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第十章
謎のたまごろー 2
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事情を説明すること5分。
最初は何事かと興味深げに聞いていたフェブも、話が進むうちに急速に血の気が引いて青ざめていた。
「ええ! あれって売り物じゃなかったんですか!?」
「ごめん、俺もきちんと言っておけばよかったんだけど」
「すみません……どうしよう、どうしよう……」
フェブは傍目でもわかるようにオロオロしていた。
椅子から無意味に立ったり座ったりを繰り返している。
まあ、気持ちはわからないでもない。
生真面目なフェブの性格を慮ると、なおさらだろう。
「こうなったら、ベルデンから騎士団を呼び寄せて、大々的な捜索網を――!」
「いやいや少し落ち着こう。それ、物凄い大事になるから」
取り乱すフェブを宥めて、落ち着かせるために温かいミルク珈琲を淹れる。
俺も気を静めるために、自分の分の珈琲も用意した。
ひとまずふたりしてカップを両手に、静かに珈琲を啜る。
「ふ~……うーん、でも実際のところ、どうしようか……どんなお客だったか、覚えてる?」
「少なくとも、ボクは初めて見るお客さまでした。お客さまも、初めて足を運ばれたと仰っていました」
「そっか、一見さんか。それは厳しいね……」
空になった珈琲カップを弄びながらぼやく。
なにせ、カルディナの街は人口だけでも1万人。
観光客を含めると、人数はそれ以上になる。
話を聞く限りでは、その客は地元の住人ではないように思う。
仮に観光客となると、特定は途方もなく困難だし、既に街を後にした可能性すら拭えない。
「ああ、本当に申し訳ありません! ああ、どうしよう。どうしたら……」
自責の念のあまりか、フェブが挙動不審にまで陥っていた。
「……仕方ないよ。仮に運よく見つかったとしても、返してもらうのは難しいかもしれない。実際問題、一度売ってしまった後で『間違いだったから返せ』というのもお門違いな気がするし」
悔いは残るが、諦めるしかないだろう。
俺にとって、たまごろーはあの竜の魔窟で苦難を共にした仲だ。
最近も危機を救ってもらった。できることなら、取り戻したいのが本音だ。
けれど、俺がしつこく執着すれば、フェブをよりいっそう追い込むことになってしまう。
決して悪気があったわけではないどころか、むしろ店のことを考えて一生懸命だったはずだ。
なのに、それではあまりに可哀相だろう。
元はと言えば、はっきり伝えておかなかったのは明らかな俺のミスだ。
そして、そのまま店番を任せてしまったのも俺なら、言外であろうともフェブを責めるのは筋違いだろう。
「それにしても、そのお客……よくもまあ、あの巨大な卵を買う気になったよね。嵩張って仕方ないだろうに。そういや、値札は付けてなかったはずだけど、フェブはいったいいくらで売ったの?」
「……はい。その棚の1番上が198ゼンですよね?」
フェブがおずおずと、たまごろーが据えてあったカウンター横の棚を指差した。
この棚は、もともとカテゴリ分けするほどもない小物類のこざこざを、大雑把に値段別に分けて収納している棚だった。
棚は全部で6段あり、値ごろ感から下の段から698ゼンに始まり、598、498、398と、段が1段上がるごとに100ゼンずつ値下げしている。
で、1番上が最安値の198ゼン。
本来はそこで終わりなのだけども……
「さらにその上なので、98ゼンかな、と……」
フェブは人差し指同士を突き合わせながら、消え入るように言った。
俺はつい目尻を押さえて、天井を仰ぎ見てしまう。
(そうか……哀れ、たまごろー。なんと缶ジュース1本にも満たない値段で売られていったとは。かわいそ過ぎる)
「ああ、すみません! 本当にすみません!」
「もう、いいからいいから。この話はこれぐらいにしとこう。さ、仕事仕事!」
苦笑しながら促し、空いたふたり分の珈琲カップを重ねて、カウンターの奥へと運んだ。
とはいえ。
その日はどうにも元気が出なかった。
事あるごとに棚を見上げては、ため息が出てしまう。
(あー……結構、ショック受けてるんだな、俺)
意識せずにそうなってしまうのだから、どうしても自覚せざるを得ない。
(いけないいけない。バイトとはいえ、今は俺も部下を抱える店長。しっかりしないと! 切り替えなくっちゃ)
そう思いつつも、ついつい棚を目で追ってしまうのであった。
その翌日。
店に来ると、なぜかいつもの定位置にたまごろーの姿があった。
何事もなかったように、天窓からの陽光を受けながら、その雄姿を誇っている。
しばしの間、俺は馬鹿みたいに大口を開けたまま、声が出なかった。
(おやあ、これはいったい?)
「え、あ。あれ? 見てくださいよ、アキト店長! たまごろーが帰ってきてますよ!? たまごろー! ほらほら!」
遅れて店内に入ってきたフェブも、たまごろーを指差して大はしゃぎしている。
あまりに興奮して俺の服の袖を引っ張っているので、既に服は皺だらけだ。
「よかった! たまごろー、よかった! でも、どうして!?」
「いやいや、俺が聞きたいぐらいだよ」
最近の卵には帰巣本能とかあるのだろうか。
まさか買った人が、わざわざこっそりと戻しに来たなんてことはないだろう。
となるとやはり、自力で戻ってきたとしか……
(もしかして、精霊さん?)
咄嗟の閃きにしては可能性が高そうだったが、それはどうも違うようだった。
精霊さんからの反応はない。
近頃では、ちょっとしたことなら精霊の感情を共有できるようになってきたので、それがわかる。
(以前のことといい、やっぱり不思議な卵だよ。たまごろー)
とはいえ、意に反して安堵の息が漏れた。
「アキト店長、ボク考えたのですけど! 売った後に戻ってくるなら、これって何度でも売れるってことになりません? 儲けのチャンスではないでしょうか?」
「いや、それ普通に詐欺だから」
興奮しすぎて、思考が明後日の方向に行っているフェブをとりあえず窘めておく。
謎は謎、不可解は不可解だが……こうして、たまごろーは戻ってきた。それが唯一の真実だ。
仮に買ったお客がやってくることがあれば、事情を説明して納得してもらおう。
今はとにかくそれでいい。
「おかえり、たまごろー」
そして、たった1日という期間を経て、たまごろーは無事にシラキ屋へ戻ってきたのだった。
最初は何事かと興味深げに聞いていたフェブも、話が進むうちに急速に血の気が引いて青ざめていた。
「ええ! あれって売り物じゃなかったんですか!?」
「ごめん、俺もきちんと言っておけばよかったんだけど」
「すみません……どうしよう、どうしよう……」
フェブは傍目でもわかるようにオロオロしていた。
椅子から無意味に立ったり座ったりを繰り返している。
まあ、気持ちはわからないでもない。
生真面目なフェブの性格を慮ると、なおさらだろう。
「こうなったら、ベルデンから騎士団を呼び寄せて、大々的な捜索網を――!」
「いやいや少し落ち着こう。それ、物凄い大事になるから」
取り乱すフェブを宥めて、落ち着かせるために温かいミルク珈琲を淹れる。
俺も気を静めるために、自分の分の珈琲も用意した。
ひとまずふたりしてカップを両手に、静かに珈琲を啜る。
「ふ~……うーん、でも実際のところ、どうしようか……どんなお客だったか、覚えてる?」
「少なくとも、ボクは初めて見るお客さまでした。お客さまも、初めて足を運ばれたと仰っていました」
「そっか、一見さんか。それは厳しいね……」
空になった珈琲カップを弄びながらぼやく。
なにせ、カルディナの街は人口だけでも1万人。
観光客を含めると、人数はそれ以上になる。
話を聞く限りでは、その客は地元の住人ではないように思う。
仮に観光客となると、特定は途方もなく困難だし、既に街を後にした可能性すら拭えない。
「ああ、本当に申し訳ありません! ああ、どうしよう。どうしたら……」
自責の念のあまりか、フェブが挙動不審にまで陥っていた。
「……仕方ないよ。仮に運よく見つかったとしても、返してもらうのは難しいかもしれない。実際問題、一度売ってしまった後で『間違いだったから返せ』というのもお門違いな気がするし」
悔いは残るが、諦めるしかないだろう。
俺にとって、たまごろーはあの竜の魔窟で苦難を共にした仲だ。
最近も危機を救ってもらった。できることなら、取り戻したいのが本音だ。
けれど、俺がしつこく執着すれば、フェブをよりいっそう追い込むことになってしまう。
決して悪気があったわけではないどころか、むしろ店のことを考えて一生懸命だったはずだ。
なのに、それではあまりに可哀相だろう。
元はと言えば、はっきり伝えておかなかったのは明らかな俺のミスだ。
そして、そのまま店番を任せてしまったのも俺なら、言外であろうともフェブを責めるのは筋違いだろう。
「それにしても、そのお客……よくもまあ、あの巨大な卵を買う気になったよね。嵩張って仕方ないだろうに。そういや、値札は付けてなかったはずだけど、フェブはいったいいくらで売ったの?」
「……はい。その棚の1番上が198ゼンですよね?」
フェブがおずおずと、たまごろーが据えてあったカウンター横の棚を指差した。
この棚は、もともとカテゴリ分けするほどもない小物類のこざこざを、大雑把に値段別に分けて収納している棚だった。
棚は全部で6段あり、値ごろ感から下の段から698ゼンに始まり、598、498、398と、段が1段上がるごとに100ゼンずつ値下げしている。
で、1番上が最安値の198ゼン。
本来はそこで終わりなのだけども……
「さらにその上なので、98ゼンかな、と……」
フェブは人差し指同士を突き合わせながら、消え入るように言った。
俺はつい目尻を押さえて、天井を仰ぎ見てしまう。
(そうか……哀れ、たまごろー。なんと缶ジュース1本にも満たない値段で売られていったとは。かわいそ過ぎる)
「ああ、すみません! 本当にすみません!」
「もう、いいからいいから。この話はこれぐらいにしとこう。さ、仕事仕事!」
苦笑しながら促し、空いたふたり分の珈琲カップを重ねて、カウンターの奥へと運んだ。
とはいえ。
その日はどうにも元気が出なかった。
事あるごとに棚を見上げては、ため息が出てしまう。
(あー……結構、ショック受けてるんだな、俺)
意識せずにそうなってしまうのだから、どうしても自覚せざるを得ない。
(いけないいけない。バイトとはいえ、今は俺も部下を抱える店長。しっかりしないと! 切り替えなくっちゃ)
そう思いつつも、ついつい棚を目で追ってしまうのであった。
その翌日。
店に来ると、なぜかいつもの定位置にたまごろーの姿があった。
何事もなかったように、天窓からの陽光を受けながら、その雄姿を誇っている。
しばしの間、俺は馬鹿みたいに大口を開けたまま、声が出なかった。
(おやあ、これはいったい?)
「え、あ。あれ? 見てくださいよ、アキト店長! たまごろーが帰ってきてますよ!? たまごろー! ほらほら!」
遅れて店内に入ってきたフェブも、たまごろーを指差して大はしゃぎしている。
あまりに興奮して俺の服の袖を引っ張っているので、既に服は皺だらけだ。
「よかった! たまごろー、よかった! でも、どうして!?」
「いやいや、俺が聞きたいぐらいだよ」
最近の卵には帰巣本能とかあるのだろうか。
まさか買った人が、わざわざこっそりと戻しに来たなんてことはないだろう。
となるとやはり、自力で戻ってきたとしか……
(もしかして、精霊さん?)
咄嗟の閃きにしては可能性が高そうだったが、それはどうも違うようだった。
精霊さんからの反応はない。
近頃では、ちょっとしたことなら精霊の感情を共有できるようになってきたので、それがわかる。
(以前のことといい、やっぱり不思議な卵だよ。たまごろー)
とはいえ、意に反して安堵の息が漏れた。
「アキト店長、ボク考えたのですけど! 売った後に戻ってくるなら、これって何度でも売れるってことになりません? 儲けのチャンスではないでしょうか?」
「いや、それ普通に詐欺だから」
興奮しすぎて、思考が明後日の方向に行っているフェブをとりあえず窘めておく。
謎は謎、不可解は不可解だが……こうして、たまごろーは戻ってきた。それが唯一の真実だ。
仮に買ったお客がやってくることがあれば、事情を説明して納得してもらおう。
今はとにかくそれでいい。
「おかえり、たまごろー」
そして、たった1日という期間を経て、たまごろーは無事にシラキ屋へ戻ってきたのだった。
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