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第一章

6話①

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 次の日の朝、先生たちや特進科2・3年生達により学園の周辺の安全が確認され、ようやくシェルターから出ることが出来た。
 何もなかったかのように晴れやかな空が迎え、教室へと向かう。
「インシュベルンくん! 君は美しい!」
 なんかクラスメイト達で移動し始めてから変な奴が絡んでくるんだけど。急にどうしたんだこいつ。
 好感度に何か影響があったのかとプロフィールを確認する。

ダウザン・ヨーク
 誕生日6/27 年齢16歳 趣味美しいものを愛でること 魔法召喚魔法 寮???
特進科1年Aクラスの副委員長。
親密度 0%
好感度 12%

 なんで?
 道中無視し続けて来たと言うのにどうしてあがってるんだ。そんな通知来てたっけ……って、めっちゃ溜まってる。なんで……。

《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が10%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が20%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が30%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が40%になりました!》
【おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が50%になりました!】
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が60%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が70%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が80%になりました!》
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が90%になりました!》
【おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの好感度が100%になりました!】
《おめでとうございます! オロク・セン・デン・ポルとの愛が10%になりました!》
《おめでとうございます! ダウザン・ヨークとの好感度が10%になりました!》

 なんで!?
 もしかしてあの時一時的に上がってたとか……? バグではなかったってこと? ああもう! あいつ何考えてるか分かんねえええ!
「インシュベルンくん、頭を掻きむしってどうしたんだい? 僕の美しさに心が掻き乱されたのかい?」
「誰がテメェなんかに」
「ふふん。照れなくたっていいんだ」
 うぜえ。
「副委員長、それ以上付き纏わないでくれないかな。リリアくんが迷惑がってるじゃないか」
 お、いいぞ。お前が言えたことじゃないけど、ナイスだサイフェン。
「リリアちゃん殴ってええええ」
 左に纏わり付いてくるのがダウザンなら右はコゴだ。こっちはこっちでうぜえ。お前のせいで来世ポイントがマイナスになるんだよ。いつもの癖で思わず手が出そうになっちまった。拳をつくると瞬間、コゴの目が輝く。すぐに引っ込めたら背中から抱きつかれた。
「フェイントなんかいらないから~!」
「おい、師匠に触るんじゃねえド変態!」
「どうしてド変態に昇格してるんだよ!」
「いいから離れろ! 今すぐ離れねえと俺の蹴りが飛ぶぞ!」
「ジュレアの蹴りなんかいらない、リリアちゃんの蹴りがいい!」
 ああ~お望み通り蹴ってやりてええええええ。ベタベタ触るな暑苦しい。でも我慢だ我慢。
 コゴに向かって、爽やかな笑みを浮かべる。
「俺、暴力はやめたんだ」
「らしくない、らしくないよリリアちゃん! あんなに喧嘩好きだったじゃん!」
 喧嘩はしてえ、してえんだよ俺だって。だけど来世ポイントが!
「めっちゃ我慢してるじゃん、今すぐ俺を殴ってもいいんだよ! ほら!」
「どうしてそうお前は俺を誘惑してくるんだ」
「え……お、俺がリリアちゃんを誘惑!? 今ので誘惑になるの!?」
「なるだろ」
「リリアちゃんがついに俺をそう言う目で見るように……」
「り、リリアくん、俺のことも殴っていいから!」
「師匠、喧嘩なら任せろ!」
「どうした急に」
「インシュベルンくん、僕と踊ろう!」
「お前はうぜえ」
 いや皆ウザイけど、一応サイフェンとは友達(ルームメイト)だし……あと二人はおまけだし。いつものことだし慣れてるとは言え、1人加わるだけでこんなに疲れるなんて。ナルシストなのもダメなんだよな。
「お前ってそんなに美しくないよ」
「ふふふ、分かってるよ! 僕の美しさに嫉妬してるんだろう!」
 だめだこりゃ。
「シロくんの方がお前より遥かに美しいと思うな」
「しろくん? 誰だいそれは?」
 お、美しいと聞いて反応を示した。
「キリクゥ・ザ・ジィドだよ」
「確かに彼は美しいが……ぼ、僕を越えることはできないね」
 言い淀んでる、めっちゃ下唇噛んでる。もうこれ美しさに嫉妬してる、負けを認めてる。
「ダウザンに目を付けられるなんて大変だなインシュベルン」
 後ろから様子を見ていたんのかイルサが肩を組んできた。
「なれなれしいよ離れなよイルサくん」
 サイフェンの見開かれた目を見てイルサが一瞬怯む。
「テメエそんな顔できる奴だったか? それよりインシュベルン、今朝アキヅキ先生がお前についての話があるって言ってたけど、お前なんか知らないか?」
 イルサは敵意さえなくなったら気さくな奴だ。話しかけられて悪い気はしねえ。
「教室に着いてから説明があると思うぜ。俺も詳しくは知らねえ」
「そうなのか」
「ちょっとイルサ!」
 イルサは横から伸びてきた手に引っ張られる。ピンク髪のチビ・ロディムに引っ張られたらしい。
「なんでこんな奴と仲良くできるの、みんな倒されて怖い目にあったじゃん」
「お前まだ敵だって思ってんのか? あの後みんな殴られてからアキヅキ先生のことは好きってほど好きじゃなかったって確かめ合っただろ」
 そんなことしてたのかよ。
「だからって仲良くなる必要ないでしょ?」
「なんだ? 嫉妬か?」
「そうだって言ったら?」
「はは、お前らしいな」
 イルサがロディムの頭を撫でる。甘えるようにそれに擦り寄るロディム。それを見てぞわぞわする俺。
「な、なんなんだお前らデキてんのか?」
「変な言い方はやめろよ。こいつ中等部の頃から一緒でさ、チビだからって絡まれてたんだけど助けてやったらなんかなつかれて……」
「確かにチビだな! 小動物みたいな感じ!」
 頭を撫でようと手を近づけると、ビクッと震えてイルサの向こうに隠れた。
 おお、まるで人見知りする子猫だ。こいつは親密度も好感度も上がりにくいだろ。何でもできる癒し系確定!
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