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2周目(後日談・番外編・その他)
ウルマン近郊・森の屋敷(アル視点)
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「話が違いますわ。呪術師の素質があるというから引き取ったのに、アルティンクったら何もできませんのよ」
「まあまあ、まだ七歳だ。これからということもある。もし使い物にならなくても、あの子は美しくなりそうだ、他に使い道があるだろう」
……はぁ。
私はため息をつきながら、小さな馬車に揺られていた。
王都の石畳はきれいに敷き詰められていて、ヤジナから王都にやってきた時の揺れに比べたらずっと楽。でも、私はこの道が嫌い。だって、王立学舎に向かう道なんですもの。
東の都市ヤジナの孤児院で育った私は、ヤジナからずっと離れた王都に暮らす学者一家に見初められ、養女として引き取られた。
どういうわけか、その家のおとうさまとおかあさまは最初から私にとても期待を寄せていて、私を立派な学舎に入学させた。でも、いつまで経っても私が呪術の授業で良い成績を取らないので、がっかりなさっているようだ。
身よりのない私を引き取って下さったんだもの、いい娘でいたい。だから、最近ではがっかりを隠さないおかあさまを見ると、悲しくなる。でもどんな風にすれば呪術の力を強くできるのか、わからないの。呪術を使おうとしても集中できなくて、無理に集中しようとしても力が風に吹き散らされていくような気がして。
それに……怖い。学舎が怖い。
学舎のみんなは、編入してきた私に親切だった。でも、授業中や休み時間、みんなで過ごしているだけで、急に怖くなってしまう。突然、何か恐ろしいものが教室に入ってくるような気がして。変ね、どうしてそんな想像をしてしまうのかしら。みんながひどい目に遭うのを想像するなんて、私は悪い子なのかしら。
一度怖くなるとたまらなくて、私は廊下に逃げ出してしまう。授業中に教室を飛び出してしまったことも、何度もある。そんなことを繰り返すうちに、私に話しかけてくれる子は減っていった。
がたん、と馬車が止まった。
お屋敷に着いたのだと思って、私は立ち上がる。早くお部屋にこもりたい。一人で過ごす時が一番、落ち着く。
馬車の扉が外から開き、私はステップに足をかけ――
そして、その場で動けなくなってしまった。
そこはお屋敷の玄関前、ではあったけれど、扉を開けたのは御者さんじゃなくて。
鮮やかな藍色の髪の、とてもかっこいい男の人だったのだ。立派な服装をしていて、後ろに家来らしい人もいる。
その若い男の人は言った。
「アルティンクだね?」
「は、はい」
私は目をぱちぱちさせた。
誰? 王子様?
「私はバルラスという。君のご両親と、私の父は友人だった」
その男の人が告げた両親の名前は、亡くなった実の両親のものだった。孤児院の先生に教えてもらった名前。
「本当なら、うちで君を引き取るはずだったのに、どういう手違いか君は孤児院に行き、そして王都に引き取られてしまったんだ」
男の人は困ったように首を振り、そして私を見た。
「迎えに来た。今のお父上とお母上には説明してある。私の屋敷においで」
あたりをちらっと見回すと、玄関におとうさまとおかあさまが立っている。おかあさまは私が見ているのに気がつくと、フンと顎をそらしてお屋敷に入っていってしまい、おとうさまがあわてたようにその後を追った。手に、何か重そうな小袋を持っていたけど、あれはお金かしら。
男の人は、私の返事を待っている。私は首を横に振った。もうがっかりされたくない、最初から正直に言おう。
「私、なにもできません。呪術もヘタだし、学舎もきらい」
すると、男の人は軽く両手を広げた。
「それは好都合。私の屋敷は森の中でね、学舎は遠すぎて通えないんだ」
「……本当? でも、呪術……」
「私も呪術はヘタだ。君ばかりができてしまうと私が周りにバカにされてしまうので、君もできない方が助かる」
ぷぷっ、と、私は笑ってしまった。何だか、笑うの久しぶり。
「さあ、行こう。こちらの馬車に乗り換えたまえ」
男の人――バルラス様は、大人の女性にするように、私に手を差し出した。
私はその手を取ると、ぴょん、と馬車から飛び降りた。
またまた長い距離を旅しなくてはならなかったけど、ようやくたどり着いた森のお屋敷はとても素敵で、私はすっかり気に入った。
学舎に行かなくていいし、お屋敷にも人が少ないせいか怖い感じが全然しない。呪術もしなくていい。お料理上手なおばあさんと、呪術以外の勉強を教えてくれるおじいさん、そしてその娘さんであるおばさんが、優しく私のお世話をしてくれる。後はお屋敷を見回ったり馬のお世話をしたりする男の人――これは時々交代していたけど――が何人かいるくらい。
バルラス様はここのご主人みたいだったけど、他に本当の家があってそこでお仕事をしているそうで、こっちはお仕事がお休みの時にのんびりしに来る別宅なんですって。だから時々しか来られないんだけど、来て下さった時は私とたくさんお話して下さる。
同じ年頃のお友達はいないけど、その方が落ち着く。だって、何かが来るのを見ないで済む、から……?
……何を?
もう忘れちゃった。
森の中は、王都やヤジナとは時間の流れが違うように感じる。穏やかに日々は過ぎ、それを当たり前と思っていたけれど、大人になってくればわかることもある。今まで疑問に思わなかったことが、本当はおかしいのだということとか。
そして、私は十六歳になった。
「私、バルラス様の愛人、ということで良いのかしら?」
私がそう言った時、目の前でお茶を飲んでいたバルラス様は盛大にお茶を噴き出し、お茶を出して部屋の外に出ようとしていたおじいさんはお盆をガターンと取り落とした。
「うぇほっ、げほっ……あ、アル? 意味をわかって言っているのか?」
涙目のバルラス様が、お茶のカップを置く。当たり前だ、と私はうなずいた。
「最近、私が階段を飛び降りたりすると、皆が『やめなさい、アルはもうお年頃なんだから』って言うの。お年頃っていうのは、結婚するような年頃、ということでしょう? バルラス様には奥様はいらっしゃらないそうですけれど、私は奥様ではないし、何か事情があってここで暮らすことになったのもわかっています」
「アル」
「いえ、私はそれでいいのです、ここの暮らしが大好きですから。でも、結婚しないのなら、『お年頃』の私はどうしたらいいのかしらと思って。娘として何かお役に、とも考えたのですけれど、年が十くらいしか離れていないので娘というのは無理がありますし。バルラス様のお役に立てるような何かっていうと、あとは愛人かしらって」
「そんな言葉、どこで覚えた!?」
「王都のおとうさまが、私をいつか誰かの愛人にするとおっしゃっていたので」
あの男、と、バルラス様が舌打ちする。……何かいけないことだった?
「愛人でなくても良いのです。私はもう大人です。お世話になるばかりではなく、何かお役目を下さいませ。ね、バルラス様」
私はお願いした。外に出る以外のことなら、バルラス様はたいてい聞いて下さる。外に出たいと言ったことなんてないけれど。
「かっ……考えておく……」
バルラス様はそう言って、目を逸らした。
最近、いつもこう。バルラス様がいらした時、「お帰りなさい!」と飛びつこうとしてもさっさと歩き出してしまわれるし、あまり目を合わせて下さらない。その割に、たまにこちらを見ていらっしゃるのを感じる。
たまの滞在なんだもの、もっと近くにいたいのに。
もっと、私を必要としてほしい。何か理由があって私をここに置いているのだとしても、それ以外のことでも私を求めてほしいの。
だって、バルラス様は私の恩人だから。私をここに置いておく理由がなくなっても、一緒にいたいから。
それからしばらく、バルラス様は森のお屋敷に姿を見せなかった。
「お仕事がお忙しいみたいですよ。アルが寂しがっているって、お手紙を書いておきますね」
おばさんがそう言ってくれた。
「……来て、下さるかしら」
私は急に悲しくなって、涙をこぼした。
「お仕事じゃないかもしれないわ。バルラス様に奥様や愛人ができたら、もう私には会いに来て下さらないかも。ずっと、それが怖かったの」
「まあまあ、アルったら、まあまあ」
おばさんはなぜか嬉しそうに、私の手を取った。
「絶対、そんなことはありませんよ」
どうして、そんなことが言えるの? 父さまも母さまも、友達も、何の前触れもなく私の前から姿を消したわ。バルラス様がそうじゃないって、どうして思えるかしら?
……誰かがずっと、そばにいてくれたらいいのに……
十七歳の、誕生日。
やっとバルラス様が来て下さった。嬉しかったけど、バルラス様を困らせたくて玄関にお迎えには出なかったら、バルラス様が私の部屋に来て下さった。
「怒っているのか? しばらく来られなくて、済まない」
二人きりの部屋の中、謝るバルラス様をもっと困らせたくて、私はふくれた。
「私のお役目、考えて下さいました? 考えて下さる約束でしたよね? じゃなきゃ、許しません」
「…………」
バルラス様は黙っている。
……私が偉そうにわがままを言うから、怒ってしまわれたの?
こちらから謝りそうになった時、不意に、温かいものが私を包んだ。
抱きしめられている。バルラス様に。
「……アル」
耳に、バルラス様の唇が触れている。バルラス様の匂いがする。
胸が苦しいほどドキドキし始めた。
「お前が『愛人』などと言い出したとき、焦った。もし、私がお前をこの屋敷に置いていると領民が知ったら、お前は日陰の身だと思われるだろうと考えていたからだ。……お前を皆の前に連れ出して、妻だと言えたらいいのに、と」
……妻?
私が?
「そうだ。私はお前を妻にしたい。しかし、今は無理だ。そんないい加減なことはできないと耐えてきたが……」
バルラス様は私を抱きしめたまま、少し黙っていたけれど、身体を離して私の目を見つめた。
人の視線に熱を感じるのなんて、初めてだった。
「お前を、私のものにしたい。しかし、得るのは私ばかりだ。表には出せないし、ずっとそばにいてやることさえできない。今はお前に何もしてやれない」
そんなこと……。もう、たくさん頂いているのに。
そう言いたかったけど、ドキドキするあまり言葉にできなかった。
バルラス様は、どこか苦しそうに言う。
「お前に、贈り物を用意した。お前が望むものだと思う。それと引き替えに、お前を私のものにする許しをくれ」
私の望むもの……
一瞬、望んでやまないそれが頭をよぎったけれど、私は笑顔を作った。
「バルラス様が下さるものなら、何でも嬉しいです。それに、バルラス様のものになれるなら、それも嬉しいの」
「アル」
バルラス様はもう一度、強く私を抱きしめる。
そして、私を抱き上げた。
目が覚めたとき、そばにバルラス様の寝顔があった。
肘をついて、その顔を眺める。次はいつ、来て下さるんだろう。
ちょい、と鼻に触ると、バルラス様はすぐに目を覚ました。
「アル……。私のアル」
「はい」
私はバルラス様の胸に顔を寄せる。寄り添えば寄り添うほど、離れるのが辛くて、泣きそうになる。
不意に、私を抱きしめたままバルラス様が身体を起こした。
「約束のものを、お前にやろう」
え? ああ、そうだった、昨夜は夢中で忘れていたけれど、何か贈り物を下さるっておっしゃってた。
バルラス様は少し照れたように笑う。
「図らずも、エタラ・ソーガになってしまったな」
「朝の贈り物?」
「夫婦が初めて結ばれた翌朝、夫は妻に贈り物をするのだ」
私も少し、照れてしまった。
寝間着姿のまま、私たちは寝台を降りる。私が望むものだと思う、っておっしゃってた。何かしら……?
バルラス様に腰を抱かれながら部屋を出る。階段を下り、一階の、空き部屋だと思っていた部屋に入った。
そこには、布をかぶせられた何かが置いてあった。巨大な箱……?
バルラス様が、さっ、と布を跳ね上げた。
黒い瞳、三色の毛。年の頃は八歳か九歳。
ムシュク・ドストラーの女の子が、檻の中にいた。
バルラス様が言う。
「お前の護衛にしようと思う。ずっとお前の側にいるように、育てよう」
ずっと……?
失うのが怖かったけれど、本当はずっと、望んでやまなかったもの。家族でも友達でもいい、一緒に暮らしてくれる子。
この子は、そばにいてくれる? 急にいなくなってしまったりしない?
私はもっとよく見ようと、三色ちゃんと視線が合うようにかがみ込んだ。
そして、気がついた――戸惑ったような表情のその子が、首輪と鎖で繋がれていることに。
「ば、バルラス様! ドストラーを鎖につなぐなんて!」
「しかし、大事なのはお前の身の安全だ。興奮して飛びかかられたらどうする。慣れるまではつないでおくに越したことはないだろう」
「この子は大丈夫です! 大丈夫な『気』がしますから!」
私は言い募る。ドストラーにしては印象が違う、私を襲おうなんて欠片も考えていない目をしているわ。そんな風には育って来なかったのよ。
バルラス様は肩をすくめて、部屋の隅の棚の方に行った。その間に、私は三色ちゃんに話しかける。
「ごめんなさい、すぐに出してあげるから。いつからここにいるの? きっとお腹も空いているわね」
やがて、バルラス様が首輪の鍵を檻の中に置いた。「一応、誰か呼んでおいてから檻の鍵を開けるか……」と言いながら部屋を出ていく。
鍵を取ろうとした三色ちゃんが、急に自分の手足を見てあわて出した。
「ど、どうしたの? どこか痛い?」
驚いて檻をつかみながら顔を近づけると、ビクッとしたその子は身体を縮める。
「大丈夫よ、何もしないわ。私はアルティンク。アルティンクよ」
自分を指して、名前を言う。そして、その子を指さした。
「あなたの名前は? 名前はあるの?」
何度か繰り返すと、意味がわかったのか、三色ちゃんは泣きそうな声で言った。
「……ちやこ」
それが、私の友達で、妹で、姉で……とにかく大事な家族になる、チャコとの出会いだった。
バルラス様は、誰かと裏取引をしてチャコを手に入れたらしい。
「先方の望む手助けをする代わりに、ムシュク・ドストラーの子どもを養子にしたいと言ったのに、闇で『狩人』から手に入れて送りつけてきた。領主に上申して組織を探し出してやる」
ぶつくさ言いながら、数日でお屋敷を離れてしまった。
寂しかったけれど、今の私には大事な役目がある。チャコと家族になることだ。ずっと一緒にいられるように。
言葉を少しずつ覚えたチャコは、私を信用して接してくれたけれど、何か隠していることがあるみたい。私にも、私自身さえ知らない秘密があるらしいから、お互い様だ。
「いつか、秘密を教え合いっこしましょうね。そんな日が来るといいわね」
私が言っても、チャコには意味がわからなかったと思うけれど、彼女はじっと私の言うことを聞いていた。
チャコはまだ小さいのに、とても思慮深い。人の迷惑になるようなことをしないし、決まりを守る。私にお世話なんかされなくても平気みたい……と思ったけれど、護衛の訓練の時はしんどそうで、後で手足をさすってあげるとニコニコする。そうすると、私も嬉しい。
夜、私が怖い夢を見てうなされると、すぐに柔らかな手のひらで私の頬をつついて起こしてくれる。そんな時は、まるでチャコの方が年上みたいに感じて、私は安心してもう一度眠ることができた。本当に、不思議な子。
三年の間、私たちはとても仲良く過ごせたと思う。
二十歳になった時、恐ろしいものが、屋敷に入って来るまでは。
刺された衝撃と、チャコの悲鳴で、私は全てを思い出した。
頭の中を、記憶が駆け巡る。妖魔の群れが、ズムラディダラのあらゆるものを蹂躙する、恐ろしい光景……
力を、取り戻さなくちゃ。私の力で、チャコを守らなくちゃ。でないと私はまた、失ってしまう……!
力を振り絞って、私は自分の胸に震える手を当て、呪術をかけた。
悪夢の中で何度も妖魔と戦って、目覚めた時には、長い時間が経っていた。
お屋敷の寝室。チャコは、いない。
「アル、良かった……! ダラでの記憶も戻ったのか!?」
手を握るバルラス様に微笑みかけ、うなずいてから、私はかろうじて声を押し出した。
「思い出しました。お話、します。その代わり、私を、ここから出して」
「……アル?」
「お屋敷を、出ます。あの子を、探しに、行かなくちゃ」
十三年間、一度もお屋敷を出ないで過ごしてきた私にとって、外はやっぱり恐ろしい。
でも、チャコは生きている。ダラの皆のように、死んでしまったわけではないのだもの。
必ず見つけてみせるわ……!
【ウルマン近郊・森の屋敷 完】
【後書き】
チヤと初めて顔を合わせたバルラス&アルが、どうして寝間着姿だったのか、というお話でした。
「朝の贈り物」は世界観に合わせた名前をつけてしまいましたが、実は「モルゲンガーベ」と言って昔のドイツの風習です。一般には夫から妻への婚礼の翌朝の贈り物を指すとされてきたそうですが、実際には他の形もあるようです。
参考URL http://ch-gender.jp/wp/?page_id=2661
「まあまあ、まだ七歳だ。これからということもある。もし使い物にならなくても、あの子は美しくなりそうだ、他に使い道があるだろう」
……はぁ。
私はため息をつきながら、小さな馬車に揺られていた。
王都の石畳はきれいに敷き詰められていて、ヤジナから王都にやってきた時の揺れに比べたらずっと楽。でも、私はこの道が嫌い。だって、王立学舎に向かう道なんですもの。
東の都市ヤジナの孤児院で育った私は、ヤジナからずっと離れた王都に暮らす学者一家に見初められ、養女として引き取られた。
どういうわけか、その家のおとうさまとおかあさまは最初から私にとても期待を寄せていて、私を立派な学舎に入学させた。でも、いつまで経っても私が呪術の授業で良い成績を取らないので、がっかりなさっているようだ。
身よりのない私を引き取って下さったんだもの、いい娘でいたい。だから、最近ではがっかりを隠さないおかあさまを見ると、悲しくなる。でもどんな風にすれば呪術の力を強くできるのか、わからないの。呪術を使おうとしても集中できなくて、無理に集中しようとしても力が風に吹き散らされていくような気がして。
それに……怖い。学舎が怖い。
学舎のみんなは、編入してきた私に親切だった。でも、授業中や休み時間、みんなで過ごしているだけで、急に怖くなってしまう。突然、何か恐ろしいものが教室に入ってくるような気がして。変ね、どうしてそんな想像をしてしまうのかしら。みんながひどい目に遭うのを想像するなんて、私は悪い子なのかしら。
一度怖くなるとたまらなくて、私は廊下に逃げ出してしまう。授業中に教室を飛び出してしまったことも、何度もある。そんなことを繰り返すうちに、私に話しかけてくれる子は減っていった。
がたん、と馬車が止まった。
お屋敷に着いたのだと思って、私は立ち上がる。早くお部屋にこもりたい。一人で過ごす時が一番、落ち着く。
馬車の扉が外から開き、私はステップに足をかけ――
そして、その場で動けなくなってしまった。
そこはお屋敷の玄関前、ではあったけれど、扉を開けたのは御者さんじゃなくて。
鮮やかな藍色の髪の、とてもかっこいい男の人だったのだ。立派な服装をしていて、後ろに家来らしい人もいる。
その若い男の人は言った。
「アルティンクだね?」
「は、はい」
私は目をぱちぱちさせた。
誰? 王子様?
「私はバルラスという。君のご両親と、私の父は友人だった」
その男の人が告げた両親の名前は、亡くなった実の両親のものだった。孤児院の先生に教えてもらった名前。
「本当なら、うちで君を引き取るはずだったのに、どういう手違いか君は孤児院に行き、そして王都に引き取られてしまったんだ」
男の人は困ったように首を振り、そして私を見た。
「迎えに来た。今のお父上とお母上には説明してある。私の屋敷においで」
あたりをちらっと見回すと、玄関におとうさまとおかあさまが立っている。おかあさまは私が見ているのに気がつくと、フンと顎をそらしてお屋敷に入っていってしまい、おとうさまがあわてたようにその後を追った。手に、何か重そうな小袋を持っていたけど、あれはお金かしら。
男の人は、私の返事を待っている。私は首を横に振った。もうがっかりされたくない、最初から正直に言おう。
「私、なにもできません。呪術もヘタだし、学舎もきらい」
すると、男の人は軽く両手を広げた。
「それは好都合。私の屋敷は森の中でね、学舎は遠すぎて通えないんだ」
「……本当? でも、呪術……」
「私も呪術はヘタだ。君ばかりができてしまうと私が周りにバカにされてしまうので、君もできない方が助かる」
ぷぷっ、と、私は笑ってしまった。何だか、笑うの久しぶり。
「さあ、行こう。こちらの馬車に乗り換えたまえ」
男の人――バルラス様は、大人の女性にするように、私に手を差し出した。
私はその手を取ると、ぴょん、と馬車から飛び降りた。
またまた長い距離を旅しなくてはならなかったけど、ようやくたどり着いた森のお屋敷はとても素敵で、私はすっかり気に入った。
学舎に行かなくていいし、お屋敷にも人が少ないせいか怖い感じが全然しない。呪術もしなくていい。お料理上手なおばあさんと、呪術以外の勉強を教えてくれるおじいさん、そしてその娘さんであるおばさんが、優しく私のお世話をしてくれる。後はお屋敷を見回ったり馬のお世話をしたりする男の人――これは時々交代していたけど――が何人かいるくらい。
バルラス様はここのご主人みたいだったけど、他に本当の家があってそこでお仕事をしているそうで、こっちはお仕事がお休みの時にのんびりしに来る別宅なんですって。だから時々しか来られないんだけど、来て下さった時は私とたくさんお話して下さる。
同じ年頃のお友達はいないけど、その方が落ち着く。だって、何かが来るのを見ないで済む、から……?
……何を?
もう忘れちゃった。
森の中は、王都やヤジナとは時間の流れが違うように感じる。穏やかに日々は過ぎ、それを当たり前と思っていたけれど、大人になってくればわかることもある。今まで疑問に思わなかったことが、本当はおかしいのだということとか。
そして、私は十六歳になった。
「私、バルラス様の愛人、ということで良いのかしら?」
私がそう言った時、目の前でお茶を飲んでいたバルラス様は盛大にお茶を噴き出し、お茶を出して部屋の外に出ようとしていたおじいさんはお盆をガターンと取り落とした。
「うぇほっ、げほっ……あ、アル? 意味をわかって言っているのか?」
涙目のバルラス様が、お茶のカップを置く。当たり前だ、と私はうなずいた。
「最近、私が階段を飛び降りたりすると、皆が『やめなさい、アルはもうお年頃なんだから』って言うの。お年頃っていうのは、結婚するような年頃、ということでしょう? バルラス様には奥様はいらっしゃらないそうですけれど、私は奥様ではないし、何か事情があってここで暮らすことになったのもわかっています」
「アル」
「いえ、私はそれでいいのです、ここの暮らしが大好きですから。でも、結婚しないのなら、『お年頃』の私はどうしたらいいのかしらと思って。娘として何かお役に、とも考えたのですけれど、年が十くらいしか離れていないので娘というのは無理がありますし。バルラス様のお役に立てるような何かっていうと、あとは愛人かしらって」
「そんな言葉、どこで覚えた!?」
「王都のおとうさまが、私をいつか誰かの愛人にするとおっしゃっていたので」
あの男、と、バルラス様が舌打ちする。……何かいけないことだった?
「愛人でなくても良いのです。私はもう大人です。お世話になるばかりではなく、何かお役目を下さいませ。ね、バルラス様」
私はお願いした。外に出る以外のことなら、バルラス様はたいてい聞いて下さる。外に出たいと言ったことなんてないけれど。
「かっ……考えておく……」
バルラス様はそう言って、目を逸らした。
最近、いつもこう。バルラス様がいらした時、「お帰りなさい!」と飛びつこうとしてもさっさと歩き出してしまわれるし、あまり目を合わせて下さらない。その割に、たまにこちらを見ていらっしゃるのを感じる。
たまの滞在なんだもの、もっと近くにいたいのに。
もっと、私を必要としてほしい。何か理由があって私をここに置いているのだとしても、それ以外のことでも私を求めてほしいの。
だって、バルラス様は私の恩人だから。私をここに置いておく理由がなくなっても、一緒にいたいから。
それからしばらく、バルラス様は森のお屋敷に姿を見せなかった。
「お仕事がお忙しいみたいですよ。アルが寂しがっているって、お手紙を書いておきますね」
おばさんがそう言ってくれた。
「……来て、下さるかしら」
私は急に悲しくなって、涙をこぼした。
「お仕事じゃないかもしれないわ。バルラス様に奥様や愛人ができたら、もう私には会いに来て下さらないかも。ずっと、それが怖かったの」
「まあまあ、アルったら、まあまあ」
おばさんはなぜか嬉しそうに、私の手を取った。
「絶対、そんなことはありませんよ」
どうして、そんなことが言えるの? 父さまも母さまも、友達も、何の前触れもなく私の前から姿を消したわ。バルラス様がそうじゃないって、どうして思えるかしら?
……誰かがずっと、そばにいてくれたらいいのに……
十七歳の、誕生日。
やっとバルラス様が来て下さった。嬉しかったけど、バルラス様を困らせたくて玄関にお迎えには出なかったら、バルラス様が私の部屋に来て下さった。
「怒っているのか? しばらく来られなくて、済まない」
二人きりの部屋の中、謝るバルラス様をもっと困らせたくて、私はふくれた。
「私のお役目、考えて下さいました? 考えて下さる約束でしたよね? じゃなきゃ、許しません」
「…………」
バルラス様は黙っている。
……私が偉そうにわがままを言うから、怒ってしまわれたの?
こちらから謝りそうになった時、不意に、温かいものが私を包んだ。
抱きしめられている。バルラス様に。
「……アル」
耳に、バルラス様の唇が触れている。バルラス様の匂いがする。
胸が苦しいほどドキドキし始めた。
「お前が『愛人』などと言い出したとき、焦った。もし、私がお前をこの屋敷に置いていると領民が知ったら、お前は日陰の身だと思われるだろうと考えていたからだ。……お前を皆の前に連れ出して、妻だと言えたらいいのに、と」
……妻?
私が?
「そうだ。私はお前を妻にしたい。しかし、今は無理だ。そんないい加減なことはできないと耐えてきたが……」
バルラス様は私を抱きしめたまま、少し黙っていたけれど、身体を離して私の目を見つめた。
人の視線に熱を感じるのなんて、初めてだった。
「お前を、私のものにしたい。しかし、得るのは私ばかりだ。表には出せないし、ずっとそばにいてやることさえできない。今はお前に何もしてやれない」
そんなこと……。もう、たくさん頂いているのに。
そう言いたかったけど、ドキドキするあまり言葉にできなかった。
バルラス様は、どこか苦しそうに言う。
「お前に、贈り物を用意した。お前が望むものだと思う。それと引き替えに、お前を私のものにする許しをくれ」
私の望むもの……
一瞬、望んでやまないそれが頭をよぎったけれど、私は笑顔を作った。
「バルラス様が下さるものなら、何でも嬉しいです。それに、バルラス様のものになれるなら、それも嬉しいの」
「アル」
バルラス様はもう一度、強く私を抱きしめる。
そして、私を抱き上げた。
目が覚めたとき、そばにバルラス様の寝顔があった。
肘をついて、その顔を眺める。次はいつ、来て下さるんだろう。
ちょい、と鼻に触ると、バルラス様はすぐに目を覚ました。
「アル……。私のアル」
「はい」
私はバルラス様の胸に顔を寄せる。寄り添えば寄り添うほど、離れるのが辛くて、泣きそうになる。
不意に、私を抱きしめたままバルラス様が身体を起こした。
「約束のものを、お前にやろう」
え? ああ、そうだった、昨夜は夢中で忘れていたけれど、何か贈り物を下さるっておっしゃってた。
バルラス様は少し照れたように笑う。
「図らずも、エタラ・ソーガになってしまったな」
「朝の贈り物?」
「夫婦が初めて結ばれた翌朝、夫は妻に贈り物をするのだ」
私も少し、照れてしまった。
寝間着姿のまま、私たちは寝台を降りる。私が望むものだと思う、っておっしゃってた。何かしら……?
バルラス様に腰を抱かれながら部屋を出る。階段を下り、一階の、空き部屋だと思っていた部屋に入った。
そこには、布をかぶせられた何かが置いてあった。巨大な箱……?
バルラス様が、さっ、と布を跳ね上げた。
黒い瞳、三色の毛。年の頃は八歳か九歳。
ムシュク・ドストラーの女の子が、檻の中にいた。
バルラス様が言う。
「お前の護衛にしようと思う。ずっとお前の側にいるように、育てよう」
ずっと……?
失うのが怖かったけれど、本当はずっと、望んでやまなかったもの。家族でも友達でもいい、一緒に暮らしてくれる子。
この子は、そばにいてくれる? 急にいなくなってしまったりしない?
私はもっとよく見ようと、三色ちゃんと視線が合うようにかがみ込んだ。
そして、気がついた――戸惑ったような表情のその子が、首輪と鎖で繋がれていることに。
「ば、バルラス様! ドストラーを鎖につなぐなんて!」
「しかし、大事なのはお前の身の安全だ。興奮して飛びかかられたらどうする。慣れるまではつないでおくに越したことはないだろう」
「この子は大丈夫です! 大丈夫な『気』がしますから!」
私は言い募る。ドストラーにしては印象が違う、私を襲おうなんて欠片も考えていない目をしているわ。そんな風には育って来なかったのよ。
バルラス様は肩をすくめて、部屋の隅の棚の方に行った。その間に、私は三色ちゃんに話しかける。
「ごめんなさい、すぐに出してあげるから。いつからここにいるの? きっとお腹も空いているわね」
やがて、バルラス様が首輪の鍵を檻の中に置いた。「一応、誰か呼んでおいてから檻の鍵を開けるか……」と言いながら部屋を出ていく。
鍵を取ろうとした三色ちゃんが、急に自分の手足を見てあわて出した。
「ど、どうしたの? どこか痛い?」
驚いて檻をつかみながら顔を近づけると、ビクッとしたその子は身体を縮める。
「大丈夫よ、何もしないわ。私はアルティンク。アルティンクよ」
自分を指して、名前を言う。そして、その子を指さした。
「あなたの名前は? 名前はあるの?」
何度か繰り返すと、意味がわかったのか、三色ちゃんは泣きそうな声で言った。
「……ちやこ」
それが、私の友達で、妹で、姉で……とにかく大事な家族になる、チャコとの出会いだった。
バルラス様は、誰かと裏取引をしてチャコを手に入れたらしい。
「先方の望む手助けをする代わりに、ムシュク・ドストラーの子どもを養子にしたいと言ったのに、闇で『狩人』から手に入れて送りつけてきた。領主に上申して組織を探し出してやる」
ぶつくさ言いながら、数日でお屋敷を離れてしまった。
寂しかったけれど、今の私には大事な役目がある。チャコと家族になることだ。ずっと一緒にいられるように。
言葉を少しずつ覚えたチャコは、私を信用して接してくれたけれど、何か隠していることがあるみたい。私にも、私自身さえ知らない秘密があるらしいから、お互い様だ。
「いつか、秘密を教え合いっこしましょうね。そんな日が来るといいわね」
私が言っても、チャコには意味がわからなかったと思うけれど、彼女はじっと私の言うことを聞いていた。
チャコはまだ小さいのに、とても思慮深い。人の迷惑になるようなことをしないし、決まりを守る。私にお世話なんかされなくても平気みたい……と思ったけれど、護衛の訓練の時はしんどそうで、後で手足をさすってあげるとニコニコする。そうすると、私も嬉しい。
夜、私が怖い夢を見てうなされると、すぐに柔らかな手のひらで私の頬をつついて起こしてくれる。そんな時は、まるでチャコの方が年上みたいに感じて、私は安心してもう一度眠ることができた。本当に、不思議な子。
三年の間、私たちはとても仲良く過ごせたと思う。
二十歳になった時、恐ろしいものが、屋敷に入って来るまでは。
刺された衝撃と、チャコの悲鳴で、私は全てを思い出した。
頭の中を、記憶が駆け巡る。妖魔の群れが、ズムラディダラのあらゆるものを蹂躙する、恐ろしい光景……
力を、取り戻さなくちゃ。私の力で、チャコを守らなくちゃ。でないと私はまた、失ってしまう……!
力を振り絞って、私は自分の胸に震える手を当て、呪術をかけた。
悪夢の中で何度も妖魔と戦って、目覚めた時には、長い時間が経っていた。
お屋敷の寝室。チャコは、いない。
「アル、良かった……! ダラでの記憶も戻ったのか!?」
手を握るバルラス様に微笑みかけ、うなずいてから、私はかろうじて声を押し出した。
「思い出しました。お話、します。その代わり、私を、ここから出して」
「……アル?」
「お屋敷を、出ます。あの子を、探しに、行かなくちゃ」
十三年間、一度もお屋敷を出ないで過ごしてきた私にとって、外はやっぱり恐ろしい。
でも、チャコは生きている。ダラの皆のように、死んでしまったわけではないのだもの。
必ず見つけてみせるわ……!
【ウルマン近郊・森の屋敷 完】
【後書き】
チヤと初めて顔を合わせたバルラス&アルが、どうして寝間着姿だったのか、というお話でした。
「朝の贈り物」は世界観に合わせた名前をつけてしまいましたが、実は「モルゲンガーベ」と言って昔のドイツの風習です。一般には夫から妻への婚礼の翌朝の贈り物を指すとされてきたそうですが、実際には他の形もあるようです。
参考URL http://ch-gender.jp/wp/?page_id=2661
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