32 / 81
32、戦勝祭
しおりを挟む
そのあと私達はすぐにタウリの街まで戻り、屯所にいる責任者っぽい人にイオタを倒したということを報告した。するとその責任者っぽい人、驚きの顔をしたあとに私達にお礼を言って、
「都市令に報告をしてくるから少し待っていてほしい」
ということを私達に言ってきた。ちなみに、都市令と言うのはタウリの街のように規模の大きな街を治める代表者のことだった。
それにOKと頷くと、それから10分するかしないかのうちに50代くらいの男の人が大急ぎで屯所にやって来て、私達に深々と頭を下げて何度もお礼を言ってきた。
「いや、いいんですよ、別に」
とか言いつつも、戦闘に勝った高揚感とか、この街を救った優越感とかで私はニヤニヤ笑っていたから恐らく勇者の面影はないはずだった。
口には出さないものの私が強敵を倒した、この街を救った、と思っている私とは対照的に、何も言わず謙虚に相手の話に聞き入っているマルカの方がよっぽど救世主の貫禄があった。
都市令の挨拶が終わったあと、すぐ宴会に移行したのだけど、ここでの私達の扱いはもうそのまま英雄のようで、事前に私達がそれぞれ光の戦姫であることや炎天の騎士団にいたということを告げたというのも良かったのか、王様にでもなったように歓待された。
前述したように私は持ち上げられるのに弱かった。自分が主役になるのが好きで、マルカが譲ってくれたというのが大きかったけど、今回のイオタ戦で活躍したのは私だったから、もう本当に周りが引くくらい悪乗りした。
このタウリの街には3日いたのだけど、周りの人達が私達を英雄扱いしてくれたおかげで、今までの人生で最高の3日間と言っていいくらいの気分の良い数日を過ごせた。
マルカに散々止められていたからお酒は飲まなかったけど、称賛は麻薬みたいなもので、その称賛で私はベロンベロンになった。
イオタを倒した2日目から街でイオタ撃滅を祝ったお祭りが開かれたというのも悪かった。
「もうそろそろ別の街へ行きましょうよ」
と言うマルカの意見を無視して私はマルカを引き連れタウリの街へと繰り出した。
結果どうなったのかと言うと、街を救った英雄だから当然のように歓待されて、私達の周りには人気絶頂のアイドルに人が集まるように人が群がった。
ラピスの町でなぜか私は軽視されたけど、私はやはり光の戦姫というブランドを持った人間だった。マルカの持つ炎天の騎士だったという称号も人々から称賛されるのにふさわしいものだったけど、同等かそれ以上の稀少性を「光の戦姫」は持っていた。
だからもうそれはそれはすごいベタ褒めストームが起こったのだけど、褒め殺しに合いデヘデヘしている私と違って、マルカは一切浮かれることがなく、何か言われても、
「いえ、そんなことないです」
と言うだけだったから気持ち悪いくらい謙虚だった。
そんなこんなで祭りの日から浮かれ騒いで2日経った3日目の日。王様が来た時にしか宿泊に使われないという豪華なホテルに我が儘を言って無理矢理泊まらせてもらいそこで朝を迎えた私は、目を覚まして早々に私より早く起きていたマルカにこのようなことを言われた。
「さてツバシ君、そろそろ出発の準備をしましょうか」
祭りはまだ終わっていなかった。私はもっとこの街の主役でいたかったから、
「イヤだ」
と言ったのだけど、マルカはそれを許さず、長々とオメガを放置することによってどういう害悪がこの世界にもたらされるのかということを私に説いた。ちなみに、言い終わるのにかかった時間が30分。
こういう説教じみた話が嫌いだから、最後の方は適当に、
「うん、うん」
と相槌を打つだけだったのだけど、マルカはそんな私の態度から念には念を押すべきだと思ったらしい。
「ちょっと待ってて」
と言って一度外に出て行ったかと思うと、5分くらいしてから、
「今受付をしている女の人にこれからすぐ出発するということを告げて来たわ。すぐに都市令さんにも伝えてくれるって」
と言って戻って来た。私はもう2、3日はここにいると思っていたから、それを聞き、
「何てことするんだっ」
と怒ったあとに、
「お願い、あと2日だけ」
と今度は嘆願するようにそう言った。でもマルカはそれを、
「ダメ」
と斬り捨て、
「今すぐに出発するわよ。このまま甘い汁を吸い続けたら人としてダメになるわ。今回のことで決めたのだけど、オメガを倒すまでもう接待や歓待は受けないようにしましょう。時間をロスするし、精神が弛緩するしで何も良い事ないもの」
と恐ろしいことを平然とした口調で言ってきた。
「そんな、あんまりだ。それじゃ、何の楽しみもないじゃないか」
と愚痴っても、
「いい、ツバシ聞いて。旅の楽しみは贅沢をすることではなく、敵を倒すことで得られればいいの。私達にはこの世界を救うという使命があるのだから、己の身は厳しく律しなければならないわ」
とマルカは聞かず、私を見てムンとした顔を作った。
私は確かにこの世界の主人公たる光の戦姫だけど、実質的にこの旅の主導権を握っているのは地理に詳しく、戦闘経験も豊富なマルカだった。だからマルカがそこまで言うのなら私も従うしかなく、
「私のアソコを舐めろ」
と言われたらビンタすればいいけど、それ以外の適切なアドバイスは、マルカの知性や論理性から出たものだから、極力素直に聞かなければならなかった。
「け、分かったよ。そこまで言うなら出発してやるよ」
ととても主人公とは思えないような発言をして、フカフカのベッドから起き上がり、
「次の目的地はどこだよ?」
とちょっと高圧的にマルカにそう聞いた。
「ベルモンテという所よ。ここはすごい所よ。何てったって、クロノス大陸で唯一の空中都市ですもの」
というマルカの発言を受け、興味のある単語が聞こえてきたから、
「空中都市?」
と聞き返した。すると、
「ええ、空中都市」
とマルカが頷いた。何だそれすげーなと思った私は、目を輝かせながら、
「どこにあんの?」
とそう聞いた。すると、
「ここから南西に100キロくらい移動するとオティン湖っていう巨大な湖があるの。そのど真ん中に浮かんでいるのがベルモンテという空中都市よ」
とマルカ。私の記憶が正しければ今さっきマルカは男性器の名前をかなり発音良く口走ったはずだけど、
「え、オティンコ?」
と私が聞いても、
「そう、オティン湖」
と真面目な顔をして言うだけだったから、本人はどうやら男性器を連想して言ったわけではないようだった。言っている途中で吹き出せばいいのに、マルカは真面目だからそういうことをやらない。何こいつつまんねえのとそんなマルカの顔を見て思った私は心に邪なものを持った人間だった。
それよりもこれから行くことになる空中都市のことだった。空中都市と聞いて真っ先に思い浮かべるのがやはりラピュタだったけど、まさかこの人生でそういう場所に行くことになるとは思わなかったから、ここでの英雄扱いも捨てがたかったけど、子どもが初めてゲームを買ってもらった時のようなトキメキを持って、
「行ってみたい」
と思った。
「都市令に報告をしてくるから少し待っていてほしい」
ということを私達に言ってきた。ちなみに、都市令と言うのはタウリの街のように規模の大きな街を治める代表者のことだった。
それにOKと頷くと、それから10分するかしないかのうちに50代くらいの男の人が大急ぎで屯所にやって来て、私達に深々と頭を下げて何度もお礼を言ってきた。
「いや、いいんですよ、別に」
とか言いつつも、戦闘に勝った高揚感とか、この街を救った優越感とかで私はニヤニヤ笑っていたから恐らく勇者の面影はないはずだった。
口には出さないものの私が強敵を倒した、この街を救った、と思っている私とは対照的に、何も言わず謙虚に相手の話に聞き入っているマルカの方がよっぽど救世主の貫禄があった。
都市令の挨拶が終わったあと、すぐ宴会に移行したのだけど、ここでの私達の扱いはもうそのまま英雄のようで、事前に私達がそれぞれ光の戦姫であることや炎天の騎士団にいたということを告げたというのも良かったのか、王様にでもなったように歓待された。
前述したように私は持ち上げられるのに弱かった。自分が主役になるのが好きで、マルカが譲ってくれたというのが大きかったけど、今回のイオタ戦で活躍したのは私だったから、もう本当に周りが引くくらい悪乗りした。
このタウリの街には3日いたのだけど、周りの人達が私達を英雄扱いしてくれたおかげで、今までの人生で最高の3日間と言っていいくらいの気分の良い数日を過ごせた。
マルカに散々止められていたからお酒は飲まなかったけど、称賛は麻薬みたいなもので、その称賛で私はベロンベロンになった。
イオタを倒した2日目から街でイオタ撃滅を祝ったお祭りが開かれたというのも悪かった。
「もうそろそろ別の街へ行きましょうよ」
と言うマルカの意見を無視して私はマルカを引き連れタウリの街へと繰り出した。
結果どうなったのかと言うと、街を救った英雄だから当然のように歓待されて、私達の周りには人気絶頂のアイドルに人が集まるように人が群がった。
ラピスの町でなぜか私は軽視されたけど、私はやはり光の戦姫というブランドを持った人間だった。マルカの持つ炎天の騎士だったという称号も人々から称賛されるのにふさわしいものだったけど、同等かそれ以上の稀少性を「光の戦姫」は持っていた。
だからもうそれはそれはすごいベタ褒めストームが起こったのだけど、褒め殺しに合いデヘデヘしている私と違って、マルカは一切浮かれることがなく、何か言われても、
「いえ、そんなことないです」
と言うだけだったから気持ち悪いくらい謙虚だった。
そんなこんなで祭りの日から浮かれ騒いで2日経った3日目の日。王様が来た時にしか宿泊に使われないという豪華なホテルに我が儘を言って無理矢理泊まらせてもらいそこで朝を迎えた私は、目を覚まして早々に私より早く起きていたマルカにこのようなことを言われた。
「さてツバシ君、そろそろ出発の準備をしましょうか」
祭りはまだ終わっていなかった。私はもっとこの街の主役でいたかったから、
「イヤだ」
と言ったのだけど、マルカはそれを許さず、長々とオメガを放置することによってどういう害悪がこの世界にもたらされるのかということを私に説いた。ちなみに、言い終わるのにかかった時間が30分。
こういう説教じみた話が嫌いだから、最後の方は適当に、
「うん、うん」
と相槌を打つだけだったのだけど、マルカはそんな私の態度から念には念を押すべきだと思ったらしい。
「ちょっと待ってて」
と言って一度外に出て行ったかと思うと、5分くらいしてから、
「今受付をしている女の人にこれからすぐ出発するということを告げて来たわ。すぐに都市令さんにも伝えてくれるって」
と言って戻って来た。私はもう2、3日はここにいると思っていたから、それを聞き、
「何てことするんだっ」
と怒ったあとに、
「お願い、あと2日だけ」
と今度は嘆願するようにそう言った。でもマルカはそれを、
「ダメ」
と斬り捨て、
「今すぐに出発するわよ。このまま甘い汁を吸い続けたら人としてダメになるわ。今回のことで決めたのだけど、オメガを倒すまでもう接待や歓待は受けないようにしましょう。時間をロスするし、精神が弛緩するしで何も良い事ないもの」
と恐ろしいことを平然とした口調で言ってきた。
「そんな、あんまりだ。それじゃ、何の楽しみもないじゃないか」
と愚痴っても、
「いい、ツバシ聞いて。旅の楽しみは贅沢をすることではなく、敵を倒すことで得られればいいの。私達にはこの世界を救うという使命があるのだから、己の身は厳しく律しなければならないわ」
とマルカは聞かず、私を見てムンとした顔を作った。
私は確かにこの世界の主人公たる光の戦姫だけど、実質的にこの旅の主導権を握っているのは地理に詳しく、戦闘経験も豊富なマルカだった。だからマルカがそこまで言うのなら私も従うしかなく、
「私のアソコを舐めろ」
と言われたらビンタすればいいけど、それ以外の適切なアドバイスは、マルカの知性や論理性から出たものだから、極力素直に聞かなければならなかった。
「け、分かったよ。そこまで言うなら出発してやるよ」
ととても主人公とは思えないような発言をして、フカフカのベッドから起き上がり、
「次の目的地はどこだよ?」
とちょっと高圧的にマルカにそう聞いた。
「ベルモンテという所よ。ここはすごい所よ。何てったって、クロノス大陸で唯一の空中都市ですもの」
というマルカの発言を受け、興味のある単語が聞こえてきたから、
「空中都市?」
と聞き返した。すると、
「ええ、空中都市」
とマルカが頷いた。何だそれすげーなと思った私は、目を輝かせながら、
「どこにあんの?」
とそう聞いた。すると、
「ここから南西に100キロくらい移動するとオティン湖っていう巨大な湖があるの。そのど真ん中に浮かんでいるのがベルモンテという空中都市よ」
とマルカ。私の記憶が正しければ今さっきマルカは男性器の名前をかなり発音良く口走ったはずだけど、
「え、オティンコ?」
と私が聞いても、
「そう、オティン湖」
と真面目な顔をして言うだけだったから、本人はどうやら男性器を連想して言ったわけではないようだった。言っている途中で吹き出せばいいのに、マルカは真面目だからそういうことをやらない。何こいつつまんねえのとそんなマルカの顔を見て思った私は心に邪なものを持った人間だった。
それよりもこれから行くことになる空中都市のことだった。空中都市と聞いて真っ先に思い浮かべるのがやはりラピュタだったけど、まさかこの人生でそういう場所に行くことになるとは思わなかったから、ここでの英雄扱いも捨てがたかったけど、子どもが初めてゲームを買ってもらった時のようなトキメキを持って、
「行ってみたい」
と思った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
リヴァイアトラウトの背の上で
結局は俗物( ◠‿◠ )
ファンタジー
巨大な魚とクリスタル、そして大陸の絵は一体何を示すのか。ある日、王城が襲撃される。その犯人は昔死んだ友人だった―…
王都で穏やかに暮らしていたアルスは、王城襲撃と王子の昏睡状態を機に王子に成り代わるよう告げられる。王子としての学も教養もないアルスはこれを撥ね退けるため観光都市ロレンツァの市長で名医のセルーティア氏を頼る。しかし融通の利かないセルーティア氏は王子救済そっちのけで道草ばかり食う。
▽カクヨム・自サイト先行掲載。
転生少女は大戦の空を飛ぶ
モラーヌソルニエ
ファンタジー
薄っぺらいニワカ戦闘機オタク(歴史的知識なし)が大戦の狭間に転生すると何が起きるでしょう。これは現代日本から第二次世界大戦前の北欧に転生した少女の空戦史である。カクヨムでも掲載しています。

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

グランドスカイ物語
朝ごはんは納豆にかぎる
ファンタジー
「思う存分、楽しんで来なさい。何が起こっていようと悲観することはありません。あなたは『備え』ではあるが、何人も漏れず救い出す救世主などではない。ただ、■■■を目指すのです」
喋る動物たちが暮らす不思議な森、その森で唯一の人間――一人の少年がいた。
彼の名はニハマチ。好奇心と意思に満ちた瞳の、無邪気で天真爛漫な少年。少年は、森で研鑽と知恵を蓄える日々を過ごし、逞しく、健やかに自らを鍛え上げた。
彼が森で伸び伸びと育つ裏側で、「森の外の世界」では異変が起きていた。世界の全てを覆えるような巨大な「力」が、遥か世界の向こうから落下したのだ。その力は古来より、知る者の間では「多流(タルー)」と呼ばれていた。
力を手に入れた者たちの思惑と理想が巡り、暗黒の影が徐々に世界へ落ちていく。
そんな中、ニハマチは遂に外の世界へと旅立った。幸か不幸か、希望と冒険に胸を踊らせる彼が最初に出会ったのは、この世界において最も多流の恩恵を授かった者――世界最強の男だった。
世界を手中に収めんとする男と、ニハマチは一つの約束を交わした。
――『一年後、どちらが生きるか死ぬかの決闘をしよう』……そんな約束を。
まだ世界を知らない未熟な少年は、彼と同じ特殊な境遇を背負う少年少女と出会い、多流が落ちてきたと言われるもう一つの世界を目指す。
世界の名は「離天」。天離(あまさか)る向こう側にあると言われる世界を求め、宿敵である最強の男を倒すため、少年の旅が始まった――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる