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第9章 訓練兵と神隠し
魔物堕ち ②
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城砦内の戦況は一進一退といったところでしょうか。
押し寄せる魔物堕ちした人々は、一見しただけでも私たちが調査していた”神隠し”の人数を大きく上回ります。総数では数百を下らないでしょう。
それだけ表面化していない犠牲者が、かくも大勢いたということになりますね。
ただし、それでもここは国軍の4大拠点に数えられるアンカーレン城砦だけに、国軍側の兵士数は、相手側の数十倍どころか数百倍に匹敵します。
非武装ながら、人間としての身体能力の枠を超え、圧倒的な個の戦闘力で勝る魔物堕ちした人々。
対するは数で圧倒するものの、市街戦に加えて一般民を守るためにその優位性が発揮できず、また未知の魔物堕ち相手に腰が引けて防衛戦を繰り広げる国軍。
両者の絶妙なバランスで、戦線は膠着しています。
これは好機と見るべきです。
ここで悠長に足止めを食っている場合ではありませんね。
このままでは人間同士で本格的に殺し合うことになってしまいます。それではどちらが勝とうと、どちらも負けと同義でしかありません。
まずは城砦内のどこかにいるはずのベアトリー女王に現状を伝えて、なんとか手を打たないといけませんね。
女王様のもとには、護衛役の『剣聖』の井芹くんや『勇者』のエイキもいるはずです。被害の少ない今でしたら、まだなんとかなるはずです。
レナンくんのことは気がかりですが、この場はいったん離脱すべきですね。
この小高い塔の上からでしたら、ハンググライダーなりを創生することで脱出は容易いでしょう。
「レナンくんたちがここまで登ってくる前に……お?」
突然、視界が斜めに傾きました。
足元からびしびしと嫌な破壊音がして、断続的な振動が続き――ついには塔全体がにわかに傾きます。
「お、おおおおお???」
見る間に塔が半ばから瓦解し、自重で潰れて瓦礫の山となってしまいました。
「お帰りなさい」
埋もれた瓦礫から這い出ますと、息を荒げて仁王立ちするガルフォルンさんと、くすくす笑うレナンくんに出迎えられました。
どうやら登るよりも手っ取り早く、ガルフォルンさんが塔を倒壊させたようですね、しかも無手で。
決して簡単に崩せそうな塔でもないのですが、なんとも規格はずれな膂力です。恐るべきは、それほどまでに力を増強させている、魔物堕ちのほうでしょうか。
塔は無人で人的被害もなくなによりですが、ふりだしに戻ってしまいました。
どうにか急いでここから離れないといけませんね。
「うん? 察するに、気づいちゃったみたいですね、タクミさん?」
「……これが陽動、つまり私の足止めだったということですか?」
「はい、実はそういうことだったんですよ。嫌だなぁ、僕とタクミさんの仲ですよ? 僕が本気でタクミさんを殺そうとするわけないじゃないですか。こちらにも都合というものがあるんです。実験はまだまだこれからなので、ここで不確定要素の塊みたいなタクミさんに、自由に動かれるのは困っちゃうんですよね」
「……実験、ですか?」
「中身は内緒ですけどね。そこでひとつ提案なんですが……取引しませんか?」
先ほど同様、問答無用で襲い掛かってくるかと思いきや、レナンくんは平然と話しかけてきています。
お隣のガルフォルンさんも、唸り声は上げて警戒しているものの、即攻撃を仕掛ける意思はなさそうです。やはり、この場ではレナンくんが主導を握っているようですね。
事は緊急を要します。人命にかかわることだけに、レナンくんにあまり手荒な真似はしたくありませんでしたが、こうなってしまっては致し方ありません。
いったん逃げたとしても、また追ってこられては意味がないですから、話に応じる振りをして油断を誘いつつ、こっそりと投網などを創生をして捕縛し、然るのちに正気に戻す手段を講じるしかなさそうです。
「取引というのは?」
「そうですねぇ」
レナンくんは世間話でもするように気軽に言ってから、笑顔で自分の喉元に軍刀を押し当てました。
「だから、タクミさんの考えていることくらいわかりますって前にも言いましたよね? そのための取引ですよ。妙な素振りを見せたら頸動脈を掻き切ります。逃げたらこの首を落とします。取引材料は僕の命ですよ。僕のために、大人しくしておいてもらえると助かるんですけど。僕も死にたくはありませんし」
鋭利な刃に裂かれた首筋に血が滲みます。
「……それは脅迫ではないのですか?」
参りました。あんまりですね、こんな手で来るとは。相手が一歩先んじており、さらには上手でもあったようです。これでは逃げるどころか容易に動けもしません。
「う~ん、どうだろ。そうかもしれませんね。でも、タクミさんは動かないでいるだけで僕の命が買えるんですから、安いものじゃないですか。あれ、僕が自分で言うのは自意識過剰なのかな? あはは」
操られているであろうレナンくんが命を惜しむわけもなく、おそらくやると言ったら躊躇せずにやるでしょう。
実際、王手みたいなものです。
大勢の人命は尊いですが、ひとりの――ましてよく知るレナンくんの命を軽んじれるわけがありません。
足止めの作戦としては見事かもしれませんが、黒幕の卑劣な所業にふつふつと怒りが湧いてきますね。
ですが、ここで私が猛り狂っても、事態は好転しません。余計にややこしくなるばかりでしょう。
こんなときこそ、以前にファルティマの都で井芹くんに教えてもらった、『焦ったときこそ慌てるな』――冒険者心得その一です。
「レナンくん、よく聞いてください」
「なんですか?」
慎重に一呼吸吐いてから、刺激しないように語りかけます。
「あなたは今、正気ではありません。悪い奴に操られている状態にあります。それは自身で理解できますか?」
「情に訴える作戦ですか? ……まあいいでしょう、付き合ってあげますよ。お喋りも立派な時間稼ぎになりますから、僕の目的に沿っていますしね。それで、僕が操られている、でしたっけ」
「ええ、そうです。今、ここでは大変なことが起こっています。人命にかかわる重大事項です。国軍のレナンくんの同僚方も、命がけで事に当たられています。王都でのことを思い出してください。レナンくんはネネさんや他の皆さんを守るため、命を投げ出して強大な魔物と対峙していました。そんなレナンくんが、今のこの状況を見過ごすことができるのですか?」
どれほど言葉が届くのかわかりませんが、願わくば正気に戻ってほしいところです。
もし、これで大勢の犠牲者が出てしまう結末となれば、心優しいレナンくんはきっと自責の念で深く傷ついてしまうでしょう。そんな姿は見たくありません。
「……タクミさんは人がいいですね」
どういう反応を示すかと緊迫して見守っていたのですが、予期せぬ返答にしばし唖然となってしまいました。
「……それはどうも?」
「いえいえ、褒めているんじゃありませんよ。お人好しだと言っているんです、悪い意味でね。タクミさんは僕が操られていて、正気ではないと言う。だけど、どうしてそれが真実だと断言できるんですか?」
「どういう意味です?」
「だから今の僕はまったくの正気で、本当の僕はこんな性格をしているとは思わないんですか? 他人の命なんてなんとも思わず、タクミさんが悪と断じる者に自ら望んで従っているって」
へらへらとした口調で告げられた瞬間、反射的に叫んでしました。
「馬鹿も休み休みに言いなさい! うちのレナンくんはそんな子では断じてありません! たとえレナンくんでも、レナンくんへの侮辱は許しませんよ!?」
「…………」
「…………」
……あ、つい。
瞬間湯沸かし器並みに瞬時に頭に血が昇ってしまいました。
たった今しがた戒めたばかりだというのに、やはりまだ正式な冒険者ですらない私には、冒険者心得を体得するには至らないようです。がっくしですね。
押し寄せる魔物堕ちした人々は、一見しただけでも私たちが調査していた”神隠し”の人数を大きく上回ります。総数では数百を下らないでしょう。
それだけ表面化していない犠牲者が、かくも大勢いたということになりますね。
ただし、それでもここは国軍の4大拠点に数えられるアンカーレン城砦だけに、国軍側の兵士数は、相手側の数十倍どころか数百倍に匹敵します。
非武装ながら、人間としての身体能力の枠を超え、圧倒的な個の戦闘力で勝る魔物堕ちした人々。
対するは数で圧倒するものの、市街戦に加えて一般民を守るためにその優位性が発揮できず、また未知の魔物堕ち相手に腰が引けて防衛戦を繰り広げる国軍。
両者の絶妙なバランスで、戦線は膠着しています。
これは好機と見るべきです。
ここで悠長に足止めを食っている場合ではありませんね。
このままでは人間同士で本格的に殺し合うことになってしまいます。それではどちらが勝とうと、どちらも負けと同義でしかありません。
まずは城砦内のどこかにいるはずのベアトリー女王に現状を伝えて、なんとか手を打たないといけませんね。
女王様のもとには、護衛役の『剣聖』の井芹くんや『勇者』のエイキもいるはずです。被害の少ない今でしたら、まだなんとかなるはずです。
レナンくんのことは気がかりですが、この場はいったん離脱すべきですね。
この小高い塔の上からでしたら、ハンググライダーなりを創生することで脱出は容易いでしょう。
「レナンくんたちがここまで登ってくる前に……お?」
突然、視界が斜めに傾きました。
足元からびしびしと嫌な破壊音がして、断続的な振動が続き――ついには塔全体がにわかに傾きます。
「お、おおおおお???」
見る間に塔が半ばから瓦解し、自重で潰れて瓦礫の山となってしまいました。
「お帰りなさい」
埋もれた瓦礫から這い出ますと、息を荒げて仁王立ちするガルフォルンさんと、くすくす笑うレナンくんに出迎えられました。
どうやら登るよりも手っ取り早く、ガルフォルンさんが塔を倒壊させたようですね、しかも無手で。
決して簡単に崩せそうな塔でもないのですが、なんとも規格はずれな膂力です。恐るべきは、それほどまでに力を増強させている、魔物堕ちのほうでしょうか。
塔は無人で人的被害もなくなによりですが、ふりだしに戻ってしまいました。
どうにか急いでここから離れないといけませんね。
「うん? 察するに、気づいちゃったみたいですね、タクミさん?」
「……これが陽動、つまり私の足止めだったということですか?」
「はい、実はそういうことだったんですよ。嫌だなぁ、僕とタクミさんの仲ですよ? 僕が本気でタクミさんを殺そうとするわけないじゃないですか。こちらにも都合というものがあるんです。実験はまだまだこれからなので、ここで不確定要素の塊みたいなタクミさんに、自由に動かれるのは困っちゃうんですよね」
「……実験、ですか?」
「中身は内緒ですけどね。そこでひとつ提案なんですが……取引しませんか?」
先ほど同様、問答無用で襲い掛かってくるかと思いきや、レナンくんは平然と話しかけてきています。
お隣のガルフォルンさんも、唸り声は上げて警戒しているものの、即攻撃を仕掛ける意思はなさそうです。やはり、この場ではレナンくんが主導を握っているようですね。
事は緊急を要します。人命にかかわることだけに、レナンくんにあまり手荒な真似はしたくありませんでしたが、こうなってしまっては致し方ありません。
いったん逃げたとしても、また追ってこられては意味がないですから、話に応じる振りをして油断を誘いつつ、こっそりと投網などを創生をして捕縛し、然るのちに正気に戻す手段を講じるしかなさそうです。
「取引というのは?」
「そうですねぇ」
レナンくんは世間話でもするように気軽に言ってから、笑顔で自分の喉元に軍刀を押し当てました。
「だから、タクミさんの考えていることくらいわかりますって前にも言いましたよね? そのための取引ですよ。妙な素振りを見せたら頸動脈を掻き切ります。逃げたらこの首を落とします。取引材料は僕の命ですよ。僕のために、大人しくしておいてもらえると助かるんですけど。僕も死にたくはありませんし」
鋭利な刃に裂かれた首筋に血が滲みます。
「……それは脅迫ではないのですか?」
参りました。あんまりですね、こんな手で来るとは。相手が一歩先んじており、さらには上手でもあったようです。これでは逃げるどころか容易に動けもしません。
「う~ん、どうだろ。そうかもしれませんね。でも、タクミさんは動かないでいるだけで僕の命が買えるんですから、安いものじゃないですか。あれ、僕が自分で言うのは自意識過剰なのかな? あはは」
操られているであろうレナンくんが命を惜しむわけもなく、おそらくやると言ったら躊躇せずにやるでしょう。
実際、王手みたいなものです。
大勢の人命は尊いですが、ひとりの――ましてよく知るレナンくんの命を軽んじれるわけがありません。
足止めの作戦としては見事かもしれませんが、黒幕の卑劣な所業にふつふつと怒りが湧いてきますね。
ですが、ここで私が猛り狂っても、事態は好転しません。余計にややこしくなるばかりでしょう。
こんなときこそ、以前にファルティマの都で井芹くんに教えてもらった、『焦ったときこそ慌てるな』――冒険者心得その一です。
「レナンくん、よく聞いてください」
「なんですか?」
慎重に一呼吸吐いてから、刺激しないように語りかけます。
「あなたは今、正気ではありません。悪い奴に操られている状態にあります。それは自身で理解できますか?」
「情に訴える作戦ですか? ……まあいいでしょう、付き合ってあげますよ。お喋りも立派な時間稼ぎになりますから、僕の目的に沿っていますしね。それで、僕が操られている、でしたっけ」
「ええ、そうです。今、ここでは大変なことが起こっています。人命にかかわる重大事項です。国軍のレナンくんの同僚方も、命がけで事に当たられています。王都でのことを思い出してください。レナンくんはネネさんや他の皆さんを守るため、命を投げ出して強大な魔物と対峙していました。そんなレナンくんが、今のこの状況を見過ごすことができるのですか?」
どれほど言葉が届くのかわかりませんが、願わくば正気に戻ってほしいところです。
もし、これで大勢の犠牲者が出てしまう結末となれば、心優しいレナンくんはきっと自責の念で深く傷ついてしまうでしょう。そんな姿は見たくありません。
「……タクミさんは人がいいですね」
どういう反応を示すかと緊迫して見守っていたのですが、予期せぬ返答にしばし唖然となってしまいました。
「……それはどうも?」
「いえいえ、褒めているんじゃありませんよ。お人好しだと言っているんです、悪い意味でね。タクミさんは僕が操られていて、正気ではないと言う。だけど、どうしてそれが真実だと断言できるんですか?」
「どういう意味です?」
「だから今の僕はまったくの正気で、本当の僕はこんな性格をしているとは思わないんですか? 他人の命なんてなんとも思わず、タクミさんが悪と断じる者に自ら望んで従っているって」
へらへらとした口調で告げられた瞬間、反射的に叫んでしました。
「馬鹿も休み休みに言いなさい! うちのレナンくんはそんな子では断じてありません! たとえレナンくんでも、レナンくんへの侮辱は許しませんよ!?」
「…………」
「…………」
……あ、つい。
瞬間湯沸かし器並みに瞬時に頭に血が昇ってしまいました。
たった今しがた戒めたばかりだというのに、やはりまだ正式な冒険者ですらない私には、冒険者心得を体得するには至らないようです。がっくしですね。
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