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第10章 消えた賢者
船上での日々 ②
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貨物船を利用しているというだけあり、甲板は徒競走ができるほどの広さがあります。
私たち以外にも、二十人ほどの冒険者さんたちの姿が見受けられますね。
どこに行っても、それがたとえ異世界でも、人間の行動というものに大差はないようでして、ここでもすでにいくつかのグループ――派閥のようなものが出来上がっていました。
ひとつは、初日に苦言を呈された、有名な紅いなんとかのリゲインさんを筆頭としたグループ。
この船では飲食が無料で、昼間から呑んだくれていたり、食っちゃ寝ばかりの方々が大半を占める中、冒険者の模範を示すように、ひらすらストイックに修練に明け暮れています。
最初はリゲインさんひとりでしたが、日を重ねるごとに人数が増えていき、3日目ともなればちょっとした剣道教室っぽくなっていました。
皆さん、真面目ですよね。
次に、異色なのが船首を陣取っているグループです。
こちらの冒険者さんたちは男女比率がだいたい半々なのですが、このグループでは男性10に対して女性1という、極端な集団でした。
どこから持ち込んだのか、場違いなパラソルにビーチチェア、脇にはドリンクの乗ったテーブル完備、周りに男性陣を傅けて、派手な水着で日光浴をしているのは、イリドニーさんという妙齢の女性です。
実は私、この方から毛嫌いされていまして。
この私の見た目――あくまで、意図しない仮の姿ですが!――から、初対面で変な顔をされるのには慣れっこだったのですが……なぜかそれ以上に名乗った途端に嫌悪感をあらわにされました。
なんでも、”タクミ”という名前が嫌いらしいです。どこにでもいる、平凡な名前だと思うのですが……
ともかく、私の存在は全否定されてしまいました。
今や、蛇蝎のごとく嫌われています。なにもしていないのに、理不尽です。
「なに、熱い眼差しを送ちゃってよ、兄弟も狙ってんのか? 確かにいいよな~、イリドニーちゃん」
背後から突然、肩を組まれます。
見れば、だらしない顔をしたリックさんさんがそこにおり、イリドニーさんを遠目に凝視しながら、酒瓶を煽っていました。
「これぞまさに、ボンキュッボンッ!ってな感じで。妖艶な美女ってやつだな! ひとつ屋根の下のこの機会に、一度くれーお相手してもらえねーもんかなぁ。気の強そうな性格も、俺様的にはベリーグッドだ。あの豊満な肉体を無理やり押し倒し――いや、むしろ踏まれて罵られたい!」
なんて、リックさんの特殊な性癖はさておきまして。
「下品!」
横から蹴り上げたクゥさんの蹴りがリックさんの顎を捉え、ついでに脇から伸びてきた打ち下ろしの爪の一撃が、リックさんの顔面に見事な五本の爪痕を残しました。
「おや、カイリさんまで。どうしました、おふたりで?」
「リックはおけらのくせに他の賭けテーブルに交ざろうとして追い出されたにゃ~。あたしは天気いいんで、いつものところでお昼寝にゃ」
言うが早いか、血みどろでのたうつリックさんを置き去りに、カイリさんはいつもの場所――貨物船のメインマストに素手で器用に登っていってしまいました。
獣人さんの伸び縮み自在な爪は、引っ掻くのにも木登りにも便利そうですよね。
メインマストの天辺には緊急時の見張り台があり、日当たりも見晴らしもよく、適度な涼しさもあって過ごしやすいそうです。
あそこで丸まって寝ているカイリさんを頻繁に目撃されていることからも、今ではもっぱら日中の指定席のようになっています。
「行こう、タクミくん」
クゥさんに腕を引っ張られて、私たちも移動することにしました。
リゲインさんたちを横目に通り過ぎ、イリドニーさんの視界に入らないように甲板を横断してから、いつもの船縁の釣りポイントにやってきました。
『釣り竿、クリエイトします』
縁から足を投げ出して腰掛けて、糸を垂らします。
お隣では同じ姿勢のクゥさんが、水面にできた糸の波紋を見下ろしました。
のんびりと待つことしばらく。
「釣れるかな?」
「どうでしょうねー? こればっかりは運頼み、神のみぞ知るというものでしょうから」
このところ連日、釣りに興じてみたものの、成果としては芳しくありません。
しょせんは手慰みですかね。数時間も待って、小魚が一匹釣れるかどうか。
……なぜか、魚類っぽい魔物はたくさん掛かるのですが、それを釣果とするのはいかがなものですから除外ということで。
「いつも通りに期待せずに待ってみて――おっと、来ましたかね!?」
ちょうど竿がしなりましたので、引きに合わせてタイミングよく釣り上げました。
勢い余って水中から空高く舞い上がった獲物は――全身真っ黒で魚眼が紅い、人面に短い手足が生えたような謎生物でした。
「って、また魔物じゃないですか……」
「せえいっ!」
まだ可愛らしさの残る掛け声とともに、落ちてきた魔物をクゥさんが河に蹴り戻しました。
ちょうどYの字を象ったような綺麗な残身には、惚れ惚れするほどです。
先ほどのリックさんに見舞った蹴りもそうでしたが、クゥさんの安定した重心と全身のバネや柔軟性は特筆すべきものがありますね。
体格的に力強さには欠けますが、実に靭やかで軽やかです。まるで演舞を見ているようですね。
あの蹴り技など、私が真似でもしようものなら、股関節が外れるか、足を上げた拍子に滑って転んでしまうのが関の山でしょう。
「本当だ。いつも通りだった」
クゥさんがくすくす笑いました。
「クゥさんこそ、いつも通りにお見事です。さすがは”華麗なる流脚”ですね」
クゥさんの職業は『拳士』ということで、体捌きに長けています。
空手の技に近かった力強い『拳王』の王女様とはまた違い、クゥさんの動きはどちらかといいますと流れるような拳法を彷彿とさせますね。
クゥさんは十四歳になったばかりだそうで、冒険者としてはまだ駆け出しもいいところです。
それで、すでにふたつ名を持つのはすごいことでしょう。
格闘技素人の私などが評するのも烏滸がましいですが、筋も良さそうですし、今から才能の片鱗を感じさせますね。将来が楽しみです。
「いや、それリックが勝手に言ってるだけだから」
ちょっと恥ずかしそうに、クゥさんがぷるぷると首を小刻みに振りました。
「……そうなんですか? では、リックさんの、人呼んで”屈強の斧使い”――というのも?」
「人呼んでというより、自分で勝手に吹聴しているだけ」
なるほど、自称でしたか。
先ほどの場所で、いまだ床に突っ伏したままのリックさんを見やります。
どうりで、クゥさんはともかくとしましても、申し訳ありませんがリックさんには達人のオーラとか凄みとか皆無でしたからね……
パーティのリーダーというのも、名誉職のようなものなのでしょうか。
「そういえば、クゥさんはどういう経緯で『白き砲弾』に加入したのです?」
これまで訊いたことはありませんでしたね。
クゥさんと、リックさんカイリさんとでは十以上――倍ほどの年齢差があります。
おそらく、クゥさんは駆け出しだけに、先にあった『白き砲弾』パーティに誘われるかたちだったのでしょうが……
お調子者のリックさんに、のんびり気ままなカイリさんのおふたりと、素直で真面目なクゥさんとでは性格が違いすぎます。
ましてこの年齢差だけに、どうにもそうなるに至った経緯がわかりませんね。
そもそもの接点らしきものがないようにも思えますので、知人を介してとか、そういったことでしょうかね。
「それは……」
クゥさんがにわかに俯き、口ごもってしまいました。
その様子は、明らかに口にすること自体を嫌がっているといいますか――告げることに羞恥心や嫌悪感を覚えているようで。
「――はっ!?」
もしや、口に出すことも憚れるような秘密が……?
本人の意思を無視して無理やり――よもや、人道に反した類のものとかではありませんよね!?
私たち以外にも、二十人ほどの冒険者さんたちの姿が見受けられますね。
どこに行っても、それがたとえ異世界でも、人間の行動というものに大差はないようでして、ここでもすでにいくつかのグループ――派閥のようなものが出来上がっていました。
ひとつは、初日に苦言を呈された、有名な紅いなんとかのリゲインさんを筆頭としたグループ。
この船では飲食が無料で、昼間から呑んだくれていたり、食っちゃ寝ばかりの方々が大半を占める中、冒険者の模範を示すように、ひらすらストイックに修練に明け暮れています。
最初はリゲインさんひとりでしたが、日を重ねるごとに人数が増えていき、3日目ともなればちょっとした剣道教室っぽくなっていました。
皆さん、真面目ですよね。
次に、異色なのが船首を陣取っているグループです。
こちらの冒険者さんたちは男女比率がだいたい半々なのですが、このグループでは男性10に対して女性1という、極端な集団でした。
どこから持ち込んだのか、場違いなパラソルにビーチチェア、脇にはドリンクの乗ったテーブル完備、周りに男性陣を傅けて、派手な水着で日光浴をしているのは、イリドニーさんという妙齢の女性です。
実は私、この方から毛嫌いされていまして。
この私の見た目――あくまで、意図しない仮の姿ですが!――から、初対面で変な顔をされるのには慣れっこだったのですが……なぜかそれ以上に名乗った途端に嫌悪感をあらわにされました。
なんでも、”タクミ”という名前が嫌いらしいです。どこにでもいる、平凡な名前だと思うのですが……
ともかく、私の存在は全否定されてしまいました。
今や、蛇蝎のごとく嫌われています。なにもしていないのに、理不尽です。
「なに、熱い眼差しを送ちゃってよ、兄弟も狙ってんのか? 確かにいいよな~、イリドニーちゃん」
背後から突然、肩を組まれます。
見れば、だらしない顔をしたリックさんさんがそこにおり、イリドニーさんを遠目に凝視しながら、酒瓶を煽っていました。
「これぞまさに、ボンキュッボンッ!ってな感じで。妖艶な美女ってやつだな! ひとつ屋根の下のこの機会に、一度くれーお相手してもらえねーもんかなぁ。気の強そうな性格も、俺様的にはベリーグッドだ。あの豊満な肉体を無理やり押し倒し――いや、むしろ踏まれて罵られたい!」
なんて、リックさんの特殊な性癖はさておきまして。
「下品!」
横から蹴り上げたクゥさんの蹴りがリックさんの顎を捉え、ついでに脇から伸びてきた打ち下ろしの爪の一撃が、リックさんの顔面に見事な五本の爪痕を残しました。
「おや、カイリさんまで。どうしました、おふたりで?」
「リックはおけらのくせに他の賭けテーブルに交ざろうとして追い出されたにゃ~。あたしは天気いいんで、いつものところでお昼寝にゃ」
言うが早いか、血みどろでのたうつリックさんを置き去りに、カイリさんはいつもの場所――貨物船のメインマストに素手で器用に登っていってしまいました。
獣人さんの伸び縮み自在な爪は、引っ掻くのにも木登りにも便利そうですよね。
メインマストの天辺には緊急時の見張り台があり、日当たりも見晴らしもよく、適度な涼しさもあって過ごしやすいそうです。
あそこで丸まって寝ているカイリさんを頻繁に目撃されていることからも、今ではもっぱら日中の指定席のようになっています。
「行こう、タクミくん」
クゥさんに腕を引っ張られて、私たちも移動することにしました。
リゲインさんたちを横目に通り過ぎ、イリドニーさんの視界に入らないように甲板を横断してから、いつもの船縁の釣りポイントにやってきました。
『釣り竿、クリエイトします』
縁から足を投げ出して腰掛けて、糸を垂らします。
お隣では同じ姿勢のクゥさんが、水面にできた糸の波紋を見下ろしました。
のんびりと待つことしばらく。
「釣れるかな?」
「どうでしょうねー? こればっかりは運頼み、神のみぞ知るというものでしょうから」
このところ連日、釣りに興じてみたものの、成果としては芳しくありません。
しょせんは手慰みですかね。数時間も待って、小魚が一匹釣れるかどうか。
……なぜか、魚類っぽい魔物はたくさん掛かるのですが、それを釣果とするのはいかがなものですから除外ということで。
「いつも通りに期待せずに待ってみて――おっと、来ましたかね!?」
ちょうど竿がしなりましたので、引きに合わせてタイミングよく釣り上げました。
勢い余って水中から空高く舞い上がった獲物は――全身真っ黒で魚眼が紅い、人面に短い手足が生えたような謎生物でした。
「って、また魔物じゃないですか……」
「せえいっ!」
まだ可愛らしさの残る掛け声とともに、落ちてきた魔物をクゥさんが河に蹴り戻しました。
ちょうどYの字を象ったような綺麗な残身には、惚れ惚れするほどです。
先ほどのリックさんに見舞った蹴りもそうでしたが、クゥさんの安定した重心と全身のバネや柔軟性は特筆すべきものがありますね。
体格的に力強さには欠けますが、実に靭やかで軽やかです。まるで演舞を見ているようですね。
あの蹴り技など、私が真似でもしようものなら、股関節が外れるか、足を上げた拍子に滑って転んでしまうのが関の山でしょう。
「本当だ。いつも通りだった」
クゥさんがくすくす笑いました。
「クゥさんこそ、いつも通りにお見事です。さすがは”華麗なる流脚”ですね」
クゥさんの職業は『拳士』ということで、体捌きに長けています。
空手の技に近かった力強い『拳王』の王女様とはまた違い、クゥさんの動きはどちらかといいますと流れるような拳法を彷彿とさせますね。
クゥさんは十四歳になったばかりだそうで、冒険者としてはまだ駆け出しもいいところです。
それで、すでにふたつ名を持つのはすごいことでしょう。
格闘技素人の私などが評するのも烏滸がましいですが、筋も良さそうですし、今から才能の片鱗を感じさせますね。将来が楽しみです。
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「……そうなんですか? では、リックさんの、人呼んで”屈強の斧使い”――というのも?」
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先ほどの場所で、いまだ床に突っ伏したままのリックさんを見やります。
どうりで、クゥさんはともかくとしましても、申し訳ありませんがリックさんには達人のオーラとか凄みとか皆無でしたからね……
パーティのリーダーというのも、名誉職のようなものなのでしょうか。
「そういえば、クゥさんはどういう経緯で『白き砲弾』に加入したのです?」
これまで訊いたことはありませんでしたね。
クゥさんと、リックさんカイリさんとでは十以上――倍ほどの年齢差があります。
おそらく、クゥさんは駆け出しだけに、先にあった『白き砲弾』パーティに誘われるかたちだったのでしょうが……
お調子者のリックさんに、のんびり気ままなカイリさんのおふたりと、素直で真面目なクゥさんとでは性格が違いすぎます。
ましてこの年齢差だけに、どうにもそうなるに至った経緯がわかりませんね。
そもそもの接点らしきものがないようにも思えますので、知人を介してとか、そういったことでしょうかね。
「それは……」
クゥさんがにわかに俯き、口ごもってしまいました。
その様子は、明らかに口にすること自体を嫌がっているといいますか――告げることに羞恥心や嫌悪感を覚えているようで。
「――はっ!?」
もしや、口に出すことも憚れるような秘密が……?
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