11 / 81
11、武器の威力
しおりを挟む
HP:150
MP:0
攻撃力:500
魔力:0
防御力:460
素早さ:550
運:85
というのが私の現在のパラメータみたいだった。これだけでは見ても分からなかったから、その画面をマルカに見せて、
「これってどうなの? この数字だけ見ても分からないんだけど」
と聞いてみると、マルカはそれを見てギョッとした顔をしたあとに、
「ちょっ、え、これがツバシのパラメータなの?」
とそのようなことを言ってきた。
「え、何か変?」
「変って言うか強過ぎるわ。こんな数字あり得ない」
「え、私強いの?」
「強いなんてものじゃないわ。私と見比べてみたら一目瞭然よ。よければ見てみて」
「あ、うん、そうする」
とそこで今度はマルカの能力値を見てみることにした。すると、
HP:130
MP:280
攻撃力:60
魔力:250
防御力:50
素早さ:300
運:50
とあった。確かに数字が大分違ったから、それを見て、
「あれ?」
と呆けたような声を上げると、マルカは私が身に付けた装備を見て、
「もしかして、それの影響なのかもしれないわね」
とそのようなことを言ってきた。
「これ?」
と返すと、
「ちょっと脱いでみてくれない?」
とエッチなことを言ってきた。
「あらやだ、そういう趣味があったなんて」
と冗談を言うと、マルカはそれを聞いてシラッとした顔をしたあとに、
「脱いで」
ともう一度そう言ってきた。声にいつもの優しさがない。どうやら下ネタが嫌いらしい。
「はいはい、分かった分かった。ちょっとだけよー」
とおちゃらけたことを言いながら身に付けた装備を順に外していくと、パラメータが面白いくらいダン、ダンと下がって行って、一番最初と比べると、まるで別人のような能力値になってしまった。攻撃力2とかどんだけだよという話だ。
そのあとボーッと草の上に集められた闘空士用の装備を2人で見た。そのまま10秒、20秒と時間が過ぎて行く。
恐らく思っていることは2人とも同じはずなのだけど、とんでもない装備を手に入れてしまったという衝撃とか興奮が閾値を越えてしまったせいで何も言えずにいた。
けっこう長い沈黙ののち、
「これ」
と最初に声を出したのは私だった。
「ん?」
という風に顔を上げたマルカに、
「伝説の装備なんじゃ」
とさり気なく言ってみると、マルカは、
「うん」
と頷いたあとに、
「多分そうだと思う。仮にもし違かったとしても、それに近い能力を持った装備品だと思う。試しにツバシ、この手袋はめてあの岩撃ってみて」
と私にそのようなことを言ってきた。言われるまま手袋を嵌め「撃つ」ということが良く分からないなりにも、取り合えず指差された岩に掌を向けてみた。
闘空士にはイメージが大事とのことだったから、キャノンを出すイメージを頭に思い浮かべてみると、突然右の掌が発光してキュイーンという音が鳴った。
ここまでは何の問題もなかったのだけど、この次に私は想像を絶するほどバカなことをした。音と光が気になったから、掌を見てしまったのだけど、その瞬間、
「ダメッ!」
というマルカの大声が聞こえて来て、次に何かの光が私を包んだかと思うと、それから1秒もしないうちに私の体がどこだか分からない方向に吹っ飛んだ。
何が何だか分からなかったけど、取り合えず凄まじい衝撃が私を襲ったというのは事実だった。体が宙に吹き飛んだあと、ドサッと地面に叩き付けられた。
意識はあったから立ち上がろうとしたのだけど、体が意思に追い付かずグッタリと横になることしか出来なかった。
あれ、死んだ?
そう思った時のこと。
「ツバシッ、すぐに魔法で治してあげるからねっ、大丈夫だからねっ」
というマルカの声が聞こえてきたかと思うと、そのあと私の体に温かい光が何度か当てられた。
「魔法の発動遅れてたら、あなた死んでたわよ。外傷はないみたいだけど、体は動く? それより私の声聞こえる?」
必死に首を動かして1センチほど頷いて見せる。そんな私の頬に何か温かいものが当たったかと思ったら、それはマルカの涙だった。私の顔を覗き込んでボロボロ泣いているから、
「お、げ、さ」
とかすれた声を出すと、
「良かった、声も出せるのね。さっき発動させた魔法が緩衝材になって致命傷は負ってないけど、受けた衝撃がちょっと強烈でショック症状起こしてるみたい。でも大丈夫。時間が経てばまたさっきみたいに体が動くようになるから」
とマルカがそう言い、私の体や顔を何度も撫でてくれた。そんなマルカを見ながら、私はマルカが仲間で良かったと心の底から思った。それと同時に、ゲームのキャラクターでも涙を流すんだなと思った。
MP:0
攻撃力:500
魔力:0
防御力:460
素早さ:550
運:85
というのが私の現在のパラメータみたいだった。これだけでは見ても分からなかったから、その画面をマルカに見せて、
「これってどうなの? この数字だけ見ても分からないんだけど」
と聞いてみると、マルカはそれを見てギョッとした顔をしたあとに、
「ちょっ、え、これがツバシのパラメータなの?」
とそのようなことを言ってきた。
「え、何か変?」
「変って言うか強過ぎるわ。こんな数字あり得ない」
「え、私強いの?」
「強いなんてものじゃないわ。私と見比べてみたら一目瞭然よ。よければ見てみて」
「あ、うん、そうする」
とそこで今度はマルカの能力値を見てみることにした。すると、
HP:130
MP:280
攻撃力:60
魔力:250
防御力:50
素早さ:300
運:50
とあった。確かに数字が大分違ったから、それを見て、
「あれ?」
と呆けたような声を上げると、マルカは私が身に付けた装備を見て、
「もしかして、それの影響なのかもしれないわね」
とそのようなことを言ってきた。
「これ?」
と返すと、
「ちょっと脱いでみてくれない?」
とエッチなことを言ってきた。
「あらやだ、そういう趣味があったなんて」
と冗談を言うと、マルカはそれを聞いてシラッとした顔をしたあとに、
「脱いで」
ともう一度そう言ってきた。声にいつもの優しさがない。どうやら下ネタが嫌いらしい。
「はいはい、分かった分かった。ちょっとだけよー」
とおちゃらけたことを言いながら身に付けた装備を順に外していくと、パラメータが面白いくらいダン、ダンと下がって行って、一番最初と比べると、まるで別人のような能力値になってしまった。攻撃力2とかどんだけだよという話だ。
そのあとボーッと草の上に集められた闘空士用の装備を2人で見た。そのまま10秒、20秒と時間が過ぎて行く。
恐らく思っていることは2人とも同じはずなのだけど、とんでもない装備を手に入れてしまったという衝撃とか興奮が閾値を越えてしまったせいで何も言えずにいた。
けっこう長い沈黙ののち、
「これ」
と最初に声を出したのは私だった。
「ん?」
という風に顔を上げたマルカに、
「伝説の装備なんじゃ」
とさり気なく言ってみると、マルカは、
「うん」
と頷いたあとに、
「多分そうだと思う。仮にもし違かったとしても、それに近い能力を持った装備品だと思う。試しにツバシ、この手袋はめてあの岩撃ってみて」
と私にそのようなことを言ってきた。言われるまま手袋を嵌め「撃つ」ということが良く分からないなりにも、取り合えず指差された岩に掌を向けてみた。
闘空士にはイメージが大事とのことだったから、キャノンを出すイメージを頭に思い浮かべてみると、突然右の掌が発光してキュイーンという音が鳴った。
ここまでは何の問題もなかったのだけど、この次に私は想像を絶するほどバカなことをした。音と光が気になったから、掌を見てしまったのだけど、その瞬間、
「ダメッ!」
というマルカの大声が聞こえて来て、次に何かの光が私を包んだかと思うと、それから1秒もしないうちに私の体がどこだか分からない方向に吹っ飛んだ。
何が何だか分からなかったけど、取り合えず凄まじい衝撃が私を襲ったというのは事実だった。体が宙に吹き飛んだあと、ドサッと地面に叩き付けられた。
意識はあったから立ち上がろうとしたのだけど、体が意思に追い付かずグッタリと横になることしか出来なかった。
あれ、死んだ?
そう思った時のこと。
「ツバシッ、すぐに魔法で治してあげるからねっ、大丈夫だからねっ」
というマルカの声が聞こえてきたかと思うと、そのあと私の体に温かい光が何度か当てられた。
「魔法の発動遅れてたら、あなた死んでたわよ。外傷はないみたいだけど、体は動く? それより私の声聞こえる?」
必死に首を動かして1センチほど頷いて見せる。そんな私の頬に何か温かいものが当たったかと思ったら、それはマルカの涙だった。私の顔を覗き込んでボロボロ泣いているから、
「お、げ、さ」
とかすれた声を出すと、
「良かった、声も出せるのね。さっき発動させた魔法が緩衝材になって致命傷は負ってないけど、受けた衝撃がちょっと強烈でショック症状起こしてるみたい。でも大丈夫。時間が経てばまたさっきみたいに体が動くようになるから」
とマルカがそう言い、私の体や顔を何度も撫でてくれた。そんなマルカを見ながら、私はマルカが仲間で良かったと心の底から思った。それと同時に、ゲームのキャラクターでも涙を流すんだなと思った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
リヴァイアトラウトの背の上で
結局は俗物( ◠‿◠ )
ファンタジー
巨大な魚とクリスタル、そして大陸の絵は一体何を示すのか。ある日、王城が襲撃される。その犯人は昔死んだ友人だった―…
王都で穏やかに暮らしていたアルスは、王城襲撃と王子の昏睡状態を機に王子に成り代わるよう告げられる。王子としての学も教養もないアルスはこれを撥ね退けるため観光都市ロレンツァの市長で名医のセルーティア氏を頼る。しかし融通の利かないセルーティア氏は王子救済そっちのけで道草ばかり食う。
▽カクヨム・自サイト先行掲載。
転生少女は大戦の空を飛ぶ
モラーヌソルニエ
ファンタジー
薄っぺらいニワカ戦闘機オタク(歴史的知識なし)が大戦の狭間に転生すると何が起きるでしょう。これは現代日本から第二次世界大戦前の北欧に転生した少女の空戦史である。カクヨムでも掲載しています。

Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる