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71、再戦
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急いで黒い光が飛び出た所に向かうのだけど、その頃には街はもう騒然としていて、この騒乱に似た騒ぎはユプシロンが出たのであろう所に行けば行くほど顕著になった。
そこに到着するまで何度か大きな光を見た。炎天の騎士団の人とユプシロンが魔法合戦をしている証拠で、その光のせめぎ合いを見て気付くのだけど、やはり魔法使いのエリートが集められるだけあって、近くに配置された炎天の騎士団の人も、互角とまではいかないまでもユプシロンを抑えるくらいの闘いは出来ているみたいだった。
そこに到着するまで数分かかった。到着してまずしたことがチーノが先制攻撃を仕掛けることで、実は私は暗くてよく分からなかったのだけど、チーノは相手のことがよく見えているみたいで、パッと消えたかと思うと、そのあとに地上で魔法を繰り出しているユプシロンにけっこう強力な攻撃をお見舞いしていた。
どうして強力か分かったのかと言うと、チーノの攻撃を受けてユプシロンが吹っ飛び、そのまま門を突き破って外に出て行ったからだった。
それまでかかった時間がわずか2秒ほどだったから、瞬速のスピードでチーノはユプシロンに攻撃を仕掛けたみたいだった。
でもおかげで私達の第一目標は達することが出来た。まずは結界を張り直さなければならないため、ユプシロンを外に出さなければならなかったのだけど、チーノが仕掛けた第一の攻撃でそれを達成していたから、以後の闘いがやりやすくなった。
チーノのあとを追って行く時にユプシロンとの攻防があった所を見てみると、たった数分の戦闘があっただけなのに辺り一面血塗れで、それだけでなく周囲50メートルほどの建物が跡形もないほど吹き飛んでいたから、それを見てやっぱりユプシロンは怖いなと思った。
次に私達がしなければならないのは、結界を張り終わるまでユプシロンを外の世界に釘付けにすることだった。
そのためにはユプシロンをベスカッチャから離せば離すほどいいのだけど、物事はそんなに上手くいかないもので、チーノが第二の攻撃を繰り出した時にはそれを上手く障壁を作り出して弾き、そのあと違う所に瞬間移動したチーノに漆黒の砲撃を食らわせ、そのままチーノを空の彼方まで弾き飛ばしていた。
そこですかさず私がユプシロン攻撃に移った。本当は早くユプシロンを街から遠ざけたかったのだけど、それに意識を奪われると行動に支障が出るということで、その考えを捨てて近郊ということは気にせずユプシロンに攻撃を仕掛けることにした。
まず私がしたのはユプシロン付近にバーストを撃ち込むことだった。機械だから効果はあるのかと思ったけど、思いのほかこの目くらましは効いて、私に向け放ったユプシロンの衝撃波がスレスレの所でズレた。
そのあとバーストを片手撃ちでユプシロンに向け連射した。マルカのサポートを期待したのだけど、マルカは補助のタイミングを心得ていて、私が撃ったバーストを全て時空間移転させたかと思うと、それをユプシロンの四方に出し、360度死角のない乱れ撃ちに変えてくれた。
それがズダダダダとユプシロンに直撃して砂煙が上がった。どのくらいのダメージを与えたかは分からなかったけど、けっこう効いたのではないかと思った。
サトリの状態じゃなかったから手がヒリヒリしたけど、ここはもう一気呵成に攻めるべきだと判断して、両手を光らせたあとにユプシロンの真上に躍り出て、そのあとすぐチャージしたバーストを真下に撃ち下ろした。
攻撃を撃つ直前に黒い霧のような攻撃をユプシロンから受けたのだけど、マルカの魔法がそれを弾いてくれた。それだけでなく、私のバーストがユプシロンに当たる直前に魔法陣が発生してバーストの威力を高めてくれたおかげで、ユプシロンに当たったバーストが通常の数倍の威力のバーストになった。
砂煙で視界不良だったからそれがユプシロンに直撃したかは分からなかったけど、バーストが地面がめくれ上がるくらいの威力にはなっていたから、少しのダメージも受けていないというのはないはずだった。
それにしても、と私は思った。今にも死にそうな顔をしていたけど、マルカがいつも通りの優秀な補助魔法を入れてくれたということに私は安心していた。だからマルカに近付き、
「ありがとう」
と言ったのだけど、言った瞬間私とマルカの体が地面に叩き落ちた。
そこに到着するまで何度か大きな光を見た。炎天の騎士団の人とユプシロンが魔法合戦をしている証拠で、その光のせめぎ合いを見て気付くのだけど、やはり魔法使いのエリートが集められるだけあって、近くに配置された炎天の騎士団の人も、互角とまではいかないまでもユプシロンを抑えるくらいの闘いは出来ているみたいだった。
そこに到着するまで数分かかった。到着してまずしたことがチーノが先制攻撃を仕掛けることで、実は私は暗くてよく分からなかったのだけど、チーノは相手のことがよく見えているみたいで、パッと消えたかと思うと、そのあとに地上で魔法を繰り出しているユプシロンにけっこう強力な攻撃をお見舞いしていた。
どうして強力か分かったのかと言うと、チーノの攻撃を受けてユプシロンが吹っ飛び、そのまま門を突き破って外に出て行ったからだった。
それまでかかった時間がわずか2秒ほどだったから、瞬速のスピードでチーノはユプシロンに攻撃を仕掛けたみたいだった。
でもおかげで私達の第一目標は達することが出来た。まずは結界を張り直さなければならないため、ユプシロンを外に出さなければならなかったのだけど、チーノが仕掛けた第一の攻撃でそれを達成していたから、以後の闘いがやりやすくなった。
チーノのあとを追って行く時にユプシロンとの攻防があった所を見てみると、たった数分の戦闘があっただけなのに辺り一面血塗れで、それだけでなく周囲50メートルほどの建物が跡形もないほど吹き飛んでいたから、それを見てやっぱりユプシロンは怖いなと思った。
次に私達がしなければならないのは、結界を張り終わるまでユプシロンを外の世界に釘付けにすることだった。
そのためにはユプシロンをベスカッチャから離せば離すほどいいのだけど、物事はそんなに上手くいかないもので、チーノが第二の攻撃を繰り出した時にはそれを上手く障壁を作り出して弾き、そのあと違う所に瞬間移動したチーノに漆黒の砲撃を食らわせ、そのままチーノを空の彼方まで弾き飛ばしていた。
そこですかさず私がユプシロン攻撃に移った。本当は早くユプシロンを街から遠ざけたかったのだけど、それに意識を奪われると行動に支障が出るということで、その考えを捨てて近郊ということは気にせずユプシロンに攻撃を仕掛けることにした。
まず私がしたのはユプシロン付近にバーストを撃ち込むことだった。機械だから効果はあるのかと思ったけど、思いのほかこの目くらましは効いて、私に向け放ったユプシロンの衝撃波がスレスレの所でズレた。
そのあとバーストを片手撃ちでユプシロンに向け連射した。マルカのサポートを期待したのだけど、マルカは補助のタイミングを心得ていて、私が撃ったバーストを全て時空間移転させたかと思うと、それをユプシロンの四方に出し、360度死角のない乱れ撃ちに変えてくれた。
それがズダダダダとユプシロンに直撃して砂煙が上がった。どのくらいのダメージを与えたかは分からなかったけど、けっこう効いたのではないかと思った。
サトリの状態じゃなかったから手がヒリヒリしたけど、ここはもう一気呵成に攻めるべきだと判断して、両手を光らせたあとにユプシロンの真上に躍り出て、そのあとすぐチャージしたバーストを真下に撃ち下ろした。
攻撃を撃つ直前に黒い霧のような攻撃をユプシロンから受けたのだけど、マルカの魔法がそれを弾いてくれた。それだけでなく、私のバーストがユプシロンに当たる直前に魔法陣が発生してバーストの威力を高めてくれたおかげで、ユプシロンに当たったバーストが通常の数倍の威力のバーストになった。
砂煙で視界不良だったからそれがユプシロンに直撃したかは分からなかったけど、バーストが地面がめくれ上がるくらいの威力にはなっていたから、少しのダメージも受けていないというのはないはずだった。
それにしても、と私は思った。今にも死にそうな顔をしていたけど、マルカがいつも通りの優秀な補助魔法を入れてくれたということに私は安心していた。だからマルカに近付き、
「ありがとう」
と言ったのだけど、言った瞬間私とマルカの体が地面に叩き落ちた。
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