幻界戦姫

忘草飛鳥

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11、武器の威力

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 HP:150
 MP:0
 攻撃力:500
 魔力:0
 防御力:460
 素早さ:550
 運:85

 というのが私の現在のパラメータみたいだった。これだけでは見ても分からなかったから、その画面をマルカに見せて、
「これってどうなの? この数字だけ見ても分からないんだけど」
 と聞いてみると、マルカはそれを見てギョッとした顔をしたあとに、
「ちょっ、え、これがツバシのパラメータなの?」
 とそのようなことを言ってきた。
「え、何か変?」
「変って言うか強過ぎるわ。こんな数字あり得ない」
「え、私強いの?」
「強いなんてものじゃないわ。私と見比べてみたら一目瞭然よ。よければ見てみて」
「あ、うん、そうする」
 とそこで今度はマルカの能力値を見てみることにした。すると、

 HP:130
 MP:280
 攻撃力:60
 魔力:250
 防御力:50
 素早さ:300
 運:50

 とあった。確かに数字が大分違ったから、それを見て、
「あれ?」
 と呆けたような声を上げると、マルカは私が身に付けた装備を見て、
「もしかして、それの影響なのかもしれないわね」
 とそのようなことを言ってきた。
「これ?」
 と返すと、
「ちょっと脱いでみてくれない?」
 とエッチなことを言ってきた。
「あらやだ、そういう趣味があったなんて」
 と冗談を言うと、マルカはそれを聞いてシラッとした顔をしたあとに、
「脱いで」
 ともう一度そう言ってきた。声にいつもの優しさがない。どうやら下ネタが嫌いらしい。
「はいはい、分かった分かった。ちょっとだけよー」
 とおちゃらけたことを言いながら身に付けた装備を順に外していくと、パラメータが面白いくらいダン、ダンと下がって行って、一番最初と比べると、まるで別人のような能力値になってしまった。攻撃力2とかどんだけだよという話だ。
 そのあとボーッと草の上に集められた闘空士用の装備を2人で見た。そのまま10秒、20秒と時間が過ぎて行く。
 恐らく思っていることは2人とも同じはずなのだけど、とんでもない装備を手に入れてしまったという衝撃とか興奮が閾値を越えてしまったせいで何も言えずにいた。
 けっこう長い沈黙ののち、
「これ」
 と最初に声を出したのは私だった。
「ん?」
 という風に顔を上げたマルカに、
「伝説の装備なんじゃ」
 とさり気なく言ってみると、マルカは、
「うん」
 と頷いたあとに、
「多分そうだと思う。仮にもし違かったとしても、それに近い能力を持った装備品だと思う。試しにツバシ、この手袋はめてあの岩撃ってみて」
 と私にそのようなことを言ってきた。言われるまま手袋を嵌め「撃つ」ということが良く分からないなりにも、取り合えず指差された岩に掌を向けてみた。
 闘空士にはイメージが大事とのことだったから、キャノンを出すイメージを頭に思い浮かべてみると、突然右の掌が発光してキュイーンという音が鳴った。
 ここまでは何の問題もなかったのだけど、この次に私は想像を絶するほどバカなことをした。音と光が気になったから、掌を見てしまったのだけど、その瞬間、
「ダメッ!」
 というマルカの大声が聞こえて来て、次に何かの光が私を包んだかと思うと、それから1秒もしないうちに私の体がどこだか分からない方向に吹っ飛んだ。
 何が何だか分からなかったけど、取り合えず凄まじい衝撃が私を襲ったというのは事実だった。体が宙に吹き飛んだあと、ドサッと地面に叩き付けられた。
 意識はあったから立ち上がろうとしたのだけど、体が意思に追い付かずグッタリと横になることしか出来なかった。
 あれ、死んだ?
 そう思った時のこと。
「ツバシッ、すぐに魔法で治してあげるからねっ、大丈夫だからねっ」
 というマルカの声が聞こえてきたかと思うと、そのあと私の体に温かい光が何度か当てられた。
「魔法の発動遅れてたら、あなた死んでたわよ。外傷はないみたいだけど、体は動く? それより私の声聞こえる?」
 必死に首を動かして1センチほど頷いて見せる。そんな私の頬に何か温かいものが当たったかと思ったら、それはマルカの涙だった。私の顔を覗き込んでボロボロ泣いているから、
「お、げ、さ」
 とかすれた声を出すと、
「良かった、声も出せるのね。さっき発動させた魔法が緩衝材になって致命傷は負ってないけど、受けた衝撃がちょっと強烈でショック症状起こしてるみたい。でも大丈夫。時間が経てばまたさっきみたいに体が動くようになるから」
 とマルカがそう言い、私の体や顔を何度も撫でてくれた。そんなマルカを見ながら、私はマルカが仲間で良かったと心の底から思った。それと同時に、ゲームのキャラクターでも涙を流すんだなと思った。
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