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34、オティン湖
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そのまま浮かび上がってオティン湖の湖上を30分飛行した。けっこう進んだと思ったのに一向に上昇気流とやらに行き着かないし、上を見ても天空都市とやらが見えない。
あれ、おかしいなと思ったから、
「ねえ、ここ本当に湖なの? 何か全然中心部に行き着かないんだけど」
と言ってみると、マルカは私の方を見て、
「この湖すごく広いのよ」
とそう言った。それは分かっていたから、
「うん、そりゃそうだろうさ」
と答えたあとこう聞いた。
「ちなみに、大きさはどのくらいなの?」
「ラティフンディアっていう山あるじゃない?」
「知らない」
「それがスッポリ入るくらいの大きさ」
「知らない」
「うーん、何に例えればいいかしら」
「端から端まで移動するのにどれくらいかかるかで説明してもらった方が分かりやすいかも」
「ああ、なら2時間ね」
「え、そんなにかかるの!? 私達のスピードで!?」
「そう、私達のスピードで2時間」
何かよく分からないけど、それを聞いてすさまじい広さの湖だと思った。日本にも琵琶湖というでっかい湖があるけど、それもここまで広くはないはずだった。ここまで来たらもう湖ではなく、陸地で囲まれた小さな海なのではないかと思う。
それから更に30分近く飛行した。
その間中心部に近付くにつれて何かでっかい魚が襲って来たりしたけど、それも魔法でマルカが出て来る度に頭を吹き飛ばしたりしたから、私達がダメージを受けるということはなかった。
15匹目の巨大魚をマルカの魔法で吹き飛ばした辺りで、耳をつんざくようなゴーッという音が聞こえ始め、前方50メートル辺りで水の玉が空に向け舞い上がっているのが見えた。その雨の逆再生のような光景を見ながら、
「これがあれでしょ。絶対あれだよね」
と隣を飛行するマルカにこそあど言葉で聞くと、マルカは頷き、
「そうね、これが空中都市ベルモンテに私達を運んでくれるゴートっていう上昇気流よ」
とそう言った。
「ちょっとここで止まりましょう」
と言われたから、
「あい」
と止まり、止まったところでマルカにこう聞いた。
「あれに飛び込めば上まで運んでくれるんだよね?」
「ええ、そうね。でも聞いた話では、ベルモンテに着くまで10分くらいかかるらしいから、はぐれないように手を繋ぎましょう」
とそこで手を差し出されたから、手を伸ばしてその手を握った。
それにしても、とそれを見て私は思った。大迫力の自然の光景だった。
どういう原理で湖の中央から上昇気流が吹いているのかは分からなかったけど、滝壺に水が叩き落ちるのと同じくらいの迫力がそのゴートと呼ばれる上昇気流にはあって、そんなに近くはないからまだマルカと話は出来たけど、もうあと10メートルか20メートルでも進んだら、爆音に音を消されて、声での意思の疎通が出来なさそうだった。
どうしてもこの爆音が気になったから、
「ちょっとあれうるさくない? 本当に入って大丈夫なの?」
とマルカに聞いてみると、マルカは、
「音がうるさいのは下だけよ。一度入ってしまえば大丈夫って聞いたことあるわ」
とそう言ったあと、
「ちなみに」
とこう続けた。
「始めは濡れるけど、それもすぐ乾くみたい。あの気流が乾燥機みたいに機能するのね。それじゃツバシ君、突入しようと思うのだけど、準備はいい?」
「うん、OK」
楽しみだと思う反面実物を見てちょっと恐くなったけど、私はそう言って頷いておいた。
あれ、おかしいなと思ったから、
「ねえ、ここ本当に湖なの? 何か全然中心部に行き着かないんだけど」
と言ってみると、マルカは私の方を見て、
「この湖すごく広いのよ」
とそう言った。それは分かっていたから、
「うん、そりゃそうだろうさ」
と答えたあとこう聞いた。
「ちなみに、大きさはどのくらいなの?」
「ラティフンディアっていう山あるじゃない?」
「知らない」
「それがスッポリ入るくらいの大きさ」
「知らない」
「うーん、何に例えればいいかしら」
「端から端まで移動するのにどれくらいかかるかで説明してもらった方が分かりやすいかも」
「ああ、なら2時間ね」
「え、そんなにかかるの!? 私達のスピードで!?」
「そう、私達のスピードで2時間」
何かよく分からないけど、それを聞いてすさまじい広さの湖だと思った。日本にも琵琶湖というでっかい湖があるけど、それもここまで広くはないはずだった。ここまで来たらもう湖ではなく、陸地で囲まれた小さな海なのではないかと思う。
それから更に30分近く飛行した。
その間中心部に近付くにつれて何かでっかい魚が襲って来たりしたけど、それも魔法でマルカが出て来る度に頭を吹き飛ばしたりしたから、私達がダメージを受けるということはなかった。
15匹目の巨大魚をマルカの魔法で吹き飛ばした辺りで、耳をつんざくようなゴーッという音が聞こえ始め、前方50メートル辺りで水の玉が空に向け舞い上がっているのが見えた。その雨の逆再生のような光景を見ながら、
「これがあれでしょ。絶対あれだよね」
と隣を飛行するマルカにこそあど言葉で聞くと、マルカは頷き、
「そうね、これが空中都市ベルモンテに私達を運んでくれるゴートっていう上昇気流よ」
とそう言った。
「ちょっとここで止まりましょう」
と言われたから、
「あい」
と止まり、止まったところでマルカにこう聞いた。
「あれに飛び込めば上まで運んでくれるんだよね?」
「ええ、そうね。でも聞いた話では、ベルモンテに着くまで10分くらいかかるらしいから、はぐれないように手を繋ぎましょう」
とそこで手を差し出されたから、手を伸ばしてその手を握った。
それにしても、とそれを見て私は思った。大迫力の自然の光景だった。
どういう原理で湖の中央から上昇気流が吹いているのかは分からなかったけど、滝壺に水が叩き落ちるのと同じくらいの迫力がそのゴートと呼ばれる上昇気流にはあって、そんなに近くはないからまだマルカと話は出来たけど、もうあと10メートルか20メートルでも進んだら、爆音に音を消されて、声での意思の疎通が出来なさそうだった。
どうしてもこの爆音が気になったから、
「ちょっとあれうるさくない? 本当に入って大丈夫なの?」
とマルカに聞いてみると、マルカは、
「音がうるさいのは下だけよ。一度入ってしまえば大丈夫って聞いたことあるわ」
とそう言ったあと、
「ちなみに」
とこう続けた。
「始めは濡れるけど、それもすぐ乾くみたい。あの気流が乾燥機みたいに機能するのね。それじゃツバシ君、突入しようと思うのだけど、準備はいい?」
「うん、OK」
楽しみだと思う反面実物を見てちょっと恐くなったけど、私はそう言って頷いておいた。
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