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第六章
北風エルフの女王さま 2
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ただ、見た目はそんなデッドさんでも、冒険者としては非凡といえた。
この『北妖精の森林』でも、魔獣や魔物が棲みついており、俺たちは幾度となく襲われかけているらしかった。
『らしかった』と推量なのは、俺がその姿を認識する前に、デッドさんの手によって悉く排除されていたからだ。
移動しながら常にデッドさんは周囲を警戒しており、時折、癖っ毛の金髪に埋もれた尖り耳がぴくぴくと動く。
そんなときは、即座に背中の弓矢に矢を番え、一息のもとに放っていた。
矢の数は1本のときもあれば、同時に3本、多いときには5本のときもある。
5本もの矢を同時に番えて放つさまは、圧巻の一言だった。
リィズさんとの戦闘で見せた精霊魔法の応用だろうが、射出された矢は各々でまったく異なる軌道を描き、木々や茂みの奥へと消えていた。
少し遅れて、それぞれの着弾点から断末魔の声が上がるのは、ちょっとしたホラーだった。
さらにはそうして放った矢が、しばらくすると光の帯を伴なって、デッドさんのもとに戻ってきて自動回収までされる。
なんたるリーズナブル。これもまた精霊魔法の一端なのだろうが、奥が深い。
「魔族の野郎ども、ホント傍迷惑な! 手当たり次第に魔物や魔獣を撒き散らしやがったから、めんどくせーったら!」
ぶちぶち漏らしつつも、狙撃の手は緩めない。
結局、俺は襲撃者の影すら1回も目にせぬまま、樹海の中央――エルフの郷の入り口に辿り着いていた。
入り口といっても、別に扉が置かれていたり、門があるわけでもない。これまでと似たような鬱蒼とした木々が続くだけだ。
しかしながら、見かけはこれまでの森と同じでも、気配が違うというべきか。ほんの一歩先を境として、その奥と手前では明確な境界でもあるかのように感じられた。
「ま、部外者は本来、内側から招いてやらないと、結界に妨げられて入れないんだけどよ」
そう言いつつ、デッドさんは俺の手首を掴んでから、境界に足を踏み出した。
腕を引かれるまま、俺も歩を進めることになる。
「精霊の加護を受けたもんは、別ってことさね。にひ」
なにかを跨いだ不思議な感覚があった。
実際には感覚的なものだけでなく、日入り前の薄暗さが払拭され、春の日差しのような陽光が降り注ぐのを感じた。
明暗の差に思わず手をかざして待つこと、しばし。
ようやく辺りの状況がわかってきた。
足元はうっすらと続く草原、清涼感を伴なう小川が目の前を横切って流れ、その先には天然の樹木を利用した住居らしきものが散在している。
村――いや、規模としては町ほどもありそうな、充分な広さがあった。
その部分だけ樹海を丸く切り取ったように、周囲を木々の壁に囲まれた――まさしく秘境がそこにあった。
人影もちらほら見受けられる。
素朴な淡色の衣服を身に着けた住人たちは、遠目ながらに全員が煌く金髪で、尖った耳らしきものも見て取れた。
「本当に……エルフの郷だ……」
幻想的な光景に、感激して興奮するどころか、逆に呆けてしまう。
「にひ。驚いてくれてなによりだ。さ、行くぞ」
満足げな顔をしてから、デッドさんはさらに先へと向かっていた。
「ま、待って、置いてかないでくださいよ! ととと」
ずり落ちそうになった保温バッグを担ぎ直し、慌てて後に続く。
「でもこれ、どうなってるんだろ? さっきまで暗かったのに……」
周囲をきょろきょろしながら歩いていると、
「あ、これ? もうすぐ夜なのに、なんで明るいかってか? エルフは人間みたいに、夜になると寝て朝に起きるって習慣がないからな。夜も起きているもんのために、光の精霊と契約してるから、結界の中はいつでもこんなもんだ」
デッドさんが説明してくれた。
「へええ~」
感嘆の声しか出ない。
妖精の楽園――そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
住居近くまで来ると、さすがに住人のエルフたちもこちらの存在に気づいたようだった。
先行するデッドさんの姿を認めて微笑んでから――背後に続く俺の存在に気づき、引きつったような表情をして、そそくさと住居の中に消えて去ってしまう。
そんなことを繰り返して、ほんの数秒の間に、視界にいたすべてのエルフは居なくなってしまった。
「……あれえ?」
「ま、しゃーねーわな。普通、部外者が入るには許可がいるから、その頃には通知が回ってっからなー。見慣れない余所者で、しかも人間がいきなりじゃあ、そりゃあ驚くわな! にゃはは!」
そういえば、先ほども聞かされた事柄だった。
ということは、精霊の加護持ちはエルフの秘境すらフリーパス? そんな特典まで勝手に受けてしまっていいのだろうかと、再三、心配になる。
デッドさんはなんだかご機嫌だが、これってつまり彼女が勝手に加護を与えたってことがもろバレなわけだけど――本人、理解しているのだろうか。こちらも心配なところだ。
住居や建物の物陰からは、いくつも不信感丸出しの視線が突き刺さってきていた。
(エルフの皆さん、驚かせてごめんなさい。無害な奴なんで、許してください)
心の中で拝みつつ、こそこそと移動する。
どうにも肩身が狭い。
ちなみに垣間見たエルフだが、女性も男性も全員が整った顔立ちをしており、体型がやや小柄でスレンダーなものの、そこに貧素さは一切なく、むしろ自然と調和した美しさで健康的にさえ感じられた。
美形な上に美しい金髪金目と相まって、まるで西洋絵画から抜け出したようだ。
これぞ、エルフ! という実感が湧く。
やはりというか、デッドさんがこちらでのエルフの標準というわけではなかったらしい。よかった。
なんて思うや否や、じと目になったデッドさんに、下から鼻を弾かれた。
「今、よからぬことを考えた気配がした!」
すみません。
「うむ」
満足気に頷いてから、デッドさんは正面に向き直ると、再び歩き出した。
なんか、心を読んでませんか? そんな感じがしたが、答えを聞くのが怖かったので、聞かないことにした。
……くれぐれも、気をつけよう。
この『北妖精の森林』でも、魔獣や魔物が棲みついており、俺たちは幾度となく襲われかけているらしかった。
『らしかった』と推量なのは、俺がその姿を認識する前に、デッドさんの手によって悉く排除されていたからだ。
移動しながら常にデッドさんは周囲を警戒しており、時折、癖っ毛の金髪に埋もれた尖り耳がぴくぴくと動く。
そんなときは、即座に背中の弓矢に矢を番え、一息のもとに放っていた。
矢の数は1本のときもあれば、同時に3本、多いときには5本のときもある。
5本もの矢を同時に番えて放つさまは、圧巻の一言だった。
リィズさんとの戦闘で見せた精霊魔法の応用だろうが、射出された矢は各々でまったく異なる軌道を描き、木々や茂みの奥へと消えていた。
少し遅れて、それぞれの着弾点から断末魔の声が上がるのは、ちょっとしたホラーだった。
さらにはそうして放った矢が、しばらくすると光の帯を伴なって、デッドさんのもとに戻ってきて自動回収までされる。
なんたるリーズナブル。これもまた精霊魔法の一端なのだろうが、奥が深い。
「魔族の野郎ども、ホント傍迷惑な! 手当たり次第に魔物や魔獣を撒き散らしやがったから、めんどくせーったら!」
ぶちぶち漏らしつつも、狙撃の手は緩めない。
結局、俺は襲撃者の影すら1回も目にせぬまま、樹海の中央――エルフの郷の入り口に辿り着いていた。
入り口といっても、別に扉が置かれていたり、門があるわけでもない。これまでと似たような鬱蒼とした木々が続くだけだ。
しかしながら、見かけはこれまでの森と同じでも、気配が違うというべきか。ほんの一歩先を境として、その奥と手前では明確な境界でもあるかのように感じられた。
「ま、部外者は本来、内側から招いてやらないと、結界に妨げられて入れないんだけどよ」
そう言いつつ、デッドさんは俺の手首を掴んでから、境界に足を踏み出した。
腕を引かれるまま、俺も歩を進めることになる。
「精霊の加護を受けたもんは、別ってことさね。にひ」
なにかを跨いだ不思議な感覚があった。
実際には感覚的なものだけでなく、日入り前の薄暗さが払拭され、春の日差しのような陽光が降り注ぐのを感じた。
明暗の差に思わず手をかざして待つこと、しばし。
ようやく辺りの状況がわかってきた。
足元はうっすらと続く草原、清涼感を伴なう小川が目の前を横切って流れ、その先には天然の樹木を利用した住居らしきものが散在している。
村――いや、規模としては町ほどもありそうな、充分な広さがあった。
その部分だけ樹海を丸く切り取ったように、周囲を木々の壁に囲まれた――まさしく秘境がそこにあった。
人影もちらほら見受けられる。
素朴な淡色の衣服を身に着けた住人たちは、遠目ながらに全員が煌く金髪で、尖った耳らしきものも見て取れた。
「本当に……エルフの郷だ……」
幻想的な光景に、感激して興奮するどころか、逆に呆けてしまう。
「にひ。驚いてくれてなによりだ。さ、行くぞ」
満足げな顔をしてから、デッドさんはさらに先へと向かっていた。
「ま、待って、置いてかないでくださいよ! ととと」
ずり落ちそうになった保温バッグを担ぎ直し、慌てて後に続く。
「でもこれ、どうなってるんだろ? さっきまで暗かったのに……」
周囲をきょろきょろしながら歩いていると、
「あ、これ? もうすぐ夜なのに、なんで明るいかってか? エルフは人間みたいに、夜になると寝て朝に起きるって習慣がないからな。夜も起きているもんのために、光の精霊と契約してるから、結界の中はいつでもこんなもんだ」
デッドさんが説明してくれた。
「へええ~」
感嘆の声しか出ない。
妖精の楽園――そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
住居近くまで来ると、さすがに住人のエルフたちもこちらの存在に気づいたようだった。
先行するデッドさんの姿を認めて微笑んでから――背後に続く俺の存在に気づき、引きつったような表情をして、そそくさと住居の中に消えて去ってしまう。
そんなことを繰り返して、ほんの数秒の間に、視界にいたすべてのエルフは居なくなってしまった。
「……あれえ?」
「ま、しゃーねーわな。普通、部外者が入るには許可がいるから、その頃には通知が回ってっからなー。見慣れない余所者で、しかも人間がいきなりじゃあ、そりゃあ驚くわな! にゃはは!」
そういえば、先ほども聞かされた事柄だった。
ということは、精霊の加護持ちはエルフの秘境すらフリーパス? そんな特典まで勝手に受けてしまっていいのだろうかと、再三、心配になる。
デッドさんはなんだかご機嫌だが、これってつまり彼女が勝手に加護を与えたってことがもろバレなわけだけど――本人、理解しているのだろうか。こちらも心配なところだ。
住居や建物の物陰からは、いくつも不信感丸出しの視線が突き刺さってきていた。
(エルフの皆さん、驚かせてごめんなさい。無害な奴なんで、許してください)
心の中で拝みつつ、こそこそと移動する。
どうにも肩身が狭い。
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美形な上に美しい金髪金目と相まって、まるで西洋絵画から抜け出したようだ。
これぞ、エルフ! という実感が湧く。
やはりというか、デッドさんがこちらでのエルフの標準というわけではなかったらしい。よかった。
なんて思うや否や、じと目になったデッドさんに、下から鼻を弾かれた。
「今、よからぬことを考えた気配がした!」
すみません。
「うむ」
満足気に頷いてから、デッドさんは正面に向き直ると、再び歩き出した。
なんか、心を読んでませんか? そんな感じがしたが、答えを聞くのが怖かったので、聞かないことにした。
……くれぐれも、気をつけよう。
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