ましくないものだ。
女装もしないで男姿のまま、お爺ちゃんの萎びたペニスを一生懸命口でくわえたり撫でさすったりしてるアッキーラ、、。
かなり若い頃のこと。
その爺さんはアタシの白ブリを下げてチンポを直接触ってきた。
力の加減が絶妙でとにかく気持ちいい。こんな爺さん相手にって思っても、チンポは正直だ。
その肉体パーツは、勃起と先走りでよだれを垂らして喜びを隠さない。
爺さんは自分の唾液をアタシのチンポに塗って絶妙な力加減で亀頭を中心にチンポを磨き出した。
「アァァ・・・嫌、アァ・・・ン・・・」
あまりの気持ちの良さについ声が出てしまう。
余裕の表情で若いアタシのチンポを磨いていく。
先走りもどんどん出てグジョグジョとイヤラシイ音が出る。
アタシはこの責めを受けてあっけなく爺さんに落とされた。
足は自然と開き、情けないアヘ顔を晒す。
爺さんがキスをしてきた。
もう、拒否する力もなくなったアタシはされるがまま、舌を入れられ唾を飲まされる。
そしてその間も絶妙な力加減でチンポを磨かれる。
自然と腰が動いてしまう。
「フフフ・・・気持ちいいか、腰動いてるぞ」
「は、はい・・・き、気持ちいい・・・溶けそう・・・」
「ほらほら、あまり腰動かすな、まだイカさないぞ、どーどー」
腰を抑えられ動きを制限される。調教されてる感じがさらに興奮させられた。
観客席の端の席に座っていたので、通路に立ってる別のおじさんからも触られたりする。
アタシがダラしなく開けてしまった半開きの口に、指を入れられたり胸舐められたり・・・
しばらくその責めが続いた後、爺さんがついにアタシのチンポをしゃぶりだした。
「あ、アァァァーーー・・・イク、イッちゃう・・・」
爺さんは「いいぞ、イケ」と言うと、そのままフェラチオを続ける。
アタシはあっけなく爺さんの口に射精した。
その時、明らかにアタシは天国に昇った心地だった。
………その前後の事情まで思い出したくなかったので、アタシは頭の中のチャンネルを無理矢理に変えた。
普通の人なら目先の光景を変えたり、タオルを弄ってみたりするだけでこんな白昼夢もどきの妄想からは直ぐに逃れられるのだろうけれど、アタシにはそれが出来ない。
思いの中に入り込んでしまう性格は、小説なんかを書くときは凄く便利だけど、こーゆー時は、ほんと自分でも危ないと思う。
自分がニューハーフで、思い切り能動的な変態だってことを思い出さなきゃ、過去のネガティブな思いは打ち消せない。
『んーと、最近だとバイセクシャルなM男君二人にご奉仕させたのが一番気持ち良かったかな。』
実際にはアタシ自身、その二人に甘えていたし、可愛がって貰っていたから「奉仕」させた事にはなっていなくて、今思えばなんとなく、もう振られた剛力彩芽状態だったような(笑)。
まあ基本は一人のM男君がアッキーラのペニクリをフェラしてもう一人は乳首を舌で転がしたり首筋を舐めたりって感じで、位置関係的には健康マッサージチェアの背もたれがM男君の胸板で足置き場がもう一人みたいな感じ。
甘えるって言っても、背中側のM男君を上目遣いで見上げて、彼のぺったんこの乳首を舐めながら、次の愛撫を促しているわけで、これはまあ計算。
アタシのお尻を抱きかかえて穴を舐めて来たら「あ~~ん、気持ちいい~!もっと舐めてぇ!」とか、甘い声を出してオーバーめに身体をビクビクさせる。
穴を舐められるたびに上のM男君のベロを激しく吸い上げちゃたり「あ~~ん、入れて!○○のチンボが欲しいわ!ね~~ん、チンボ入れてぇ!」もうこの頃にはアタシのお尻の穴も充血して、準備オーケー。
……そうなんだよなー、これが本来のアッキーラ、、お爺ちゃんのペニスで嬲られ放しの思い出なんて飛んでいっちゃぇ~。
「よし、さあ行くか。お仕事、お仕事」
小さく独り言を呟いて立ち上がるアタシ、、五個荘の夜祭りも、もうそろそろ店じまいの頃だろう。
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