77 / 81
77、最終魔導兵器オメガ
しおりを挟む
最後の戦闘の始まりだった。
攻撃を避けたあとに先制攻撃を仕掛けたのはマルカで、攻撃を回避してすぐにオメガに向け大分魔力が込もった魔導砲をぶっ放していた。
その魔導砲がオメガに当たる直前でその魔法に加工を加えたのがマルカらしいところだった。魔導砲がオメガに当たる直前で数え切れないほどの光の粒子に変わったかと思うと、それがオメガの周囲で霧散した。
そのあともう一度マルカが魔導砲を撃ち放つのだけど、それがオメガに当たった瞬間光の粒子と反応して、凄まじい爆発を引き起こした。
爆発の反動で私達の体も風を受けて転がる埃のように後ろに後退した。そこで3人で、
「どうだ」
とオメガを見てみると、あれだけの攻撃を受けたというのにビクともせず、攻撃を放ったマルカに向けてキャノンみたいな物を発射して来ただけだった。
それを瞬間移動でマルカが避けると当然キャノンが要塞の壁にぶち当たったのだけど、壊れるのかと思いきや打ち消されたようにパッと消えた。
それを見て、どうやらオメガだけではなく、周囲の壁にも魔法を無力化させるプロテクトが施されているようだと私だけではなくマルカとチーノも思ったはずだった。ということはこれ以後の闘いには私とチーノの火力がものを言うということで、本当はあまりの高熱に意識が朦朧とし始めていたのだけど、ここは何とか踏み留まって攻撃の片翼を担わなければならないと思った。
とそんなことを思っていると、オメガの上の方の装甲がパカッと開いて、そこから2体の機械竜が飛び出して来た。
ラムダのことがあったから機械竜には苦手意識があったのだけど、よく見てみると小柄で、体が小さい分攻撃力も低そうだったから、機械竜は機械竜でもラムダとは別物と捉えてよさそうだった。
その機械竜が出て来たのを見たマルカが、
「あれは私がやるわ」
と言ってその2体の元へと向かって行った。
これで私とチーノがオメガと当たる構図が出来上がったわけだけど、途中で倒れてチーノに迷惑をかけないかとそれが心配だった。それだけ今の私はグロッキーで、少し気を抜いただけでそのまま意識を失ってしまいそうだった。
目を虚ろにして肩で息をしているとチーノが、
「お前大丈夫か?」
と声をかけてきた。まさかここで、
「ダメ」
と言うわけにもいかなかったから、
「大丈夫」
とだけ言って、バーストを食らわせるためにオメガと距離を詰めることにした。こうやって体を動かしている方が意識がそっちに逸れるから楽だったけど、やはりどうしても一体どれだけ自分の体が持つのかという疑問があった。
私に向け発射されたガトリング弾を避けてオメガに近付きバーストをお見舞いすると手応えはあったけど、ミシッと体のどこかが鳴ったような気がした。
お腹の底から込み上げて来る声を必死に堪えて、両手を光らせ2発目の攻撃を食らわせようとしたところで、電撃の塊のような玉が私に向け発射されたから攻撃を中止してそれを避けた。
攻撃のチャンスを窺うためにオメガの周囲を旋回しているところで気付いたのだけど、どうやら追尾式の攻撃のようでちょっと面倒くさいなと思った。
バーストを食らわせて消すのだけど、そうこうしている間に遂さっき2体の機械竜を出した所が開き、そこから大量にザコ敵のアークが出て来た。マジかクソと思っていると、私の斜め後ろの方から火の塊が飛んで来て、それがザコ敵のアークを一掃した。
見てみるとチーノがいて、
「私がやるから無理しなくていいぞっ、お前今にも死にそうな顔してるっ」
とそんなことを言ってきた。
「そんなことないっ」
と返して右手を光らせると、ガコンという音がしてオメガの体の一部が横に回転した。何だろうと見ていると今まで装甲で守られていた紫色に光る何かが部分的に顔を出して、それが外側に大量の蒸気というか熱波みたいなものを吐き出してきた。ブワッとその場の空気が一気に暑くなる。
私達に向けての攻撃だと思っていたのに違うみたいだったからそれを見て拍子抜けした顔をしていると、チーノはハッとした顔をして、
「まさか」
とそう言い、
「あそこに攻撃うてるか?」
と私にそう聞いてきた。言われてすぐバーストをそこに撃ち込んでみると、バーストが当たった瞬間オメガの内部で爆発音みたいなものが起こり、そのあとにオメガが狂ったようにその場でジタバタもがき始めた。それを見て、
「あれ、もしかして弱点?」
と言うと、チーノは頷いて、
「多分そうだ。あいつアーク製造機なんだろ? アーク作る時に熱が出るから、ああやって定期的に熱を外に吐き出す必要があるんだ。その時が攻撃チャンスってことだ」
とそう返した。
2発目を撃とうとしたところでまたガコンという音がして、その紫色の熱を出す部分が隠れていった。
「ああ、逃した」
と私が言ったところで、先程の攻撃の報復なのかオメガが口を開け、波動砲レベルの砲撃を私達にぶっ放して来た。
2人で散り散りになって避けるのだけど、普通の波動砲と思っていたら避けた瞬間砲撃が四方八方に霧散して、最悪なことにその一つが私の体に直撃した。
当たったのがよりにもよって腐り始めた左脇腹だったから、壁に激突したあとあまりの痛さに動けなくなった。床にうずくまる。
敵前だったからこんなことしていたら殺されるのは分かっていたけど、意識とは裏腹に体が言うことを聞かなくて、私は涙を流しながらその場にうずくまることしか出来なかった。
本当は叫び声を上げたかったけど、私にもプライドがあったからそれは何とか堪えた。ただあの攻撃が、私の精神を唯一支えていた一本の細い糸をぶった切ったというのは事実だった。
あとはもう何があっても、私は絶対に戦闘に参加できないだろうと思った。それだけ痛くてもうどうしようもなかった。
その私に向けオメガが先程のような砲撃を撃ち込んで来る。音で大技が来たというのは分かったのだけど、もう動けなかった。
「ああ、死んだな」
と思った瞬間、何かが私を包み込む気配がして、そのあとに砲撃を防ぐ鈍い音が響いた。そのあと、
「ツバキッ」
というマルカの声が聞こえたから、マルカがシールドを張って私を助けてくれたというのは分かったのだけど、もうその言葉に反応するだけのエネルギーが私には残されていなかった。
それからすぐチーノが来て、私を見てこう言った。
「死にかけてる、もう時間がない」
本人を前にして死にかけてるとか言うなとそんなことを思う気力もなく、私はもう魂の抜かれたようにそこにグッタリと横になることしか出来なかった。
「どのくらいで勝負を決められる?」
「分からない、でも即行は無理よ」
という会話を交わしているうちにオメガの攻撃が激しくなった。それもそのはずで、一カ所に敵である私達がいるのだから、そこを集中攻撃されるのは当たり前の話だった。
どんどん攻撃が激しくなって、そのうちシールドの中から外に出られなくなった。あとは私の死を待つだけだったけど、どんよりとした意識の中何とかして2人だけは助け出せないかと思った。
攻撃を避けたあとに先制攻撃を仕掛けたのはマルカで、攻撃を回避してすぐにオメガに向け大分魔力が込もった魔導砲をぶっ放していた。
その魔導砲がオメガに当たる直前でその魔法に加工を加えたのがマルカらしいところだった。魔導砲がオメガに当たる直前で数え切れないほどの光の粒子に変わったかと思うと、それがオメガの周囲で霧散した。
そのあともう一度マルカが魔導砲を撃ち放つのだけど、それがオメガに当たった瞬間光の粒子と反応して、凄まじい爆発を引き起こした。
爆発の反動で私達の体も風を受けて転がる埃のように後ろに後退した。そこで3人で、
「どうだ」
とオメガを見てみると、あれだけの攻撃を受けたというのにビクともせず、攻撃を放ったマルカに向けてキャノンみたいな物を発射して来ただけだった。
それを瞬間移動でマルカが避けると当然キャノンが要塞の壁にぶち当たったのだけど、壊れるのかと思いきや打ち消されたようにパッと消えた。
それを見て、どうやらオメガだけではなく、周囲の壁にも魔法を無力化させるプロテクトが施されているようだと私だけではなくマルカとチーノも思ったはずだった。ということはこれ以後の闘いには私とチーノの火力がものを言うということで、本当はあまりの高熱に意識が朦朧とし始めていたのだけど、ここは何とか踏み留まって攻撃の片翼を担わなければならないと思った。
とそんなことを思っていると、オメガの上の方の装甲がパカッと開いて、そこから2体の機械竜が飛び出して来た。
ラムダのことがあったから機械竜には苦手意識があったのだけど、よく見てみると小柄で、体が小さい分攻撃力も低そうだったから、機械竜は機械竜でもラムダとは別物と捉えてよさそうだった。
その機械竜が出て来たのを見たマルカが、
「あれは私がやるわ」
と言ってその2体の元へと向かって行った。
これで私とチーノがオメガと当たる構図が出来上がったわけだけど、途中で倒れてチーノに迷惑をかけないかとそれが心配だった。それだけ今の私はグロッキーで、少し気を抜いただけでそのまま意識を失ってしまいそうだった。
目を虚ろにして肩で息をしているとチーノが、
「お前大丈夫か?」
と声をかけてきた。まさかここで、
「ダメ」
と言うわけにもいかなかったから、
「大丈夫」
とだけ言って、バーストを食らわせるためにオメガと距離を詰めることにした。こうやって体を動かしている方が意識がそっちに逸れるから楽だったけど、やはりどうしても一体どれだけ自分の体が持つのかという疑問があった。
私に向け発射されたガトリング弾を避けてオメガに近付きバーストをお見舞いすると手応えはあったけど、ミシッと体のどこかが鳴ったような気がした。
お腹の底から込み上げて来る声を必死に堪えて、両手を光らせ2発目の攻撃を食らわせようとしたところで、電撃の塊のような玉が私に向け発射されたから攻撃を中止してそれを避けた。
攻撃のチャンスを窺うためにオメガの周囲を旋回しているところで気付いたのだけど、どうやら追尾式の攻撃のようでちょっと面倒くさいなと思った。
バーストを食らわせて消すのだけど、そうこうしている間に遂さっき2体の機械竜を出した所が開き、そこから大量にザコ敵のアークが出て来た。マジかクソと思っていると、私の斜め後ろの方から火の塊が飛んで来て、それがザコ敵のアークを一掃した。
見てみるとチーノがいて、
「私がやるから無理しなくていいぞっ、お前今にも死にそうな顔してるっ」
とそんなことを言ってきた。
「そんなことないっ」
と返して右手を光らせると、ガコンという音がしてオメガの体の一部が横に回転した。何だろうと見ていると今まで装甲で守られていた紫色に光る何かが部分的に顔を出して、それが外側に大量の蒸気というか熱波みたいなものを吐き出してきた。ブワッとその場の空気が一気に暑くなる。
私達に向けての攻撃だと思っていたのに違うみたいだったからそれを見て拍子抜けした顔をしていると、チーノはハッとした顔をして、
「まさか」
とそう言い、
「あそこに攻撃うてるか?」
と私にそう聞いてきた。言われてすぐバーストをそこに撃ち込んでみると、バーストが当たった瞬間オメガの内部で爆発音みたいなものが起こり、そのあとにオメガが狂ったようにその場でジタバタもがき始めた。それを見て、
「あれ、もしかして弱点?」
と言うと、チーノは頷いて、
「多分そうだ。あいつアーク製造機なんだろ? アーク作る時に熱が出るから、ああやって定期的に熱を外に吐き出す必要があるんだ。その時が攻撃チャンスってことだ」
とそう返した。
2発目を撃とうとしたところでまたガコンという音がして、その紫色の熱を出す部分が隠れていった。
「ああ、逃した」
と私が言ったところで、先程の攻撃の報復なのかオメガが口を開け、波動砲レベルの砲撃を私達にぶっ放して来た。
2人で散り散りになって避けるのだけど、普通の波動砲と思っていたら避けた瞬間砲撃が四方八方に霧散して、最悪なことにその一つが私の体に直撃した。
当たったのがよりにもよって腐り始めた左脇腹だったから、壁に激突したあとあまりの痛さに動けなくなった。床にうずくまる。
敵前だったからこんなことしていたら殺されるのは分かっていたけど、意識とは裏腹に体が言うことを聞かなくて、私は涙を流しながらその場にうずくまることしか出来なかった。
本当は叫び声を上げたかったけど、私にもプライドがあったからそれは何とか堪えた。ただあの攻撃が、私の精神を唯一支えていた一本の細い糸をぶった切ったというのは事実だった。
あとはもう何があっても、私は絶対に戦闘に参加できないだろうと思った。それだけ痛くてもうどうしようもなかった。
その私に向けオメガが先程のような砲撃を撃ち込んで来る。音で大技が来たというのは分かったのだけど、もう動けなかった。
「ああ、死んだな」
と思った瞬間、何かが私を包み込む気配がして、そのあとに砲撃を防ぐ鈍い音が響いた。そのあと、
「ツバキッ」
というマルカの声が聞こえたから、マルカがシールドを張って私を助けてくれたというのは分かったのだけど、もうその言葉に反応するだけのエネルギーが私には残されていなかった。
それからすぐチーノが来て、私を見てこう言った。
「死にかけてる、もう時間がない」
本人を前にして死にかけてるとか言うなとそんなことを思う気力もなく、私はもう魂の抜かれたようにそこにグッタリと横になることしか出来なかった。
「どのくらいで勝負を決められる?」
「分からない、でも即行は無理よ」
という会話を交わしているうちにオメガの攻撃が激しくなった。それもそのはずで、一カ所に敵である私達がいるのだから、そこを集中攻撃されるのは当たり前の話だった。
どんどん攻撃が激しくなって、そのうちシールドの中から外に出られなくなった。あとは私の死を待つだけだったけど、どんよりとした意識の中何とかして2人だけは助け出せないかと思った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる