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1章 プロローグ
夏休み ユナちゃんの小さな冒険物語
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結城ユナちゃんは小学校3年生の9歳。身長は110㎝ほど。
小学校3年生女子の平均身長が130㎝ほどらしいので、小柄な方だ。やせ型で髪が肩ほどまで伸びている。目がクリっとしていて、ピンクのお洋服が大好きな可愛らしい女の子。
ただあまり社交的ではなく、内向的な性格。本を読んだり、お勉強したり、家にいるのが大好きだ。そのお陰か、勉強はクラスの中でも、かなりできる部類に入る。もっとも、本人はあまり気にかけていないが・・・
ユナちゃんは、パパとママの3人暮らし。
3人が住んでいるのは東京郊外、昔からの住宅街で、中古で売りに出されていた2階建て物件を3年前に購入した。ユナちゃんの小学生入学に合わせるようにしたのだ。
周りは高いマンションなどはなく、閑静な場所だ。ご近所さんと顔を合わせると、気軽に声をかけてくれる。
昔ながらの住宅街なので、個人商店が点在している。コンビニもある。
最寄り駅には大型スーパーがあるが、車かバスで行く必要がある。ただ難点は、車がすれ違うのが難しいくらいの小さい道がいくつも入り組んでいることだ。
パパとママは二人とも働いているので、日中は家にいない。ママはユナちゃんを学校に送り出してからパートに出かける。
学校から帰って来ると、テーブルの上におやつが用意されているので、ユナちゃんはいつもそれを食べてから本を読んだり勉強したりする。
そんなユナちゃんのちょっとしたお話である。
今日は8月1日。学校は夏休み。算数や国語や自由研究やらと、宿題がいろいろと出されている。
今ちょうどお昼。ママがお昼用に作り置きして冷蔵庫に入れて置いてくれたナポリタンをレンチンして食べる。
つい最近、パパとママが夕飯を食べながらこんな話をしていたのを思い出した。
「小学校で、なんで宿題なんて出すんだろう。勉強なんか本人の好きにしたらいいのに・・・」
パパが言う。
「何言ってるのよ。宿題を出さなかったら、ずっと遊んでばかりいるからでしょう・・・だからに決まってるじゃない・・・」
ママが当然と言わんばかりに言葉を返す。
「なんで?それでいいじゃん。だって夏休みだよ・・・休みなんだよ。好きにするべきだろう・・・それが休みってもんだよ。会社の正月休みに持ち帰り仕事やらされたら怒るぜ・・・」
「もう、あなたの理論は滅茶苦茶よ・・・」
パパの言うことも、ママの言うことも、なんとなく正しいような気がして聞いていた。
ナポリタンを食べ終えたユナちゃんは、食器を流しへ運ぶと、小さい踏み台を流し前に置き、自分で洗った。
ママの負担を少しでも減らしてあげたいという子供心からだ。
洗い終えると、踏み台を脇に戻し、
(とりあえず算数の宿題でもやろうかな・・・)
ユナちゃんは1階のクーラーの効いた自分の部屋に入った。
ドアを開けると右横にベッドが、正面に勉強机が置かれている。左横の壁際には2段の小さな本棚が置かれ、グリム童話や名作シリーズ・最近のアニメ本などがきちんと収められている。
椅子に座り、机の上に置かれている算数の教科書をおもむろに開き、ノートを用意した。
筆箱の中を探ると、消しゴムがないのに気ついた。
(あれ?)
探してみたけど、見つからない。
(そこのコンビニまで買いに行かなくちゃ・・・)
コンビニはユナちゃんの足でも2~3分のところにある。
ユナちゃんは家にいる格好・・・ピンクの半袖シャツと薄いベージュのキュロットスカート・・・
玄関の鍵を閉めてコンビニへ向かった。
プロローグ 完 続く
小学校3年生女子の平均身長が130㎝ほどらしいので、小柄な方だ。やせ型で髪が肩ほどまで伸びている。目がクリっとしていて、ピンクのお洋服が大好きな可愛らしい女の子。
ただあまり社交的ではなく、内向的な性格。本を読んだり、お勉強したり、家にいるのが大好きだ。そのお陰か、勉強はクラスの中でも、かなりできる部類に入る。もっとも、本人はあまり気にかけていないが・・・
ユナちゃんは、パパとママの3人暮らし。
3人が住んでいるのは東京郊外、昔からの住宅街で、中古で売りに出されていた2階建て物件を3年前に購入した。ユナちゃんの小学生入学に合わせるようにしたのだ。
周りは高いマンションなどはなく、閑静な場所だ。ご近所さんと顔を合わせると、気軽に声をかけてくれる。
昔ながらの住宅街なので、個人商店が点在している。コンビニもある。
最寄り駅には大型スーパーがあるが、車かバスで行く必要がある。ただ難点は、車がすれ違うのが難しいくらいの小さい道がいくつも入り組んでいることだ。
パパとママは二人とも働いているので、日中は家にいない。ママはユナちゃんを学校に送り出してからパートに出かける。
学校から帰って来ると、テーブルの上におやつが用意されているので、ユナちゃんはいつもそれを食べてから本を読んだり勉強したりする。
そんなユナちゃんのちょっとしたお話である。
今日は8月1日。学校は夏休み。算数や国語や自由研究やらと、宿題がいろいろと出されている。
今ちょうどお昼。ママがお昼用に作り置きして冷蔵庫に入れて置いてくれたナポリタンをレンチンして食べる。
つい最近、パパとママが夕飯を食べながらこんな話をしていたのを思い出した。
「小学校で、なんで宿題なんて出すんだろう。勉強なんか本人の好きにしたらいいのに・・・」
パパが言う。
「何言ってるのよ。宿題を出さなかったら、ずっと遊んでばかりいるからでしょう・・・だからに決まってるじゃない・・・」
ママが当然と言わんばかりに言葉を返す。
「なんで?それでいいじゃん。だって夏休みだよ・・・休みなんだよ。好きにするべきだろう・・・それが休みってもんだよ。会社の正月休みに持ち帰り仕事やらされたら怒るぜ・・・」
「もう、あなたの理論は滅茶苦茶よ・・・」
パパの言うことも、ママの言うことも、なんとなく正しいような気がして聞いていた。
ナポリタンを食べ終えたユナちゃんは、食器を流しへ運ぶと、小さい踏み台を流し前に置き、自分で洗った。
ママの負担を少しでも減らしてあげたいという子供心からだ。
洗い終えると、踏み台を脇に戻し、
(とりあえず算数の宿題でもやろうかな・・・)
ユナちゃんは1階のクーラーの効いた自分の部屋に入った。
ドアを開けると右横にベッドが、正面に勉強机が置かれている。左横の壁際には2段の小さな本棚が置かれ、グリム童話や名作シリーズ・最近のアニメ本などがきちんと収められている。
椅子に座り、机の上に置かれている算数の教科書をおもむろに開き、ノートを用意した。
筆箱の中を探ると、消しゴムがないのに気ついた。
(あれ?)
探してみたけど、見つからない。
(そこのコンビニまで買いに行かなくちゃ・・・)
コンビニはユナちゃんの足でも2~3分のところにある。
ユナちゃんは家にいる格好・・・ピンクの半袖シャツと薄いベージュのキュロットスカート・・・
玄関の鍵を閉めてコンビニへ向かった。
プロローグ 完 続く
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