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10章 最強の部員たちとの出会い
事故物件の入居者が恋したのは、自殺した女性・・・
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「え!入部希望者だったの?」
3人が同時に同じ言葉を発し、今、立っている僕の方を上目使いで見てくる。
「いえ、ちょっとお伺したいことがありまして・・・」
僕は、なんとなくバツが悪そうに言う。
「なんだ、そう・・・まぁいいや、ここに座って・・・」
部長さんにテーブルの一番端の椅子に座るよう、促された。
「ありがとうございます」
僕は促されるままに椅子に腰かけた。少し離れた椅子に先ほどの3人が座っている。僕は3人の方へちらっと視線を送った。それに男子部員が気づいたのか、
「僕ら席、外そうか」
携帯を一旦テーブルに置き、立ち上がろうとする。
「いえ、皆さんにも聞いて頂きたいです」
僕は3人の方へ目をやり、そう言った。
「というと、何かヤバイ感じの話?幽霊が出たとか・・・」
僕の前に腰を下ろした部長さんが、身を乗り出すように腰を浮かしかけた。その仕草とピンクのメガネとおかっぱ頭が妙に合っている。
「それもわからないから、皆さんのご意見を伺いたいので、来たんですが・・・」
僕のその言葉に、部長さんは突然活気づくと、
「ねえ阿部君、部員のみんなにライン送ってくれる。すぐに部室に来れる人は来って・・・
できれば、紅林君と岬さんには来て欲しいな」
部長さんは男子部員に声をかけた。彼の名前は『阿部』というようだ。
「了解です」
「そう言えば、君、なんて名前なの?」
今度は僕の方へ向き直って言った。
「沼田といいます」
「沼田、何君?」
「洋介です」
「沼田洋介君か・・・何学部?」
「経済の経済です」
僕は新入部員が入ったのかどうか、訊こうかとも思ったが、とんだ藪蛇になってはいけないと思い、踏み止まった。
「一応、紹介しておこうかな」
部長さんはそう言うと、まず、阿部さんの方を向き、
「彼は阿部君、3年生で物理専攻。ここでは超常現象が起こっている現場での磁場や温度変化など、物理・科学的な事を研究しているの。で、こっちの女子2人は2年生。奥の方、ネガネをかけているのが尾関さんで手前が今村さん。2人とも数学専攻。彼女たちは超常現象やラップ現象が霊の仕業というのには否定的な考え・・・」
「え?」
「意外でしょ。彼女たちはそうした現象の理由を、論理的に説明がつくように調べているの」
「そうなんですか」
「超常現象を、面白、おかしくではなく、きちんと研究してるんだよ。あたしたち・・・」
部長さんは正面に座っている僕の顔をまじまじと見ながら言った。
僕は彼女たちの方をちらっと見た。下を向き、携帯をいじりながら、小さく頷いている。
ちなみに、尾関さんのメガネはおしゃれな丸メガネだ。
どうやら僕はこのサークルの趣旨を誤解していたようだ。このサークルの方たちは真面目に超常現象について研究しているようだった。
「で、さっき来て欲しいと言っていた2人は霊感が強くて、心霊スポットとかに行っても、『もう無理・・・』とか言って、少し離れた場所で待機してるんだ。だから霊に関しては一番近い場所にいるのかもしれないの」
そんな話をしていると、部室のドアが開き、一人の女子部員が入って来た。
部長さんはすぐに、
「彼女が今、話をしていた岬さん。私と同じ4年生・・・」
小柄で細身の女子だ。少し緩めの服を着ている。高校生と偽っても誰も疑わないかも知れない。
岬さんは僕に気がつくとペコリと頭を下げる。僕も椅子から立ち上がり、ペコリと頭を下げる。
「紅林君は?」
部長さんが阿部さんに尋ねる。
「今、学内にいないから来れないみたいです」
「わかったわ。じゃぁ、沼田君の話、聞こっか」
部長さんはそういうと、みんなを見回し、テーブルの短い辺に椅子を置き、僕にそこに座るように促してきた。僕が座ると、テーブルの両再度に後から来た部員も含めて、7人が座った。男子3人、女子4人の視線が僕に向けられる。
そして僕は静かに話し始めた・・・
10章 最強の部員たちとの出会い 完 続く
3人が同時に同じ言葉を発し、今、立っている僕の方を上目使いで見てくる。
「いえ、ちょっとお伺したいことがありまして・・・」
僕は、なんとなくバツが悪そうに言う。
「なんだ、そう・・・まぁいいや、ここに座って・・・」
部長さんにテーブルの一番端の椅子に座るよう、促された。
「ありがとうございます」
僕は促されるままに椅子に腰かけた。少し離れた椅子に先ほどの3人が座っている。僕は3人の方へちらっと視線を送った。それに男子部員が気づいたのか、
「僕ら席、外そうか」
携帯を一旦テーブルに置き、立ち上がろうとする。
「いえ、皆さんにも聞いて頂きたいです」
僕は3人の方へ目をやり、そう言った。
「というと、何かヤバイ感じの話?幽霊が出たとか・・・」
僕の前に腰を下ろした部長さんが、身を乗り出すように腰を浮かしかけた。その仕草とピンクのメガネとおかっぱ頭が妙に合っている。
「それもわからないから、皆さんのご意見を伺いたいので、来たんですが・・・」
僕のその言葉に、部長さんは突然活気づくと、
「ねえ阿部君、部員のみんなにライン送ってくれる。すぐに部室に来れる人は来って・・・
できれば、紅林君と岬さんには来て欲しいな」
部長さんは男子部員に声をかけた。彼の名前は『阿部』というようだ。
「了解です」
「そう言えば、君、なんて名前なの?」
今度は僕の方へ向き直って言った。
「沼田といいます」
「沼田、何君?」
「洋介です」
「沼田洋介君か・・・何学部?」
「経済の経済です」
僕は新入部員が入ったのかどうか、訊こうかとも思ったが、とんだ藪蛇になってはいけないと思い、踏み止まった。
「一応、紹介しておこうかな」
部長さんはそう言うと、まず、阿部さんの方を向き、
「彼は阿部君、3年生で物理専攻。ここでは超常現象が起こっている現場での磁場や温度変化など、物理・科学的な事を研究しているの。で、こっちの女子2人は2年生。奥の方、ネガネをかけているのが尾関さんで手前が今村さん。2人とも数学専攻。彼女たちは超常現象やラップ現象が霊の仕業というのには否定的な考え・・・」
「え?」
「意外でしょ。彼女たちはそうした現象の理由を、論理的に説明がつくように調べているの」
「そうなんですか」
「超常現象を、面白、おかしくではなく、きちんと研究してるんだよ。あたしたち・・・」
部長さんは正面に座っている僕の顔をまじまじと見ながら言った。
僕は彼女たちの方をちらっと見た。下を向き、携帯をいじりながら、小さく頷いている。
ちなみに、尾関さんのメガネはおしゃれな丸メガネだ。
どうやら僕はこのサークルの趣旨を誤解していたようだ。このサークルの方たちは真面目に超常現象について研究しているようだった。
「で、さっき来て欲しいと言っていた2人は霊感が強くて、心霊スポットとかに行っても、『もう無理・・・』とか言って、少し離れた場所で待機してるんだ。だから霊に関しては一番近い場所にいるのかもしれないの」
そんな話をしていると、部室のドアが開き、一人の女子部員が入って来た。
部長さんはすぐに、
「彼女が今、話をしていた岬さん。私と同じ4年生・・・」
小柄で細身の女子だ。少し緩めの服を着ている。高校生と偽っても誰も疑わないかも知れない。
岬さんは僕に気がつくとペコリと頭を下げる。僕も椅子から立ち上がり、ペコリと頭を下げる。
「紅林君は?」
部長さんが阿部さんに尋ねる。
「今、学内にいないから来れないみたいです」
「わかったわ。じゃぁ、沼田君の話、聞こっか」
部長さんはそういうと、みんなを見回し、テーブルの短い辺に椅子を置き、僕にそこに座るように促してきた。僕が座ると、テーブルの両再度に後から来た部員も含めて、7人が座った。男子3人、女子4人の視線が僕に向けられる。
そして僕は静かに話し始めた・・・
10章 最強の部員たちとの出会い 完 続く
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