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第18話★
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首筋を、アルの唇が這う。
「ん・・・」
レオノーラのシャツのボタンを外して、現れた乳房の先を、アルが口に含んで吸う。そのまま乳房の下、おへそへと移る。体中をキスされて、温かい舌先の感触に、熱が移ったみたいに、体が熱くなっていく。彼の体温を感じるたびに、アルの優しさと温かさを感じる。指と指を絡めて手を繋ぐ。流れるような仕草で、慣れた動作で、アルは優しく誘惑するように愛撫してくれる。
あっという間に、何も考えられなくなって、訳が分からなくなった。はじめての感覚に耐えられず、何度も彼の名前を呼ぶ。
「アル!アル!・・・アル!!」
ぶわっと汗が出て、ビクッビクツと体が痙攣する。一瞬意識が飛んで、気がつくと、アルの顔が目の前にあって、その表情に、ドクンと胸が鳴る。未知の世界に、恐怖をかき消すように抱きついた。
「ふっ・・・う・・・・んん!!」
はじめての痛みに耐えながら、ただひたすらに、彼の体温を感じて、彼にすがりついた。アルもレオノーラの体の中に己を埋めて、これ以上は1つになれないってくらいに、きつく抱き合った。深く深く貫かれて、意識が飛びそうになる。
「レオノーラ、ごめん。」
アルは小さい声で言い、上半身を起こして、レオノーラの目元にキスをして涙を吸い取る。
「アル。謝ら・・・ないで。」
なんとなく、どこかに行ってしまうような気がして、必死にアルにしがみつく。
「あたしたち、ずっと一緒だよ。」
アル。あなたは1人じゃない。私が側にいるから。生きて欲しい。死刑になんてさせない。
産まれてきた意味なんて無くていい。生きてく理由なんて何でもいいの。それが、私じゃダメ?出来る事なら、あなたの心の傷を、少しでも癒してあげられたらいいのに。
アルにギュウっと抱きしめられて、抱きしめ返そうとして・・・急に、ふっと、エドワードの顔が脳裏に浮かんだ。
一瞬だけ、戸惑ってから、アルを抱きしめる。
・・・運命なんだ。きっとそうだ。
私は、アルと一緒に行く。
この人を助けたい。この人を1人にはできない。
もう、エドワードのところには、戻れない。
この涙は、悲しいからじゃない。
◇◇◇◇◇
看守を縛り上げて、用意した馬車に乗る。
「このまま港に行くわ。船を出してしまえば、もう追っても来れないもの。」
そう言って笑って見せると、アルは私を抱きしめた。
何かを確かめ合うかのように、私たちは抱きしめあった。
「ほら、見て!灯台が見えてきたわ」
そう言うのと同時に、馬の蹄の音が複数聞こえて来た。後ろを見ると、何個かの火が見えた。
追手だった。
「逃げ切って!」
御者に言うものの、馬車よりも騎馬の方がどうしても早かった。
追われるうちに、崖の上に来てしまう。
崖の先で、馬車が止まり、包囲される。
馬車を降りて戦うことを決意して、剣を掴んで馬車を降りようとすると、アルに手を掴まれる。
「レオノーラ、剣を私に渡すんだ。」
アルの言葉に首を振る。
「ダメだよ、その腕じゃ剣はムリ。大丈夫!これでも鍛錬はしてたんだから!」
なんて言ったものの、自信は無い。
そして、馬車から降りると、騎馬が10ほど居た。
先頭に、エドワード。後方に騎士達だった。
「エドワード。」
剣に手を置いて、少しだけ腰を落とす。
エドワードは馬から降りて、他の騎士を少し下がらせる。
「レオノーラ。諦めろ。勅命なんだ。私はその男をとらえなければならない。」
「お願い、もういなかったことにして!」
そんな事を言うので、一瞬だけエドワードはたじろぐ。騎士達も、戦闘態勢に入れずにいた。
「そんな簡単なことじゃない!王妃殺害では、もう、どうすることも出来ない。」
レオノーラは剣を鞘から引き抜いて、矛先を、エドワードに向ける。
途端に、騎士達は全員が剣を引き抜いた。
「アルを、死刑になんてさせない。」
エドワードは真剣な眼差しでレオノーラを見る。
「・・・悪あがきはやめろ。解っているんだろう?!レオノーラ!こんなことをしても!」
「解っているわ!!」
「・・・・」
「だから何?何もかも、解ってるわ!」
バカだった。さっさと、アルを連れてこの国を出るべきだった。エドワードと戦うしかない。この状況では、先は見えてる。しかも、私は・・・この後におよんでも、エドワードに甘えた。
助走をつけて、一気にエドワードに切りかかって行く。エドワードは剣を抜く事なく、避けようとするけれども、繰り出されるスピードに避けきれず、手の甲が剣をかすめてしまう。
レオノーラは、すぐに後ろ蹴りをさく裂させて、後ろに引いたエドワードの顔面に剣を突くと、スレスレでエドワードがかわして、彼の頬がピッと切れると、そこから血が流れた。
それを見ていた他の騎士が、剣をレオノーラに向けた。
「手を出すな!」
瞬間にエドワードは叫んで、目にもとまらぬ速さで剣を抜いて、その騎士の剣を受け止めていた。
すぐに、レオノーラは距離をとって、剣を構えなおす。
兵士たちが剣を構えて、ジリジリと距離を詰めようとしてくる。
「動かないで!!」
端にいた兵士に切りかかる。全体が距離をとる。
「やめろ!レオノーラ。伯爵や兄君も、ただでは済まなくなる!よく考えろ!」
「エドワードが見なかったことにすればいいのよ!!」
再び端の騎士がこちらに近づく。レオノーラはその騎士に、一太刀ふる。騎士たちは一歩下がる。
このままでは、らちが明かない。どうするべきか考えていると、エドワードが言った。
「俺は、お前を手放す気はない!」
驚いてエドワードの目を見ると、穢れの無い、真っすぐで強い眼差しがあった。
レオノーラは首を振りながら言う。
「私はアルと一緒に行くの!もう彼を、絶対に1人にしない。」
エドワードを睨み、両脇を絞めて両腕に力を込める。
「絶対に死なせない!アルを連れて行くなら、私を殺せばいい!」
剣を、エドワードに向けて低く構える。
その剣の切っ先が、震えていた。
エドワードは、その剣先を見つめて、眉をしかめて、唇を噛んだ。
急に近づいてくるエドワードに剣を振る!
「こっち来ないで!」
エドワードは、レオノーラの剣を剣で受ける。
ガキン!と、剣を払いのけて、エドワードに思いっきり剣をふる。剣を受けて返す、返されては受ける。
「諦めない・・・から!はぁ、はぁっ!」
だいぶ息切れしてきて、剣を構えなおした時だった。
エドワードの視線が、後ろに向けられた。
その後ろに居た、騎士達も同じように後ろに視線が移動する。
その瞬間に、気が付く。
後ろにいるはずのアルの気配がない。
慌てて振り返ると、断崖絶壁の先端に、アルは立っていた。
「・・・アル?」
アルは、私を見て、微笑んだ。
「レオノーラ。ありがとう。大好きだよ。」
アルの姿が、ふわりと宙を舞う。
「!!」
瞬間に、駆け寄ろうとして、足がもつれる。
うそ・・・うそだ!待って・・・待っ
「アルーーーーーー!!」
懇親の力を込めて、全力疾走して手を伸ばした先に、彼の服が指をかすめた。
そのまま、自分の体も重力を失う。
前飲めりに、落ちかけたところを、力任せに引き寄せられる。そのまま、エドワードの腕の中に、倒れこんだ。
レオノーラが起き上がろうとするので、しっかりと抱きしめ押さえ込まれる。
アルの体は、真っ暗な崖の下へと消えた。
「・・・どう・・して・・?」
ハッ!と、して叫ぶ。
「助けに行かなきゃ。助けに!!」
グッと腕を引き寄せられる。
「この高さでは、助からない!」
後ろから、強くエドワードが言う。
「下は海だ!こんな闇の中では探し出すのは無理だ!」
助からない?
ガクリ、と全身から力が抜ける。
「・・・・アル・・・!アル!・・・」
ブルブルと体が震える。
「生きててほしかったのに・・・」
涙が溢れだす。
こんなつもりじゃなかった。
「生きていて欲しかったからっ・・・・」
生きていてくれたら、それで良かったんだ。
「ただ、生きていて欲しかっただけなのに!!」
風の中から、闇の中から、生暖かい風が吹いてくる。
『大好きだよ。』
アルの声が蘇る。
あたしもだよ。アル。
世界中の誰もが、あなたの敵だったとしても、
私だけは、あなたの味方だよ。
「ん・・・」
レオノーラのシャツのボタンを外して、現れた乳房の先を、アルが口に含んで吸う。そのまま乳房の下、おへそへと移る。体中をキスされて、温かい舌先の感触に、熱が移ったみたいに、体が熱くなっていく。彼の体温を感じるたびに、アルの優しさと温かさを感じる。指と指を絡めて手を繋ぐ。流れるような仕草で、慣れた動作で、アルは優しく誘惑するように愛撫してくれる。
あっという間に、何も考えられなくなって、訳が分からなくなった。はじめての感覚に耐えられず、何度も彼の名前を呼ぶ。
「アル!アル!・・・アル!!」
ぶわっと汗が出て、ビクッビクツと体が痙攣する。一瞬意識が飛んで、気がつくと、アルの顔が目の前にあって、その表情に、ドクンと胸が鳴る。未知の世界に、恐怖をかき消すように抱きついた。
「ふっ・・・う・・・・んん!!」
はじめての痛みに耐えながら、ただひたすらに、彼の体温を感じて、彼にすがりついた。アルもレオノーラの体の中に己を埋めて、これ以上は1つになれないってくらいに、きつく抱き合った。深く深く貫かれて、意識が飛びそうになる。
「レオノーラ、ごめん。」
アルは小さい声で言い、上半身を起こして、レオノーラの目元にキスをして涙を吸い取る。
「アル。謝ら・・・ないで。」
なんとなく、どこかに行ってしまうような気がして、必死にアルにしがみつく。
「あたしたち、ずっと一緒だよ。」
アル。あなたは1人じゃない。私が側にいるから。生きて欲しい。死刑になんてさせない。
産まれてきた意味なんて無くていい。生きてく理由なんて何でもいいの。それが、私じゃダメ?出来る事なら、あなたの心の傷を、少しでも癒してあげられたらいいのに。
アルにギュウっと抱きしめられて、抱きしめ返そうとして・・・急に、ふっと、エドワードの顔が脳裏に浮かんだ。
一瞬だけ、戸惑ってから、アルを抱きしめる。
・・・運命なんだ。きっとそうだ。
私は、アルと一緒に行く。
この人を助けたい。この人を1人にはできない。
もう、エドワードのところには、戻れない。
この涙は、悲しいからじゃない。
◇◇◇◇◇
看守を縛り上げて、用意した馬車に乗る。
「このまま港に行くわ。船を出してしまえば、もう追っても来れないもの。」
そう言って笑って見せると、アルは私を抱きしめた。
何かを確かめ合うかのように、私たちは抱きしめあった。
「ほら、見て!灯台が見えてきたわ」
そう言うのと同時に、馬の蹄の音が複数聞こえて来た。後ろを見ると、何個かの火が見えた。
追手だった。
「逃げ切って!」
御者に言うものの、馬車よりも騎馬の方がどうしても早かった。
追われるうちに、崖の上に来てしまう。
崖の先で、馬車が止まり、包囲される。
馬車を降りて戦うことを決意して、剣を掴んで馬車を降りようとすると、アルに手を掴まれる。
「レオノーラ、剣を私に渡すんだ。」
アルの言葉に首を振る。
「ダメだよ、その腕じゃ剣はムリ。大丈夫!これでも鍛錬はしてたんだから!」
なんて言ったものの、自信は無い。
そして、馬車から降りると、騎馬が10ほど居た。
先頭に、エドワード。後方に騎士達だった。
「エドワード。」
剣に手を置いて、少しだけ腰を落とす。
エドワードは馬から降りて、他の騎士を少し下がらせる。
「レオノーラ。諦めろ。勅命なんだ。私はその男をとらえなければならない。」
「お願い、もういなかったことにして!」
そんな事を言うので、一瞬だけエドワードはたじろぐ。騎士達も、戦闘態勢に入れずにいた。
「そんな簡単なことじゃない!王妃殺害では、もう、どうすることも出来ない。」
レオノーラは剣を鞘から引き抜いて、矛先を、エドワードに向ける。
途端に、騎士達は全員が剣を引き抜いた。
「アルを、死刑になんてさせない。」
エドワードは真剣な眼差しでレオノーラを見る。
「・・・悪あがきはやめろ。解っているんだろう?!レオノーラ!こんなことをしても!」
「解っているわ!!」
「・・・・」
「だから何?何もかも、解ってるわ!」
バカだった。さっさと、アルを連れてこの国を出るべきだった。エドワードと戦うしかない。この状況では、先は見えてる。しかも、私は・・・この後におよんでも、エドワードに甘えた。
助走をつけて、一気にエドワードに切りかかって行く。エドワードは剣を抜く事なく、避けようとするけれども、繰り出されるスピードに避けきれず、手の甲が剣をかすめてしまう。
レオノーラは、すぐに後ろ蹴りをさく裂させて、後ろに引いたエドワードの顔面に剣を突くと、スレスレでエドワードがかわして、彼の頬がピッと切れると、そこから血が流れた。
それを見ていた他の騎士が、剣をレオノーラに向けた。
「手を出すな!」
瞬間にエドワードは叫んで、目にもとまらぬ速さで剣を抜いて、その騎士の剣を受け止めていた。
すぐに、レオノーラは距離をとって、剣を構えなおす。
兵士たちが剣を構えて、ジリジリと距離を詰めようとしてくる。
「動かないで!!」
端にいた兵士に切りかかる。全体が距離をとる。
「やめろ!レオノーラ。伯爵や兄君も、ただでは済まなくなる!よく考えろ!」
「エドワードが見なかったことにすればいいのよ!!」
再び端の騎士がこちらに近づく。レオノーラはその騎士に、一太刀ふる。騎士たちは一歩下がる。
このままでは、らちが明かない。どうするべきか考えていると、エドワードが言った。
「俺は、お前を手放す気はない!」
驚いてエドワードの目を見ると、穢れの無い、真っすぐで強い眼差しがあった。
レオノーラは首を振りながら言う。
「私はアルと一緒に行くの!もう彼を、絶対に1人にしない。」
エドワードを睨み、両脇を絞めて両腕に力を込める。
「絶対に死なせない!アルを連れて行くなら、私を殺せばいい!」
剣を、エドワードに向けて低く構える。
その剣の切っ先が、震えていた。
エドワードは、その剣先を見つめて、眉をしかめて、唇を噛んだ。
急に近づいてくるエドワードに剣を振る!
「こっち来ないで!」
エドワードは、レオノーラの剣を剣で受ける。
ガキン!と、剣を払いのけて、エドワードに思いっきり剣をふる。剣を受けて返す、返されては受ける。
「諦めない・・・から!はぁ、はぁっ!」
だいぶ息切れしてきて、剣を構えなおした時だった。
エドワードの視線が、後ろに向けられた。
その後ろに居た、騎士達も同じように後ろに視線が移動する。
その瞬間に、気が付く。
後ろにいるはずのアルの気配がない。
慌てて振り返ると、断崖絶壁の先端に、アルは立っていた。
「・・・アル?」
アルは、私を見て、微笑んだ。
「レオノーラ。ありがとう。大好きだよ。」
アルの姿が、ふわりと宙を舞う。
「!!」
瞬間に、駆け寄ろうとして、足がもつれる。
うそ・・・うそだ!待って・・・待っ
「アルーーーーーー!!」
懇親の力を込めて、全力疾走して手を伸ばした先に、彼の服が指をかすめた。
そのまま、自分の体も重力を失う。
前飲めりに、落ちかけたところを、力任せに引き寄せられる。そのまま、エドワードの腕の中に、倒れこんだ。
レオノーラが起き上がろうとするので、しっかりと抱きしめ押さえ込まれる。
アルの体は、真っ暗な崖の下へと消えた。
「・・・どう・・して・・?」
ハッ!と、して叫ぶ。
「助けに行かなきゃ。助けに!!」
グッと腕を引き寄せられる。
「この高さでは、助からない!」
後ろから、強くエドワードが言う。
「下は海だ!こんな闇の中では探し出すのは無理だ!」
助からない?
ガクリ、と全身から力が抜ける。
「・・・・アル・・・!アル!・・・」
ブルブルと体が震える。
「生きててほしかったのに・・・」
涙が溢れだす。
こんなつもりじゃなかった。
「生きていて欲しかったからっ・・・・」
生きていてくれたら、それで良かったんだ。
「ただ、生きていて欲しかっただけなのに!!」
風の中から、闇の中から、生暖かい風が吹いてくる。
『大好きだよ。』
アルの声が蘇る。
あたしもだよ。アル。
世界中の誰もが、あなたの敵だったとしても、
私だけは、あなたの味方だよ。
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