4 / 9
第四話 遭遇
しおりを挟む王城に行ったグレイが帰ってきました。
「グレイ。どうでしたか。」
「あーやばかったすね。正直言うとカオスって感じ?」
いやカオスって……そんなになんですか?
「詳しくどうぞ。」
「おーっす。えっとすね、まずメルトリア嬢は怖いっすね。何か裏がありそうなんで調べとくわ。殿下は気が付いてないっすね。王子教育をちゃんと受けてたらそうなんないはずなんすけどねー。あと多分うちに援助を頼みに来ると思うっすね。対策はしといた方がいいっすね。」
わあー……面倒なことになる予感しかしませんね……。
「分かりました。じゃあメルトリア嬢に関してはグレイがお願いします。早速宜しく頼みますよ。何かあったらすぐに教えてくださいね。」
「おっす。じゃ、失礼。」
スッ……って消えましたね……。はあ……色々考えないといけませんね。
コンコンコン
「あぁ、フィーネ?入ってくれて構いませんよ。」
「……ひっ!は、はい!」
私って怖いんですかね……専属侍女にも怖がられるっておかしくありませんか?
「それで、何かあったのですか?」
「ティーナ様とマリエッタがいらっしゃったのですが……」
いや、貴女達……来るの早すぎやしませんか……?
「……行くしかないでしょうね。少し待っていて下さいと伝えておいてもらえます?」
「……はいっ!」
正直なところは行きたくないのですが……特にマリエッタは……。まあ、行くしかないのですが。さて、早く準備して応接室に行かないといけませんね……。
◇
「お待たせしましたね……」
「別に構わなくってよ」
「押しかけたこっちが悪いのですからお気になさらないで?フィア」
相変わらずですね、マリエッタもティーナも……。
「それは良かったです。で、どうかなさったのですか?」
「フィア……私から宜しいかしら?」
……?何かあったのでしょうか?
「マリエッタ?いいですけど……?」
「それがですね…………殿下に『虐めの作戦を練って……ティーナに入れ知恵をしたのは、お前だよな?』などと言われたのです!有り得ませんわよ!」
…………は?いや……殿下どうしたんですか。本当に。
「……嘘って言ってください」
「「本当です」」
「……はぁー……今すぐ王城行って抗議したいレベルですね」
後で王城行かないといけませんか……行きたくないです……。
「陛下にお聞きになって下さいとは言いましたけど。護衛も担っている貴女が陛下に報告してくれているのではと思いまして」
「護衛よりも友人の要素の方が断然多いですけれど……でもまあ、大体は報告してますね」
事実ですからね……?
「友人……!嬉しいです!グリード様に陛下のお名前を出しておいたのは間違っていなかったようで良かったです……」
「友人……まあ貴女のことは私もそう思っておりますわ。ええ。私も陛下のお名前を出しておいて良かったですわ……」
一応幼馴染なんですが……最近は何があったのか分からないくらいですね。次期宰相のお兄様に聞いてみるのが確実……かもしれません。
「ま、それは私がどうにかしておくしかなさそうですね。叔母様とも相談してみます」
「「ありがとうございます……」」
「……さ!この話は終わりにして楽しく話しましょう?」
「「……!そうしましょう!」」
そうしてお茶会は長々と続きました。王城は明日行きましょう……。
◇
ふあぁ…………ねむ……。昨日は遅くなりましたから仕方がないのですけれども。さ、朝食を食べたらすぐにお父様に頼み込んで王城に行きましょう。さて、ご飯……ご飯。
「あ、お兄様。お父様。おはようございます……?どうかなさったのですか?」
「ああ、おはよう。フィア」
「ああ、おはよう。そのだな……殿下がお前を連れてこいなどと言っていてだな……」
……使えるじゃあありませんか。
「私も王城でやることがありますから丁度いいですね。」
「「行くつもりなのか!?」」
バァン!
「旦那様もオリヴァーも声が大きいのよ!」
「「……すいません」」
お、お母様……?
「私はね、貴女が行くというのなら止めないわ。でもね、これは覚えておいて頂戴。私達家族はいつでも貴女の味方ですからね。それを覚えていてくれるのなら、行ってきて頂戴」
「……はい。ありがとうございます」
「あら、家族だもの。当然よ?……さ、早く朝食を食べないと大変なことになってしまいますから早くお食べなさい」
「「「……はい」」l
◇
……というわけで王城に行きますよー!……って、無理矢理気分を上げようとしても私の気分が落ち込んでいくだけですね……。あぁ…………本当に嫌です。
「旦那様、お嬢様。着きました」
「ああ、分かった。さあ、フィア。行くぞ」
嫌ですけど……ここまで来たらもう引き返すなんてことできませんからね。
「はい。」
頑張るしかありません。
さてと……早速陛下のところへ……って、ん?反射でさっと隠れてしまいましたが……あれは殿下とメルレット嬢?こんなところで何を……?
「ね、殿下。今日、協力してくれそうな方をお呼びしたのですよね?」
「あぁ、そうだが……どうかしたのか?」
ふふふっ、とメルレット嬢が笑います。
「お会いしてお話しをしてみたいのです。構いませんか?」
「うーん……まあ許してくれるだろうからメルも行こうか」
ぱあぁっとメルレット嬢の目が嬉しそうに輝いて殿下を見つめ、親しげに話しながら2人で去って行きました。
あんなメルレット嬢が同席するなんて有り得ませんし、そもそも嫌なのですが?しかも私の気持ちを勝手に決めつけるのは如何なものかと思いますが……?……ああ。徐々に憂鬱になってきます。さて、陛下の執務室前に着きました。入らせて頂きましょう。
コンコンコン……
「入りなさい」
「陛下、失礼致します。宰相家が長女、アルフィアでございます」
「ああ。座りなさい」
じゃあ、お言葉に甘えて座らさせて頂きます。
「早速だが……今回は本当に愚息が申し訳ない」
「いえ、陛下が謝る必要はございません。……ですが、お願いがございます」
「何だ。言ってみなさい」
「……殿下には私が報告した2人の令嬢の様子をそのまま……ありのままをお伝えください。伝えたところで聞かないでしょうが」
陛下はキョトンとしたあとハッハッハッと笑いました。
「そんなことか。別に構わないよ」
「ありがとうございます。それでは……やることもありますのでこれで失礼いたします」
「ああ。また」
「はい」
そう言って急いで廊下を歩いていました。
やることがあるので急いで廊下を歩いていましたが、周りに気をつけていなかった私は声を掛けられるまで気がついていませんでした。
「おい、アルフィア。話がある」
と、呼び止める殿下に。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます
藤なごみ
ファンタジー
※コミカライズスタートしました!
2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です
2023年9月21日に第一巻、2024年3月21日に第二巻が発売されました
2024年8月中旬第三巻刊行予定です
ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。
高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。
しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。
だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。
そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。
幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。
幼い二人で来たる追い出される日に備えます。
基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています
2023/08/30
題名を以下に変更しました
「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」
書籍化が決定しました
2023/09/01
アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります
2023/09/06
アルファポリス様より、9月19日に出荷されます
呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております
2024/3/21
アルファポリス様より第二巻が発売されました
2024/4/24
コミカライズスタートしました
2024/8/12
アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です
【完結】「『王太子を呼べ!』と国王陛下が言っています。国王陛下は激オコです」
まほりろ
恋愛
王命で決められた公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢との婚約を発表した王太子に、国王陛下が激オコです。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
小説家になろうで日間総合ランキング3位まで上がった作品です。
てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
ふたりの愛は「真実」らしいので、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしました
もるだ
恋愛
伯爵夫人になるために魔術の道を諦め厳しい教育を受けていたエリーゼに告げられたのは婚約破棄でした。「アシュリーと僕は真実の愛で結ばれてるんだ」というので、元婚約者たちには、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしてあげます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる