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76、カオスメータ
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それからすぐシコルスキーを出て私達は最後の目的地であるカオスメータまで向かった。
起きる時はあれだけ辛かったのに、体を動かすのに慣れると苦痛も大分和らいで、日常の行動には支障が出ないようになった。
それでも時間の経過とともに傷が熱を持ち始めたというのは事実で、痛みが緩和するのとは対照的に、私の体がひどい熱病にでも侵されたみたいに熱くなった。
私はかかったことがなかったから断言は出来ないけど、黄熱病とかデング熱にかかったらこんな風になるのではないかと思った。
まさか最後の最後でこんな展開が待っているとは思わなかったから、大分番狂わせだと思った。プレイするだけのゲームの世界ではこんなことないのに、実際に自分がゲームの世界に行きそこで冒険をするとなると、こういう生々しい事態が発生してしまうらしい。
本当に何てこったという話だった。
実はカオスメータには誰も行ったことがなかったからおおよその場所しか分からず皆そのことに不安を感じていたのだけど、実際にそこに行ってみるとどこがカオスメータか一発で分かった。
巨大な機械要塞がそこにあるからであり、熱病に侵されフラフラ状態の私でさえ、一時その辛さを忘れて見入ってしまうほどその要塞は圧巻だった。
不思議なことに視界の隅にカオスメータが入り始めた辺りから敵が出て来なくなったのだけど、更に近付いて要塞内に入ろうとすると凄まじい砲撃やレーザー光線を受けたから、どうやらカオスメータには敵が出て来ない真空地帯があるみたいだった。
攻撃は凄まじい勢いで行われたけど、マルカの魔法の援助があったから、けっこうすんなり要塞内には入ることが出来た。
外であれだけの攻撃を受けたのだから、内側ではどのくらいの攻撃を受けるのだろうと身構えたのだけど、紫色の光のシールドを破って中に入ると、今度は敵が一切出て来なくなった。
そのまま3人で要塞内を歩いて行く。この頃の私は気息掩々としていて、自分でも分かるくらい死にそうな顔をしていた。
恐らくこのまま奥に進んで行けばオメガがいるのだろうけど、今の私は立って歩くのもやっとだから、これから最後の闘いを行うということについては何の感慨も湧かなかった。
2人はどうかと何度かマルカとチーノに目をやるのだけど、2人はこれからオメガと闘うということよりも私のことの方が気になっているみたいで、私を見て焦ったような顔をしたり(マルカ)、
「今日中にオメガを倒さなかったら、多分お前死ぬな」
と単刀直入にそう言ってきたりした(チーノ)。
けっこう長いこと要塞内を歩いた。時間にして恐らく一時間はあったと思う。通路は一本道で迷うことがなく、先に言ったように敵は一切出て来なかった。
所々で光のシールドが張られていて、私達が通る直前でそれがパッと消えて行くものだから、まるで私達の侵入が歓迎されているかのような錯覚を持ってしまった。
一際大きな光のシールドを通過したところでだった。通路したあとにびっくりするくらい巨大な空間に出たかと思うと、そこからゴウンゴウンという音が聞こえてきた。
少しずつパーッと明るくなっていく空間の中その先を見ていると、目玉のような赤い水晶が付いている巨大な機械が見えた。見た感じジブリ作品に出て来るあの動く城みたいで、それがゴウンゴウンというエンジン音に合わせて小刻みに揺れていた。
「これが」
と言ってチーノが片手から光の槍を出したところで、マルカが、
「オメガ」
とそう言い両手を青く光らせた。その瞬間、何かの雄叫びのような機械の軋む音が聞こえて来たかと思うと、オメガが私達に向けレーザー砲を発射して来た。
起きる時はあれだけ辛かったのに、体を動かすのに慣れると苦痛も大分和らいで、日常の行動には支障が出ないようになった。
それでも時間の経過とともに傷が熱を持ち始めたというのは事実で、痛みが緩和するのとは対照的に、私の体がひどい熱病にでも侵されたみたいに熱くなった。
私はかかったことがなかったから断言は出来ないけど、黄熱病とかデング熱にかかったらこんな風になるのではないかと思った。
まさか最後の最後でこんな展開が待っているとは思わなかったから、大分番狂わせだと思った。プレイするだけのゲームの世界ではこんなことないのに、実際に自分がゲームの世界に行きそこで冒険をするとなると、こういう生々しい事態が発生してしまうらしい。
本当に何てこったという話だった。
実はカオスメータには誰も行ったことがなかったからおおよその場所しか分からず皆そのことに不安を感じていたのだけど、実際にそこに行ってみるとどこがカオスメータか一発で分かった。
巨大な機械要塞がそこにあるからであり、熱病に侵されフラフラ状態の私でさえ、一時その辛さを忘れて見入ってしまうほどその要塞は圧巻だった。
不思議なことに視界の隅にカオスメータが入り始めた辺りから敵が出て来なくなったのだけど、更に近付いて要塞内に入ろうとすると凄まじい砲撃やレーザー光線を受けたから、どうやらカオスメータには敵が出て来ない真空地帯があるみたいだった。
攻撃は凄まじい勢いで行われたけど、マルカの魔法の援助があったから、けっこうすんなり要塞内には入ることが出来た。
外であれだけの攻撃を受けたのだから、内側ではどのくらいの攻撃を受けるのだろうと身構えたのだけど、紫色の光のシールドを破って中に入ると、今度は敵が一切出て来なくなった。
そのまま3人で要塞内を歩いて行く。この頃の私は気息掩々としていて、自分でも分かるくらい死にそうな顔をしていた。
恐らくこのまま奥に進んで行けばオメガがいるのだろうけど、今の私は立って歩くのもやっとだから、これから最後の闘いを行うということについては何の感慨も湧かなかった。
2人はどうかと何度かマルカとチーノに目をやるのだけど、2人はこれからオメガと闘うということよりも私のことの方が気になっているみたいで、私を見て焦ったような顔をしたり(マルカ)、
「今日中にオメガを倒さなかったら、多分お前死ぬな」
と単刀直入にそう言ってきたりした(チーノ)。
けっこう長いこと要塞内を歩いた。時間にして恐らく一時間はあったと思う。通路は一本道で迷うことがなく、先に言ったように敵は一切出て来なかった。
所々で光のシールドが張られていて、私達が通る直前でそれがパッと消えて行くものだから、まるで私達の侵入が歓迎されているかのような錯覚を持ってしまった。
一際大きな光のシールドを通過したところでだった。通路したあとにびっくりするくらい巨大な空間に出たかと思うと、そこからゴウンゴウンという音が聞こえてきた。
少しずつパーッと明るくなっていく空間の中その先を見ていると、目玉のような赤い水晶が付いている巨大な機械が見えた。見た感じジブリ作品に出て来るあの動く城みたいで、それがゴウンゴウンというエンジン音に合わせて小刻みに揺れていた。
「これが」
と言ってチーノが片手から光の槍を出したところで、マルカが、
「オメガ」
とそう言い両手を青く光らせた。その瞬間、何かの雄叫びのような機械の軋む音が聞こえて来たかと思うと、オメガが私達に向けレーザー砲を発射して来た。
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