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第9章 訓練兵と神隠し
魔将戦 ③
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いらぬ時間を食ってしまいましたが、もう制限時間のようですね。
「確保、確保っと」
翻ったまま停止した外套から覗くシロンさんの左手首を握りしめておきます。
……う~ん。それにしても、時間が動き出すまでこうして手首を握ったままじっとしているのも、なんだか微妙な感じですね。
シロンさんの幼い外見年齢も相まって、なにやら犯罪チックとでもいいますか。これが日本でしたら、職務質問されてしまいそうな構図ですよね。
誰に見られているわけでもなし、気にしないのが吉でしょうが。
「……え。な、なんで……?」
動き出したシロンさんの紅い目が、驚愕に見開かれています。
まあ、十メートル近く離れていたはずの相手が、次の瞬間には自分の手首を掴んで佇んでいるのですから、それは驚きますよね。
「なんで……顔が泥だらけなの……? 大丈夫?」
おおぅ、そっちでしたか。
さっき、盛大に顔面ダイブしましたからね。拭くのを忘れていました。
ですが、真っ先に疑問が浮かぶのはそっちなのですね。
ちょっとだけ得意げだった私が恥ずかしくなってしまうじゃないですか。
「……お気遣いなく」
照れ隠しに残った手のほうの袖で顔を拭っていますと、
「――スキル『浸透勁』」
死角から放ってきたシロンさんの攻撃が空を切りました。
「……むぅ、外した」
そんなことだろうとは思いましたよ。
あえて何気ないふうを装って油断を誘い、手痛い一撃を与えて離脱する――戦術においてセオリーのようなものですからね。
若い時分はテレビマンガに特撮と、いろいろな分野で連日のように学んできた世代ですから。
それに、このスキルは私にもダメージを与えうるので要注意していました。
私だって、なるべくなら痛いのは嫌ですからね。
先ほどまでのように混乱に紛れてならともかく、こうして一対一の今では、そうそう引っかかったりはしませんよ。
「降参してください、シロンさん。おとなしく投降してもらえるのでしたら、私だって無意味に手荒な真似はしませんよ」
「むー、む~……! 放して……!」
シロンさんはしきりに手首を掴む私の右腕を攻撃していますが、スキルを用いない通常攻撃ではなんということはありません。
……まあ、シロンさんが身じろぎひとつするだけでも、足元の地面が裂け、周囲の大地が削れているのですから、さすがは魔物の中でも将の文字を冠するだけに、その破壊力は破格っぽいですが。
頑丈で良かったと思う今日この頃です。
「くっ、はぁぁ……ダメ」
ひとしきり暴れてから、シロンさんは大きく息を吐きました。
ようやく、諦めてくれましたか。
……それにしても、片手を囚われた状況でかくも盛大に暴れたものです。
あれだけ整地されていた訓練場のグラウンドが、見るも無残な荒れ地と化しています。
地面はいくつもクレーター状に抉れ、フェンスは飛び散り、用具庫は木っ端微塵で備品が散乱……惨憺たるものです。
これだけ荒れてしまった訓練場を整備する方の苦労を思いますと、身につまされますね。
やはり、私を打倒しうる秘策はあの『浸透勁』なるスキル攻撃だけだったようですね。
それですら、私に掌を密着させないといけないという制限があるようですから、私が魔物堕ちした方々を攻略した時点で、勝敗は決していたといえるでしょう。
「これでわかったでしょう? 残念ですが、私にはシロンさんの力は通じませんよ。観念していただくことをお勧めします」
「……まだ、わからない……よ? 敵わないまでも、ボクにはまだ……策が残っている。囚われるわけにはいかないから。あの方のためにも……」
あの方……? はて、誰でしょう?
魔将とは、魔物たちの中でも最上位に位置すると聞いています。
そんなシロンさんが敬意を込めるとは、魔将の上――魔王とかいう存在でしょうか。
私にとっての”魔王”のイメージとは、くしゃみっぽい感じの陽気でお茶目でドジなキャラクターなのですが。
あ、あれは”大魔王”でしたから、また違うのでしょうかね。
「その忠心に、お気の毒に思わないでもないですが……こちらも逃がすわけにはいきません。もはや、いかなることがあろうとも、私がこの手を離すことはありませんよ。もう不覚は取りません、隙を誘っても無駄と思ってください」
なおもジタバタ足掻くシロンさんを戒めるように、手首を握る右手にぎゅっと力を篭めます。
――にゅぽん。
「おや?」
「……え?」
シロンさんの手がすっぽ抜けました。
掌に残るのは、先ほど創生したクレイジーソープの泡の名残り。
いつの間にか、溶けかけた泡が腕を伝い、手まで垂れていたようですね。掌がにゅるにゅるします。
「…………」
「…………」
その距離1メートル。
お互いに唖然として腕を差し出した格好のまま、対峙しています。
「……ラッキー?」
「ああっ!? 待ってくださーい!」
脱兎のごとく、シロンさんが転身して駆け出します。
スキルも使用しているのか、ものすごい逃げ足です。
不規則に進路を変えつつ走り去るその姿は、まるで本物の仔兎のようですね。
風になびく外套のフードが、なんだか兎の耳みたいにも見えてきましたよ。
訓練場を覆う薄闇の中に、シロンさんの後ろ姿が溶け込むように消えていき――
って、こんなところまで来て、おめおめと逃がすわけにはいきません!
『光子バリアー、クリエイトします』
即座に創生した光る壁が周囲の闇を貫き、シロンさんの行く手を塞ぎます。
バリアーは半球状。某研究所を取り囲むように、シロンさんの四方を直径50メートルほどに渡って完全に囲っています。
バリアーをどうにかしようと、シロンさんが攻撃を仕掛けていますが、当然ながらビクともしません。
作中では、ぱりんぱりんと景気よく砕け散っていた頼りなげなバリアーではありますが、巨大ロボット相手でもなければ、そうそう簡単に破れはしませんよ?
ですが……危ういところでした。
シロンさんが、まさかこんな策を用意していようとは……って、これは完全に私の失策でしたね。
用が済んだソープは、早々に消しておくべきでした。
遊んだら後片付けしましょう、説明書に書いてあった通りです。反省しませんと。
なにはともあれ、今度こそ確実に囚えることができました。
あとは、ここいら一帯を覆う闇――『封陣』とかいうスキルでしたか、これを解除してもらい、魔物堕ちした皆さんをホーリーライトの魔法で救い……正気に戻った女王様にシロンさんを引き渡すことで、とりあえず今回の一連の事件については幕引きでしょうか。
そうして、私が気を抜いたその瞬間――
横合いの暗がりから一閃。
刃の煌めきが襲いかかってきました。
頭頂部への打ち下ろしから、懐に潜り込んでの顎へのかち上げ。
急所への流れるような連続技に加えて、とんでもない威力を秘めた一撃です。
ほぼ同時に打ち込まれた上下の斬撃に、私の首がペ○ちゃん人形のように上下に激しく揺れました。
痛くはありませんが、視界まで縦に揺れているので、酔ってしまいそうです。
「ぬ? まだ倒れぬか?」
どこかで聞いた声がします。
「ならば――この太刀をもって沈むがよい。必中必滅、秘の太刀<神殺し>!」
どこかで聞いたスキル名が聞こえました。
「あびゃびゃびゃびゃびゃ――!?」
今度は痛いです、痛すぎます!
『浸透勁』などとは比較にならない激痛が、全身に余すことなく浸透しました。
強いていいますと、無意識にタンスの角にしこたまぶつけた足の小指の痛みが、全身にまで広がっちゃっているような。
痛いというより、これはもはや熱いです。hurtというよりheatです。声にならない叫びが――ああ、涙がちょちょびれちゃいますよ!
身悶えるといいますか、変なダンスを踊るように地面でのたうち回っている私の前に悠然と現れたのは、抜き身の刀を手にした……『剣聖』井芹くんでした。
「確保、確保っと」
翻ったまま停止した外套から覗くシロンさんの左手首を握りしめておきます。
……う~ん。それにしても、時間が動き出すまでこうして手首を握ったままじっとしているのも、なんだか微妙な感じですね。
シロンさんの幼い外見年齢も相まって、なにやら犯罪チックとでもいいますか。これが日本でしたら、職務質問されてしまいそうな構図ですよね。
誰に見られているわけでもなし、気にしないのが吉でしょうが。
「……え。な、なんで……?」
動き出したシロンさんの紅い目が、驚愕に見開かれています。
まあ、十メートル近く離れていたはずの相手が、次の瞬間には自分の手首を掴んで佇んでいるのですから、それは驚きますよね。
「なんで……顔が泥だらけなの……? 大丈夫?」
おおぅ、そっちでしたか。
さっき、盛大に顔面ダイブしましたからね。拭くのを忘れていました。
ですが、真っ先に疑問が浮かぶのはそっちなのですね。
ちょっとだけ得意げだった私が恥ずかしくなってしまうじゃないですか。
「……お気遣いなく」
照れ隠しに残った手のほうの袖で顔を拭っていますと、
「――スキル『浸透勁』」
死角から放ってきたシロンさんの攻撃が空を切りました。
「……むぅ、外した」
そんなことだろうとは思いましたよ。
あえて何気ないふうを装って油断を誘い、手痛い一撃を与えて離脱する――戦術においてセオリーのようなものですからね。
若い時分はテレビマンガに特撮と、いろいろな分野で連日のように学んできた世代ですから。
それに、このスキルは私にもダメージを与えうるので要注意していました。
私だって、なるべくなら痛いのは嫌ですからね。
先ほどまでのように混乱に紛れてならともかく、こうして一対一の今では、そうそう引っかかったりはしませんよ。
「降参してください、シロンさん。おとなしく投降してもらえるのでしたら、私だって無意味に手荒な真似はしませんよ」
「むー、む~……! 放して……!」
シロンさんはしきりに手首を掴む私の右腕を攻撃していますが、スキルを用いない通常攻撃ではなんということはありません。
……まあ、シロンさんが身じろぎひとつするだけでも、足元の地面が裂け、周囲の大地が削れているのですから、さすがは魔物の中でも将の文字を冠するだけに、その破壊力は破格っぽいですが。
頑丈で良かったと思う今日この頃です。
「くっ、はぁぁ……ダメ」
ひとしきり暴れてから、シロンさんは大きく息を吐きました。
ようやく、諦めてくれましたか。
……それにしても、片手を囚われた状況でかくも盛大に暴れたものです。
あれだけ整地されていた訓練場のグラウンドが、見るも無残な荒れ地と化しています。
地面はいくつもクレーター状に抉れ、フェンスは飛び散り、用具庫は木っ端微塵で備品が散乱……惨憺たるものです。
これだけ荒れてしまった訓練場を整備する方の苦労を思いますと、身につまされますね。
やはり、私を打倒しうる秘策はあの『浸透勁』なるスキル攻撃だけだったようですね。
それですら、私に掌を密着させないといけないという制限があるようですから、私が魔物堕ちした方々を攻略した時点で、勝敗は決していたといえるでしょう。
「これでわかったでしょう? 残念ですが、私にはシロンさんの力は通じませんよ。観念していただくことをお勧めします」
「……まだ、わからない……よ? 敵わないまでも、ボクにはまだ……策が残っている。囚われるわけにはいかないから。あの方のためにも……」
あの方……? はて、誰でしょう?
魔将とは、魔物たちの中でも最上位に位置すると聞いています。
そんなシロンさんが敬意を込めるとは、魔将の上――魔王とかいう存在でしょうか。
私にとっての”魔王”のイメージとは、くしゃみっぽい感じの陽気でお茶目でドジなキャラクターなのですが。
あ、あれは”大魔王”でしたから、また違うのでしょうかね。
「その忠心に、お気の毒に思わないでもないですが……こちらも逃がすわけにはいきません。もはや、いかなることがあろうとも、私がこの手を離すことはありませんよ。もう不覚は取りません、隙を誘っても無駄と思ってください」
なおもジタバタ足掻くシロンさんを戒めるように、手首を握る右手にぎゅっと力を篭めます。
――にゅぽん。
「おや?」
「……え?」
シロンさんの手がすっぽ抜けました。
掌に残るのは、先ほど創生したクレイジーソープの泡の名残り。
いつの間にか、溶けかけた泡が腕を伝い、手まで垂れていたようですね。掌がにゅるにゅるします。
「…………」
「…………」
その距離1メートル。
お互いに唖然として腕を差し出した格好のまま、対峙しています。
「……ラッキー?」
「ああっ!? 待ってくださーい!」
脱兎のごとく、シロンさんが転身して駆け出します。
スキルも使用しているのか、ものすごい逃げ足です。
不規則に進路を変えつつ走り去るその姿は、まるで本物の仔兎のようですね。
風になびく外套のフードが、なんだか兎の耳みたいにも見えてきましたよ。
訓練場を覆う薄闇の中に、シロンさんの後ろ姿が溶け込むように消えていき――
って、こんなところまで来て、おめおめと逃がすわけにはいきません!
『光子バリアー、クリエイトします』
即座に創生した光る壁が周囲の闇を貫き、シロンさんの行く手を塞ぎます。
バリアーは半球状。某研究所を取り囲むように、シロンさんの四方を直径50メートルほどに渡って完全に囲っています。
バリアーをどうにかしようと、シロンさんが攻撃を仕掛けていますが、当然ながらビクともしません。
作中では、ぱりんぱりんと景気よく砕け散っていた頼りなげなバリアーではありますが、巨大ロボット相手でもなければ、そうそう簡単に破れはしませんよ?
ですが……危ういところでした。
シロンさんが、まさかこんな策を用意していようとは……って、これは完全に私の失策でしたね。
用が済んだソープは、早々に消しておくべきでした。
遊んだら後片付けしましょう、説明書に書いてあった通りです。反省しませんと。
なにはともあれ、今度こそ確実に囚えることができました。
あとは、ここいら一帯を覆う闇――『封陣』とかいうスキルでしたか、これを解除してもらい、魔物堕ちした皆さんをホーリーライトの魔法で救い……正気に戻った女王様にシロンさんを引き渡すことで、とりあえず今回の一連の事件については幕引きでしょうか。
そうして、私が気を抜いたその瞬間――
横合いの暗がりから一閃。
刃の煌めきが襲いかかってきました。
頭頂部への打ち下ろしから、懐に潜り込んでの顎へのかち上げ。
急所への流れるような連続技に加えて、とんでもない威力を秘めた一撃です。
ほぼ同時に打ち込まれた上下の斬撃に、私の首がペ○ちゃん人形のように上下に激しく揺れました。
痛くはありませんが、視界まで縦に揺れているので、酔ってしまいそうです。
「ぬ? まだ倒れぬか?」
どこかで聞いた声がします。
「ならば――この太刀をもって沈むがよい。必中必滅、秘の太刀<神殺し>!」
どこかで聞いたスキル名が聞こえました。
「あびゃびゃびゃびゃびゃ――!?」
今度は痛いです、痛すぎます!
『浸透勁』などとは比較にならない激痛が、全身に余すことなく浸透しました。
強いていいますと、無意識にタンスの角にしこたまぶつけた足の小指の痛みが、全身にまで広がっちゃっているような。
痛いというより、これはもはや熱いです。hurtというよりheatです。声にならない叫びが――ああ、涙がちょちょびれちゃいますよ!
身悶えるといいますか、変なダンスを踊るように地面でのたうち回っている私の前に悠然と現れたのは、抜き身の刀を手にした……『剣聖』井芹くんでした。
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