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20話 解呪
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ガルーダの軍を追い払ってからは、魔獣退治の作業に数日かかった。
再度攻め込まれないように、整備するのにも時間がかかる。騎士団と一部の魔術師は、アーサーと後処理に残った。
「え?もう一度言ってください。」
執務室で仕事をしている最中に、その報告を受けた。
「魔術師団の半数が負傷しており、団長が重体です。本日魔術師団は、全員帰還します。」
ゴードンが聞く。
「団長は、問題なさそうなのか?」
「今のところは…。治療中です。」
サラは、レオンが負傷と聞いて、じっとしていられなくなった。
「あの、私、お見舞いに行っても良いですか?」
ゴードンからも許可をもらって、レオン団長の所へ急ぐ。
魔法省の建物の一角に、医務室がある。
そこには、ベッドに横たわる団長が居た。
女性魔術師が2人で、治癒魔法をかけている最中だった。
血の匂い・・・。
「団長はご無事ですか?」
サラの問いかけに、治癒魔法をかけている魔術師が返事をする。
「なんとか命は・・・」
傍にいた魔術師の青年が、ガックリと肩を落として座り込んでいた。
「俺のせいで、団長が・・・・呪い魔法を・・・」
呪い魔法?
ベッドに近づくと、もがき苦しむ団長がいた。
「ぐぅぅぅ!!!」
体中には、入れ墨のような、赤黒い模様が浮き出ていた。
目は血走り、口からは血がにじんでいた。
あまりの恐ろしさに、一歩後ずさりしてしまう。
だけど、すぐにレオン団長のあのぶっきらぼうな表情を思い出す。
呆れたような表情も、真剣な表情も、諦めずに魔法を教えてくれたことも。
「レオンさん!」
レオンの手をとる。
握りしめられた手は、岩のように固く、震えてた。
「レオンさん、しっかりしてください!」
呼びかけに、答えることはなかった。
「女神様、この呪いは、かなり強い。えぐられるような痛みを与えながら、魔力を奪われているようなんです。団長だからもっているようなものの・・・。」
治癒魔法をかけながら、女性の魔術師に言われる。
「今、呪いを説く方法を、魔術師団で調べている所です。」
レオン団長は、胸を押さえて、うめき声をあげる。
どんどん魔力を奪われ、レオンはグッタリとうつろになってきていた。
解呪方法を見つけなければ、魔力が尽きてしまう。
サラは、レオン団長の服をはぎ取った。
「女神様?!」
「呪いって、これ?」
団長の胸に気味の悪い模様が刻まれている。
「はい。」
サラは、団長の胸に両手を伸ばす。
お願い・・・お願い・・・・!!
レオンが言っていた事を思い出す。
『驚いたな、無効化している。』
お願い!!!無効化して!!
胸の呪いの模様からは、血がにじんでいた。その場所に、意を決して手を当てる。
「お願い!この人を助けて!!消えて!!!」
胸に触れた瞬間、すうっと、模様が消える。
周囲の魔術師たちが、あっけにとられたように驚く。
「・・・・女神様・・・」
「・・・・・・団長?」
魔術師の青年と、女性の声。
しかし、レオンはピクリとも動かなかった。
「団長!!レオン団長!!」
青年魔術師の呼びかけに、全く反応しない。
治療魔法をかけていた女性が、レオンに触れて確認する。
「まずい・・・魔力切れだわ。・・・もう、もたない・・・。」
魔力切れ?
前に魔力の勉強をした時に、教えてもらった。
魔術師は魔力を失うと、死んでしまう。命と連動している。
サラは、レオンの両肩を掴む。
レオンが全く動かない事に、恐怖を感じる。
そのまま、レオンの唇に、自分の口をくっつけた。
彼の唇は冷たかった。
もしかすると、レオン団長は・・・もう死んで・・・
と、思った時だった。
ガシッと両腕を掴まれた。
目を開けると、レオン団長の大きく見開かれた目があった。
「レオンさん・・・。」
口を離して、声をかけると、団長はポカンとした顔で、酷く驚いた様子だった。
近くに居た、魔術師たちが駆け寄ってくる。
「団長!」「団長!!」
「すごい・・・これが女神の力。」
女性魔術師が私を見る。
サラも驚いて、自分の手を見つめる。
「人間に触れても無効化できないって言ってたけど、でも、できた。」
レオンがサラを見て言う。
「・・・・・呪いが体内ではなく皮膚に刻まれたものだったからなのか、かな。」
胸を確かめるように、手を当てていたけれど、すぐに口を覆う。
「口から、大量の魔力が流れ込んできた。息が止まるかと思った。」
・・・・私は赤面する。
「だって、だって!団長が死んじゃうかもと思って・・・・!!」
魔術師団が、全員でサラに頭を下げる。
「ありがとうございます。女神様。なんとお礼をしてよいか。」
サラは皆に頭を下げられて焦る。
「と、とりあえず、無事でよかったよ!それじゃ、私は、お城に戻るね!」
そう言い残して、慌てて、お城へと向かう。
魔術師団員は、慌てて「お送りします」と、ワラワラしはじめた。
再度攻め込まれないように、整備するのにも時間がかかる。騎士団と一部の魔術師は、アーサーと後処理に残った。
「え?もう一度言ってください。」
執務室で仕事をしている最中に、その報告を受けた。
「魔術師団の半数が負傷しており、団長が重体です。本日魔術師団は、全員帰還します。」
ゴードンが聞く。
「団長は、問題なさそうなのか?」
「今のところは…。治療中です。」
サラは、レオンが負傷と聞いて、じっとしていられなくなった。
「あの、私、お見舞いに行っても良いですか?」
ゴードンからも許可をもらって、レオン団長の所へ急ぐ。
魔法省の建物の一角に、医務室がある。
そこには、ベッドに横たわる団長が居た。
女性魔術師が2人で、治癒魔法をかけている最中だった。
血の匂い・・・。
「団長はご無事ですか?」
サラの問いかけに、治癒魔法をかけている魔術師が返事をする。
「なんとか命は・・・」
傍にいた魔術師の青年が、ガックリと肩を落として座り込んでいた。
「俺のせいで、団長が・・・・呪い魔法を・・・」
呪い魔法?
ベッドに近づくと、もがき苦しむ団長がいた。
「ぐぅぅぅ!!!」
体中には、入れ墨のような、赤黒い模様が浮き出ていた。
目は血走り、口からは血がにじんでいた。
あまりの恐ろしさに、一歩後ずさりしてしまう。
だけど、すぐにレオン団長のあのぶっきらぼうな表情を思い出す。
呆れたような表情も、真剣な表情も、諦めずに魔法を教えてくれたことも。
「レオンさん!」
レオンの手をとる。
握りしめられた手は、岩のように固く、震えてた。
「レオンさん、しっかりしてください!」
呼びかけに、答えることはなかった。
「女神様、この呪いは、かなり強い。えぐられるような痛みを与えながら、魔力を奪われているようなんです。団長だからもっているようなものの・・・。」
治癒魔法をかけながら、女性の魔術師に言われる。
「今、呪いを説く方法を、魔術師団で調べている所です。」
レオン団長は、胸を押さえて、うめき声をあげる。
どんどん魔力を奪われ、レオンはグッタリとうつろになってきていた。
解呪方法を見つけなければ、魔力が尽きてしまう。
サラは、レオン団長の服をはぎ取った。
「女神様?!」
「呪いって、これ?」
団長の胸に気味の悪い模様が刻まれている。
「はい。」
サラは、団長の胸に両手を伸ばす。
お願い・・・お願い・・・・!!
レオンが言っていた事を思い出す。
『驚いたな、無効化している。』
お願い!!!無効化して!!
胸の呪いの模様からは、血がにじんでいた。その場所に、意を決して手を当てる。
「お願い!この人を助けて!!消えて!!!」
胸に触れた瞬間、すうっと、模様が消える。
周囲の魔術師たちが、あっけにとられたように驚く。
「・・・・女神様・・・」
「・・・・・・団長?」
魔術師の青年と、女性の声。
しかし、レオンはピクリとも動かなかった。
「団長!!レオン団長!!」
青年魔術師の呼びかけに、全く反応しない。
治療魔法をかけていた女性が、レオンに触れて確認する。
「まずい・・・魔力切れだわ。・・・もう、もたない・・・。」
魔力切れ?
前に魔力の勉強をした時に、教えてもらった。
魔術師は魔力を失うと、死んでしまう。命と連動している。
サラは、レオンの両肩を掴む。
レオンが全く動かない事に、恐怖を感じる。
そのまま、レオンの唇に、自分の口をくっつけた。
彼の唇は冷たかった。
もしかすると、レオン団長は・・・もう死んで・・・
と、思った時だった。
ガシッと両腕を掴まれた。
目を開けると、レオン団長の大きく見開かれた目があった。
「レオンさん・・・。」
口を離して、声をかけると、団長はポカンとした顔で、酷く驚いた様子だった。
近くに居た、魔術師たちが駆け寄ってくる。
「団長!」「団長!!」
「すごい・・・これが女神の力。」
女性魔術師が私を見る。
サラも驚いて、自分の手を見つめる。
「人間に触れても無効化できないって言ってたけど、でも、できた。」
レオンがサラを見て言う。
「・・・・・呪いが体内ではなく皮膚に刻まれたものだったからなのか、かな。」
胸を確かめるように、手を当てていたけれど、すぐに口を覆う。
「口から、大量の魔力が流れ込んできた。息が止まるかと思った。」
・・・・私は赤面する。
「だって、だって!団長が死んじゃうかもと思って・・・・!!」
魔術師団が、全員でサラに頭を下げる。
「ありがとうございます。女神様。なんとお礼をしてよいか。」
サラは皆に頭を下げられて焦る。
「と、とりあえず、無事でよかったよ!それじゃ、私は、お城に戻るね!」
そう言い残して、慌てて、お城へと向かう。
魔術師団員は、慌てて「お送りします」と、ワラワラしはじめた。
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