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第6章 強い女 ダラガン、我が故郷
第36話 プランBの実行
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「あの戦車の人達、逃げてくれてよかったね、りゅうり!」
花紅がゴライアスのルーフトップで弓を構える柳緑の側に突如現れた。
「リプリー姉御が此処から脱出する答えを見つけたから、今すぐ戻ってこいってさ。」
「アマゾネスの見つけた答えなんか聞きたくもないが…しょうがないな、、。」
・・・
運手席に戻ってきた柳緑に、リプリーが言った。
「ここでミサイルを一本使うけど構わない?君の計画に支障が出るなら、第2案で行くけど?」
「どっちみち第2案なんてないんだろ?でもこんな狭い場所でミサイルなんて使えるのか?」
柳緑は、ふて腐れたように言った。
柳緑はリプリーが提案した敵戦車隊への対応策が気にくわないのだ。
「普通の輸送起立式発射機とミサイルなら無理ね。でもこのゴライアス・ジャベリンは特別製なの。私がチームリーダーとして開発に関わったのよ、コイツの事はみんな判ってる。ゴライアス・ジャベリンの別名は都市型デストロイヤー。ミサイルをね…着弾じゃなく、予め決めた射程距離で爆発させる事も可能なの。…そういう特殊な戦闘形態が必要な紛争地帯があったのよ。今はその紛争地帯もコラプスで、どこかへ消えちゃったけど…。」
リプリーが珍しく複雑な表情を顔に浮かべた。
「…そのゴライアスの機能を、私が実戦で使うなんて思ってもみなかたわ。計算によると、この極端に短い距離でもギリギリ使えそう。」
リプリーはこの軍城からの脱出に、ゴライアスに搭載されたミサイルを使おうというのだ。
その機能は、あの出入り口を塞ぐ時にも使えそうだった。
リプリーとアレグザンダーは、その事を事前に決めていたのかも知れない。
「、、、やってくれ。覚悟はした。自分で、この戦争おっぱじめておいて巻き込まれる奴の事心配してるなんて、、都合が良すぎる、、俺は自分を見失ってた。奴らは兵士だ。既に奴らもこの都市の人々を大勢殺してる。」
柳緑が表情を硬くした。
「そういう事。甘いこと言ってると自分が殺されるだけだよ。じゃ、行くよ。」
リプリーは、スタジアム内部で、大門の反対側へとゴライアスを移動させ始めた。
残った戦車の砲台が、そんなゴライアスを追跡して回転を始めたが、何をどうしていいのか判らないらしい。
リプリーはゴライアスをスタジアム端のギリギリまで寄せると、ゴライアスの砲台を展開させた。
ゴライアスは9本のミサイルを束にして砲台に抱えているが、それが花のように開く。
その内の一本の先端がスタジアムの大門に向かっている。
「地対地誘導ミサイルを使って、こんな零距離射撃みたいなのをやるのは私が初めてでしょうね。覚悟して。ゴライアスの車体は特別製だけど、いくらなんでも、こんな攻撃は想定外なの。衝撃がものすごい。でも爆風が収まったら正門に突進するわよ。きっと飛び跳ねながら瓦礫の山を乗り越える事になる。」
「リプリー、やっぱり無茶だよ!」
今まで黙っていたアレグザンダーが悲鳴じみた声を上げた。
「そんな無茶をやる計画に誘ったのはあなたでしょ?しかも私が断らない事まで知ってた。あなたも覚悟を決めなさい。見苦しいわよ。・・・・ファイヤー!」
リプリーがそういった途端に、目の前に強烈な閃光が走って、やがて猛烈な爆風がありゴライアスの車体がフワリと浮いた。
「くそ女!」
柳緑の口から飛び出たそれは、賞賛とも罵倒ともとれる響きのある言葉だった。
「今言ったの誰?憶えておきなさい。後で後悔させてやるわよ。」
「俺だよ、柳緑だ。くそ女。」
「あらら、今度の計画の、主役の、柳緑君なのね。覚えとくわ、じゃ行くわよ!」
リプリーが笑いながら、ゴライアスのアクセルを踏んだ。
ゴライアスから見て少し遠くにあった筈の大門は、その上部の構造物と共に跡形もなく吹き飛んでいた。
しばらくゴライアスは、まだ収まらぬ粉塵の中を悠々と直進していたが、やがてスタジアムの内壁から重機関砲クラスの銃弾が雨あられと降り注いで来た。
ゴライアスの外装がガンガンと音を立て続けている。
「どうやら向こうも本気になったみたいね。こっちの暴発も覚悟の上みたい。」
「これだけ攻撃を受けてもミサイルは暴発しないのか?」
「天下のERAシステムズ製よ。ある程度まではね、、、でも限界はあるわ。ミサイルだけじゃなくゴライアスの装甲もね。その限界までに逃げ切らないと、、時間との競争ね。」
リプリーは何処までも腹が座っていた。
こうしている間にもゴライアスの外装甲からは激しい爆裂音が聞こえ続けている。
火力の程度が上がっているようだった。
「かこう !俺はもう一度外に出る。俺だけでいい、俺の回りに分厚くバリヤーを張れ。それで俺は残った火矢を撃ちまくる。スタジアム全体を炎上させるんだ。ナパームじゃないんだ。それで焼け死ぬ間抜けはいないだろ。」
「了解!」
花紅の言葉と共に柳緑は再びゴライアスのルーフトップの上に立った。
柳緑の火矢が次々とスタジアムの内壁に吸い込まれていく。
その後から次から次へと、大きな火の手があがった。
ゴライアス後方の少し遠くで、生き残った戦車と同型の重量級が数台増援されこちらに向かってくるのが見えた。
こんな状況でもまだ主砲を撃つのを躊躇っているようだった。
それはそうだった。
戦車の主砲の威力ならミサイルの誘爆に巻き込まれるのが目に見えていたからだ。
しかしゴライアスが軍城を遠く離れたら、彼らがそれを躊躇うかどうかは、疑問だった。
やがてプロテクを着込んだ柳緑でさえ、両手両膝をルーフトップに付かざると得ない突き上げが下からあった。
ゴライアスが壊れた瓦礫に埋もれた大門跡を通過しつつあるのだ。
そして間もなくゴライアスは大門跡を通過し大通りを直進し始めた。
柳緑と花紅はそれを見届けて運転席に戻った。
そのまま真っ直ぐ行けば、港の埠頭に出てあの幅2メートルの透明な出入り口に辿り付ける。
だがゴライアスの追っ手は、どんどん増えてきている。
フィールド内で対峙した超大型戦車にジープ、装甲車などなど。
「どうやら奴ら、総出みたいだな。」
「この機に乗じて囚われたみんなが逃げ出してくれればいいんだけど。」
リプリーが思わぬ声音でポツンと言った。
「あんた、まさかその為にやったのか?」
柳緑が言った。
「そんな訳ないでしょ。私はアマゾネス。根っからの戦争大好き女なの。だからERAなんかに勤めてたんじゃないの。私の本性、もう一度見せてあげるわ。」
そういうとリプリーは片手で操作盤を操作した。
ゴライアスに軽い振動が走った。
「えーーーっ。ゴライアスのミサイルが全部後ろ向いて、追っ手の連中を狙ってるよ!」
窓から首を突き出して外を見ていた花紅が驚いたように言った。
確かに後方から飛んでくる銃弾の類がピタリと止んだ。
柳緑が考えた作戦Bどころではなかった。
「それでも、奴ら着いて来てるぞ!」
「こうなるとチキンレースね。でも私達のゴールは別にある。」
「まさかリプリー、君はミサイルを発射したりしないよな!今度の対象は建物じゃないぞ!」
すっかり無口になったアレグザンダーが口を開いた。
「発射ボタンを押したら一気にケリはつくわね。2発も撃ったら私の圧勝。そして反乱軍の奴らは大打撃をくう。そうなったら、奴隷にされてたERAの元職員だけでも、武器さえ手に入れられれば奴らに対抗できるわ、」
「その代わり、君は人殺しになる。これは正当防衛じゃない。しかも大量殺人だ。それ判ってるのか?」
アレグザンダーが苦しげに言った。
「そうだよ。第一、もうミサイルは減らさないで。僕らの分がなくなちゃう。リプリーさんも、僕らと一緒に向こうの世界に行こう?向こうには、リプリーさんが気に入りそうなマッチョマンが山ほどいるんだよ。」
花紅がアレグザンダーに加勢する。
「坊や、約束は守るわよ。君たちは、ちゃんと向こうの世界とやらに送りとどけてあげる。それに私の計算じゃ、奴らに止めを刺すのはミサイル一発で充分。あの超大型戦車を狙うのよ。攻撃を喰らって誘爆をおこすのは、こっちだけじゃないのよ。残り7発、貴方たちの計画実行には充分でしょ?」
「ちょっと花紅君、そこをのいてくれ!気分が悪くなってきた、吐きそうだ!」
アレグザンダーが窓にへばり付いている花紅に言った。
「えー、こんなとこで吐いちゃ駄目だよ。ほら、風にあたって。」
花紅はホロ故に簡単にアレグザンダーとの位置を変える事が出来た。
アレグザンダーはドアに身体を押しつけるようにして、自分の首を外に突き出している。
リプリーは、押し黙ったまま前を向いたままだ。
リプリーは何時までも決断を先延ばしにしたりしない。
ここぞというタイミングを逃すまえに、決断を下す筈だ、柳緑はそう思った。
なら俺はその時どうする?と柳緑は考えた。
答えは意外と簡単に出た。
もちろんリプリーを止める。
彼女に余計な殺しをさせる必要はない。
奴隷村の人間達が決起するかどうかは、リプリーの問題ではない、彼ら自身の問題だ。
柳緑はやはり自分の考えていた、幻のプランBを実行するつもりでいた。
花紅がゴライアスのルーフトップで弓を構える柳緑の側に突如現れた。
「リプリー姉御が此処から脱出する答えを見つけたから、今すぐ戻ってこいってさ。」
「アマゾネスの見つけた答えなんか聞きたくもないが…しょうがないな、、。」
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運手席に戻ってきた柳緑に、リプリーが言った。
「ここでミサイルを一本使うけど構わない?君の計画に支障が出るなら、第2案で行くけど?」
「どっちみち第2案なんてないんだろ?でもこんな狭い場所でミサイルなんて使えるのか?」
柳緑は、ふて腐れたように言った。
柳緑はリプリーが提案した敵戦車隊への対応策が気にくわないのだ。
「普通の輸送起立式発射機とミサイルなら無理ね。でもこのゴライアス・ジャベリンは特別製なの。私がチームリーダーとして開発に関わったのよ、コイツの事はみんな判ってる。ゴライアス・ジャベリンの別名は都市型デストロイヤー。ミサイルをね…着弾じゃなく、予め決めた射程距離で爆発させる事も可能なの。…そういう特殊な戦闘形態が必要な紛争地帯があったのよ。今はその紛争地帯もコラプスで、どこかへ消えちゃったけど…。」
リプリーが珍しく複雑な表情を顔に浮かべた。
「…そのゴライアスの機能を、私が実戦で使うなんて思ってもみなかたわ。計算によると、この極端に短い距離でもギリギリ使えそう。」
リプリーはこの軍城からの脱出に、ゴライアスに搭載されたミサイルを使おうというのだ。
その機能は、あの出入り口を塞ぐ時にも使えそうだった。
リプリーとアレグザンダーは、その事を事前に決めていたのかも知れない。
「、、、やってくれ。覚悟はした。自分で、この戦争おっぱじめておいて巻き込まれる奴の事心配してるなんて、、都合が良すぎる、、俺は自分を見失ってた。奴らは兵士だ。既に奴らもこの都市の人々を大勢殺してる。」
柳緑が表情を硬くした。
「そういう事。甘いこと言ってると自分が殺されるだけだよ。じゃ、行くよ。」
リプリーは、スタジアム内部で、大門の反対側へとゴライアスを移動させ始めた。
残った戦車の砲台が、そんなゴライアスを追跡して回転を始めたが、何をどうしていいのか判らないらしい。
リプリーはゴライアスをスタジアム端のギリギリまで寄せると、ゴライアスの砲台を展開させた。
ゴライアスは9本のミサイルを束にして砲台に抱えているが、それが花のように開く。
その内の一本の先端がスタジアムの大門に向かっている。
「地対地誘導ミサイルを使って、こんな零距離射撃みたいなのをやるのは私が初めてでしょうね。覚悟して。ゴライアスの車体は特別製だけど、いくらなんでも、こんな攻撃は想定外なの。衝撃がものすごい。でも爆風が収まったら正門に突進するわよ。きっと飛び跳ねながら瓦礫の山を乗り越える事になる。」
「リプリー、やっぱり無茶だよ!」
今まで黙っていたアレグザンダーが悲鳴じみた声を上げた。
「そんな無茶をやる計画に誘ったのはあなたでしょ?しかも私が断らない事まで知ってた。あなたも覚悟を決めなさい。見苦しいわよ。・・・・ファイヤー!」
リプリーがそういった途端に、目の前に強烈な閃光が走って、やがて猛烈な爆風がありゴライアスの車体がフワリと浮いた。
「くそ女!」
柳緑の口から飛び出たそれは、賞賛とも罵倒ともとれる響きのある言葉だった。
「今言ったの誰?憶えておきなさい。後で後悔させてやるわよ。」
「俺だよ、柳緑だ。くそ女。」
「あらら、今度の計画の、主役の、柳緑君なのね。覚えとくわ、じゃ行くわよ!」
リプリーが笑いながら、ゴライアスのアクセルを踏んだ。
ゴライアスから見て少し遠くにあった筈の大門は、その上部の構造物と共に跡形もなく吹き飛んでいた。
しばらくゴライアスは、まだ収まらぬ粉塵の中を悠々と直進していたが、やがてスタジアムの内壁から重機関砲クラスの銃弾が雨あられと降り注いで来た。
ゴライアスの外装がガンガンと音を立て続けている。
「どうやら向こうも本気になったみたいね。こっちの暴発も覚悟の上みたい。」
「これだけ攻撃を受けてもミサイルは暴発しないのか?」
「天下のERAシステムズ製よ。ある程度まではね、、、でも限界はあるわ。ミサイルだけじゃなくゴライアスの装甲もね。その限界までに逃げ切らないと、、時間との競争ね。」
リプリーは何処までも腹が座っていた。
こうしている間にもゴライアスの外装甲からは激しい爆裂音が聞こえ続けている。
火力の程度が上がっているようだった。
「かこう !俺はもう一度外に出る。俺だけでいい、俺の回りに分厚くバリヤーを張れ。それで俺は残った火矢を撃ちまくる。スタジアム全体を炎上させるんだ。ナパームじゃないんだ。それで焼け死ぬ間抜けはいないだろ。」
「了解!」
花紅の言葉と共に柳緑は再びゴライアスのルーフトップの上に立った。
柳緑の火矢が次々とスタジアムの内壁に吸い込まれていく。
その後から次から次へと、大きな火の手があがった。
ゴライアス後方の少し遠くで、生き残った戦車と同型の重量級が数台増援されこちらに向かってくるのが見えた。
こんな状況でもまだ主砲を撃つのを躊躇っているようだった。
それはそうだった。
戦車の主砲の威力ならミサイルの誘爆に巻き込まれるのが目に見えていたからだ。
しかしゴライアスが軍城を遠く離れたら、彼らがそれを躊躇うかどうかは、疑問だった。
やがてプロテクを着込んだ柳緑でさえ、両手両膝をルーフトップに付かざると得ない突き上げが下からあった。
ゴライアスが壊れた瓦礫に埋もれた大門跡を通過しつつあるのだ。
そして間もなくゴライアスは大門跡を通過し大通りを直進し始めた。
柳緑と花紅はそれを見届けて運転席に戻った。
そのまま真っ直ぐ行けば、港の埠頭に出てあの幅2メートルの透明な出入り口に辿り付ける。
だがゴライアスの追っ手は、どんどん増えてきている。
フィールド内で対峙した超大型戦車にジープ、装甲車などなど。
「どうやら奴ら、総出みたいだな。」
「この機に乗じて囚われたみんなが逃げ出してくれればいいんだけど。」
リプリーが思わぬ声音でポツンと言った。
「あんた、まさかその為にやったのか?」
柳緑が言った。
「そんな訳ないでしょ。私はアマゾネス。根っからの戦争大好き女なの。だからERAなんかに勤めてたんじゃないの。私の本性、もう一度見せてあげるわ。」
そういうとリプリーは片手で操作盤を操作した。
ゴライアスに軽い振動が走った。
「えーーーっ。ゴライアスのミサイルが全部後ろ向いて、追っ手の連中を狙ってるよ!」
窓から首を突き出して外を見ていた花紅が驚いたように言った。
確かに後方から飛んでくる銃弾の類がピタリと止んだ。
柳緑が考えた作戦Bどころではなかった。
「それでも、奴ら着いて来てるぞ!」
「こうなるとチキンレースね。でも私達のゴールは別にある。」
「まさかリプリー、君はミサイルを発射したりしないよな!今度の対象は建物じゃないぞ!」
すっかり無口になったアレグザンダーが口を開いた。
「発射ボタンを押したら一気にケリはつくわね。2発も撃ったら私の圧勝。そして反乱軍の奴らは大打撃をくう。そうなったら、奴隷にされてたERAの元職員だけでも、武器さえ手に入れられれば奴らに対抗できるわ、」
「その代わり、君は人殺しになる。これは正当防衛じゃない。しかも大量殺人だ。それ判ってるのか?」
アレグザンダーが苦しげに言った。
「そうだよ。第一、もうミサイルは減らさないで。僕らの分がなくなちゃう。リプリーさんも、僕らと一緒に向こうの世界に行こう?向こうには、リプリーさんが気に入りそうなマッチョマンが山ほどいるんだよ。」
花紅がアレグザンダーに加勢する。
「坊や、約束は守るわよ。君たちは、ちゃんと向こうの世界とやらに送りとどけてあげる。それに私の計算じゃ、奴らに止めを刺すのはミサイル一発で充分。あの超大型戦車を狙うのよ。攻撃を喰らって誘爆をおこすのは、こっちだけじゃないのよ。残り7発、貴方たちの計画実行には充分でしょ?」
「ちょっと花紅君、そこをのいてくれ!気分が悪くなってきた、吐きそうだ!」
アレグザンダーが窓にへばり付いている花紅に言った。
「えー、こんなとこで吐いちゃ駄目だよ。ほら、風にあたって。」
花紅はホロ故に簡単にアレグザンダーとの位置を変える事が出来た。
アレグザンダーはドアに身体を押しつけるようにして、自分の首を外に突き出している。
リプリーは、押し黙ったまま前を向いたままだ。
リプリーは何時までも決断を先延ばしにしたりしない。
ここぞというタイミングを逃すまえに、決断を下す筈だ、柳緑はそう思った。
なら俺はその時どうする?と柳緑は考えた。
答えは意外と簡単に出た。
もちろんリプリーを止める。
彼女に余計な殺しをさせる必要はない。
奴隷村の人間達が決起するかどうかは、リプリーの問題ではない、彼ら自身の問題だ。
柳緑はやはり自分の考えていた、幻のプランBを実行するつもりでいた。
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