137 / 164
第9章 訓練兵と神隠し
明かされる過去
しおりを挟む
広大な国土を有するカレドサニア王国は、300年ほど昔にひとつの国として統合される前は、いくつもの小国の割拠する地だったそうです。
北東に位置するミラドナル地方もまたそのひとつで、かつてその地に根付いていた豪族の王を祖とする貴族が、領主として永らく治めていた土地でした。
「ここですか……本当になにもないんですねぇ……」
50年前まで栄華を誇ったという大都市。
その規模は、当時の王都カレドサニアにも匹敵するほどだったとか。
巨大な城塞都市を中心に、その周囲に広がるのは肥沃な大平原――だったらしいですが、50年後の現在では見る影もありませんね。
都市があったと思しき場所は風化し始めた数多の瓦礫で埋め尽くされ、大地は枯れてひび割れた荒れ地と化し、周囲一帯には草木の1本も見当たりません。
死せる大地。そんな表現がぴったりくる光景です。
東の城砦アンカーレンを旅立ってから、半月余りといったところでしょうか。
私はこのミラドナル地方にやってきていました。
アンカーレンからでは古都レニンバルを経由して、馬車で3日ほどの距離なのですが、ここはあえて徒歩でののんびり旅をすることにしました。
それといいますのも、この日、この場所に来ることに意味があったからです。
朽ちた石造りの建物の一画……そこには寄せ集めた石で小さな台が組まれ、その上には枯れた花束の名残りが見受けられました。
日本でいうところの、菊の花によく似ています。
仏花、つまりは献花であり、そして花が供えられている石台は、祭壇を模しているのでしょう。
岩陰に寝転がり、しばし時が経つのを待ちます。
中天の太陽が傾き、私もうつらうつらし始めた頃、祭壇のほうに人の気配がありました。
黒っぽい外套を頭から着込み、腕に花束を抱えたひとりの人物が、祭壇の前に佇んでいます。
その人物は花を祭壇に供えてから、手を合わせていました。
こちらの異世界では、一般的に墓前などで祈るときには手を組むか、印を切ります。日本でよく行われる合掌する作法は、まず見かけません。
私など、ついつい日頃の癖が出てしまい、奇異の視線を向けられたことがよくあります。
それを行なうということは――この人物もまた、私と同じということです。
「お待ちしていましたよ」
背後から声をかけましたが、相手は私の存在に気づいていたようで、特に反応はありませんでした。
振り向くこともなく、ただ墓前に手を合わせ続けています。
私も倣いまして、隣に並んで瞑目し、無言で手を合わせました。
どのくらいそうしていたでしょうか……
彼が祈り終えるのを待ってから、私も立ち上がりました。
「この日、ここに来たということは、やはりあなたでしたか……井芹くん」
ちょうど50年前の今日という日に、かつてこの地にあった都市が失われました。
住んでいた数万ともいわれる人命とともに――
「……ふっ」
その笑いの意図するものがなんなのかはわかりかねましたが、フードを外して素顔を晒した井芹くんの表情は、いつもの勝ち気なものではなく……とても穏やかなものでした。
「アンカーレン事変でのこと……シロンさんの協力者とは井芹くんだったのですね」
「さてな。……などと、この期に及んで惚けることはしまい。正解だよ、斉木」
正直なところ、否定してほしいところでしたが……私の願いはあえなく潰えたようです。
シロンさんが、あのバリアーから逃げ出すには、協力者の手助けが必須でした。
あの場にいたのは、私の他には井芹くんのみ。最初は疑いもしませんでしたが、真実を知った今となっては。
井芹くんが私に襲いかかってきたのは、間違いを装った時間稼ぎだったのですね。
私の気を逸らしている隙に、まずはシロンさんにバリアー内で隠れる猶予を与える。そんなところでしょう。
バリアーを破壊したのも強引でした。
バリアーがある限り、シロンさんは隠れることはできても逃げられない。ならば、逃げ道を作ってやればいいなんて、なんとも井芹くんらしくはあります。
いつもの行動が行動だけに、すっかり騙されてしまいましたね。
そうして、私に先立ち、いち早くバリアー内に入った井芹くんが、隠れているシロンさんに”姿なき亡霊”を渡せば、あとはやすやすと脱出完了というわけです。
ただ、これらについては、私の想像の域を出ません。
仮に協力者云々は関係なく、私にとって未知のスキルが用いられていたとしても、簡単に覆ってしまいますよね。
しかし、他にも決定的な証拠があったのです。
そもそも、シロンさんのことについては、今にしてみますと不可解な点がいろいろありました。
その中でも、最たるもの。
私の正体を知っていたシロンさんが、実在しない”シロン”の出自の信憑性を増すために話した、ファルティマの都での出来事――あれは、少なくともあの場にいないと入手できない情報でした。
そのせいもあり、私はまんまと信用してしまい、シロンさんの狙い通りといいますか、すっかり気を許してしまったわけですが。
実際、”シロン”なる人物は実在していなかったわけですから、あの都でのことは”誰か”に聞いたことになります。
その”誰か”とは。ファルティマの都での滞在中、出会った人物というと――『聖女』のネネさん、『青狼のたてがみ』のお三方、他にはそう――井芹くんです。
その中で、今回の件に関わっていたのは、井芹くんだけなのです。
「なにゆえ、儂があやつと既知だと思い至った? ……それこそ愚問か。ここで待ち構えていたこと自体、どうやら全知という神の力の一片――使いこなし始めているというところか」
「ええ。使いこなしているかは別としても、このミラドナルにあった都が消し飛ぶさまを見ました。シロンさんもまた……我々と同じく強制的に召喚された日本人だったのでしょう?」
あのとき、<森羅万象>が見せた映像は、まだ人間であった頃のシロンさんと、幼少時代の井芹くんでした。
井芹くんは初めて会ったときに聞かせてくれました。
50年前、井芹くんと一緒に召喚された他の方々について、”全員、死んだものと思っていい”と。
当時はあまり気にしませんでしたが、奇妙な言い回しですよね。あの台詞に秘められた意味とは、そういうことだったのですね。
「この地を治めていた領主は、過去の栄華に囚われていた。祖先の王の血を継ぐ者として、現カレドサニア王家に反旗を翻し、その地位を奪取せんと、強大な武力を欲していた。表面上は王家に恭順しつつ、裏では怪しい輩を雇い、いろいろやっていたようだな。”召喚の儀”もそのひとつだ。もっとも、連中の期待には添えんかったようだが」
力を求めて喚ばれた者が、その力を有していなかった。
どんな扱いを受けたのか、平和ボケした日本人である私でさえ、想像に難くありません。
<森羅万象>で見たふたりの痛々しさが、如実に物語っていました。
北東に位置するミラドナル地方もまたそのひとつで、かつてその地に根付いていた豪族の王を祖とする貴族が、領主として永らく治めていた土地でした。
「ここですか……本当になにもないんですねぇ……」
50年前まで栄華を誇ったという大都市。
その規模は、当時の王都カレドサニアにも匹敵するほどだったとか。
巨大な城塞都市を中心に、その周囲に広がるのは肥沃な大平原――だったらしいですが、50年後の現在では見る影もありませんね。
都市があったと思しき場所は風化し始めた数多の瓦礫で埋め尽くされ、大地は枯れてひび割れた荒れ地と化し、周囲一帯には草木の1本も見当たりません。
死せる大地。そんな表現がぴったりくる光景です。
東の城砦アンカーレンを旅立ってから、半月余りといったところでしょうか。
私はこのミラドナル地方にやってきていました。
アンカーレンからでは古都レニンバルを経由して、馬車で3日ほどの距離なのですが、ここはあえて徒歩でののんびり旅をすることにしました。
それといいますのも、この日、この場所に来ることに意味があったからです。
朽ちた石造りの建物の一画……そこには寄せ集めた石で小さな台が組まれ、その上には枯れた花束の名残りが見受けられました。
日本でいうところの、菊の花によく似ています。
仏花、つまりは献花であり、そして花が供えられている石台は、祭壇を模しているのでしょう。
岩陰に寝転がり、しばし時が経つのを待ちます。
中天の太陽が傾き、私もうつらうつらし始めた頃、祭壇のほうに人の気配がありました。
黒っぽい外套を頭から着込み、腕に花束を抱えたひとりの人物が、祭壇の前に佇んでいます。
その人物は花を祭壇に供えてから、手を合わせていました。
こちらの異世界では、一般的に墓前などで祈るときには手を組むか、印を切ります。日本でよく行われる合掌する作法は、まず見かけません。
私など、ついつい日頃の癖が出てしまい、奇異の視線を向けられたことがよくあります。
それを行なうということは――この人物もまた、私と同じということです。
「お待ちしていましたよ」
背後から声をかけましたが、相手は私の存在に気づいていたようで、特に反応はありませんでした。
振り向くこともなく、ただ墓前に手を合わせ続けています。
私も倣いまして、隣に並んで瞑目し、無言で手を合わせました。
どのくらいそうしていたでしょうか……
彼が祈り終えるのを待ってから、私も立ち上がりました。
「この日、ここに来たということは、やはりあなたでしたか……井芹くん」
ちょうど50年前の今日という日に、かつてこの地にあった都市が失われました。
住んでいた数万ともいわれる人命とともに――
「……ふっ」
その笑いの意図するものがなんなのかはわかりかねましたが、フードを外して素顔を晒した井芹くんの表情は、いつもの勝ち気なものではなく……とても穏やかなものでした。
「アンカーレン事変でのこと……シロンさんの協力者とは井芹くんだったのですね」
「さてな。……などと、この期に及んで惚けることはしまい。正解だよ、斉木」
正直なところ、否定してほしいところでしたが……私の願いはあえなく潰えたようです。
シロンさんが、あのバリアーから逃げ出すには、協力者の手助けが必須でした。
あの場にいたのは、私の他には井芹くんのみ。最初は疑いもしませんでしたが、真実を知った今となっては。
井芹くんが私に襲いかかってきたのは、間違いを装った時間稼ぎだったのですね。
私の気を逸らしている隙に、まずはシロンさんにバリアー内で隠れる猶予を与える。そんなところでしょう。
バリアーを破壊したのも強引でした。
バリアーがある限り、シロンさんは隠れることはできても逃げられない。ならば、逃げ道を作ってやればいいなんて、なんとも井芹くんらしくはあります。
いつもの行動が行動だけに、すっかり騙されてしまいましたね。
そうして、私に先立ち、いち早くバリアー内に入った井芹くんが、隠れているシロンさんに”姿なき亡霊”を渡せば、あとはやすやすと脱出完了というわけです。
ただ、これらについては、私の想像の域を出ません。
仮に協力者云々は関係なく、私にとって未知のスキルが用いられていたとしても、簡単に覆ってしまいますよね。
しかし、他にも決定的な証拠があったのです。
そもそも、シロンさんのことについては、今にしてみますと不可解な点がいろいろありました。
その中でも、最たるもの。
私の正体を知っていたシロンさんが、実在しない”シロン”の出自の信憑性を増すために話した、ファルティマの都での出来事――あれは、少なくともあの場にいないと入手できない情報でした。
そのせいもあり、私はまんまと信用してしまい、シロンさんの狙い通りといいますか、すっかり気を許してしまったわけですが。
実際、”シロン”なる人物は実在していなかったわけですから、あの都でのことは”誰か”に聞いたことになります。
その”誰か”とは。ファルティマの都での滞在中、出会った人物というと――『聖女』のネネさん、『青狼のたてがみ』のお三方、他にはそう――井芹くんです。
その中で、今回の件に関わっていたのは、井芹くんだけなのです。
「なにゆえ、儂があやつと既知だと思い至った? ……それこそ愚問か。ここで待ち構えていたこと自体、どうやら全知という神の力の一片――使いこなし始めているというところか」
「ええ。使いこなしているかは別としても、このミラドナルにあった都が消し飛ぶさまを見ました。シロンさんもまた……我々と同じく強制的に召喚された日本人だったのでしょう?」
あのとき、<森羅万象>が見せた映像は、まだ人間であった頃のシロンさんと、幼少時代の井芹くんでした。
井芹くんは初めて会ったときに聞かせてくれました。
50年前、井芹くんと一緒に召喚された他の方々について、”全員、死んだものと思っていい”と。
当時はあまり気にしませんでしたが、奇妙な言い回しですよね。あの台詞に秘められた意味とは、そういうことだったのですね。
「この地を治めていた領主は、過去の栄華に囚われていた。祖先の王の血を継ぐ者として、現カレドサニア王家に反旗を翻し、その地位を奪取せんと、強大な武力を欲していた。表面上は王家に恭順しつつ、裏では怪しい輩を雇い、いろいろやっていたようだな。”召喚の儀”もそのひとつだ。もっとも、連中の期待には添えんかったようだが」
力を求めて喚ばれた者が、その力を有していなかった。
どんな扱いを受けたのか、平和ボケした日本人である私でさえ、想像に難くありません。
<森羅万象>で見たふたりの痛々しさが、如実に物語っていました。
40
お気に入りに追加
13,730
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。