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13章 研究会の研究
事故物件の入居者が恋したのは、自殺した女性・・・
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数日が過ぎた。
日曜日での報告はその翌日になされた。
「沼田君も明日来てね」
と部長さんに言われたので、僕も参加した。
椅子に座っている人数を数えてみると11名だった。
確かあの時、部長さんは現在、11名だと言っていた記憶があるので、もしこれで全員なら、新入部員は入っていないことになる。
見慣れない僕が居ることに、部長さんが僕の事を紹介してくれた。
そして部長さんが、昨日の出来事をみんなに話す。
事情を知らない部員さんは驚きを隠せないでいる。
それから僕は、講義の合間や終了後にオカルト研究会に顔を出すようになっていった。
部室にはいつも誰かがいて、研究会は妙に活気づいている。
今までのような使い古された案件の検証とは違い、今回は進行形の事態だから自然と興味が沸くのだろう。
今、みんなが調べているのは、地縛霊と人間が仲良く同居した事例が過去にあったかどうかについてだ。
岬さんの話によると、単なる地縛霊とは違うのではないのではないか、との意見だが・・・
部員たちは、本棚に収められた本やインターネットから情報を収集している。
日本に限らず、海外の情報も得ている。
そして僕も一緒に調べる。
僕の平穏を早く取り戻す為に・・・
僕は部員ではないが、誰もそんなことは気にしていないようだ。
最早、僕は部員の一人と化している。
尾関さんと今村さんは霊現象ではなく、彼の環境の変化による自己暗示的な現象ではないかと、そちらから調べている。
だが、いくら調べても地縛霊は、人間に悪影響を及ぼす存在でしかないようだ。
尾関さんたちの情報も、可能性として、ホームシック的なことでの情緒不安定ならあり得るという程度で、決定的な理論はない。
そんな中、部長さんが意外な情報を探してきた。
「みんな、ちょっといいかな」
部長さんは部室に入って来るなり、開口一番そう言った。
部室には僕を含めた9名ほどが椅子に座って調べていた。
僕・岬さん・紅林さん・尾関さん・今村さん・阿部さん・加藤さん・島田さんの8名だ。加藤さんも、島田さんも共に男子で2年生だ。
みんなはテーブルを挟んで向かい合うように座っている。部長さんはテーブルの短辺側に一人で座った。
左右全員の視線が部長さんに向けられる。
「地縛霊とは直接関係ないんだけど、ちょっと興味深い記事を見つけたんだ」
そう言うと、カバンの中を探り、だいぶ年期の入った本を取り出し、テーブルの上に置いた。
それほど厚い本ではない。
「ずいぶん昔に書かれた本なんだけど、この中に霊界と魔界についての記述があるんだ」
そう言うと、部長さんはそれについて話し始めた。
その書物の記述によると、通常、亡くなった人間が行くのが霊界で、成仏できず、霊界に行けない浮遊霊が時間と共に魔界の住人になっていくらしい。魔界の住人になってしまうと、霊界に戻るのはかなり難しく、人間を魔界に連れて行くことによって魔界でのランクが上がり、霊界への道が開かれる。
だから魔界の住人は、人間と近い距離にいるらしい。
そして時期をみて、魔界へ連れ去る。
もちろん、真偽のほどは明らかではない。
そして部長さんは、とんでもない推理を持ち出したのだ。
13章 研究会の研究 完 続く
日曜日での報告はその翌日になされた。
「沼田君も明日来てね」
と部長さんに言われたので、僕も参加した。
椅子に座っている人数を数えてみると11名だった。
確かあの時、部長さんは現在、11名だと言っていた記憶があるので、もしこれで全員なら、新入部員は入っていないことになる。
見慣れない僕が居ることに、部長さんが僕の事を紹介してくれた。
そして部長さんが、昨日の出来事をみんなに話す。
事情を知らない部員さんは驚きを隠せないでいる。
それから僕は、講義の合間や終了後にオカルト研究会に顔を出すようになっていった。
部室にはいつも誰かがいて、研究会は妙に活気づいている。
今までのような使い古された案件の検証とは違い、今回は進行形の事態だから自然と興味が沸くのだろう。
今、みんなが調べているのは、地縛霊と人間が仲良く同居した事例が過去にあったかどうかについてだ。
岬さんの話によると、単なる地縛霊とは違うのではないのではないか、との意見だが・・・
部員たちは、本棚に収められた本やインターネットから情報を収集している。
日本に限らず、海外の情報も得ている。
そして僕も一緒に調べる。
僕の平穏を早く取り戻す為に・・・
僕は部員ではないが、誰もそんなことは気にしていないようだ。
最早、僕は部員の一人と化している。
尾関さんと今村さんは霊現象ではなく、彼の環境の変化による自己暗示的な現象ではないかと、そちらから調べている。
だが、いくら調べても地縛霊は、人間に悪影響を及ぼす存在でしかないようだ。
尾関さんたちの情報も、可能性として、ホームシック的なことでの情緒不安定ならあり得るという程度で、決定的な理論はない。
そんな中、部長さんが意外な情報を探してきた。
「みんな、ちょっといいかな」
部長さんは部室に入って来るなり、開口一番そう言った。
部室には僕を含めた9名ほどが椅子に座って調べていた。
僕・岬さん・紅林さん・尾関さん・今村さん・阿部さん・加藤さん・島田さんの8名だ。加藤さんも、島田さんも共に男子で2年生だ。
みんなはテーブルを挟んで向かい合うように座っている。部長さんはテーブルの短辺側に一人で座った。
左右全員の視線が部長さんに向けられる。
「地縛霊とは直接関係ないんだけど、ちょっと興味深い記事を見つけたんだ」
そう言うと、カバンの中を探り、だいぶ年期の入った本を取り出し、テーブルの上に置いた。
それほど厚い本ではない。
「ずいぶん昔に書かれた本なんだけど、この中に霊界と魔界についての記述があるんだ」
そう言うと、部長さんはそれについて話し始めた。
その書物の記述によると、通常、亡くなった人間が行くのが霊界で、成仏できず、霊界に行けない浮遊霊が時間と共に魔界の住人になっていくらしい。魔界の住人になってしまうと、霊界に戻るのはかなり難しく、人間を魔界に連れて行くことによって魔界でのランクが上がり、霊界への道が開かれる。
だから魔界の住人は、人間と近い距離にいるらしい。
そして時期をみて、魔界へ連れ去る。
もちろん、真偽のほどは明らかではない。
そして部長さんは、とんでもない推理を持ち出したのだ。
13章 研究会の研究 完 続く
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