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6章 先生ひとり、生徒3人
もう一つの小学校
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2人が二階へ上がった後、4人はとりあえず、校舎の中を歩いてみるにした。
階段手前には1年1組・2組、階段の先には2年1組・2組・3年1組・2組と教室が並んでいて、先にはトイレ、職員室と保健室の札が下がっている。突き当りは図書室だろうか。
左手のガラス窓を通して見える山々は自分たちの世界と同じようだ。
廊下にはいろいろな学年の生徒が立ち話をしたり、歩いたりしているが、騒いでいる生徒はいない。
休み時間なのかもしれない・・・
階段を過ぎて、3年生の教室まで来ると、職員室から教師らしきスーツ姿の男性が現れた。40歳くらいだろうか、サラリーマン的な雰囲気が漂っている。
こちらに気がつくと、一瞬、困ったような表情を浮かべ、すぐに近寄ってきた。
4人はちょっと身構える。
なんと言っても、ここは知らない世界。知らないことを訊かれたり、言われたりしたら困る。
前まで来ると、岩本 蓮君たち生徒3人をちらっと見た後、
「佐々木先生、ちょっといいですか・・・」
沙織先生が声をかけられた。身長は170㎝くらいでメガネをかけたやせ型の先生。神経質っぽさを感じさせる。
そして、蓮君を上から見下ろすようにすると、
「今日は全校一斉の補習授業日だけど、岩本は関係ないだろう・・・なんで今日、学校に来てるんだ」
先生はそう言うと、冷たい視線を蓮君に送る。
(補習授業日・・・? やはり夏休み中か・・・?
で、僕には関係ないのか・・・?)
「学校へ来るのは自由だけど、あんまり問題を起こすなよ」
先生が言葉を続ける。
(問題を起こす・・・? 僕が・・・?)
当たり前だが、その意味を4人とも理解できない。
ただ、さっき女子生徒が、言った言葉がふと思い出される。
『でも先生、岩本君と和仁さんたちと一緒にいても大丈夫なの?他の先生に怒られるんじゃないの?』
たぶん、何か関連がありそうなことぐらいの想像はつく。
すると今度は、花岡 渉君へ視線を移し、
「珍しいな。花岡が学校に来るとは・・・」
(珍しい・・・? 学校へ来ることが???)
これも又、意味不明な先生の言葉だ。
そして最後に岩瀬 日葵ちゃんに視線を送ると、
「岩瀬は補習授業に出るのか?」
(補習授業に出る・・・? 私が・・・?)
これまた意味がわからない。
ただ、ここの世界が自分たちのいる世界とは全く異なっていることだけはわかる。
「じゃぁ佐々木先生、職員室までちょっと来て下さい」
そう言うと、その先生は沙織先生を職員室に連れて行ってしまった。
生徒3人が残った。
6章 先生ひとり、生徒3人
階段手前には1年1組・2組、階段の先には2年1組・2組・3年1組・2組と教室が並んでいて、先にはトイレ、職員室と保健室の札が下がっている。突き当りは図書室だろうか。
左手のガラス窓を通して見える山々は自分たちの世界と同じようだ。
廊下にはいろいろな学年の生徒が立ち話をしたり、歩いたりしているが、騒いでいる生徒はいない。
休み時間なのかもしれない・・・
階段を過ぎて、3年生の教室まで来ると、職員室から教師らしきスーツ姿の男性が現れた。40歳くらいだろうか、サラリーマン的な雰囲気が漂っている。
こちらに気がつくと、一瞬、困ったような表情を浮かべ、すぐに近寄ってきた。
4人はちょっと身構える。
なんと言っても、ここは知らない世界。知らないことを訊かれたり、言われたりしたら困る。
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「佐々木先生、ちょっといいですか・・・」
沙織先生が声をかけられた。身長は170㎝くらいでメガネをかけたやせ型の先生。神経質っぽさを感じさせる。
そして、蓮君を上から見下ろすようにすると、
「今日は全校一斉の補習授業日だけど、岩本は関係ないだろう・・・なんで今日、学校に来てるんだ」
先生はそう言うと、冷たい視線を蓮君に送る。
(補習授業日・・・? やはり夏休み中か・・・?
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「学校へ来るのは自由だけど、あんまり問題を起こすなよ」
先生が言葉を続ける。
(問題を起こす・・・? 僕が・・・?)
当たり前だが、その意味を4人とも理解できない。
ただ、さっき女子生徒が、言った言葉がふと思い出される。
『でも先生、岩本君と和仁さんたちと一緒にいても大丈夫なの?他の先生に怒られるんじゃないの?』
たぶん、何か関連がありそうなことぐらいの想像はつく。
すると今度は、花岡 渉君へ視線を移し、
「珍しいな。花岡が学校に来るとは・・・」
(珍しい・・・? 学校へ来ることが???)
これも又、意味不明な先生の言葉だ。
そして最後に岩瀬 日葵ちゃんに視線を送ると、
「岩瀬は補習授業に出るのか?」
(補習授業に出る・・・? 私が・・・?)
これまた意味がわからない。
ただ、ここの世界が自分たちのいる世界とは全く異なっていることだけはわかる。
「じゃぁ佐々木先生、職員室までちょっと来て下さい」
そう言うと、その先生は沙織先生を職員室に連れて行ってしまった。
生徒3人が残った。
6章 先生ひとり、生徒3人
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