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9章 佐伯死刑囚のつぶやき
死なない死刑囚の恐怖
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(俺は…俺は…そう…今、吊るされている…手錠もかけられている…刑の執行中だからだ…だだ、少しずつだが、意識が戻りつつある…
なぜなのか…それは…まぁ…彼のおかげなのだろう…
しかし、身体はまだ動かない…
まだそこまでの生命力は得られていないらしい…
あと何人のエネルギーを得れば良いのだろうか…
そんな疑問が頭をよぎる…
あの事件の犯人は俺ではない…
あの日は供述した通り、死にそうな思いで寝ていたのだから…
何の病気だったのか…
今流行りの例の病気だったのかも知れない…
世界中で多くの人の命を奪ったあの病だ。
だが、そのせいで彼が出現したのだ…その事実を知ったのは…そう…刑の執行を通告された時…自分の死が確定した時だ…
自分の身体から彼が出て行くのを感じたのだ…
彼は俺が命にかかわるような状況になると現れるらしい…
これで2度目…いや…3度目らしい…
過去2度現れた記憶は俺にはない…
殺害現場に俺の指紋が残っていたとすると、彼がいたのかもしれない…
だが、彼が犯人なのかどうかはわからない…
彼には彼自身の人格があるようだ…
俺ではない…
俺の恨み・憎しみ・生への執着から生まれた化身…アバター…
いつそんな人格が生まれたのか…
確か金に困っていた時、高額バイトに応募した。オレオレ詐欺の手下でもさせられるのかとも思ったがそうではなかった。何かで眠らされ、気づいた時は軍用機みたいな乗り物の中でS国に連れて行かれた…
白い服を着た、明らかに日本人らしき人物に促されるまま手術台みたいなベッドに寝かされ…どこかへ運ばれた…その後の記憶はない…
何をされたのかわからないまま、帰国させられた。
正直怖かった…いったい何をされたのか…
だが俺の身体に異変はなかった…
次第にその恐怖も無くなっていった…
悪魔の悪戯か…
それから暫くして、あの人物を日本で見かけた、それも割と自宅の近所で…
俺は彼の後をつけ、自宅を見つけた。
自宅前で彼に問いただした。
何をしたのか…
だが彼は言葉を濁すばかりではっきりとは答えなかった…
正直、怒り心頭だ…
なぜ答えないのか…
いったい俺に何をしたんだ…
だが、それがこの化身を人工的に作り出す研究だったのだと最後にわかった…
軍事目的か…
そうそう化身、つまりアバターは、れっきとした人間のようだ…
どこへでも現れることができる…
アバターが存在している以上、俺は死なないようだ…
恨みが俺の再生の源になっているに違いない…
彼はあと何人殺してくれるだろうか…)
少しだけ口元が緩んだ…
9章 佐伯死刑囚のつぶやき 完 続
なぜなのか…それは…まぁ…彼のおかげなのだろう…
しかし、身体はまだ動かない…
まだそこまでの生命力は得られていないらしい…
あと何人のエネルギーを得れば良いのだろうか…
そんな疑問が頭をよぎる…
あの事件の犯人は俺ではない…
あの日は供述した通り、死にそうな思いで寝ていたのだから…
何の病気だったのか…
今流行りの例の病気だったのかも知れない…
世界中で多くの人の命を奪ったあの病だ。
だが、そのせいで彼が出現したのだ…その事実を知ったのは…そう…刑の執行を通告された時…自分の死が確定した時だ…
自分の身体から彼が出て行くのを感じたのだ…
彼は俺が命にかかわるような状況になると現れるらしい…
これで2度目…いや…3度目らしい…
過去2度現れた記憶は俺にはない…
殺害現場に俺の指紋が残っていたとすると、彼がいたのかもしれない…
だが、彼が犯人なのかどうかはわからない…
彼には彼自身の人格があるようだ…
俺ではない…
俺の恨み・憎しみ・生への執着から生まれた化身…アバター…
いつそんな人格が生まれたのか…
確か金に困っていた時、高額バイトに応募した。オレオレ詐欺の手下でもさせられるのかとも思ったがそうではなかった。何かで眠らされ、気づいた時は軍用機みたいな乗り物の中でS国に連れて行かれた…
白い服を着た、明らかに日本人らしき人物に促されるまま手術台みたいなベッドに寝かされ…どこかへ運ばれた…その後の記憶はない…
何をされたのかわからないまま、帰国させられた。
正直怖かった…いったい何をされたのか…
だが俺の身体に異変はなかった…
次第にその恐怖も無くなっていった…
悪魔の悪戯か…
それから暫くして、あの人物を日本で見かけた、それも割と自宅の近所で…
俺は彼の後をつけ、自宅を見つけた。
自宅前で彼に問いただした。
何をしたのか…
だが彼は言葉を濁すばかりではっきりとは答えなかった…
正直、怒り心頭だ…
なぜ答えないのか…
いったい俺に何をしたんだ…
だが、それがこの化身を人工的に作り出す研究だったのだと最後にわかった…
軍事目的か…
そうそう化身、つまりアバターは、れっきとした人間のようだ…
どこへでも現れることができる…
アバターが存在している以上、俺は死なないようだ…
恨みが俺の再生の源になっているに違いない…
彼はあと何人殺してくれるだろうか…)
少しだけ口元が緩んだ…
9章 佐伯死刑囚のつぶやき 完 続
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