吸血鬼と愛の鍵

月野さと

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第17話

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「やめて・・!」
「セックスがしたいんだろう?どうされたい?言う通りにしてやる!」
 ルナルドは、私をベッドに押し付けて、自らの首筋を私の唇にくっつける。
「ほら!血も欲しいんだろう?早く飲め!」
 彼の形のいい耳が目の前にあって、鼻先にある首筋から、ふわりと香る、ルナルドの香りに力が抜ける。
 あぁ、ルナルドの匂いだ。
 そう、思った瞬間だった。何故か意識が遠のいて、酔ったような感覚に襲われた。

 ----噛みつきたい。
 心の奥底から、それは衝動。

 リリアナは、ルナルドの背中に手を回して、しっかりと抱きつく。
 耳の裏側に指を這わせて、血管が少し見えた瞬間、ドクンッドクンッと、熱い胸の高鳴り。

 ベロリと耳の裏を舐めて、下に降りて行くと、感じる。
 血の流れに沿って、首筋まで唇を這わせて、たまらない気持ちになる。

 -----欲しい。

 大きく口を開け、自分の牙がルナルドの肌に当たった瞬間だったと思う。

「リリアナ。愛してる。」

 ルナルドは、呟いた。
「人間じゃなくなってしまっても。どんな姿に変わってしまっても。」
 ぎゅうっと、リリアナを抱きしめた。
「おまえが俺を嫌いでも、どんな時も、何があっても、愛してるんだ。」
 
 見開いた視界には、天井があって、景色が徐々にゆらめいて、見えなくなっていく。
 涙が、勝手に頬を伝う。
 
 ルナルドは、愛おしそうに、私の額にキスをして、唇を這わせて言う。
「もう少し、俺に時間をくれないか?今、調べているんだ。人間に戻す方法を。ダメだとしても、一緒に生きていく方法を、探そう?」
 彼は・・・何を言っているんだと思った。
 一緒に生きていく方法?吸血鬼が?人間と?
「そんなの・・・あるわけないわ。」
「わからないだろう!?人間を吸血鬼に出来るなら、逆だってあってもおかしくない!」
「馬鹿ね・・・」
「馬鹿でもいい!だけど、諦めたくない!」
 
 そこで、ルナルドは体を起こして、リリアナを見た。
 ボロボロと涙を流すリリアナを見て、眉間に皺を寄せた。
「馬鹿は、おまえだ。」
 ルナルドは、リリアナの涙を指で拭いながら言う。
「嘘なんだろ?気持ちが冷めたってのも、全部・・・・。」
 そう言うと、優しいキスをくれた。
 それから、少し驚いたような顔をして、ルナルドは私の口に指を入れる。
「?」
「リリアナ・・・牙がある。」
 チョイチョイと、触ってから彼は微笑んで言う。
「可愛い牙だな。」
 そう言うと、またキスをして、首筋を舐め、乳房を揉み、体を密着してくる。

「あ・・・ルナルドっ。ダメ!」
「愛してる。」 
 抵抗しようとして、その手に力が入らない。
「やめてっ!」
 せっかく、覚悟を決めたのに。こんなのダメなのに。
「愛してるよ。」
 あなたの囁きが、その声が・・・。私の覚悟を揺るがせてしまう。
「ルナルド・・・!!」
「リリアナ。愛してる。」
 ズンッと、私の中に彼の熱く固いものが、入り込んでくる。
「だ・・・めっ!!」

 体は正直で、待ち望んだその感覚に、快感を得る。
 何度も奥を突かれて、気持ち良くなっていく。
 体をゆさぶられながら、ルナルドの腕を掴み、首を振る。 
「ダメよ。こんなのダメ。離れられなくなっちゃう・・・!」
「離れなければいい!」
 ルナルドは、そう言い返して、キスをする。

「んっ、うむ・・・!ダメ!あっ・・・」
「気持ち良い?ここ?」
「あっ、はぁぁあん!」
 ウソみたいに声が出てしまう。
 力強い挿抜で、体中が揺さぶられて、体中で感じてる。理性も虚勢も、なにもかもが簡単に崩れていく。
「リリアナっ。」 

 あぁ・・・ムリ。
 愛してる。

 死ぬなら、このまま死にたい。
 あなたに抱かれて、愛していると、その声を聞きながら死にたい。
 
「愛してるよ。リリアナ。」
 ルナルド・・・・!
「んっ!・・はぁあっ!!もっと。もっと言って!」
 
 グッグッと、貫くように固い自身を私に押し込みながら、ルナルドは真剣な顔で言った。
「愛してる。忘れないでくれ、リリアナ。今までも、これからも、ずっと!生涯おまえだけだ。」
 そう言うと、息をする間もない程に激しく挿抜されて、何も考えられなくなる。肌と肌がぶつかる音と、私の喘ぎ声が、部屋中に響き渡る。
 この上ない程に上り詰めて、ビクンッ!ビクンッ!と私の体が強く痙攣する。ルナルドも声を上げて達した。
 
 暫く2人で抱き合ったまま、余韻に浸る。
 ルナルドの体温が、とても落ち着いた。

 
「リリアナ・・・」
 ルナルドは、リリアナの頭を撫でながら言う。
「俺は、まだ諦めない。世の中に、存在する生き物は、全て共存できるはずだ。吸血鬼だって共存できる方法があっても、いいはずだろう?答えを出すのは、もう少し先にしてくれないか?」
 生き物の、共存?
 子供の頃から勉強ばかりだった、ルナルドらしい考え方だ。

「ルナルド。私ね。人間に戻ろうと思っているの。」

 私は、ルナルドにダンピールの話をした。
 抱かれることで、人間に戻れること。
 そしてそれは、永遠の別れであること。

「ダンピール・・・本当に存在しているだなんて。」
 ルナルドは、驚いていた。
「私は、その人の所に行きたいの。潔く。今の自分のまま。恐ろしい吸血鬼になりたくない。」
 そう言いきると、ルナルドは首を振る。
「ダメだ。1人では行かせない。俺も行く。そのダンピールと、話をさせてくれないか?」
 



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