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10章 残った2人
もう一つの小学校
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「とうとう渉君も連れて行かれちゃったね。どうしよう・・・」
日葵ちゃんが不安そうに蓮君の様子を覗うように尋ねる。
「うん、そうだな~ ここにいても仕方ないから、1階へ降りようか」
蓮君がそう言うと、2人は来た廊下を戻り、再び1階へ降りる。
1階の廊下には、低学年らしき生徒たち数人が無造作に歩いている。
2人は何となく奥へ向かって歩き始める。
職員室の前を通り過ぎる。
沙織先生はこの職員室の中にいるはずだが部屋の様子は覗えない。
廊下の先の左側は昇降口になっていた。
下駄箱の数からして生徒は300名くらいはいるのだろうか・・・
(しかし、なんでこんな田舎の小学校に・・・)
2人はまだこの学校になぜ多くの生徒が集まるのか、本当の目的を知らない。ただ気づいたのは、成績が貼り出されていたという事実だけだ。
「外に出てみようか・・・
確かアイツ・・・悟は校内からは出られないって言ったけど、校舎から出れないとは言ってなかったよな。出てみよう・・・」
昇降口のドアは数か所がすでに開けれている状態。
とはいえ、2人の運動靴はないので、上履きまま出るしかなさそうだ。
2人は顔を見合わせ頷くと、そのまま昇降口から出ようとする。
すると、職員室の方から若い男性が凄い勢いで走って来るのが見えた。
2人が立ち止まっていると、蓮君に近寄り、
「お前、学校に来てたのか・・・
今、お前の家に行こうと思っていたが、ちょうどいい・・・
お前の担任の先生が待ってる・・・ちょっと来い」
口調がやけに荒っぽい。
(たぶん、体育の先生なのだろう・・・割と体つきがしっかりしている。ただ身長はそれほどの高身長ではない。髪はスポーツ刈りより少し長い感じだ。
おそらく、僕の家に呼びに行くために頼まれたのかもしれない。
学校から僕の家までは、坂を少し登ったり下りたりしながら子供の足で10分くらいだ。
最も、それはこちらの世界の話で、ここの世界で僕の家が同じ場所にあるとは限らないし、これだけ近代的になっているのなら、道路事情も違うに違いない。)
2人は訳がわからずに、困り顔をしていると、
「まったくお前は本当に面倒かけるヤツだな」
その男性はあきれたようにそう言うと、半ば強制的に蓮君の腕をひっぱり、職員室の方へ戻ろうとする。
「岩瀬も岩本なんかと関わってないで、補習授業出るなら出て、用がないなら帰って勉強でもしていろ」
日葵ちゃんの方へ振り帰りそう言うと、男性は蓮君を強引に職員室の方へ連れて行ってしまった。
最後に一人、日葵ちゃんだけがポツンと残った。
10章 残った2人 完 続く
日葵ちゃんが不安そうに蓮君の様子を覗うように尋ねる。
「うん、そうだな~ ここにいても仕方ないから、1階へ降りようか」
蓮君がそう言うと、2人は来た廊下を戻り、再び1階へ降りる。
1階の廊下には、低学年らしき生徒たち数人が無造作に歩いている。
2人は何となく奥へ向かって歩き始める。
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沙織先生はこの職員室の中にいるはずだが部屋の様子は覗えない。
廊下の先の左側は昇降口になっていた。
下駄箱の数からして生徒は300名くらいはいるのだろうか・・・
(しかし、なんでこんな田舎の小学校に・・・)
2人はまだこの学校になぜ多くの生徒が集まるのか、本当の目的を知らない。ただ気づいたのは、成績が貼り出されていたという事実だけだ。
「外に出てみようか・・・
確かアイツ・・・悟は校内からは出られないって言ったけど、校舎から出れないとは言ってなかったよな。出てみよう・・・」
昇降口のドアは数か所がすでに開けれている状態。
とはいえ、2人の運動靴はないので、上履きまま出るしかなさそうだ。
2人は顔を見合わせ頷くと、そのまま昇降口から出ようとする。
すると、職員室の方から若い男性が凄い勢いで走って来るのが見えた。
2人が立ち止まっていると、蓮君に近寄り、
「お前、学校に来てたのか・・・
今、お前の家に行こうと思っていたが、ちょうどいい・・・
お前の担任の先生が待ってる・・・ちょっと来い」
口調がやけに荒っぽい。
(たぶん、体育の先生なのだろう・・・割と体つきがしっかりしている。ただ身長はそれほどの高身長ではない。髪はスポーツ刈りより少し長い感じだ。
おそらく、僕の家に呼びに行くために頼まれたのかもしれない。
学校から僕の家までは、坂を少し登ったり下りたりしながら子供の足で10分くらいだ。
最も、それはこちらの世界の話で、ここの世界で僕の家が同じ場所にあるとは限らないし、これだけ近代的になっているのなら、道路事情も違うに違いない。)
2人は訳がわからずに、困り顔をしていると、
「まったくお前は本当に面倒かけるヤツだな」
その男性はあきれたようにそう言うと、半ば強制的に蓮君の腕をひっぱり、職員室の方へ戻ろうとする。
「岩瀬も岩本なんかと関わってないで、補習授業出るなら出て、用がないなら帰って勉強でもしていろ」
日葵ちゃんの方へ振り帰りそう言うと、男性は蓮君を強引に職員室の方へ連れて行ってしまった。
最後に一人、日葵ちゃんだけがポツンと残った。
10章 残った2人 完 続く
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