上 下
8 / 9

第七話 現実

しおりを挟む
「ほらさっさと答えろよ?」
「……」
「もう一回同じようなことされたいか?」
「……私は受けて立ちます。ですが、殿下がやれと仰るのなら致します」

 ザワザワザワと観衆が騒ぎ出しました。それもそうですよね……。

「マジかよ!」
「いやちょっと流石に……なあ?」

「ほう。じゃあやって貰おうか?」
「——ッ!はい……」

 ティーナが口を付けようとした瞬間、私ではない誰かが殿下をぶっ飛ばしました。速くて見えませんでしたが……誰なんでしょう?

「……ティーナ様、貴女ね!私が弱いとでも思ってるのですか?お父様は内務大臣だけどね、伊達に武闘一家に生まれてないのよ。こんなことくらい余裕ですわよ!いい加減にして下さいませ!?」

 マリエッタ様……通常運転で何よりです……でも、怒るのは後にして下さいね?

「……お前ッ!こんなことしてただで済むと思ってんのかっ!?」
「……あら。常のあの紳士な態度は何処へ行ったのでしょうね?グリード殿下?」

 いや、マリエッタ様……喧嘩でも売るつもりなんですかね……?

「うるさい!黙れ!」
「私に黙れと言えるのは生憎貴方ではありませんので従うことはできませんわね」
「俺は次期国王だぞ!?」
「まあ、第一王子ですからそうですわね?……普通ならば、ですが」
「……は?」

 まあ確かに……普通なら……ですね。

「その説明に関してなら私の管轄ではありません……そこにいるのでしょう?アルフィア?」

 このタイミングで行かないといけないんですか……?いや、行きますけど!

「今のタイミングは酷いと思いますよ?説明押し付けましたよね?」
「あら、バレてたのですか?まあいいではありませんこと?」
「今の流れを確認してからその台詞言って下さいね!?」

 って、あ。

「おい、俺はメルにお前は今日は来ないと言われたぞ?」
「私もアルフィア様が来るなんて聞いてません!」

 殿下は顔を歪めて、メルレット嬢は顔を真っ青にして言いました。
 あら、メルレット嬢がこちらを睨んでいますね?まあ、考えてみればそりゃあそうですよね……自分が監禁したはずの人がいるんですものね?

「私がそう言ったわけではないですから……まあ、メルレット嬢が付いた嘘だと思いますよ?もしくは……自分にとって想定外の何か、が起こったか……ではありませんか?ねえ、メルレット嬢?」
「……ッ!……あら、この前はいらっしゃらないと仰っていませんでしたか?」
「……いつそんなことを私言いましたか?証拠などはおありで?」
「私がそう聞いてたんですもの!」

 出ましたね……ヒロインとか王子が使う謎理論。

「……ではこちらから、今までのことが全て違うと言える証拠を出させて頂きましょうか?」
「「おい、ちょっと待て」」

 グリード殿下と……?

「俺をいつまで此処にいさせるつもりだ、アルフィア」
「「「ーーッ!?」」」
「はあ……そういうのはあとのお楽しみに取っておくのが一番じゃあありません?」
「あのな……マリエッタが助けなかったら僕は動けなくなってたんだぞ?」
「生憎そういうことに関しての感覚はよく分からないのですみませんね、アーテル様」

 アーテル様はこの国の第二王子です。グリード殿下よりもなんだかんだで付き合いは長いですね?

「……君がそういう人だったのをこの数年ですっかり失念していたよ。で、この状況は兄上が?」
「…………だよ」
「何て仰ったんです?兄上」
「だから!そうだって言ってんだよ!」
「いや、そんなことで怒られても……仕方なくない?聞こえなかったんだからさ……」
「うるせえんだよ、いちいちいちいち!」
「は?誰がわざわざ兄上の代わりに各国に行ってたと思ってるんですか?」
「あ゛?」
「は?」

 此処で兄弟喧嘩しないで下さいよ?頭痛くなってきましたよ?

「はあ…………そこまでにして下さ「うるせえ!」……は?」

 なんですかこの生意気な王子は。食い気味に言わないで下さい

「…………こんなとこで喧嘩しないで下さい」
「は?いいだろうが!」
「アルフィア!お願い!ちょっとだからさ!」

 何言ってんですか…………?昔から喧嘩は長いですよね?

「あ、これはやばいやつですわね」
「そうですね……逃げたいです……」

 先ずは……殿下達に黙って貰いましょうかね?

「……未だ喧嘩するつもりですか?」
「悪いか!」
「…………僕はやめておこうかな……」
「あ?」
「ちょっと黙りましょうか、グリード殿下?」
「は!?なんでだよ!いちいち口出して来んなよ!」

 そう言ってグリード殿下は私を殴りました。昔よりも力が強いですね……まあそりゃあそうですけど。そんなことを言っている場合では無いですね?
 そう思いつつ立ち上がります。グリード殿下に黙ってもらわないといけませんからね?

「…………まさか、私がティーナの護衛をやっているだけだと思ってたんですか?口を出すのはあんたに与えられていた次期国王になるチャンスがもうほぼなかったからですよ。あんたの行動は私の部下と私が陛下に随時報告しているんですよ?」

 丁寧に倍にしてお返しをしてあげましょう。

  ガシッ!ガコン!………ドサッ……

 グリード殿下の胸元を掴み上げて殴り飛ばしました。あれ、でもすごい音しませんでした?

「あの子、魔力込めてましたわよね?」
「込めてましたね……そりゃあ……まあ、こんなことになりますね……」

 魔力込もってたんですか……?へえ……と思いつつ殿下を殴り飛ばした方へと進んでいきます。

「もう少し分かりやすく言いましょうか?チャンスはもう無くなった……つまり、貴方は次期国王にはなれないんです。アーテル様が来たのもそういうことが理由ですよ?」

 さあ、これが貴方に突きつけられた現実ですが……さて、どう動くんでしょうね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

役立たずの私はいなくなります。どうぞお幸せに

Na20
恋愛
夫にも息子にも義母にも役立たずと言われる私。 それなら私はいなくなってもいいですよね? どうぞみなさんお幸せに。

[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します

シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。 両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。 その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。

もう、いいのです。

千 遊雲
恋愛
婚約者の王子殿下に、好かれていないと分かっていました。 けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?

愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」  待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。 「え……あの、どうし……て?」  あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。  彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。 ーーーーーーーーーーーーー  侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。  吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。  自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。  だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。  婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。 ※基本的にゆるふわ設定です。 ※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます ※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。 ※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。 ※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)  

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

処理中です...