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後日談・番外編
離宮の長い2日間 2
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カザムさんも仕事があるので、戦いはある程度のところで勘弁してもらうことになった。
「ほほほ、命拾いしたわねカザム!」
レモニーナさん……悪役みたいな捨て台詞はいいから、一緒に来て下さいって。
王子の部屋で、レモニーナさんも一緒にお昼ご飯を食べることになった。
「お客さん、演武か何かだと思ったみたいで、どんどん集まってきちゃって。あー楽しかった! カザムに武器を渡して、いきなり仕掛けてみたんだけど、一本は取れなかったわ。さすがね」
「初めてお会いした時も、いきなり戦い出してビックリしたんですよ」
「そうだったわね」
食事をしながら、お互いの近況などを報告し合う。
このあたりは離宮でもかなり奥まったところなので、静かに話ができるんだよね。
レモニーナさんとは手紙のやり取りはしているけれど、王宮に行った時以来会っていなかったので、会えて本当に嬉しい。
食事を終えると、王子はテラスから外に出て、ツリーハウスの方へ走って行った。
レモニーナさんと話しながら後をついて行き、梯子を登る王子を見守る。王子と私とレモニーナさん、全員全く血のつながりがないのに、親子三代ということになってるのが未だに可笑しいわ。
レモニーナさんがふと、私の左腕を取って印を眺めた。
「ラズトに聞いたわよ。術で変化する練習したんだって?」
「そうなんです! もう難しくって」
私はわざと目を回して見せた。
「なかなか術が発動しなくて参りました」
初めてちゃんと術を使ったわけだけど、難しいのなんの。
“星心印”はラズトさんが刻んでくれたから、間違った印でとんでもないものに変化してしまうような心配はなかったけど、ちゃんとしたイメージが必要なのに私がイメージを固められなくて。こちらの動物のことがよくわかってないから。
それで最終的に、前にカザムさんが変化した、フェレットみたいなイタチ系の動物になら変化できるようになりました。あの動物はティンプというんだって。
『俺がティンプに変化することを選んだのは、小さくてすばしっこいので身を隠しやすい一方で、とても獰猛な生き物だからです』
ラズトさんから術を教わった時、一緒にいたカザムさんが教えてくれた。
そういえば、日本でもニュースで見たな……イタチだかテンだかが、特別天然記念物のコウノトリを殺しちゃったって。自分より大きな鳥も獲物にしちゃうんだって、驚いたっけ。
『コーメも、自分の身が危ないと思ったら、躊躇せずに牙を使うんですよ』
うう……で、できるかな。
『それに、結局は人間なので、ティンプの能力が全て使いこなせるわけではありません。そこを忘れずに、無理をしないように』
カザムさんはもともと、戦うことを生業にしている人だから、運動不足の私なんかより身体が動くのはもちろん、私が動かせないような筋肉も可動が利く。
その上で、ポンガ(パンダ)やティンプにも事前に変化して慣らしておいたからこそ、動物の姿で私や王子を護衛することが可能だったのだ。
私がティンプに変化しても、できることは限られている。もし私の身に何か起こったとしても、変化は最終手段にしておいたほうが良さそう。
「そうね、カザムの言うとおりだと思うわ。それにしてもそのイディンっていう術士、犯罪者でもないのにすごい警戒のされようね」
レモニーナさんは苦笑。
「ですよねぇ」
私がため息をついて同意すると、
「それだけ愛されちゃってるってことね。でも、コーメは三人の男性をあしらってきた大人の女性なんだから、そんな人ちょちょいのちょい、よねぇ」
そ、それは……買いかぶりすぎです。
疲れた王子が昼寝を始めたので、部屋の前に立つ護衛士さんに後を頼んで部屋を出た。
明日の準備をするというレモニーナさんと別れ、私は厨房や洗濯場、資材の搬入口などが集中している、いわば離宮のバックヤードの方へ向かう。
弦楽器のメロディが、遠くから風に乗って運ばれてきた。楽団のコンサートが始まったのだろう。
廊下の角をまがった先に、旗が翻るのが見えた。大勢の人が集まっている。
「はい、次は、普段お見せすることのない離宮の裏側に潜入してみたいと思います」
タヴァルさんの奥さんの、ミレットさんだ。
いつもニコニコと笑顔を絶やさない、ふんわりしたおばさんなんだけど、ノリのいい女性でもある。
旗を片手にお客さんを案内する、ツアーガイドっぷりがよく似合ってるな。邪魔しないようにしよう。
「あれ?」
ツアー客の中に、知った顔が……。
私はさりげなく列の一番後ろに回り、声をかけた。
「こんにちは、ツグル調査官」
いつも困った顔をしているこのおじさまは、王宮で人事関係の仕事をしている。私を乳母に推薦してくれた人だ。
彼はパッと私を振り向くと、廊下の角に隠れるようにして「しーっ」と指を口にあてた。
「その節はお世話になりました。何をなさってらっしゃるんですか?」
聞くと、こそこそと答えてくれる。
「ツアー客に紛れて、抜き打ちの人事評価中なんです。内緒にしてて下さいよ」
えっ、そうなんだ!
「うわっ、もう私の評価はなさいました?」
調査官はうなずくと、表情そのままでグッと親指を上げ、またこそこそとツアーに戻って行った。
……えっと、好評価、だったのかな? なら良かったけどね。給料上がったりして。
そうそう、給料といえば! 私が初めて離宮に入る前に、それまで働いた分ということで――つまり、あのツリーハウスで目を覚ましてから、一人で半年間王子を育てた事に対する報酬を、ソラミーレ様が「コーメの口座を新しく作って入れておきますからね」って言ってたの。
こちらも銀行のようなものがあって、お金の出し入れは左指の“星心印”と暗証番号でできるのね。
最初は、初めてラズトさんの別荘で事情を説明する時に渡そうと思ったそうなんだけど、事情を知ったばかりの私に
「というわけで、はいお金」
っていうのも、ほら、なんか感じ悪いじゃない? それで延期してたそうです。
あとで自分の口座を見たら、目がチカチカしました。桁が大きすぎて。
もろもろの慰謝料込みなんだろうけど……一体何に使うのこんなに。老後?
そんなわけで、結構裕福な乳母さまです。
◇ ◇ ◇
翌日は、朝から博物館でレモニーナさんの公開講座があった。
“星心印”研究の第一人者の講義ということで、王宮や他の街からも聴講希望の人たちが来ていて、半円のすり鉢状になったホールは人でごった返している。
私は王子を連れて、講義の最後の方にホールに行った。
王子は大きな花束を抱えている。
「はい、王子、どうやって先生にお渡しするんでしたっけ?」
隅のカーテンの陰で私が確認すると、王子はきりりとした顔をして、
「おはなし、どうもありがとう!」
「そうそう、上手! それじゃあよろしくお願いします」
レモニーナさんの講義が終わり、お客さんから拍手が沸き起こる。
王子がちょっと緊張した足取りでステージに出ていき、レモニーナさんに花束を渡して予定のセリフを言い、かがみこんだレモニーナさんの頬にキスをした。
よし、上出来上出来! レモニーナさんも嬉しそう。
王子もこうやって、大勢の人の目の前で役割をこなすことに慣れていくんだな。
やがて、レモニーナさんが手を振りながら舞台を降り、客席の間を通ってホールから出ていった。
お客さんも三々五々立ち上がり、その後について退出し始める。
その時、ホールの後方で何かが柔らかく光った。
人々が出ていく開け放たれた扉、その向こうを、白いものが横切る。
私ははっとして、後ろに控えていた護衛士さんに声をかけた。
「あの、王子とレモニーナ先生を控室にご案内して下さい!」
そして、舞台裏の通路を小走りに走って、裏口から外に飛び出した。
裏庭できょろきょろしていると、ふわりと風が起こって、白い鳥が舞い降りてきた。
噂をすれば影、神の遣いの鳥カザプカだ。
庭の低木の枝にとまったカザプカが、くちばしから封筒をぽとりと落とすのを、両手で受け止める。
そのまま何かを待つ体勢のカザプカ……すっかり慣れた様子だ。今日は目の高さもほぼ同じで、一歩踏み出せば頬ずりできるほど距離も近い。
私は急いでスカートのポケットに手を入れた。七緒への手紙は、ちょっとずつ書き足しながらいつも持ち歩いている。
手紙を取り出し、そっと差し出した。
「あの……いつもありがとうございます。何か、私にお礼できることがあったら、教えて下さいね」
ささやくと、カザプカは喉の奥で「クゥ」と返事をし、すぐに翼を広げてはばたいた。
また風が巻き起こり、その白い姿は木立を抜けて、上空の雲に溶けるようにして消えて行った。
「ほほほ、命拾いしたわねカザム!」
レモニーナさん……悪役みたいな捨て台詞はいいから、一緒に来て下さいって。
王子の部屋で、レモニーナさんも一緒にお昼ご飯を食べることになった。
「お客さん、演武か何かだと思ったみたいで、どんどん集まってきちゃって。あー楽しかった! カザムに武器を渡して、いきなり仕掛けてみたんだけど、一本は取れなかったわ。さすがね」
「初めてお会いした時も、いきなり戦い出してビックリしたんですよ」
「そうだったわね」
食事をしながら、お互いの近況などを報告し合う。
このあたりは離宮でもかなり奥まったところなので、静かに話ができるんだよね。
レモニーナさんとは手紙のやり取りはしているけれど、王宮に行った時以来会っていなかったので、会えて本当に嬉しい。
食事を終えると、王子はテラスから外に出て、ツリーハウスの方へ走って行った。
レモニーナさんと話しながら後をついて行き、梯子を登る王子を見守る。王子と私とレモニーナさん、全員全く血のつながりがないのに、親子三代ということになってるのが未だに可笑しいわ。
レモニーナさんがふと、私の左腕を取って印を眺めた。
「ラズトに聞いたわよ。術で変化する練習したんだって?」
「そうなんです! もう難しくって」
私はわざと目を回して見せた。
「なかなか術が発動しなくて参りました」
初めてちゃんと術を使ったわけだけど、難しいのなんの。
“星心印”はラズトさんが刻んでくれたから、間違った印でとんでもないものに変化してしまうような心配はなかったけど、ちゃんとしたイメージが必要なのに私がイメージを固められなくて。こちらの動物のことがよくわかってないから。
それで最終的に、前にカザムさんが変化した、フェレットみたいなイタチ系の動物になら変化できるようになりました。あの動物はティンプというんだって。
『俺がティンプに変化することを選んだのは、小さくてすばしっこいので身を隠しやすい一方で、とても獰猛な生き物だからです』
ラズトさんから術を教わった時、一緒にいたカザムさんが教えてくれた。
そういえば、日本でもニュースで見たな……イタチだかテンだかが、特別天然記念物のコウノトリを殺しちゃったって。自分より大きな鳥も獲物にしちゃうんだって、驚いたっけ。
『コーメも、自分の身が危ないと思ったら、躊躇せずに牙を使うんですよ』
うう……で、できるかな。
『それに、結局は人間なので、ティンプの能力が全て使いこなせるわけではありません。そこを忘れずに、無理をしないように』
カザムさんはもともと、戦うことを生業にしている人だから、運動不足の私なんかより身体が動くのはもちろん、私が動かせないような筋肉も可動が利く。
その上で、ポンガ(パンダ)やティンプにも事前に変化して慣らしておいたからこそ、動物の姿で私や王子を護衛することが可能だったのだ。
私がティンプに変化しても、できることは限られている。もし私の身に何か起こったとしても、変化は最終手段にしておいたほうが良さそう。
「そうね、カザムの言うとおりだと思うわ。それにしてもそのイディンっていう術士、犯罪者でもないのにすごい警戒のされようね」
レモニーナさんは苦笑。
「ですよねぇ」
私がため息をついて同意すると、
「それだけ愛されちゃってるってことね。でも、コーメは三人の男性をあしらってきた大人の女性なんだから、そんな人ちょちょいのちょい、よねぇ」
そ、それは……買いかぶりすぎです。
疲れた王子が昼寝を始めたので、部屋の前に立つ護衛士さんに後を頼んで部屋を出た。
明日の準備をするというレモニーナさんと別れ、私は厨房や洗濯場、資材の搬入口などが集中している、いわば離宮のバックヤードの方へ向かう。
弦楽器のメロディが、遠くから風に乗って運ばれてきた。楽団のコンサートが始まったのだろう。
廊下の角をまがった先に、旗が翻るのが見えた。大勢の人が集まっている。
「はい、次は、普段お見せすることのない離宮の裏側に潜入してみたいと思います」
タヴァルさんの奥さんの、ミレットさんだ。
いつもニコニコと笑顔を絶やさない、ふんわりしたおばさんなんだけど、ノリのいい女性でもある。
旗を片手にお客さんを案内する、ツアーガイドっぷりがよく似合ってるな。邪魔しないようにしよう。
「あれ?」
ツアー客の中に、知った顔が……。
私はさりげなく列の一番後ろに回り、声をかけた。
「こんにちは、ツグル調査官」
いつも困った顔をしているこのおじさまは、王宮で人事関係の仕事をしている。私を乳母に推薦してくれた人だ。
彼はパッと私を振り向くと、廊下の角に隠れるようにして「しーっ」と指を口にあてた。
「その節はお世話になりました。何をなさってらっしゃるんですか?」
聞くと、こそこそと答えてくれる。
「ツアー客に紛れて、抜き打ちの人事評価中なんです。内緒にしてて下さいよ」
えっ、そうなんだ!
「うわっ、もう私の評価はなさいました?」
調査官はうなずくと、表情そのままでグッと親指を上げ、またこそこそとツアーに戻って行った。
……えっと、好評価、だったのかな? なら良かったけどね。給料上がったりして。
そうそう、給料といえば! 私が初めて離宮に入る前に、それまで働いた分ということで――つまり、あのツリーハウスで目を覚ましてから、一人で半年間王子を育てた事に対する報酬を、ソラミーレ様が「コーメの口座を新しく作って入れておきますからね」って言ってたの。
こちらも銀行のようなものがあって、お金の出し入れは左指の“星心印”と暗証番号でできるのね。
最初は、初めてラズトさんの別荘で事情を説明する時に渡そうと思ったそうなんだけど、事情を知ったばかりの私に
「というわけで、はいお金」
っていうのも、ほら、なんか感じ悪いじゃない? それで延期してたそうです。
あとで自分の口座を見たら、目がチカチカしました。桁が大きすぎて。
もろもろの慰謝料込みなんだろうけど……一体何に使うのこんなに。老後?
そんなわけで、結構裕福な乳母さまです。
◇ ◇ ◇
翌日は、朝から博物館でレモニーナさんの公開講座があった。
“星心印”研究の第一人者の講義ということで、王宮や他の街からも聴講希望の人たちが来ていて、半円のすり鉢状になったホールは人でごった返している。
私は王子を連れて、講義の最後の方にホールに行った。
王子は大きな花束を抱えている。
「はい、王子、どうやって先生にお渡しするんでしたっけ?」
隅のカーテンの陰で私が確認すると、王子はきりりとした顔をして、
「おはなし、どうもありがとう!」
「そうそう、上手! それじゃあよろしくお願いします」
レモニーナさんの講義が終わり、お客さんから拍手が沸き起こる。
王子がちょっと緊張した足取りでステージに出ていき、レモニーナさんに花束を渡して予定のセリフを言い、かがみこんだレモニーナさんの頬にキスをした。
よし、上出来上出来! レモニーナさんも嬉しそう。
王子もこうやって、大勢の人の目の前で役割をこなすことに慣れていくんだな。
やがて、レモニーナさんが手を振りながら舞台を降り、客席の間を通ってホールから出ていった。
お客さんも三々五々立ち上がり、その後について退出し始める。
その時、ホールの後方で何かが柔らかく光った。
人々が出ていく開け放たれた扉、その向こうを、白いものが横切る。
私ははっとして、後ろに控えていた護衛士さんに声をかけた。
「あの、王子とレモニーナ先生を控室にご案内して下さい!」
そして、舞台裏の通路を小走りに走って、裏口から外に飛び出した。
裏庭できょろきょろしていると、ふわりと風が起こって、白い鳥が舞い降りてきた。
噂をすれば影、神の遣いの鳥カザプカだ。
庭の低木の枝にとまったカザプカが、くちばしから封筒をぽとりと落とすのを、両手で受け止める。
そのまま何かを待つ体勢のカザプカ……すっかり慣れた様子だ。今日は目の高さもほぼ同じで、一歩踏み出せば頬ずりできるほど距離も近い。
私は急いでスカートのポケットに手を入れた。七緒への手紙は、ちょっとずつ書き足しながらいつも持ち歩いている。
手紙を取り出し、そっと差し出した。
「あの……いつもありがとうございます。何か、私にお礼できることがあったら、教えて下さいね」
ささやくと、カザプカは喉の奥で「クゥ」と返事をし、すぐに翼を広げてはばたいた。
また風が巻き起こり、その白い姿は木立を抜けて、上空の雲に溶けるようにして消えて行った。
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