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2周目(後日談・番外編・その他)
北の見張り台(チヤ視点)
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私の仕事場は、ダラの砦の南翼、二階。ダラ探索の記録が保管されている資料室だ。
ムシュク・ドストラーのチヤでいる間は、資料室には一度も入ったことがなかった。人間の事務官として赴任した時が初めて、ということになる。
棚には、ズムラディダラ探索の記録紙を紐で綴じたものが、ずらりと並んでいた。が、背表紙がないので、いつの記録がどこに入っているのかすらサッパリわからない状態。しかも、入りきらない記録は床に積み上げてある。
なかなか手強いカオスだったけど気合いを入れ、私はとにかく片っ端から中をざっと見て閉じ直し、棚に入れたときに見えるように年月日の札を着けていった。
数日が経った。
今日はナフィーサさんが馬を訓練に連れ出していて、トゥルガンさんは通常業務、クドラトさんもいつものように研究、そして隊長はヤジナに出かけている。砦の中は静かだった。
私も黙々と、資料の整理に没頭した。予算的にも技術的にも、記録の束をいちいち装丁するわけにいかないので、中を確認してはせっせと綴じ紐を結び直していく。
記録は、崩壊直後から始まっている。つい読んでしまったそれは本当に悲惨で、隊長やトゥルガンさんの同僚たちや学生たちのことが出てきて辛かった。インギロージャの原因がわかったことが、せめてもの供養になっているといいんだけど。
午後になると肩が凝ってしまい、腕や肩を回して運動しているところへ、ヤジナから戻った隊長が入ってきた。
「チヤ、邪魔するぞ」
「あ、隊長! おかえりなさい」
「あんまり根を詰めんなよ、ちゃんと休憩取ってるか?」
「はい。資料の整理、おなかがすくので、厨房いってトルガンにおやつもらってます」
トゥルガンさんとのティータイムは、日課になりつつある。資料の整理が一段落したらお菓子の作り方を教えてもらうつもりなんだ、楽しみ!
隊長は「そうか」と笑うと、こう言った。
「あのなチヤ。昨日の夜、『エミンの輪』に飯を食いにいったんだ」
「あ」
私は言葉に詰まった。
ムシュク・ドストラーのチヤの時に知り合った、黒猫クオラと人間のジャン。私が人間の姿で会いに行っても、まさか同一人物だなんて思わないだろう。
かといって、本当のことを打ち明けるわけにもいかない。人間と猫が合体できることが広まってしまえば、呪術師の中にはおかしなことを考える者が現れるかもしれないからだ。
それを一番警戒しているのがクドラトさんで、
「これ以上、素性を知っている人を絶対に増やしてはいけませんよ、チヤ」
と厳命されていた。ニルファルを知る私も、もちろんそのつもりだった。
でも、せっかく仲良くなったクオラとジャンは、私が全然来ないので不思議がっているかもしれない。一度狩られたことを知っているんだし、心配しているかも。特殊部隊を円満退職したことを知っているとしても、挨拶の一つもなしに去るなんて水くさいと思うだろうな。
「クオラとジャン、何か言っていましたか?」
「チヤは一緒じゃないのか、と聞かれたから、ひとまずは『忙しくて来られない』と答えておいた」
「そうですか……」
うつむくと、ちょうど資料室に三毛猫のチャコが入ってきたところだった。私に近づいて「にゃあ」と一声鳴き、足に身体をすり寄せる。抱き上げながら、私は言った。
「ドストラーの時に、お別れをいいたかったです。何か理由をつけて」
「そうだな……」
隊長はうなずき、何か少し考えている風に顎を撫でた。そして、言う。
「チヤ、あの呪い札を使ってみるか?」
「え……ムシュク・ドストラーに変身する札?」
「うん。それで、別れの挨拶をしに行ったらどうだ。気になってるんだろ? あれ、効果はどのくらいあるんだったか」
「いつ変身しても、次に眠ったら元にもどります」
「じゃあ、夕飯時に行けばいい」
「あの、隊長、なにかおてつだい、ありますか?」
私は急いで申し出た。
「どうせドストラーになるなら、ついでに何か、私しかできないお仕事します。朝、ドストラーになって、お仕事して、それからヤジナの『エミンの輪』に行く」
「なるほど。どうせ札を使うなら、一度に済ませた方がいいか。孤児院でも行くか?」
「そっち!?」
私が突っ込むと、隊長は大笑いしてから言った。
「北ゴンドラの途中に、足場が崩れた見張り場がある。そこに登れるようにロープ張るのを頼む。その後でヤジナに行こう。俺も来週なら行けるから、馬に乗せてやるよ」
「はい、ありがとうございます!」
ムシュク・ドストラーとしての、久しぶりの仕事!
私はちょっとわくわくしてしまう。事務官の仕事も大事だけど、この部隊がまだまだムシュク・ドストラーの力を必要としてることも知ってるから。いきなりリタイヤしてしまった形の私は、また役に立てるのがとても嬉しかった。
翌週の半ば、朝食の後で、私はチャコを抱っこしてアルさんの作った呪い札をクドラトさんに解放してもらった。久しぶりのムシュク・ドストラーの姿だ。
ドストラー用の軍服は返納してしまったので、今日は私服。チュニックにハーフパンツという格好。靴はナシ。
北ゴンドラで少しだけ降りたところで、岩棚に飛び移る。このあたりは大きな妖魔も出ないので、今日は私と隊長の二人での行動だ。
隊長の手を借り、前にやった忍者みたいな要領で、私は岩棚から崖の半ばまで飛び上がった。
以前はそこに鉄骨で足場が組んであって、上の岩棚まで登れるようになっていたみたいだけど、下の方の鉄骨が折れてしまっている。ダラが採石所だった時代からあるそうで、かなり古いから、錆びていたところに妖魔が突っ込んで壊したのかもしれない。
小さな出っ張りに着地し、残った鉄骨を伝って上の岩場まで上がった。あー、この身の軽さ、久しぶり! 意味もなく尻尾をフリフリしてしまう。ダラで猫の耳を澄ませると、砦から人間の耳で聞くよりも様々な音が聞こえてきて、この廃墟も全くの静寂の世界ではないのだとわかる。
岩棚の上には坑道の入り口があったけど、石を採りつくした後に封鎖され、新しい鉄骨がバツの字になっていた。ここならかなり丈夫そうだ。
私はそこにロープを結びつけると、下に垂らした。これで隊長が登れるようになる。
人間の姿の隊長が上ってきて、岩棚に降り立った。
「ありがとうな、チヤ。ここに立つのも十三年ぶりか」
隊長は岩棚の縁から、遠くを指さした。
「この見張り台からなら、病院の方が見えるんだ。他の場所だと、大岩が邪魔で見通せないんだよな」
「へえー」
私も隊長の隣に立ってみる。あ、ほんとだ、病院とか瞑想所が見えた! いい警備ポイントだね。
「さて、何かあるかな」
隊長は、岩棚の隅に行った。田舎のバス停みたいな、屋根と柱とベンチだけの休憩所がある。見張りの人が休むためのものかな。
ふと、足を止めた隊長が、屈み込んだ。
ベンチの下に手を伸ばし、何か拾い上げる。
そのまま黙り込んでしまったので、私は少しだけ近づいた。
「隊長?」
「……ああ」
立ち上がった隊長は、手のひらのものを見つめたまま私の方に向けた。
手に載っていたのは、金属製の平べったいボトルのようなもの。
「スキットル!」
思わず、日本語(というか外来語)で言う。
懐かしいな、私も自分のを持ってた。山登りが趣味だったから、成人して初めて登るとき、大人ぶってスキットルにウイスキー入れて持って行ったんだよね。もちろんおひとりさま登山でしたが何か。
それはともかく、山頂で開けたんだけど、初めてのウイスキーはあまりに度数がキツくて、舐めただけでそのまま持って下山したっけ。
こっちのスキットルも同じ形なんだなぁ、まあ実用的な形だもんね。水はもっと大きい容器に入れるけどお酒なら……と思いながらふと見上げると、隊長はそれを持ったままもう一度岩棚を見回していた。そして、呆然とした表情でつぶやく。
「ここだったのか」
「何……ですか?」
「うん」
隊長はようやく、表情を和らげた。
「これは、俺の直属の上司だった人のもんだ。当時のダラ守護隊の、副隊長。混じった型のイート・ドストラー。俺はまだ十七の新入りだったからな、世話になったよ」
「当時……」
「インギロージャ当時。……荒れ狂う大型妖魔の群を、守護隊や呪い師たちが辛うじて壊滅させた後、俺たちは生き残った仲間を探し回った。副隊長は、見つからなかった」
隊長は、スキットルをもう一度見つめる。
「あの日、副隊長は非番だった。きっとここで、ダラを眺めながら酒を飲んでたんだろう。……北側は守護隊の配備が少なかったが、この下あたりはかなりの妖魔が倒されてた。副隊長が、ほとんど孤軍奮闘状態で戦ってくれたんだろうな」
隊長はもう一度、岩棚の縁まで歩くと、スキットルのキャップに手をやった。長の年月で固くなっていたのか、少し時間がかかったけど、やがてキャップは外れた。
傾けられたスキットルの口から、琥珀色の液体がダラに落ちていく。風が、ちょっとツンとするお酒の香りを運んでくる。
やがて隊長はキャップを締め直すと、右手を左の肩に当てて敬礼した。
「安らかに」
私も隣で、それに倣った。
ムシュク・ドストラーのチヤでいる間は、資料室には一度も入ったことがなかった。人間の事務官として赴任した時が初めて、ということになる。
棚には、ズムラディダラ探索の記録紙を紐で綴じたものが、ずらりと並んでいた。が、背表紙がないので、いつの記録がどこに入っているのかすらサッパリわからない状態。しかも、入りきらない記録は床に積み上げてある。
なかなか手強いカオスだったけど気合いを入れ、私はとにかく片っ端から中をざっと見て閉じ直し、棚に入れたときに見えるように年月日の札を着けていった。
数日が経った。
今日はナフィーサさんが馬を訓練に連れ出していて、トゥルガンさんは通常業務、クドラトさんもいつものように研究、そして隊長はヤジナに出かけている。砦の中は静かだった。
私も黙々と、資料の整理に没頭した。予算的にも技術的にも、記録の束をいちいち装丁するわけにいかないので、中を確認してはせっせと綴じ紐を結び直していく。
記録は、崩壊直後から始まっている。つい読んでしまったそれは本当に悲惨で、隊長やトゥルガンさんの同僚たちや学生たちのことが出てきて辛かった。インギロージャの原因がわかったことが、せめてもの供養になっているといいんだけど。
午後になると肩が凝ってしまい、腕や肩を回して運動しているところへ、ヤジナから戻った隊長が入ってきた。
「チヤ、邪魔するぞ」
「あ、隊長! おかえりなさい」
「あんまり根を詰めんなよ、ちゃんと休憩取ってるか?」
「はい。資料の整理、おなかがすくので、厨房いってトルガンにおやつもらってます」
トゥルガンさんとのティータイムは、日課になりつつある。資料の整理が一段落したらお菓子の作り方を教えてもらうつもりなんだ、楽しみ!
隊長は「そうか」と笑うと、こう言った。
「あのなチヤ。昨日の夜、『エミンの輪』に飯を食いにいったんだ」
「あ」
私は言葉に詰まった。
ムシュク・ドストラーのチヤの時に知り合った、黒猫クオラと人間のジャン。私が人間の姿で会いに行っても、まさか同一人物だなんて思わないだろう。
かといって、本当のことを打ち明けるわけにもいかない。人間と猫が合体できることが広まってしまえば、呪術師の中にはおかしなことを考える者が現れるかもしれないからだ。
それを一番警戒しているのがクドラトさんで、
「これ以上、素性を知っている人を絶対に増やしてはいけませんよ、チヤ」
と厳命されていた。ニルファルを知る私も、もちろんそのつもりだった。
でも、せっかく仲良くなったクオラとジャンは、私が全然来ないので不思議がっているかもしれない。一度狩られたことを知っているんだし、心配しているかも。特殊部隊を円満退職したことを知っているとしても、挨拶の一つもなしに去るなんて水くさいと思うだろうな。
「クオラとジャン、何か言っていましたか?」
「チヤは一緒じゃないのか、と聞かれたから、ひとまずは『忙しくて来られない』と答えておいた」
「そうですか……」
うつむくと、ちょうど資料室に三毛猫のチャコが入ってきたところだった。私に近づいて「にゃあ」と一声鳴き、足に身体をすり寄せる。抱き上げながら、私は言った。
「ドストラーの時に、お別れをいいたかったです。何か理由をつけて」
「そうだな……」
隊長はうなずき、何か少し考えている風に顎を撫でた。そして、言う。
「チヤ、あの呪い札を使ってみるか?」
「え……ムシュク・ドストラーに変身する札?」
「うん。それで、別れの挨拶をしに行ったらどうだ。気になってるんだろ? あれ、効果はどのくらいあるんだったか」
「いつ変身しても、次に眠ったら元にもどります」
「じゃあ、夕飯時に行けばいい」
「あの、隊長、なにかおてつだい、ありますか?」
私は急いで申し出た。
「どうせドストラーになるなら、ついでに何か、私しかできないお仕事します。朝、ドストラーになって、お仕事して、それからヤジナの『エミンの輪』に行く」
「なるほど。どうせ札を使うなら、一度に済ませた方がいいか。孤児院でも行くか?」
「そっち!?」
私が突っ込むと、隊長は大笑いしてから言った。
「北ゴンドラの途中に、足場が崩れた見張り場がある。そこに登れるようにロープ張るのを頼む。その後でヤジナに行こう。俺も来週なら行けるから、馬に乗せてやるよ」
「はい、ありがとうございます!」
ムシュク・ドストラーとしての、久しぶりの仕事!
私はちょっとわくわくしてしまう。事務官の仕事も大事だけど、この部隊がまだまだムシュク・ドストラーの力を必要としてることも知ってるから。いきなりリタイヤしてしまった形の私は、また役に立てるのがとても嬉しかった。
翌週の半ば、朝食の後で、私はチャコを抱っこしてアルさんの作った呪い札をクドラトさんに解放してもらった。久しぶりのムシュク・ドストラーの姿だ。
ドストラー用の軍服は返納してしまったので、今日は私服。チュニックにハーフパンツという格好。靴はナシ。
北ゴンドラで少しだけ降りたところで、岩棚に飛び移る。このあたりは大きな妖魔も出ないので、今日は私と隊長の二人での行動だ。
隊長の手を借り、前にやった忍者みたいな要領で、私は岩棚から崖の半ばまで飛び上がった。
以前はそこに鉄骨で足場が組んであって、上の岩棚まで登れるようになっていたみたいだけど、下の方の鉄骨が折れてしまっている。ダラが採石所だった時代からあるそうで、かなり古いから、錆びていたところに妖魔が突っ込んで壊したのかもしれない。
小さな出っ張りに着地し、残った鉄骨を伝って上の岩場まで上がった。あー、この身の軽さ、久しぶり! 意味もなく尻尾をフリフリしてしまう。ダラで猫の耳を澄ませると、砦から人間の耳で聞くよりも様々な音が聞こえてきて、この廃墟も全くの静寂の世界ではないのだとわかる。
岩棚の上には坑道の入り口があったけど、石を採りつくした後に封鎖され、新しい鉄骨がバツの字になっていた。ここならかなり丈夫そうだ。
私はそこにロープを結びつけると、下に垂らした。これで隊長が登れるようになる。
人間の姿の隊長が上ってきて、岩棚に降り立った。
「ありがとうな、チヤ。ここに立つのも十三年ぶりか」
隊長は岩棚の縁から、遠くを指さした。
「この見張り台からなら、病院の方が見えるんだ。他の場所だと、大岩が邪魔で見通せないんだよな」
「へえー」
私も隊長の隣に立ってみる。あ、ほんとだ、病院とか瞑想所が見えた! いい警備ポイントだね。
「さて、何かあるかな」
隊長は、岩棚の隅に行った。田舎のバス停みたいな、屋根と柱とベンチだけの休憩所がある。見張りの人が休むためのものかな。
ふと、足を止めた隊長が、屈み込んだ。
ベンチの下に手を伸ばし、何か拾い上げる。
そのまま黙り込んでしまったので、私は少しだけ近づいた。
「隊長?」
「……ああ」
立ち上がった隊長は、手のひらのものを見つめたまま私の方に向けた。
手に載っていたのは、金属製の平べったいボトルのようなもの。
「スキットル!」
思わず、日本語(というか外来語)で言う。
懐かしいな、私も自分のを持ってた。山登りが趣味だったから、成人して初めて登るとき、大人ぶってスキットルにウイスキー入れて持って行ったんだよね。もちろんおひとりさま登山でしたが何か。
それはともかく、山頂で開けたんだけど、初めてのウイスキーはあまりに度数がキツくて、舐めただけでそのまま持って下山したっけ。
こっちのスキットルも同じ形なんだなぁ、まあ実用的な形だもんね。水はもっと大きい容器に入れるけどお酒なら……と思いながらふと見上げると、隊長はそれを持ったままもう一度岩棚を見回していた。そして、呆然とした表情でつぶやく。
「ここだったのか」
「何……ですか?」
「うん」
隊長はようやく、表情を和らげた。
「これは、俺の直属の上司だった人のもんだ。当時のダラ守護隊の、副隊長。混じった型のイート・ドストラー。俺はまだ十七の新入りだったからな、世話になったよ」
「当時……」
「インギロージャ当時。……荒れ狂う大型妖魔の群を、守護隊や呪い師たちが辛うじて壊滅させた後、俺たちは生き残った仲間を探し回った。副隊長は、見つからなかった」
隊長は、スキットルをもう一度見つめる。
「あの日、副隊長は非番だった。きっとここで、ダラを眺めながら酒を飲んでたんだろう。……北側は守護隊の配備が少なかったが、この下あたりはかなりの妖魔が倒されてた。副隊長が、ほとんど孤軍奮闘状態で戦ってくれたんだろうな」
隊長はもう一度、岩棚の縁まで歩くと、スキットルのキャップに手をやった。長の年月で固くなっていたのか、少し時間がかかったけど、やがてキャップは外れた。
傾けられたスキットルの口から、琥珀色の液体がダラに落ちていく。風が、ちょっとツンとするお酒の香りを運んでくる。
やがて隊長はキャップを締め直すと、右手を左の肩に当てて敬礼した。
「安らかに」
私も隣で、それに倣った。
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