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新魔術師団
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リヴェリア新魔術師団は、建物もそのままだし、メンバーも殆どがそのままだった。ただ、上層部に就任したのは、ヴァルシア王国の魔術師ばかりだった。
それ以上に…私は、大変驚いた。
「ロイド…隊長?!」
彼が、新魔術師団に居たからである。
「なんだ?俺がいてはおかしいか?」
「あ~、いや、なんていうか…どうやって免れたんですか?」
あれだけ、エヴァンを暗殺しようとしていた人が…なんで?驚いて、ポカンとしている私の後ろから、マーカス団長が声をかけてきた。
「はは!ロイドは、主に忠実なだけで、特にこの国や女王に忠誠を誓っていたわけではない。主が変われば、新しい君主に忠誠を誓うまで。まぁ、真面目だっていうことだ。」
……そうゆうモノなのだろうか?まぁ、裏切り者の私には、何も言えないけれど。
「そんなことより、フィオナ。おまえは、目の治療を断ったそうだな?」
ロイド隊長に言われて、なんとなく、下を向いて目に手を当てる。
「はい。これは、このままにしておこうと思いまして。」
「何故だ?目が見えなければ、何かと不自由だろう?団員としての仕事も。」
「ええ。そうなんですが。戒めです。」
それを聞いて、マーカス団長が少し間を置いてから言った。
「ヴァルシア王を暗殺しようとした者として?罪を背負うつもりか?」
「いいえ。そんな大それたものではありません!」
目の治療をしようと、クレイン団長が提案してくれた。でも、私は断った。
治療魔法で目を治せるレベルの魔法使いは、ヴァルシア王国にはそれなりに居るらしい。しかし、我が国リヴェリアには2人しかいない。高官だけが治療を受けれる。そんな人にお願いするのも気が引けたし、それに…。
目が見えるようになったら、私は、苦しくなるような気がする。
エヴァンに、会いたい。
この感情から、気を紛らわせようとしても、彼の事ばかりを考えては、思い出している。
出来る事ならば、何もかもを打ち明けて、許しを乞い、せめて騎士として傍にいられないか?と、懇願しに行ってしまいそうだ。しかし、そんな事をしてはいけない。そんな自分に苦悶している。
最近、ニュースを見た。
セシリア王妃は戦闘に巻き込まれて亡くなったと公表された。事実を握りつぶし、盛大な葬儀が行われた。望まれていなかった王妃の死は、ヴァルシア国民の痛手とはならなかった。葬儀を終えて、2週間もすれば、国民は何事もなかったかのように生活を送り始めた。そして、早くも次の王妃候補が現れて、誰になるのかと話題になっているそうだ。
この目が見えないことで、何も出来ないことで、全てに諦めがつく。
何も見えないからこそ、この瞼に、鮮明に、あなたを映し出す事が出来る。
会いたい時にいつだって、会える。勝手な妄想の中ならば、あなたは、ずっと私に笑いかけてくれる。
だから、このままで良い。このままが良い。
「まぁ、好きにすればいい。それより、マーカス団長。魔術師団を離れると聞いた。」
ロイドの言葉に、マーカスは即答する。
「あぁ、そうなんだ。私は西部にある侯爵家に帰るよ。機会があれば、領地に遊びにきてくれたまえ。」
マーカスは、ロイドの肩に手を置いた。
「ロイド。おまえとは本当に長い付き合いだったな。落ち着いたら、本当に遊びに来い。」
「あぁ。必ず。」
それが、マーカス団長との別れだった。
それ以上に…私は、大変驚いた。
「ロイド…隊長?!」
彼が、新魔術師団に居たからである。
「なんだ?俺がいてはおかしいか?」
「あ~、いや、なんていうか…どうやって免れたんですか?」
あれだけ、エヴァンを暗殺しようとしていた人が…なんで?驚いて、ポカンとしている私の後ろから、マーカス団長が声をかけてきた。
「はは!ロイドは、主に忠実なだけで、特にこの国や女王に忠誠を誓っていたわけではない。主が変われば、新しい君主に忠誠を誓うまで。まぁ、真面目だっていうことだ。」
……そうゆうモノなのだろうか?まぁ、裏切り者の私には、何も言えないけれど。
「そんなことより、フィオナ。おまえは、目の治療を断ったそうだな?」
ロイド隊長に言われて、なんとなく、下を向いて目に手を当てる。
「はい。これは、このままにしておこうと思いまして。」
「何故だ?目が見えなければ、何かと不自由だろう?団員としての仕事も。」
「ええ。そうなんですが。戒めです。」
それを聞いて、マーカス団長が少し間を置いてから言った。
「ヴァルシア王を暗殺しようとした者として?罪を背負うつもりか?」
「いいえ。そんな大それたものではありません!」
目の治療をしようと、クレイン団長が提案してくれた。でも、私は断った。
治療魔法で目を治せるレベルの魔法使いは、ヴァルシア王国にはそれなりに居るらしい。しかし、我が国リヴェリアには2人しかいない。高官だけが治療を受けれる。そんな人にお願いするのも気が引けたし、それに…。
目が見えるようになったら、私は、苦しくなるような気がする。
エヴァンに、会いたい。
この感情から、気を紛らわせようとしても、彼の事ばかりを考えては、思い出している。
出来る事ならば、何もかもを打ち明けて、許しを乞い、せめて騎士として傍にいられないか?と、懇願しに行ってしまいそうだ。しかし、そんな事をしてはいけない。そんな自分に苦悶している。
最近、ニュースを見た。
セシリア王妃は戦闘に巻き込まれて亡くなったと公表された。事実を握りつぶし、盛大な葬儀が行われた。望まれていなかった王妃の死は、ヴァルシア国民の痛手とはならなかった。葬儀を終えて、2週間もすれば、国民は何事もなかったかのように生活を送り始めた。そして、早くも次の王妃候補が現れて、誰になるのかと話題になっているそうだ。
この目が見えないことで、何も出来ないことで、全てに諦めがつく。
何も見えないからこそ、この瞼に、鮮明に、あなたを映し出す事が出来る。
会いたい時にいつだって、会える。勝手な妄想の中ならば、あなたは、ずっと私に笑いかけてくれる。
だから、このままで良い。このままが良い。
「まぁ、好きにすればいい。それより、マーカス団長。魔術師団を離れると聞いた。」
ロイドの言葉に、マーカスは即答する。
「あぁ、そうなんだ。私は西部にある侯爵家に帰るよ。機会があれば、領地に遊びにきてくれたまえ。」
マーカスは、ロイドの肩に手を置いた。
「ロイド。おまえとは本当に長い付き合いだったな。落ち着いたら、本当に遊びに来い。」
「あぁ。必ず。」
それが、マーカス団長との別れだった。
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