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67、仲間思い
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「ぎゃっ、お腹」
と飛び起きると、
「あ、意識戻ったようですね、良かった」
と言って誰か知らない女の人が私の所まで歩いて来た。その女の人を見て、
「な、何ですか?」
と聞くと、
「もう傷は完治してますからね。大丈夫ですからね」
とその女の人が微笑を浮かべそう言ってきた。周囲を見回しても誰もいなかったから、
「あれ、マルカとチーノは?」
と聞いてみると、
「2人とも無事ですよ。瀕死でしたけど、ギリギリのところで助かりました」
とその人がそのようなことを言った。それを聞いて安心する。そのあと、
「やっぱりマルカひどかったですか?」
と聞くと、その人は、
「ええ」
と頷いたあとにこう言った。
「でももっとひどかったのはチーノという子の方です。ここまで来る途中で散々ユプシロンの猛攻を受けたらしく、私達が助けに行った頃にはもう口も利けない状態でした。それでもあなた達を無事ここまで送り届けて来たのですから、本当に立派です」
それを聞いてそんなことがあったのかと少し黙り込む。これはチーノに命を救われたわけだから、いくら感謝してもしたりないだろうと思った。しばらくしてから、
「2人はどこにいるか分かりますか?」
と聞いてみると、
「今はお昼なので一階で食事をしていると思います。2人とも完全に回復したので、もう十分に物が食べられる状態です」
と女の人がそう言った。そこで自分はどうだろうと考えてみたのだけど、自分の体なのにお腹が空いているのか空いていないのか今はちょっと分からなくて、そのようなことも踏まえてやっぱり自分は病み上がりなんだと思った。
ただ喉は渇いていた。だから、
「ツバキさんが目を覚ましたみたいなので2人に知らせてきたいのですけど、いいですよね?」
という女の人の言葉に、
「あ、いえ」
と言った私は、
「起きるのは私の方が遅かったみたいですけど、多分体は2人と同じくらい回復していると思うので大丈夫です。私が直接行きます。それだけじゃなくて、喉が渇いたっていうのもあるし」
とそう続けた。それに「ああ」という顔をした女の人は、
「ならツバキさんが行った方がいいですね。2人とも会えるし」
とそう言い、次に、
「一階にあるんですけど、食堂の場所は分かりますか?」
と聞いてきた。それには当然、
「分かりませんよ」
と答える。
「ああ、ですよね。でも大丈夫、食堂はすぐ分かる場所にありますから」
「なるほど、そうなんですね。分かりました、じゃ、早速行ってみます」
そこで床に置いてあるスリッパを履いて、
「よ」
と2足立ちになってみた。立ってみた感じ歩く分には何の問題もなさそうで、ユプシロンに殺されかけた割には体には反動が大して残っていないみたいだった。これはラムダの時と大違いで大分助かった。
そのまま歩いて行くのだけど、病室のような部屋から出て行く直前で、
「あ、そうだ」
と振り返り、その女の人にこのようなことを聞いた。
「ところで名前何て言うんですか? 何か看病してもらっていたみたいなので、これは聞いておかないとと思って」
それにその人が、
「私? 私はですね、炎天の騎士団のミルキーと言います。戦闘よりも回復とか結界を張るのが得意です。ここら辺一帯の結界は全て私が張っています」
と答える。それを聞いて2つの意味をもって私は、
「え?」
と驚くことになった。
と飛び起きると、
「あ、意識戻ったようですね、良かった」
と言って誰か知らない女の人が私の所まで歩いて来た。その女の人を見て、
「な、何ですか?」
と聞くと、
「もう傷は完治してますからね。大丈夫ですからね」
とその女の人が微笑を浮かべそう言ってきた。周囲を見回しても誰もいなかったから、
「あれ、マルカとチーノは?」
と聞いてみると、
「2人とも無事ですよ。瀕死でしたけど、ギリギリのところで助かりました」
とその人がそのようなことを言った。それを聞いて安心する。そのあと、
「やっぱりマルカひどかったですか?」
と聞くと、その人は、
「ええ」
と頷いたあとにこう言った。
「でももっとひどかったのはチーノという子の方です。ここまで来る途中で散々ユプシロンの猛攻を受けたらしく、私達が助けに行った頃にはもう口も利けない状態でした。それでもあなた達を無事ここまで送り届けて来たのですから、本当に立派です」
それを聞いてそんなことがあったのかと少し黙り込む。これはチーノに命を救われたわけだから、いくら感謝してもしたりないだろうと思った。しばらくしてから、
「2人はどこにいるか分かりますか?」
と聞いてみると、
「今はお昼なので一階で食事をしていると思います。2人とも完全に回復したので、もう十分に物が食べられる状態です」
と女の人がそう言った。そこで自分はどうだろうと考えてみたのだけど、自分の体なのにお腹が空いているのか空いていないのか今はちょっと分からなくて、そのようなことも踏まえてやっぱり自分は病み上がりなんだと思った。
ただ喉は渇いていた。だから、
「ツバキさんが目を覚ましたみたいなので2人に知らせてきたいのですけど、いいですよね?」
という女の人の言葉に、
「あ、いえ」
と言った私は、
「起きるのは私の方が遅かったみたいですけど、多分体は2人と同じくらい回復していると思うので大丈夫です。私が直接行きます。それだけじゃなくて、喉が渇いたっていうのもあるし」
とそう続けた。それに「ああ」という顔をした女の人は、
「ならツバキさんが行った方がいいですね。2人とも会えるし」
とそう言い、次に、
「一階にあるんですけど、食堂の場所は分かりますか?」
と聞いてきた。それには当然、
「分かりませんよ」
と答える。
「ああ、ですよね。でも大丈夫、食堂はすぐ分かる場所にありますから」
「なるほど、そうなんですね。分かりました、じゃ、早速行ってみます」
そこで床に置いてあるスリッパを履いて、
「よ」
と2足立ちになってみた。立ってみた感じ歩く分には何の問題もなさそうで、ユプシロンに殺されかけた割には体には反動が大して残っていないみたいだった。これはラムダの時と大違いで大分助かった。
そのまま歩いて行くのだけど、病室のような部屋から出て行く直前で、
「あ、そうだ」
と振り返り、その女の人にこのようなことを聞いた。
「ところで名前何て言うんですか? 何か看病してもらっていたみたいなので、これは聞いておかないとと思って」
それにその人が、
「私? 私はですね、炎天の騎士団のミルキーと言います。戦闘よりも回復とか結界を張るのが得意です。ここら辺一帯の結界は全て私が張っています」
と答える。それを聞いて2つの意味をもって私は、
「え?」
と驚くことになった。
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