59 / 83
59話★目の前に
しおりを挟む
満たされたいという気持ちから、毎晩のようにサラを抱いた。
昔みたいに、互いに愛を伝え合って、2人で抱き合って、溶け合うように1つになりたかった。
ただ、愛されたい。
解っている、もう、昔のように、愛しているとは言ってくれない。
それが、とても悲しく、寂しい。抱いても抱いても、満たされない。
だから、毎晩、サラの部屋に行った。
キスや、優しい愛撫から始まり、激しい挿抜で翻弄させる。
体だけでもいい。私無しではいられない体にして、サラから求められたい。
「はぁ・・・はぁ・・・へい・・・か。もう・・・ダメ。ダメ!」
揺さぶられながら、何度目かの絶頂を感じて、サラは身もだえる。
「ダメじゃない。イキそうなんだろう?素直に言えたら、イかせてやる。」
何度もイク寸前で止めて、サラが我慢できなくなるのを待つ。
「んっ、んっ・・・あ!・・い、いくっ。あぁっ、いっちゃう!」
絶頂を迎える時のサラは、妖艶で、淫らで、たまらなかった。私にしがみついて中を締め付けられると、全身で私を欲しがっているように錯覚した。
毎晩、こんな抱き方をしても、サラは1度も拒否することは無かった。受け入れるのは妃の仕事だと言ったのを、本気にしているようにすら思えた。
・・・いや、まさか、そんなはずはない。こうして、何度も何度も抱かれて、サラは甘い声を上げるのだから。好意くらいは、持っていてくれるはずだ。そう信じたい。あの時は、側妃でもいいなどと言うから、ついカッとなって口走ってしまったのだ。
ただ、愛されたい。
最奥を突いてやると、中をうねらせて、搾り取るように締め付けられる。
「愛してるよ。サラ。」
こうして、どんなに愛を伝えても、それは彼女に届いていないように感じた。
それでも、それでも構わない。
そう言い聞かせた。
◇◇◇◇◇
アーサーは、夢を見た。
城の中を、隅々まで探し回った。
扉という扉を、全て開けた。
息が上がって、肺が悲鳴を上げるほどに苦しくても、探し続けた。
サラの名を叫んでも、どんなに呼んでも、どこにも居ない。
本当に、何1つ残っていなくて、かけらすら無く、すがる物すら無い。
なんと言えばいいのだろう?
言葉にできない。
この苦しみも、この・・・行き場の無い悲しみも。
『居ない』という事実を、現実を、受け入れることが出来ない。消化できない。理解できない。どうすることも出来ない。
半年程して、やっと彼女が居ないのだと、もう帰って来ないのだと理解した。
現実に打ちのめされて、おかしくなりそうだった。
そんな時は、ひたすらに強い酒をあおり、気を失うようにして眠った。
助けてくれ。サラ!もう、自分をどうすることも出来ない。
こんなふうになるなら、最初から出会わなければ良かった。
そうして、朝が来て、目を開けるんだ。
彼女がいないという現実を目の当たりにする、絶望しかない朝がやってくる。
もう、朝など来なければいい。
「・・・うーーーん。ちちうえぇ。」
耳元で声がして、ふにふにの小さい手が、頬に当たる。
目を覚ますと、ルカが涎を垂らして腕の中に居た。
ガバっと飛び起きる。
「・・・夢・・・か。」
隣を見ると、ルカは寝言を言っていた様子で、まだ寝ていた。ルカの隣には、サラが眠っていた。
確か・・・昨日も、サラと明け方まで夜の営みを・・・。
ルカは、いつベッドに潜りこんで来たんだ??とりあえず、自分もサラも服を着ているのを確認する。
「ふぅ・・・。」
アーサーは、ため息をつく。
良かった。昨日は寒かったから、サラに服を着せて、自分も服を着てから寝たのだった。
むにゃむにゃと、あどけない顔で眠る子供の顔は、格別に可愛い。
ルカは、顔形は自分にそっくりなのだが、表情や発言など中身がサラそのものだった。
甘やかしてしまいそうで怖い。
その時、サラが目を覚ました。
「ん・・・・・!?ルカっ。」
サラも驚いた様子で、静かに慌てていた。
上半身を起こして、ルカの腕を布団の中に入れ、微笑むサラは、昔とは少し違って見える。
3年分、大人になって、長く伸びた黒髪をかき上げる様子も、昔の子供っぽさが消えて、少し色気があった。
そんなサラに、キスをしたくなって手を伸ばした時だった。
「ぐぅぅぅぅぅぅぎゅるるるる。」と、ルカのおなかが鳴った。
2人で驚いて、ルカを見る。
むにゃむにゃと、まだ熟睡している。
「ぷっ。」サラが噴き出して、笑った。
声を堪えながら、身もだえして笑っている。
アーサーも、笑った。
声を押さえて、ルカを真ん中に置いて、2人で笑い合う。
あぁ、幸せだと感じた。
あぁ、そうか。と、気付く。
もう、何も探さなくていいのだ。
目の前にあるものを、見落としてしまっていた。
今が、ここにあるという事に。
昔みたいに、互いに愛を伝え合って、2人で抱き合って、溶け合うように1つになりたかった。
ただ、愛されたい。
解っている、もう、昔のように、愛しているとは言ってくれない。
それが、とても悲しく、寂しい。抱いても抱いても、満たされない。
だから、毎晩、サラの部屋に行った。
キスや、優しい愛撫から始まり、激しい挿抜で翻弄させる。
体だけでもいい。私無しではいられない体にして、サラから求められたい。
「はぁ・・・はぁ・・・へい・・・か。もう・・・ダメ。ダメ!」
揺さぶられながら、何度目かの絶頂を感じて、サラは身もだえる。
「ダメじゃない。イキそうなんだろう?素直に言えたら、イかせてやる。」
何度もイク寸前で止めて、サラが我慢できなくなるのを待つ。
「んっ、んっ・・・あ!・・い、いくっ。あぁっ、いっちゃう!」
絶頂を迎える時のサラは、妖艶で、淫らで、たまらなかった。私にしがみついて中を締め付けられると、全身で私を欲しがっているように錯覚した。
毎晩、こんな抱き方をしても、サラは1度も拒否することは無かった。受け入れるのは妃の仕事だと言ったのを、本気にしているようにすら思えた。
・・・いや、まさか、そんなはずはない。こうして、何度も何度も抱かれて、サラは甘い声を上げるのだから。好意くらいは、持っていてくれるはずだ。そう信じたい。あの時は、側妃でもいいなどと言うから、ついカッとなって口走ってしまったのだ。
ただ、愛されたい。
最奥を突いてやると、中をうねらせて、搾り取るように締め付けられる。
「愛してるよ。サラ。」
こうして、どんなに愛を伝えても、それは彼女に届いていないように感じた。
それでも、それでも構わない。
そう言い聞かせた。
◇◇◇◇◇
アーサーは、夢を見た。
城の中を、隅々まで探し回った。
扉という扉を、全て開けた。
息が上がって、肺が悲鳴を上げるほどに苦しくても、探し続けた。
サラの名を叫んでも、どんなに呼んでも、どこにも居ない。
本当に、何1つ残っていなくて、かけらすら無く、すがる物すら無い。
なんと言えばいいのだろう?
言葉にできない。
この苦しみも、この・・・行き場の無い悲しみも。
『居ない』という事実を、現実を、受け入れることが出来ない。消化できない。理解できない。どうすることも出来ない。
半年程して、やっと彼女が居ないのだと、もう帰って来ないのだと理解した。
現実に打ちのめされて、おかしくなりそうだった。
そんな時は、ひたすらに強い酒をあおり、気を失うようにして眠った。
助けてくれ。サラ!もう、自分をどうすることも出来ない。
こんなふうになるなら、最初から出会わなければ良かった。
そうして、朝が来て、目を開けるんだ。
彼女がいないという現実を目の当たりにする、絶望しかない朝がやってくる。
もう、朝など来なければいい。
「・・・うーーーん。ちちうえぇ。」
耳元で声がして、ふにふにの小さい手が、頬に当たる。
目を覚ますと、ルカが涎を垂らして腕の中に居た。
ガバっと飛び起きる。
「・・・夢・・・か。」
隣を見ると、ルカは寝言を言っていた様子で、まだ寝ていた。ルカの隣には、サラが眠っていた。
確か・・・昨日も、サラと明け方まで夜の営みを・・・。
ルカは、いつベッドに潜りこんで来たんだ??とりあえず、自分もサラも服を着ているのを確認する。
「ふぅ・・・。」
アーサーは、ため息をつく。
良かった。昨日は寒かったから、サラに服を着せて、自分も服を着てから寝たのだった。
むにゃむにゃと、あどけない顔で眠る子供の顔は、格別に可愛い。
ルカは、顔形は自分にそっくりなのだが、表情や発言など中身がサラそのものだった。
甘やかしてしまいそうで怖い。
その時、サラが目を覚ました。
「ん・・・・・!?ルカっ。」
サラも驚いた様子で、静かに慌てていた。
上半身を起こして、ルカの腕を布団の中に入れ、微笑むサラは、昔とは少し違って見える。
3年分、大人になって、長く伸びた黒髪をかき上げる様子も、昔の子供っぽさが消えて、少し色気があった。
そんなサラに、キスをしたくなって手を伸ばした時だった。
「ぐぅぅぅぅぅぅぎゅるるるる。」と、ルカのおなかが鳴った。
2人で驚いて、ルカを見る。
むにゃむにゃと、まだ熟睡している。
「ぷっ。」サラが噴き出して、笑った。
声を堪えながら、身もだえして笑っている。
アーサーも、笑った。
声を押さえて、ルカを真ん中に置いて、2人で笑い合う。
あぁ、幸せだと感じた。
あぁ、そうか。と、気付く。
もう、何も探さなくていいのだ。
目の前にあるものを、見落としてしまっていた。
今が、ここにあるという事に。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる