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第3章
初日を終えて
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その日の夜、私は宛がわれた部屋の真新しい寝台にもたれかかり、傍に控えるパティと今後のための情報交換を行なっていた。
主人には候補者同士の闘いがあるように、従者には他家従者同士の闘いがある。
今後の指針とするためにも、私のほうでもそこはきちんと把握しておかないといけない。
「どう、初日を終えてみて?」
「そうですね……正直なところ、想定していたよりぬるいかと」
「そう。ちょっかいをかけてきたのは、どこの家の者かしら?」
「マーコリー家の使用人ですね」
イグリスの公女、カリーナ・マーコリー。
私に水をプレゼントしてくれた方ね。
亜麻色の髪、自信に満ち溢れた態度に、勝気な表情が目に浮かぶ。
「こちらは格下。初日だけに、それこそ恫喝してくるくらいは覚悟していたのですが、それもなく……肩透かしです。ちょっとお嬢さまの嫌味を言われた程度で」
「なに? ”婚約者に捨てられた女が殿下の慈悲に縋って恥知らずな”、とでも言われた?」
「一言一句その通りなわけですが」
「ふふっ、安直ね。捻りもなくてつまらないこと。きっと考えたのは、カリーナ様あたりでしょう」
「はい。無理やり言わされているようではありましたね。それに、そこの使用人、妙におどおどしていると言いますか、腫れ物に触るように怯えた感があったのですが……お嬢さま、わたしがいない間に何かなさいました?」
「特にはなにも。あちらのご主人様に、誠心誠意を込めてご挨拶したくらいしか、覚えはないけれど?」
「なるほど。地方出身の田舎貴族の令嬢と甘く見て、ちょっかいをかけたはいいですが、逆に威圧されて怖気づいた、といったところですね。良家の箱入り令嬢には、お嬢さまの毒は強すぎたようですね」
「……パティ。貴女はなにを聞いていたのかしら? 私は誠心誠意ご挨拶をした、と言ったのよ?」
「ええ、わかっておりますとも」
パティがすまし顔で答えたので、私は嘆息で応えた。
まあ、確かにその通りなのだけれども。
「パティのほうは大丈夫そう? 貴女が折れてもらっては困るのよ?」
「はい。それはもう重々に」
本来、婚約者候補が同行させる世話人の人数に制限はない。
実際、他の候補者4家は、少なくとも10人以上の使用人を引き連れている。
この状況で、私がパティのみを伴ってきたのには理由がある。
人数が多いと、相対的に付け込まれる隙も大きくなる。
ただでさえ、対立候補には当家以上に潤沢な資金と名声がある。考えたくはないけれど、買収されて当家に不利な状況にならないとも限らない。
それを避けるための対処にせよ、いかなパティとて人の子。
集団による陰湿で執拗な攻撃に晒されて、心挫けることがないとも限らない。そこはどうしても、パティ任せになってしまう。
「お嬢さま。そのようなご心配には及びません。幼少より10年もの間、わたしがお仕えしてきたのはどなたと思われます? 高貴にして豪気、可憐にして苛烈、優雅にして勇敢なお嬢さまでございますよ? いいのか悪いのか、わたしもこの10年でずいぶんと鍛えられましたので、多少のことには動じなくなりました」
「なによ、その言い回し」
平然と言ってくるパティに、私は可笑しくなり、はしたなくも思わず噴いてしまった。
気を張り詰める私への、いつもの心配り半分、冗談半分なのでしょうけれど。
これだから、パティにはついつい甘えてしまう。
「そういうことですので、わたしのほうはお気になさらず。それより、お嬢さまのほうはいかがでしたか? 他の候補のご令嬢方は?」
「そうね――」
水をかけられた一件。あの場の動向で、ある程度の洞察は得た。
まず、悪戯を計画し、率先したのはカリーナ・マーコリー嬢で間違いない。
情報が不足しているとはいえ、第一印象の感じでは、直情型のカリーナ嬢はいなしやすい。
他国の姫という後ろ盾に安堵し、我を通そうとするタイプ。
つっかってくるようなら、上手くかわして誘導し、自滅を狙う手もある。
公爵家のマルグリット・フォントノア嬢は、カリーナ嬢の悪戯に愛想笑いを浮かべていたものの、私の反撃に、即座に顔色を変えて媚を売る目つきになった。
私を除く4家の中では、権威としては1番低い。
長いものに巻かれるタイプと見るべきか。でも、そういった輩こそ、意外な野心を秘めている恐れもある。
アデリナ・フォン・アベーユ嬢は、終始、無表情だった。
カリーナ嬢の悪戯にも、ひとり無反応で、興味なさげだった。私の挨拶にも、鉄仮面を崩すこともなく。
アデリナ嬢は、容姿端麗、頭脳明晰の淑女で、他国王家の高貴な血筋ともあり、婚約者最有力と目されている。
もし、私が真っ当に勝負を挑んだとしても、時間の不利で彼女には決して及ばないだろう。
彼女の上を行くためには、なんらかの搦め手も必要になるかもしれない。
私が婚約者を勝ち取るための、最大の障壁となるのは間違いない。
そんな中、ディノワール大公家のロザリー嬢だけが、ひとり異なる反応を見せていた。
「ディノワール大公のご息女ですか?」
「ええ、パティにはその名に聞き覚えがないかしら?」
ディノワール大公家というと、フラリノ国内に於いて王家に次ぐ権力を有する、押しも押されぬ大家。
その令嬢ともなると、4候補の中では、アデリナ嬢に匹敵する地位となる。
「……そう言われますと、以前にその名をアルフィリエーヌ領内で耳にしたことがあったような……」
パティが呟いたそのとき――不意にドアのノックされる音が室内に響いた。
来客の予定などはない。
まして、今は夜半。突然の来訪には不自然な時間帯である上、危急を要するふうでもない。
私は咄嗟にパティと視線を交わして頷き合い、寝台から降りてカーディガンを羽織った。
そして、自ら応対するためにドアへ向かう。
保険のためにも、パティが部屋にいることを悟られたくはない。
無言のやり取りだったけれど、そこは私とパティの仲、パティは心得たもので、ドア脇の暗がりに身を潜めた。
「どなたでしょうか?」
万一ドアを蹴破られても、開いたドアに巻き込まれない位置で足を止める。
私はごく平静を装い、訪問者に声をかけた。
「夜分遅くに申し訳ありません。わたくし、ロザリー・ディノワールですわ」
分厚いドアを通して返してきたのは、たった今、話題にしていた件のディノワール大公家ご令嬢だった。
主人には候補者同士の闘いがあるように、従者には他家従者同士の闘いがある。
今後の指針とするためにも、私のほうでもそこはきちんと把握しておかないといけない。
「どう、初日を終えてみて?」
「そうですね……正直なところ、想定していたよりぬるいかと」
「そう。ちょっかいをかけてきたのは、どこの家の者かしら?」
「マーコリー家の使用人ですね」
イグリスの公女、カリーナ・マーコリー。
私に水をプレゼントしてくれた方ね。
亜麻色の髪、自信に満ち溢れた態度に、勝気な表情が目に浮かぶ。
「こちらは格下。初日だけに、それこそ恫喝してくるくらいは覚悟していたのですが、それもなく……肩透かしです。ちょっとお嬢さまの嫌味を言われた程度で」
「なに? ”婚約者に捨てられた女が殿下の慈悲に縋って恥知らずな”、とでも言われた?」
「一言一句その通りなわけですが」
「ふふっ、安直ね。捻りもなくてつまらないこと。きっと考えたのは、カリーナ様あたりでしょう」
「はい。無理やり言わされているようではありましたね。それに、そこの使用人、妙におどおどしていると言いますか、腫れ物に触るように怯えた感があったのですが……お嬢さま、わたしがいない間に何かなさいました?」
「特にはなにも。あちらのご主人様に、誠心誠意を込めてご挨拶したくらいしか、覚えはないけれど?」
「なるほど。地方出身の田舎貴族の令嬢と甘く見て、ちょっかいをかけたはいいですが、逆に威圧されて怖気づいた、といったところですね。良家の箱入り令嬢には、お嬢さまの毒は強すぎたようですね」
「……パティ。貴女はなにを聞いていたのかしら? 私は誠心誠意ご挨拶をした、と言ったのよ?」
「ええ、わかっておりますとも」
パティがすまし顔で答えたので、私は嘆息で応えた。
まあ、確かにその通りなのだけれども。
「パティのほうは大丈夫そう? 貴女が折れてもらっては困るのよ?」
「はい。それはもう重々に」
本来、婚約者候補が同行させる世話人の人数に制限はない。
実際、他の候補者4家は、少なくとも10人以上の使用人を引き連れている。
この状況で、私がパティのみを伴ってきたのには理由がある。
人数が多いと、相対的に付け込まれる隙も大きくなる。
ただでさえ、対立候補には当家以上に潤沢な資金と名声がある。考えたくはないけれど、買収されて当家に不利な状況にならないとも限らない。
それを避けるための対処にせよ、いかなパティとて人の子。
集団による陰湿で執拗な攻撃に晒されて、心挫けることがないとも限らない。そこはどうしても、パティ任せになってしまう。
「お嬢さま。そのようなご心配には及びません。幼少より10年もの間、わたしがお仕えしてきたのはどなたと思われます? 高貴にして豪気、可憐にして苛烈、優雅にして勇敢なお嬢さまでございますよ? いいのか悪いのか、わたしもこの10年でずいぶんと鍛えられましたので、多少のことには動じなくなりました」
「なによ、その言い回し」
平然と言ってくるパティに、私は可笑しくなり、はしたなくも思わず噴いてしまった。
気を張り詰める私への、いつもの心配り半分、冗談半分なのでしょうけれど。
これだから、パティにはついつい甘えてしまう。
「そういうことですので、わたしのほうはお気になさらず。それより、お嬢さまのほうはいかがでしたか? 他の候補のご令嬢方は?」
「そうね――」
水をかけられた一件。あの場の動向で、ある程度の洞察は得た。
まず、悪戯を計画し、率先したのはカリーナ・マーコリー嬢で間違いない。
情報が不足しているとはいえ、第一印象の感じでは、直情型のカリーナ嬢はいなしやすい。
他国の姫という後ろ盾に安堵し、我を通そうとするタイプ。
つっかってくるようなら、上手くかわして誘導し、自滅を狙う手もある。
公爵家のマルグリット・フォントノア嬢は、カリーナ嬢の悪戯に愛想笑いを浮かべていたものの、私の反撃に、即座に顔色を変えて媚を売る目つきになった。
私を除く4家の中では、権威としては1番低い。
長いものに巻かれるタイプと見るべきか。でも、そういった輩こそ、意外な野心を秘めている恐れもある。
アデリナ・フォン・アベーユ嬢は、終始、無表情だった。
カリーナ嬢の悪戯にも、ひとり無反応で、興味なさげだった。私の挨拶にも、鉄仮面を崩すこともなく。
アデリナ嬢は、容姿端麗、頭脳明晰の淑女で、他国王家の高貴な血筋ともあり、婚約者最有力と目されている。
もし、私が真っ当に勝負を挑んだとしても、時間の不利で彼女には決して及ばないだろう。
彼女の上を行くためには、なんらかの搦め手も必要になるかもしれない。
私が婚約者を勝ち取るための、最大の障壁となるのは間違いない。
そんな中、ディノワール大公家のロザリー嬢だけが、ひとり異なる反応を見せていた。
「ディノワール大公のご息女ですか?」
「ええ、パティにはその名に聞き覚えがないかしら?」
ディノワール大公家というと、フラリノ国内に於いて王家に次ぐ権力を有する、押しも押されぬ大家。
その令嬢ともなると、4候補の中では、アデリナ嬢に匹敵する地位となる。
「……そう言われますと、以前にその名をアルフィリエーヌ領内で耳にしたことがあったような……」
パティが呟いたそのとき――不意にドアのノックされる音が室内に響いた。
来客の予定などはない。
まして、今は夜半。突然の来訪には不自然な時間帯である上、危急を要するふうでもない。
私は咄嗟にパティと視線を交わして頷き合い、寝台から降りてカーディガンを羽織った。
そして、自ら応対するためにドアへ向かう。
保険のためにも、パティが部屋にいることを悟られたくはない。
無言のやり取りだったけれど、そこは私とパティの仲、パティは心得たもので、ドア脇の暗がりに身を潜めた。
「どなたでしょうか?」
万一ドアを蹴破られても、開いたドアに巻き込まれない位置で足を止める。
私はごく平静を装い、訪問者に声をかけた。
「夜分遅くに申し訳ありません。わたくし、ロザリー・ディノワールですわ」
分厚いドアを通して返してきたのは、たった今、話題にしていた件のディノワール大公家ご令嬢だった。
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