スパイス料理を、異世界バルで!!

遊森謡子

文字の大きさ
上 下
2 / 4
書籍未収録エピソード

オーブンと少年 2

しおりを挟む
 翌朝、ソルたちにも手伝ってもらいながら朝の営業をしていると、スイングドアの下からのぞく小さな影。
 ドルフィだ。律儀な彼は、早朝からちゃんとやってきた。昨夜はどこに泊まったんだろう。
 私が手招きすると、彼はお客さんたちと入れ違うようにして店に入ってきた。手に、布を丸めたようなものを持っている。
 厨房の入り口で、彼は立ち止まった。
 そして、ソルとオスカーの顔を見て、ぼそっと言った。
「昨日、助けてくれて、ありがとう」
 オスカーがニコニコと答える。
「どういたしまして。体調はどう? 風邪ひかなかった?」
「大丈夫。働ける」
 ドルフィは淡々と、でもはっきりと言う。ソルがうなずいた。
「助かるよ。店はいつも、このお姉さんが一人でやってるんだ」
 え、と顔を上げて私を見るドルフィ。私は軽く屈んで、自己紹介した。
「ごめん、名前も言ってなかったね。コノミっていうの、よろしく。……えーと、それはもしかして、服?」
「…………」
 ドルフィはどこか不本意な様子で、手に持った布を私に見せる。
「……昨日、借りた服……洗ったけど……」
 漁師さんに借りた服を、律儀に洗って返そうとしたみたい。まだ濡れているようだ。オスカーが借りた服は彼が昨夜洗っていて、今朝には乾いていたけれど、ドルフィはまだ小さいのでうまく絞れなかったのだろう。
「中庭に干すところがあるから、おいで」
 私がそちらに向かおうとすると、ソルが言った。
「コノミ、俺たちはそろそろ行くよ」
「あ、うん。仕事、頑張って」
 私は笑顔で見送る。ちょっと寂しいけど、みんなには気持ちよく働いてほしいから。昨夜はそんな気持ちを込めて、美味しいものをたくさん作って食べてもらった。
「何かあったら、警備隊を通じて連絡して。ちょっとしたことでもいいからね」
 エイラは念を押し、オスカーはニコニコとして、
「オレが借りた服は先に返しておくね。またコノミの料理を楽しみに頑張るよ」
と言うと、エイラと一緒に店を出た。
「じゃあ、コノミ。行ってくる」
 ソルはいつも、最後に片腕で私をハグして、顎を軽く私の頭に載せる。どぎまぎしながら「い、行ってらっひゃい」と返事をする私。……噛んだ。
 ソルはニッと笑うと、スイングドアを押して出て行った。

 中庭に漁師さんの服を干してから、私とドルフィは厨房に戻ってきた。
「さて、それじゃあお仕事ね。何しろ一人でお店やってるから、手伝ってほしい仕事はいくらでもあるんだけど、どれをお願いしようかな……ドルフィは読み書きはできる?」
「できる」
「お、助かる!」
 アルンセバールに学校はあるけれど、下町の子はあまり通っていないと聞いていた。ちょっとした塾みたいなところで読み書き計算だけ教わる感じらしい。
 ドルフィのお母さんがどんな人なのかはわからないけど、そういうところには通わせてたんだな。
「うちの店では、料理の作り方を記録するようにしてるんだけど、最近手が回らなくて。私が厨房で色々作りながら説明するから、それを書き留めてくれる? 今、椅子を持ってくるね」
 私はL字型の建物の角にある階段室に行くと、予備のスツールを一つ選んで厨房に運んできた。
 ドルフィは、オーブンをじっと見つめたまま立って待っている。
「ここに座って。さてと……じゃあ、キップンのミルク煮から行こう」
 キップンというのは、お芋の一種。見た目はオレンジ色のサツマイモなんだけど、味はカボチャにそっくりなんだ。
「材料は、中くらいのキップン三個に、グピのミルクがカップ二杯……」
「カップ?」
「あ、ええと、このカップ。このお店ではこれを基準にします」
 私は日本で使っていた計量カップと同じくらいの大きさのカップを示した。そう、一定の大きさの計量カップや計量スプーンを売っているわけじゃないからね。レシピは誰でも再現できるようにしないといけないので、まとめるのが意外と難しい。  
 改めて説明を始めると、ドルフィが文字を書き始めた。なかなか整っている。きっと真面目な子なんだろうな。
 試行錯誤したり、ドルフィに質問されたりしながら、私は作業を進めた。キップンの皮を剥いて適当な大きさに切り、鍋に入れる。ミルクを注ぎ、そこにシナモンスティックを半分に折ったものを入れたら、あとは柔らかくなるまで煮るだけ。
 シナモン自体は甘くないけど、甘ーい香りが漂い始める。カボチャの甘みとミルクの甘みがあるから、味付けは必要なし。これが意外と、お酒に合うおつまみになるんだ。
「そろそろいいかな。味見もお願いね」
 混ぜながら軽くつぶし、スプーンですくってドルフィに差し出す。
 難しい顔で紙に色々と書き込んでいたドルフィは、スプーンを見て一瞬止まったけれど、ためらいがちに手を出した。スプーンを受け取り、口に運ぶ。
 ぱくっ、と口に入れたとたん、ふっ、と頬が緩んだ。子どもらしさがかいま見えて、つい私も笑顔になる。
「美味しい?」
「……うん」
「良かった! こういうの、パンの具にしても美味しいんだよね」
 楽しくなった私は、ついつい続ける。
「あっ、具といえば、シナモンがあるんだから……餃子の皮をちょっと工夫して、シナモンシュガーを包んで焼いたら、韓国の『ホットク』みたいにならないかな。美味しそう!」
「……ほっと……?」
「あっ、今のは書かなくていいから! ごめん!」
 いけない、暴走しちゃった。
 ホットクは、もちもちした生地にシナモンシュガーやチーズなどの具を包んで焼くおやつで、韓国では屋台で売ってるんだって。今度シナモンをパウダーにできたら、試してみよう。
「ええと、シナモンは身体を温める効果があるんだ。そのことだけ書き加えてくれる? こんな調子で、色々まとめていきたいから、よろしくね」
 言うと、ドルフィはうなずいた。

 気がつくと、日は高く上っていた。今日は珍しくカフェタイムのお客さんが来なかったので、うっかりしていた。
「わっ、もうこんな時間! ごめん、疲れたでしょ。追加報酬にお昼ご飯出すね」
 カボチャ煮に、お昼用のアヒージョとパンをまかないとしてドルフィに出すと、彼は黙々と食べ始めた。私も一緒に食べていると、彼はふと食事の手をとめて言った。
「……パンは」
「ん、何?」
「作らないの? パン。オーブン、あるのに」
「作りたいんだけど、酵母のこととか温度とか、よくわからなくて。勉強しないとね。今は他のお店で買ってるんだ」
 ちゃんとしたパン作りはやったことがないけれど、温度管理が大事なのは知っている。日本とこちらは気候も違うから……。確かに、自分で焼けたらいいな。
 ドルフィはその後は、黙って食事を平らげた。

「今日のところは、ここまで。ありがとう!」
 私はお給料を渡しながら、ドルフィに言う。
「同じ時間帯なら、来れるときにいつでも来てくれると助かるんだけど、どう?」
「『赤の日』と『剣の日』は来れない。他の仕事があるから」
「オーケー、じゃあそれ以外の日で。お給料プラスお昼ご飯が報酬っていう条件でいい?」  
 彼はうなずいてから、ちらりと厨房の中に視線を投げた。そして私の顔を一度見ると、たたーっと店から走り出ていった。

 なるべくしょっちゅう来て、ご飯食べてってくれるといいな。
 それにしても……
 私は厨房のオーブンに目をやる。
 何だかあの子、手が空くといつもオーブンを見てるんだよね。最初は料理に興味があるのかと思ったけど、気のせいか、キッチンの他のものよりもとにかくオーブンばっかり見てる気がする。
 仲良くなれたら、聞いてみようかな。

 こうして、ドルフィはガヤガヤ亭のアルバイト店員になった。レシピの記録の他に、野菜の皮むきを教えてやってもらったり、山や港に一緒に食材を取りに行ったり、とても助かっている。
 でも、無口なのは相変わらず。世間話を振ってみても全然乗ってこない。もしかしたら元々そういう話が嫌いなのかもしれないし、慣れるまで時間がかかるタイプなのかもしれないし、その辺はわからないけれど……
 もし無理に仲良くなろうとすれば、嫌がってご飯を食べに来なくなってしまうだろう。話しやすい空気は確保するようにして、私はとにかく彼が健康に暮らせるようにと、それだけ気をつけて日々を送った。
 
 季節は春から夏に移り変わろうとしていた。
 アルンセバールでは港で夏至祭りが行われることになり、飲食店は屋台を出すところが多いという。ガヤガヤ亭も参加することにして、私は屋台メニューの試作を始めた。

「さあ、できた。どうかなー」
 フライパンで作った分厚いスペインオムレツを、滑らせるようにしてお皿に出した。ふわあっ、と湯気が立つ。
 キッチンの中にいたドルフィが、画板に紙をのせてインクペンを持ったまま、動きを止めて見入った。
 オムレツを、包丁で半分に切ってみる。
「おおー」
 卵の柔らかな黄色の中に、薄切りのお芋が重なった断面。その合間にハーブの緑、パプリカもどきの紫、粒々のキノコのオレンジが綺麗に出た。木の実油と、少し入れたニンニクも、いい匂い。
『夏野菜のオムレツ・ガヤガヤ亭風』ってところかな?

「よしよし、いい感じだね! ……あのね、うちみたいなお店のお客って、漁師さんたちや奥さん子どもさんが多いのね」
 私はさらにオムレツを切り分けながら、ドルフィに話しかける。
「一番少ないのが、若い女性のお客なんだ。お祭りには若い女の人も来るから、食べてるところが可愛く見えるものを作ればアピールになるかと思って」
「……見た目が、大事なの?」
 ドルフィがぼそっと言った。私はうなずく。
「そう。ああ、もちろん味もだけどね!」
 若い女の人がお祭りに行くっていったら、日本では彼氏に浴衣姿を見せるチャンスでもあったじゃない。もしかしたらこっちでも、意中の人と遊ぶチャンスかもしれない。そんなときには、餃子やオドットもいいけど、ちょっと気取りたい。カラフルなオムレツなら、おしゃれに可愛く食べられるでしょ。
 まあ、私はソルの前でも、トッピングてんこ盛りのオドットを大口開けてムシャムシャ食べてるけど。

 ……って、どうしてそこでソルが出てくる。

 私は頭の上でフライ返しをぶんぶん振って、変な想像をかき混ぜて散らした。そして、ドルフィに意中の人がどうこうなんて話は早いかなと思って、もう一つの理由を言う。
「ほら、彩りがいいと食べてる人も楽しいけど、それを見ている回りの人も『おっ』って思わない? 『あれ、どこの屋台で売ってるんだろう』って」
「……うん」

 あれ。今日はちょっと、ドルフィの反応が薄いな。彼は好き嫌いがないので、オムレツ自体が嫌いなんじゃないと思うけど……

「もう一つ、思いついたものがあるから作るね。そうしたら、試食がてらお昼ご飯にしよう」
 私は笑いかけてから、オーブンの天板を用意した。彼はピクリと顔を上げる。
「何か、焼くの?」
「そう。オーブンが気になる?」
「…………」
 黙っちゃった。やっぱり、突っ込まない方がよさそう。
「じゃあ、書いてね。材料は……」
 私はサラリとその場の空気を流すと、手を動かしながらさりげなく言った。
「あ、そうだ。ドルフィ、よかったらお祭りの日も、うちの屋台を手伝わない? いつも通り、お給料と食事もアリで。用事があるならもちろん、そっち優先でいいんだけど」

 家族のいないドルフィが、お祭りの日にどう過ごすのか、私は気になっていた。
 お友達や、近所の人と回るならそれでいいんだけど、そうじゃなければドルフィはひとりぼっちになってしまう。それなら、うちの屋台にいた方がいいんじゃないかと思ったのだ。よけいなお世話だった時には断れるように、なるべく断りやすい雰囲気も残しつつ……

 ドルフィはしばらく黙ってインクペンを走らせていたけれど、やがて顔を上げることなく言った。
「その日は、できない」
「そう、わかった。よかったら、屋台に何か食べに来てね。おまけするから」
 ドルフィは黙っていたけれど、私もそれ以上強くは言わなかった。

 翌日も試作をし、ドルフィとお昼ご飯として試食して、私はうなずいた。
「よし、これで決めちゃおうかな。お祭りは昼からだし、ソルたちも手伝いに来てくれるから、ここで作れるものは作っていく。で、餃子とオムレツは屋台で焼くことにしよう。夜は屋台にいないといけないし」
 ドルフィは聞いているのかいないのか、黙って日誌と筆記用具をカウンターの下に片づけた。そして、スツールを倉庫に運んでから戻ってくると、「じゃあ……」と言って、店を出て行った。
「またよろしくね」
 ドルフィを見送る。

 ……今日のところ、どんな風に書いたのかな。
 洗い物を終えた私は、日誌を取り出してみた。パラパラとめくる。
 すると、レシピの横に、試作した料理の絵が描いてあった。薬研も描いてある。
「ガチで絵がうまいなドルフィ」
 あまりにうまいので真顔でつぶやきつつ、よく見ると……

 オーブンを使うというくだりのところの、脇の方に、別の絵が小さく描いてあった。
 何だろう、細長くて丸っこい、この形は……。いつも、夜メニュー用に市場で買ってくるパンの大きな固まりに似てる。うん、そう思うとパン以外には見えない。

「謎の多い男だな、ドルフィ」
 私はそれをもう一度まじまじと見てから、日誌を閉じて丁寧にしまい直したのだった。
しおりを挟む
※ このお話には、近所のスーパーのスパイスコーナーに置かれているような、手に入りやすいスパイスばかり登場する予定です。使ったことのないものがあったら、ぜひ試してみて下さい。
感想 28

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?

なか
恋愛
「お飾りの王妃らしく、邪魔にならぬようにしておけ」  かつて、愛を誓い合ったこの国の王。アドルフ・グラナートから言われた言葉。   『お飾りの王妃』    彼に振り向いてもらうため、  政務の全てうけおっていた私––カーティアに付けられた烙印だ。  アドルフは側妃を寵愛しており、最早見向きもされなくなった私は使用人達にさえ冷遇された扱いを受けた。  そして二十五の歳。  病気を患ったが、医者にも診てもらえず看病もない。  苦しむ死の間際、私の死をアドルフが望んでいる事を知り、人生に絶望して孤独な死を迎えた。  しかし、私は二十二の歳に記憶を保ったまま戻った。  何故か手に入れた二度目の人生、もはやアドルフに尽くすつもりなどあるはずもない。  だから私は、後悔ない程に自由に生きていく。  もう二度と、誰かのために捧げる人生も……利用される人生もごめんだ。  自由に、好き勝手に……私は生きていきます。  戻ってこいと何度も言ってきますけど、戻る気はありませんから。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...