女神なんかじゃない

月野さと

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42話★二人の時間

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 ガルーダ王国に行く前夜。
 部屋のソファーに2人で座り、お茶を飲んでいた。
 アーサーは、何やら本を読んでいて、私は黙って彼の肩に頭を乗せる。そうすると、アーサーは私の肩を抱いて、頭を撫でてくれる。
 ソファーで過ごす、2人の時間が何よりも好きだ。

 この穏やかで幸せな時間を、充分堪能してから、サラは深呼吸をした。
 そしてずっと気になってたことを、思い切って問う。

「アーサーは父親が誰か、気になったことある?」

 ジーーっと、アーサーの目を見つめる。
 アーサーは、キョトンとした顔で、サラに目を落とす。それから、フっと笑う。
「突然どうしたんだ?」
 持っていた本を閉じて、私の方に向きなおる。
 サラは、思い切って続けて言ってみる。
「私は知りたいって思ってたから、アーサーはどうなのかなって。もしかして、心当たりとかあるのかなって。」
 王の情報網は半端ないハズだ。だから本気で調べれば、分かっていたのかもしれない。そう思った。

 アーサーは、お茶のカップを手にして、1口飲むとテーブルに戻した。右手を額にやって、髪をかき上げながら少し考えるような雰囲気をみせる。
「そうだな。今は、気にならないな。」
 軽く答えるアーサーに、食い気味になる。 
「どうして?だって、私ね、このまえガルーダ王が来た時に・・・」
 そこまで言うと、アーサーが挨拶をするように軽いキスをしてきた。そして、抱きしめられるように引っ張られて、頭をアーサーの胸に押し付けられる。
「そうだな。私の血は、あの国の物だ。だが、私はもう興味が無い。」
「どうして?」
「知りたくない。」
「・・・でも」
「知りたくないんだ。」

 頭を撫でられて、目の前は彼の胸しか見えない。だから、どんな表情をしているのか分からない。
 だけど、顔を上げちゃいけない気がした。

 知りたくない理由を考えた。

 既に、知っている?
 なんとなく察してる?
 もしも、ガルーダ王が父親だとしたら、彼の気持ちはどうだろう?
 カイン王太子とは、血を分けた兄弟になって・・・政治のやりにくさがある?

「サラ、顔が怖いぞ。」
 そう言われて、アーサーを見上げる。
 彼は、穏やかな表情だった。
「王の出自は重要な案件だ。国にとって都合の良い物でなければならない。わかるな?」
 コクンと頷く。
「今の私には、おまえが居る。家族は他には必要ない。」
 家族・・・。
「今はもう皆殺しにあった王族の生き残り。それが、私にとっては都合が良い。本当のことなど、邪魔なだけだ。」

 ・・・でも、それじゃ。
 言ってることは、解る。解るけど。だけど。
「アーサーの気持ちは?」
 ぎゅうっと、アーサーを抱きしめる。
「立場とか政治とか関係なくて、アーサーの本心は?」

 少しの沈黙。

「そうだな。やはり、知りたくはないな。」
 今度は、おでこにキスをされる。
 見上げると、彼の目は、いつも通りで優しい。
 サラは、軽々と横抱きにして持ち上げられる。

「サラ、そんなことよりも、家族を増やさないか?」
「・・へ?」
「私個人としても、王としても、世継ぎが欲しい。」
 そう言いながら、ベッドに運ばれていく。
「え?・・・へ?・・・わ!待って待って!」
 慌てふためく私を見て、おかしそうに笑う。
「おまえは、いつまでたっても、恥じらうのだな。」
 ベッドに下ろされると、アーサーは自分の上着を脱ぎだす。
 正直言って、美形で所作も綺麗で、服を脱ぎだすだけで、鼻血出そうなんですけど!!!
「ちょっ!待って待って!部屋の明かりを消して!」
 ネグリジェを、あっという間に脱がせてしまう早業には、本当に困る・・・!
 アーサーは、微笑んで言う。
「今日は明るいままが良い。」
 そう言って、首の付け根にキスをしてくる。
 同時に大きな手で乳房を揉まれる。
「はうん!やだー、恥ずかしいよー!灯り消してよー。」
「観念しろ。今日は、おまえの全てを見たい。」
 そう言って、足の付け根に手を入れて、気持ち良いところをこすられる。たまらずに声を上げる。
「かわいい。サラ。」
 とろけるように優しくて、時に激しく愛撫される。
「ん・・・アーサー、大好き。」
 キスをして、一糸まとわぬ姿で抱き合う。
「サラと、こうして抱き合うのが、心地良い。」
「うん。私も好き。」
 ふふふっと、2人で笑い合いながら、抱きしめ合ったり、軽いキスを何度も交わす。

 腕を首に巻き付けて、アーサーを引き寄せる。アーサーも、体を密着させてくる。
「もしも今、襲撃にあったら、太刀打ちできないが、それでも、お前とこうしていたい。」
 急にそんな事を言うから、サラはビックリする。
「・・・・そんなこと、考えてたの?」
 ひょいっと、顔を上げて、アーサーはふてくされた顔をする。
「そんな事とは、なんだ。常に考えていたよ。しかし、お前に出会ってから、あまり考えられなくなったが。」
「どうして?」
 余裕がなくなったからと言えずに、アーサーは胸の先端を舌で転がし、吸い上げる。もう片方は、手で摘ままれビリビリと感じる。
 与えられる刺激に、酔ったようになる。気持ちいい。
 擦り寄せて触れる体中の何もかもが、心地いい。

「おまえと、こうしていられるなら、命をかけてもいい。」

 何度も、何度もキスをする。

「命をかけるって、アーサーより強い人なんて居ないんでしょう?怖いものなんてないじゃない?」
 そう言うと、アーサーは、じっと私を見て止まる。
「怖いものは、ある。」

 大きな手が、太ももをさする。
 彼の眼を見つめたまま、自然と自分から両足を開いていく。
 固い物が芯に擦れて、気持ちがいい。硬くそそり立ったもので擦られると、くちゅくちゅと音が鳴る。気持ち良くて、ため息をこぼしてしまう。

 互いに指をからめて、両手を握りしめたままキスをして、ヌルヌルと擦りつけて気持ちよくなっていたら、ツプリと陰茎がサラの中に入ってしまう。
 ゆっくりと、ゆっくりと、前後させながら、奥へ奥へと少しずつ奥へ進んでいく。
「んっ・・・んっ・・・はぁ。」
 眩暈がするほどに、気持ちいい。
「はぁ、はぁ、ダメ。気持ちいい。何も考えられない。」

 さっき、何の話をしていたのかも、もう分からなくなる。
「アーサー、好き、愛してるの。ずっとこうしてて。」
 幸せ過ぎて、涙があふれてくる。

 アーサーの優しい声が返ってくる。
「愛してるよ。ずっと、こうしていよう。ずっと、ずっとだ。サラ。」

 愛してる。
 愛している。

 この言葉を、こんなに自然に言える。
 言われて、こんなに嬉しく思う。
 知らなかった。こんな気持ち。

 この人と、もっと、もっと深く愛し合いたい。

 そう思った瞬間、腰を掴まれて、一気に最奥まで激しく突かれる。
 強すぎる快感。感じる。あなたの、強くて大きな愛情。
 溺れてしまいそう。

 ずっと、ずっと続くんだと思っていた。

 離れられない。離れたりなんかしない。

 ずっと、一緒なんだと。

 そう思っていた。




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