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37話★
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近くにいた騎士団員も、集まって来る。
「女神様、大丈夫ですか?」
クリスの上に乗っかってしまっている私を、テルマが引き離す。
「サラ様!もう!だから危険だと申しましたのに!!」
勢いよく怒られた。
「大げさだよ。ちょっと失敗しちゃっただけ。」
「ちょっとじゃ、ございません!!顔に傷でもできたら、どうなさるんですか!!もう!」
クリスが笑いながら、テルマさんにに言う。
「侍女様、私がついていながら申し訳ありません。」
そんなやりとりも、お構いなしで、サラはアーサーの傍に駆け寄る。
「アーサー!」
毎日忙しくて、夜にしか会えない彼が、お日様の下にいる。嬉しさのあまりに、勢いよく胸に飛び込んで行く。
「こんな所に、どうしたの?騎士団に用事?」
その何も考えていない感じに、ウィルとテルマは呆れる。
「・・・おまえに用があって、来たのだ。」
アーサーは少し厳しい顔をする。
「・・・・え、私?」
そこでやっと、微妙な顔をしているウィルに気が付く。
サラは、慌てて言い訳をした。
「た、確かに、乗馬の許可は得てないし、毎日の朝食を騎士団と一緒で、勝手なことばかりしてるって、解ってるよ。でも、」
「わかっているなら、少しはテルマの言うことを聞け。」
サラは、黙る。そして、アーサーを睨んだ。
私だって、色々考えている。
その辺にいる貴族のように、お姫様に近づこうと頑張っても、どんなに努力しても、本物の貴族令嬢になれるわけも無い。育ちが違い過ぎる。そんな借りてきた猫か人形みたいなことしていても、所詮は付け焼刃の、残念なお姫様だ。
私は私なりに、みんなと仲良くなって、仲間を増やして、信頼関係を築いていきたい。自分らしく、できる事を頑張って、知識や力を身につけたい。今までには居なかった、私なりの王妃になろうと思った。
騎士団は、魔法を使わない。この場所は、私に合っていると思う。何かあっても、自力でアーサーの所に帰ってこれるようにしたい。そして、いつかは、アーサーを支えたいから。
「私は、私のやり方で、私らしくアーサーの傍にいたいの!」
サラの意思が堅そうなのを見て、アーサーは溜息をつく。
そして、視線を移し、チラリとクリスを見る。
クリスの髪は、日に照らされてキラキラと光り、青い目に、騎士団の制服。顔形は、可愛らしい感じの甘いマスクで、爽やかな青年だった。そういえば、サラが昨夜「ジャニーズ系」とか言っていたか。
すぐに視線を逸らして、サラの手をとる。
そして、ウィルにボソリと言った。
「女性騎士に、担当を変えろ・・・。」
そう言うと、サラの手を引いて、歩き出す。
「仰せのままに。」
ウィルは敬礼して、騎士団に話を付ける為に残る。
「アーサー?」
サラは手を引かれて、お城の中へと一緒に入っていった。
なんだか、よくわからないけれど、アーサーと一緒にいられることが嬉しくて、素直に従った。
お城の一室に、サラを連れ込んで、アーサーは扉を閉める。
「サラ。」
呼ばれて、アーサーの顔を見上げる。
「・・・おまえ、男と2人きりになるな。隙を見せるな。特定の人間とだけ仲良くなるな。」
思いもよらないことを言われて、サラは目を見開く。
少しフリーズしてから、首を振る。
「ちが・・・クリスは、そんなんじゃない!!」
縋りつくように、アーサーの腕の中に入って、腕を掴む。
アーサーは、冷たく突き放すように言う。
「相手はどう思っているのか、解らないだろう!」
その乱暴な言い方に、少し驚く。それで、怒ってるんだと理解する。
「彼は騎士だよ!?王様の恋人になんて手を出すわけないでしょ!騎士っていうのはね、」
話の途中で、いつもよりも声を張り上げて、話を遮るようにアーサーは言った。
「おまえから騎士についての心得など!聞かなくても分かっている!!!」
「・・・。」
まぁ、そうだろうけど。
完全に頭に血が上っている。はじめて見るアーサーの子供のような苛立ちに、少しだけ嬉しくなる。
嫉妬、してくれてるんだよね?
すねてる顔が、少し可愛い。
愛しくて、彼の指に自分の指を絡める。
「大丈夫だよ。心配しすぎ。特に、クリスが特別仲良しってわけでもないんだけどな。」
と、言ってて思う。特別だった、かもしれない。同い年、話し易い。それに・・・もっと仲良くなりたいと思った。でもそれは、そうゆうのじゃなくて。
アーサーは、無表情で聞いてきた。
「あいつの髪色、日に当たると金髪に見えるな?」
「・・・うん。なんか、アーサーみたい。」
「あいつの目の色、ブルーだったな?」
「うん。アーサーとはちょっと違うけど、同じブルー系で・・・。」
「サラは、軍服が好きだろう?」
へ?!急に何言ってるの??
サラは、耳から湯気が出そうなほどに、赤面する。あ、アーサーの正装した姿は、大好きだ。押し倒してしまいたくなるほど、カッコよくて素敵だ!・・・って、私は何を言ってるのよ。
「私が忙しくて構ってやれないから、おまえは、あいつを私の代わりに傍に置いて・・・」
「そ、そんなわけないでしょ!!」
顔を上げて、キッパリと否定しようとしたら、キスが降ってきた。
いきなりだったので、少しだけ、歯と歯が擦れるようにぶつかる。ネットリとしたキスに、目を閉じて、受け止める。
我慢がきかなくなったアーサーは、そのまま、サラをベッドに押し倒して襲う。
少し強引にされているのに、サラは「大好き」と呟きながら抱きつく。
「こうゆうのが良いのか?」
アーサーが、少し乱暴に服を脱がしてくる。
「・・・・アーサーになら、どうされてもいいよ。」
服を脱がしながら愛撫されて、気持ちよくなる。自分から、彼の首に腕を巻き付ける。
こんな気持ち、知らなかった。
セックスが、こんなに気持ち良いとか、言葉なんかなくても、気持ちが伝わるとか。そうゆうこと、知らなかった。
抱き合うことが、体に刻みこむみたいに、愛を感じるなんて、今まで知らなかった。
「女神様、大丈夫ですか?」
クリスの上に乗っかってしまっている私を、テルマが引き離す。
「サラ様!もう!だから危険だと申しましたのに!!」
勢いよく怒られた。
「大げさだよ。ちょっと失敗しちゃっただけ。」
「ちょっとじゃ、ございません!!顔に傷でもできたら、どうなさるんですか!!もう!」
クリスが笑いながら、テルマさんにに言う。
「侍女様、私がついていながら申し訳ありません。」
そんなやりとりも、お構いなしで、サラはアーサーの傍に駆け寄る。
「アーサー!」
毎日忙しくて、夜にしか会えない彼が、お日様の下にいる。嬉しさのあまりに、勢いよく胸に飛び込んで行く。
「こんな所に、どうしたの?騎士団に用事?」
その何も考えていない感じに、ウィルとテルマは呆れる。
「・・・おまえに用があって、来たのだ。」
アーサーは少し厳しい顔をする。
「・・・・え、私?」
そこでやっと、微妙な顔をしているウィルに気が付く。
サラは、慌てて言い訳をした。
「た、確かに、乗馬の許可は得てないし、毎日の朝食を騎士団と一緒で、勝手なことばかりしてるって、解ってるよ。でも、」
「わかっているなら、少しはテルマの言うことを聞け。」
サラは、黙る。そして、アーサーを睨んだ。
私だって、色々考えている。
その辺にいる貴族のように、お姫様に近づこうと頑張っても、どんなに努力しても、本物の貴族令嬢になれるわけも無い。育ちが違い過ぎる。そんな借りてきた猫か人形みたいなことしていても、所詮は付け焼刃の、残念なお姫様だ。
私は私なりに、みんなと仲良くなって、仲間を増やして、信頼関係を築いていきたい。自分らしく、できる事を頑張って、知識や力を身につけたい。今までには居なかった、私なりの王妃になろうと思った。
騎士団は、魔法を使わない。この場所は、私に合っていると思う。何かあっても、自力でアーサーの所に帰ってこれるようにしたい。そして、いつかは、アーサーを支えたいから。
「私は、私のやり方で、私らしくアーサーの傍にいたいの!」
サラの意思が堅そうなのを見て、アーサーは溜息をつく。
そして、視線を移し、チラリとクリスを見る。
クリスの髪は、日に照らされてキラキラと光り、青い目に、騎士団の制服。顔形は、可愛らしい感じの甘いマスクで、爽やかな青年だった。そういえば、サラが昨夜「ジャニーズ系」とか言っていたか。
すぐに視線を逸らして、サラの手をとる。
そして、ウィルにボソリと言った。
「女性騎士に、担当を変えろ・・・。」
そう言うと、サラの手を引いて、歩き出す。
「仰せのままに。」
ウィルは敬礼して、騎士団に話を付ける為に残る。
「アーサー?」
サラは手を引かれて、お城の中へと一緒に入っていった。
なんだか、よくわからないけれど、アーサーと一緒にいられることが嬉しくて、素直に従った。
お城の一室に、サラを連れ込んで、アーサーは扉を閉める。
「サラ。」
呼ばれて、アーサーの顔を見上げる。
「・・・おまえ、男と2人きりになるな。隙を見せるな。特定の人間とだけ仲良くなるな。」
思いもよらないことを言われて、サラは目を見開く。
少しフリーズしてから、首を振る。
「ちが・・・クリスは、そんなんじゃない!!」
縋りつくように、アーサーの腕の中に入って、腕を掴む。
アーサーは、冷たく突き放すように言う。
「相手はどう思っているのか、解らないだろう!」
その乱暴な言い方に、少し驚く。それで、怒ってるんだと理解する。
「彼は騎士だよ!?王様の恋人になんて手を出すわけないでしょ!騎士っていうのはね、」
話の途中で、いつもよりも声を張り上げて、話を遮るようにアーサーは言った。
「おまえから騎士についての心得など!聞かなくても分かっている!!!」
「・・・。」
まぁ、そうだろうけど。
完全に頭に血が上っている。はじめて見るアーサーの子供のような苛立ちに、少しだけ嬉しくなる。
嫉妬、してくれてるんだよね?
すねてる顔が、少し可愛い。
愛しくて、彼の指に自分の指を絡める。
「大丈夫だよ。心配しすぎ。特に、クリスが特別仲良しってわけでもないんだけどな。」
と、言ってて思う。特別だった、かもしれない。同い年、話し易い。それに・・・もっと仲良くなりたいと思った。でもそれは、そうゆうのじゃなくて。
アーサーは、無表情で聞いてきた。
「あいつの髪色、日に当たると金髪に見えるな?」
「・・・うん。なんか、アーサーみたい。」
「あいつの目の色、ブルーだったな?」
「うん。アーサーとはちょっと違うけど、同じブルー系で・・・。」
「サラは、軍服が好きだろう?」
へ?!急に何言ってるの??
サラは、耳から湯気が出そうなほどに、赤面する。あ、アーサーの正装した姿は、大好きだ。押し倒してしまいたくなるほど、カッコよくて素敵だ!・・・って、私は何を言ってるのよ。
「私が忙しくて構ってやれないから、おまえは、あいつを私の代わりに傍に置いて・・・」
「そ、そんなわけないでしょ!!」
顔を上げて、キッパリと否定しようとしたら、キスが降ってきた。
いきなりだったので、少しだけ、歯と歯が擦れるようにぶつかる。ネットリとしたキスに、目を閉じて、受け止める。
我慢がきかなくなったアーサーは、そのまま、サラをベッドに押し倒して襲う。
少し強引にされているのに、サラは「大好き」と呟きながら抱きつく。
「こうゆうのが良いのか?」
アーサーが、少し乱暴に服を脱がしてくる。
「・・・・アーサーになら、どうされてもいいよ。」
服を脱がしながら愛撫されて、気持ちよくなる。自分から、彼の首に腕を巻き付ける。
こんな気持ち、知らなかった。
セックスが、こんなに気持ち良いとか、言葉なんかなくても、気持ちが伝わるとか。そうゆうこと、知らなかった。
抱き合うことが、体に刻みこむみたいに、愛を感じるなんて、今まで知らなかった。
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