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第十一章
獣人の郷 4
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森の一角には、木々の占める少ないちょっとした広場があった。
足元の地面は踏み固められ、きれいに整地されていた。
ここに案内してくれたラッシさんの話では、複数からなる獣人の部族の共同鍛錬場となっているらしい。
広さもそれなりで、近くには飲水にも適した汗を流せる川があり、目的に副った格好の場所なのだろう。
普段は10人もいれば多いそうだが、今は100人以上の獣人たちがこの鍛錬場に詰め掛けている。
獣人に見慣れている者ならば、その数の多さに驚く程度だろうが、獣人とろくに接した経験のない俺にとっては、人数よりも獣人そのものに圧倒された。
獣人と一括りにしていても、種族の細分としては人間の比ではない。
肌や毛の色の違いが些細なほど、一見して容貌の異なる多種多様な獣人たちが、この一所に寄り集まっている。
言葉は悪いが、獣人社会に初めて触れる俺にしてみると、動物園に放り出されたようなものだ。
あまりの迫力に、本能的に1歩引いてしまう。
それだけに、そんな獣人たちが、整然と列をなしているのはある種異様な光景だった。
落ち着いた表情をしている獣人もいれば、牙を剥き出しにして凶暴さを滲ませている獣人もいる。
しかしながら、そんな彼らに一貫しているのは――漲る闘志だった。
広場の先、列の先頭で獣人たちを待ち構えるのは、叔父の征司である。
「よっしゃ、次!」
遠巻きに観戦する野次馬に囲まれているせいで肝心の叔父の姿は見えないが、だいたいその台詞が聞こえてから数十秒……長くても1分くらいの間隔で、相手をした獣人が宙高く空を舞っていた。
長老からの依頼通りに、叔父が希望者相手に手合わせを行なっているのだが、話を聞きつけた郷中の腕自慢が集まってしまってこの騒ぎだ。
誰も彼も屈強そうな獣人たちだけに、倒されてもすぐに規則正しく列の最後尾に並び直していた。
さすがは強さを信条とする獣人だけに、その不屈の闘志に感心する。
回転率がいいだけに、この1時間ほどで軽く100戦以上は連闘中のはずだが、疲れている素振りもない分、叔父のほうが獣人に増して野性味を帯びているように感じなくもない。
俺とリィズさんは離れた木陰で休憩中だ。
リィズさんから聞いた話によると、このお祭り騒ぎは毎年のことで、もはや名物となっているらしい。
長老は若い獣人を軟弱扱いしていたが、それっぽいのがどこにもいるようには見えない。
むしろ、これで軟弱なら、俺はどうなると自問したいほどだ。
獣人でもまだ幼い若年層は参加を禁じられているらしく、他部族同士の交流の場でもあるのか、大人しく子供同士で遊んでいる。
大人しくとはいっても、こちらはこちらではちゃめちゃに暴れているわけだが。
そこにはリオちゃんも参戦していた。
子供同士での棒切れを持ってのチャンバラごっこに、リオちゃんは何故かたまごろーを持参していた。
迫りくる棒を、巧みにたまごろーを盾代わりにして応戦している。やめてあげて。
「リオちゃん、楽しそうですね」
「ええ。同じくらいの年の子と遊べる機会は、あまりないですから」
隣に腰かけるリィズさんが、風にさらわれそうになる長髪を押さえて嬉しそうに言った。
「でも、子供同士とは言っても、だいぶ年齢は違うみたいですけどね」
一緒に遊んでいる相手は、リオちゃんと比べても体格的に倍くらい違う。
「いいえ、あの子たちはリオとほとんど年齢は変わりませんよ。同い年か、離れててもせいぜいひとつかふたつくらい」
「え? そうなんですか? それにしては……」
見返しても、幼稚園児と小学校高学年くらいの差があるだろう。
確かに見た目としては、リオちゃんが遊んでもらっているふうだが、懸命さや手加減のなさは同レベルで遊んでいるように見えなくもない。
「リオはまだ成長期を迎えていませんから。年を重ねての成長はとても緩やかな代わりに、獣人には成長期という成長が著しくなる時期が、一生で数回ほどあるんですよ」
「へえ……なるほど」
前にリィズさんとリムさんが話していたのはこのことだったかと納得した。
成長をグラフで例えると、人間の成長が坂道のような直線の右上がりに対して、獣人は階段のような変則的なものになるのだろう。
(となると、朝起きたらリオちゃんがいきなり大人になってたり?)
まさか、そこまでの変化はないだろうが、それはそれで夢がある。
もっとも、その状況でいつも通りに肩に飛び乗ってこられた日には、首がぽっきり逝きそうだが。
「やー、おふたりさん、休憩かい?」
リムさんがラッシさんを引き連れて、こちらにやってきた。
リムさんは服が薄汚れているし、ラッシさんは頭に大きな瘤を作っている。
どうやら、叔父と一戦交えてきた後らしい。
「お疲れ様です」
「いやー、負けた負けたー。あっさりと負けた! 隊長、やっぱあんたの旦那は強いわ」
「いたた……セージの奴。思いっ切りドタマから叩き付けやがって! 頭皮が削れて禿げたらどうするってんだよ。あいつ、ますます強すぎだろ!」
「あんたが弱すぎるんでしょ! いい機会だから、もう1回くらい投げ飛ばされに行っときな!」
言うより早く、リムさんはラッシさんの尻を蹴り上げていた。
「ひでぇ! 並んでた俺をおめーが連れてきたくせによぉ!」
「いいからいいから! 本当に禿げたら毛はえ薬くらいは塗ってやるから!」
「ったく、仕方ねぇなぁ」
しっしっと手を振るリムさんに、ラッシさんは尻を押さえてぶつくさ漏らしながらも、素直に列の最後尾に並んでいた。
「相変わらず仲がいいですね」
「やめてよね。寒気がするから」
微笑ましそうなリィズさんに、リムさんは肩を竦めていた。
「アキトは参戦しないの?」
「いえ、俺は……」
あっさりと死んじゃいますから、と最後までは言わずに言葉尻を濁した。
「ふぅん」
特に変には思われなかったようで、リムさんは空返事を返しただけだった。
会話が途切れてしまったので、なんとなしにリオちゃんたち子供組を眺めていたのだが――不意にリムさんがぽんっと拍手を打った。
「あ、そういや、アキトには紹介してなかったね! チビども来なー!」
リムさんが子供組に向けて手を振り回すと、方々に散って遊んでいた子供たちの内20人ほどが駆け寄ってきて、俺の前にずらりと整列した。
「これ、あたいの子たちね。右端が10になる長男ね。あとは右から順に息子や娘たち。ほれ、挨拶しな」
そうして、居並ぶ子供たちにドミノ倒しのように順々に頭を下げて名乗られたのだが、とてもではないが一度に覚えられるものではなかった。
「ああ、大丈夫! あたいも時々忘れてるくらいだから!」
子供たちの前で、リムさんは悪びれもなく笑っていた。
まあ、さすがに冗談だろうけど。
(それにしても……)
と、リムさんの子供たちを順に眺めた。
子供が多いのは種族の違いと納得できる。
しかし、森豹族だったか、リムさんは艶やかな黒い豹か猫のような容姿をしているが、似たような容姿の子は3割ほどもいない。
中には、似ても似つかぬ子もいた。
「獣人は、父方か母方のどちらかのみの性質を受け継ぐんですよ」
隣のリィズさんが、こっそりと耳打ちしてくれた。
それでも3種族以上の見た目の子がいるのは、つまりはそういうことなんだろう。
リムさんが恋多き女性なのか、獣人という種自体がそもそも一夫一妻の概念がないのかはわからないが。
「あれ?」
子供たちの中に、見覚えのある青い毛をした狼っぽい子が数人いる。
「あ~……まあ、暇だったかんね」
俺の視線に気づき、そっぽを向いて頬を掻くリムさんの顔には赤みが差していた。
その相方さんはというと――
「うっひゃあー! セージ、てめー!」
奇妙な叫びを上げながら、盛大に宙を舞っているところだった。
足元の地面は踏み固められ、きれいに整地されていた。
ここに案内してくれたラッシさんの話では、複数からなる獣人の部族の共同鍛錬場となっているらしい。
広さもそれなりで、近くには飲水にも適した汗を流せる川があり、目的に副った格好の場所なのだろう。
普段は10人もいれば多いそうだが、今は100人以上の獣人たちがこの鍛錬場に詰め掛けている。
獣人に見慣れている者ならば、その数の多さに驚く程度だろうが、獣人とろくに接した経験のない俺にとっては、人数よりも獣人そのものに圧倒された。
獣人と一括りにしていても、種族の細分としては人間の比ではない。
肌や毛の色の違いが些細なほど、一見して容貌の異なる多種多様な獣人たちが、この一所に寄り集まっている。
言葉は悪いが、獣人社会に初めて触れる俺にしてみると、動物園に放り出されたようなものだ。
あまりの迫力に、本能的に1歩引いてしまう。
それだけに、そんな獣人たちが、整然と列をなしているのはある種異様な光景だった。
落ち着いた表情をしている獣人もいれば、牙を剥き出しにして凶暴さを滲ませている獣人もいる。
しかしながら、そんな彼らに一貫しているのは――漲る闘志だった。
広場の先、列の先頭で獣人たちを待ち構えるのは、叔父の征司である。
「よっしゃ、次!」
遠巻きに観戦する野次馬に囲まれているせいで肝心の叔父の姿は見えないが、だいたいその台詞が聞こえてから数十秒……長くても1分くらいの間隔で、相手をした獣人が宙高く空を舞っていた。
長老からの依頼通りに、叔父が希望者相手に手合わせを行なっているのだが、話を聞きつけた郷中の腕自慢が集まってしまってこの騒ぎだ。
誰も彼も屈強そうな獣人たちだけに、倒されてもすぐに規則正しく列の最後尾に並び直していた。
さすがは強さを信条とする獣人だけに、その不屈の闘志に感心する。
回転率がいいだけに、この1時間ほどで軽く100戦以上は連闘中のはずだが、疲れている素振りもない分、叔父のほうが獣人に増して野性味を帯びているように感じなくもない。
俺とリィズさんは離れた木陰で休憩中だ。
リィズさんから聞いた話によると、このお祭り騒ぎは毎年のことで、もはや名物となっているらしい。
長老は若い獣人を軟弱扱いしていたが、それっぽいのがどこにもいるようには見えない。
むしろ、これで軟弱なら、俺はどうなると自問したいほどだ。
獣人でもまだ幼い若年層は参加を禁じられているらしく、他部族同士の交流の場でもあるのか、大人しく子供同士で遊んでいる。
大人しくとはいっても、こちらはこちらではちゃめちゃに暴れているわけだが。
そこにはリオちゃんも参戦していた。
子供同士での棒切れを持ってのチャンバラごっこに、リオちゃんは何故かたまごろーを持参していた。
迫りくる棒を、巧みにたまごろーを盾代わりにして応戦している。やめてあげて。
「リオちゃん、楽しそうですね」
「ええ。同じくらいの年の子と遊べる機会は、あまりないですから」
隣に腰かけるリィズさんが、風にさらわれそうになる長髪を押さえて嬉しそうに言った。
「でも、子供同士とは言っても、だいぶ年齢は違うみたいですけどね」
一緒に遊んでいる相手は、リオちゃんと比べても体格的に倍くらい違う。
「いいえ、あの子たちはリオとほとんど年齢は変わりませんよ。同い年か、離れててもせいぜいひとつかふたつくらい」
「え? そうなんですか? それにしては……」
見返しても、幼稚園児と小学校高学年くらいの差があるだろう。
確かに見た目としては、リオちゃんが遊んでもらっているふうだが、懸命さや手加減のなさは同レベルで遊んでいるように見えなくもない。
「リオはまだ成長期を迎えていませんから。年を重ねての成長はとても緩やかな代わりに、獣人には成長期という成長が著しくなる時期が、一生で数回ほどあるんですよ」
「へえ……なるほど」
前にリィズさんとリムさんが話していたのはこのことだったかと納得した。
成長をグラフで例えると、人間の成長が坂道のような直線の右上がりに対して、獣人は階段のような変則的なものになるのだろう。
(となると、朝起きたらリオちゃんがいきなり大人になってたり?)
まさか、そこまでの変化はないだろうが、それはそれで夢がある。
もっとも、その状況でいつも通りに肩に飛び乗ってこられた日には、首がぽっきり逝きそうだが。
「やー、おふたりさん、休憩かい?」
リムさんがラッシさんを引き連れて、こちらにやってきた。
リムさんは服が薄汚れているし、ラッシさんは頭に大きな瘤を作っている。
どうやら、叔父と一戦交えてきた後らしい。
「お疲れ様です」
「いやー、負けた負けたー。あっさりと負けた! 隊長、やっぱあんたの旦那は強いわ」
「いたた……セージの奴。思いっ切りドタマから叩き付けやがって! 頭皮が削れて禿げたらどうするってんだよ。あいつ、ますます強すぎだろ!」
「あんたが弱すぎるんでしょ! いい機会だから、もう1回くらい投げ飛ばされに行っときな!」
言うより早く、リムさんはラッシさんの尻を蹴り上げていた。
「ひでぇ! 並んでた俺をおめーが連れてきたくせによぉ!」
「いいからいいから! 本当に禿げたら毛はえ薬くらいは塗ってやるから!」
「ったく、仕方ねぇなぁ」
しっしっと手を振るリムさんに、ラッシさんは尻を押さえてぶつくさ漏らしながらも、素直に列の最後尾に並んでいた。
「相変わらず仲がいいですね」
「やめてよね。寒気がするから」
微笑ましそうなリィズさんに、リムさんは肩を竦めていた。
「アキトは参戦しないの?」
「いえ、俺は……」
あっさりと死んじゃいますから、と最後までは言わずに言葉尻を濁した。
「ふぅん」
特に変には思われなかったようで、リムさんは空返事を返しただけだった。
会話が途切れてしまったので、なんとなしにリオちゃんたち子供組を眺めていたのだが――不意にリムさんがぽんっと拍手を打った。
「あ、そういや、アキトには紹介してなかったね! チビども来なー!」
リムさんが子供組に向けて手を振り回すと、方々に散って遊んでいた子供たちの内20人ほどが駆け寄ってきて、俺の前にずらりと整列した。
「これ、あたいの子たちね。右端が10になる長男ね。あとは右から順に息子や娘たち。ほれ、挨拶しな」
そうして、居並ぶ子供たちにドミノ倒しのように順々に頭を下げて名乗られたのだが、とてもではないが一度に覚えられるものではなかった。
「ああ、大丈夫! あたいも時々忘れてるくらいだから!」
子供たちの前で、リムさんは悪びれもなく笑っていた。
まあ、さすがに冗談だろうけど。
(それにしても……)
と、リムさんの子供たちを順に眺めた。
子供が多いのは種族の違いと納得できる。
しかし、森豹族だったか、リムさんは艶やかな黒い豹か猫のような容姿をしているが、似たような容姿の子は3割ほどもいない。
中には、似ても似つかぬ子もいた。
「獣人は、父方か母方のどちらかのみの性質を受け継ぐんですよ」
隣のリィズさんが、こっそりと耳打ちしてくれた。
それでも3種族以上の見た目の子がいるのは、つまりはそういうことなんだろう。
リムさんが恋多き女性なのか、獣人という種自体がそもそも一夫一妻の概念がないのかはわからないが。
「あれ?」
子供たちの中に、見覚えのある青い毛をした狼っぽい子が数人いる。
「あ~……まあ、暇だったかんね」
俺の視線に気づき、そっぽを向いて頬を掻くリムさんの顔には赤みが差していた。
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