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83.注!記憶がなくても記録に残る ※
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「『女神の願い』の試験となったら大胆だったし、何でもさせてくれそうな勢いだったのに。かと思えば、こんなところでは恥じらって……シリル兄さんは、本当におかしな人だね」
「大胆って……」
あのときだって、充分恥ずかしかったよ。
精霊薬学とか精霊医学的な見地から考えれば、ちょっと冷静になるというか、実験のようなものと思えば、ある種の割り切りが働いたのも、事実だけど。
でも、今は……これ、恋人としての触れ合いだよね?そんなの、ドキドキするに決まってる。
それに、何でもさせてくれそうなんて……そんなことはなかったはずだ。
けど。
「もし、テオが、なんでもさせてくれそうって感じたならさ。
それは、薬の試験がどうこうっていうより、相手がテオだったからだよ」
テオのためなら、おれにできることなら、やってあげたい。それで、テオが喜ぶのなら。と、ずっと思ってきた。
でも、今はちょっと違う。もちろん、テオが喜ぶことはやってあげたいけれど……おれも、一緒に楽しみたい。喜びたい。
ああ。身体が気持ちいい。心も、気持ちいい。
あまりにもぽかぽかで、このままでは逆上せてしまいそうだ。
「テオ、おれ、そろそろあがる」
湯から立ち上がり、湯船の縁に足をかけ、出ようとしたところで、力か入らずによろける。
お湯の中では立てたけど、どうやら陸には上がれないらしい。
「テオ、また運んで——」
と、そこで、足首を掴まれた。
「?テオ?どうしたんだ……?」
振り向けば、おれのお尻に顔を寄せるテオドールが目に入って。
「なっ…テオ、ちょっと——ひゃうっ!!!」
かぷり、とお尻を甘く噛まれて、あまりのことに変な声が出た。
「や、まって……そんな、とこっ…んぁっ」
「今のは、シリル兄さんが悪いと思うんだ」
「うわっ!…そんなとこで、しゃべるな…っ」
おれの尻たぶを食んで、反対はむにむにと揉みしだくテオドールの瞳には、またいつの間にか再び獰猛な気配が宿っている。
先ほどまでの行為で、解れていたところが、ぐっと引っ張られて、ひくひくと疼く。
「つまり、シリル兄さんは、何をされてもいいくらい、僕のことが、大好きだってことだよね?」
「え…?……あっ…ん、ちが…っ…いや、ちがわない、けど…っ」
慌てふためくおれをいなしながら、テオドールはそのまま何のためらいもなく、蕾を舐めて、ちゅうっと強く吸い付いた。
「ぎゃっ!!…あ、きたない、テオ……あぁ、そんなとこ…っ」
「すごく、きれいだよ。ピンク色で」
色の情報とか、求めてない!!
ちゅるちゅると生々しい音をたてながら吸い上げられ、優しく温かな舌で舐められる刺激が、たまらなく気持ち良くて、それなのに物足りなくて、どんどんお腹の奥が熱く、疼いて、また欲しくなってくる。
「あっ…もう…また…あぁっ、ん、あっ」
また、わけがわからなくなっちゃうっ!
湯船の縁にぐったりと寄りかかるおれに、テオドールが後ろから身体を重ねてくる。
そして、耳元で、
「もう一回、いいでしょう?シリル」
と囁いた。
どくり、と一気に体温があがる。耳から甘い声が、そのまま脳を溶かしてしまいそう。
なんだ、この異様な魅了の力は…っ。
おれのハートにクリティカルヒットしたんだけど!!
「シリル……お願い」
ただ、名前を呼ばれただけなのに。ただ、名前を呼ばれただけなのにっ!
愛弟のしおらしさに加え、恋人の甘味成分まで加えてお願いされてしまえば、こんなの、最強じゃないか。無敵じゃないか。
少なくとも、おれには、抗える気がしない。
耳朶を食まれて、舐めあげられて、甘噛みされれば、もうダメで。いや、もうとっくにダメダメで。
とろり、と蕾から蜜が溢れて、足を伝うのが、自分でも分かった。
「おれ……わからなくなるのは、…もう、いやだ」
いつの間にか、訳も分からずに眠ってしまって、朝を迎えるのは、いやだ。
ちゃんとテオと抱き合って、その存在を確かめて、そういう認識をもったままで、一緒に眠りたい。
「うん。わかった……大丈夫だから、おいで」
甘く誘われて、いざなわれるままに、向かい合わせになって。テオドールを跨ぐように抱き締められて、つぷり、と侵入してくるテオドールをそのままゆっくりと、受け入れる。
ああ、もう。いいところ、満遍なく擦っていく。優秀過ぎる。これ、間違いなくテオドールの分身だよ。
「シリル、気持ちよさそう」
「あっ…ダメ、…やっぱり、名前…ん、あっ!」
「どうして?僕は、すごく嬉しいよ。二人の間に、これまでにない、もっと、特別な関係ができたみたいで」
下から遠慮なく突き上げてきて、さらに何度も刺激されて赤くぽってりと色づいている乳首を口に含まれる。ころころと、飴玉でも舐めるように転がされ、じんじんと快感に痺れてくる。
「ん、…あ、ダメ…きもち、いい……よくて、ダメ…」
頭、ふわふわしてきた。このまま、わからなくなっちゃう。
「大丈夫。わからなくなっても、記録してあるから」
「………え?…はぁ?!!」
「忘れたら、一緒に確認しよう」
とんでもないことを言う。
記録って何だ。確認って何だよ。
まさか、これまでも記録してたとか言わないよね?!?!
ぐっと奥を突き上げられて、息のつまるような快感がびりびりと全身に走る。
「あ、ダメ…きもちいい、これ…っああ、ぁっ!」
「ダメじゃない。いい、て言ってよ」
「だって……、あした、しごと……あ、ひぁっ」
「仕事は、ちゃんと有給申請してあるよ」
え?いつの間に?
という疑問は、嬌声になって、言葉にならない。
「あ、あぁっ…でも、テオは…?……テオ、しごと…いいの?」
「こんな状況で、僕の仕事まで心配してくれるの?嬉しいな。
でも、大丈夫だよ。僕、仕事、辞めたから」
「……え?はあ??!!…それ、どういうっ…あ、あ、もう…んんっ!」
辞めたって?!仕事って……王太子の側近を辞めたってこと??え、あれって、そんな簡単に辞められるもんなの?!
ああ、考えないと、いけないのに。気持ちがよくて、全然思考がまとまらない。
「いずれにしても。
あなたは、ただ、気持ち良くなっていれば、良いってことだよ」
顎をとられて、そのまま深く口づけられる。唇を割って入ってきた生温かい舌が、歯列をなぞり、上顎をくすぐる。舌と舌が擦れあって、ぬるぬると唾液が混ざって、それをされると気持ち良くて、口が開いちゃう。
全部、すごく気持ちがいい。
「はぁ……、あ、テオ…ん、んぅっ…あ、あぁ」
あ、そこ、だめ。内側の奥、強く擦られると、ぞくぞくして、またすぐにいっちゃう。
「…あっ!ん、テオ…っ!しぬ……あ、だめぇ……しぬ…っ!」
知ってるか?
心機能によっては、性行為って制限されるんだからな。制限されなくても、そんな相手はいなかったけど。
でも、本当に、死ぬんだぞ。あり得るんだぞ、腹上死!
「死なないよ。僕があなたを死なせるはずないでしょう。
……ああ、蘇生の精霊術があるのは、シリル兄さんでも、知らないよね」
ええ!?なんて!?!本当に??
なんて、疑問は当然言葉にはできず、思考するにも一瞬で、あっと言う間に悦楽に飲まれ、掻き消された。
そして、前後不覚になったおれは、案の定そのまま落ちて。次に、目を覚ましたのは、実に3日後のことだった。
死ぬほど熟睡した。
起きてまず、おれはテオドールに兄として……恋人として、これだけは言っておかなくてはならない。
「無断で録画したらダメだ」
「わかったよ。じゃあ、今度はちゃんと許可をとるね」
ならよし。………んん?いいのか?えーっと…………。
まぁ、とりあえず。記憶が曖昧な部分に関しては、テオが「うーん……すごく、可愛かったよ」というので、確認はしない方向で、忘却の彼方へ。
いつか、確認したい時が来たら、……まぁ、ないと思うけれど。そのときは確認しようと思う。もちろん、一人で。
「大胆って……」
あのときだって、充分恥ずかしかったよ。
精霊薬学とか精霊医学的な見地から考えれば、ちょっと冷静になるというか、実験のようなものと思えば、ある種の割り切りが働いたのも、事実だけど。
でも、今は……これ、恋人としての触れ合いだよね?そんなの、ドキドキするに決まってる。
それに、何でもさせてくれそうなんて……そんなことはなかったはずだ。
けど。
「もし、テオが、なんでもさせてくれそうって感じたならさ。
それは、薬の試験がどうこうっていうより、相手がテオだったからだよ」
テオのためなら、おれにできることなら、やってあげたい。それで、テオが喜ぶのなら。と、ずっと思ってきた。
でも、今はちょっと違う。もちろん、テオが喜ぶことはやってあげたいけれど……おれも、一緒に楽しみたい。喜びたい。
ああ。身体が気持ちいい。心も、気持ちいい。
あまりにもぽかぽかで、このままでは逆上せてしまいそうだ。
「テオ、おれ、そろそろあがる」
湯から立ち上がり、湯船の縁に足をかけ、出ようとしたところで、力か入らずによろける。
お湯の中では立てたけど、どうやら陸には上がれないらしい。
「テオ、また運んで——」
と、そこで、足首を掴まれた。
「?テオ?どうしたんだ……?」
振り向けば、おれのお尻に顔を寄せるテオドールが目に入って。
「なっ…テオ、ちょっと——ひゃうっ!!!」
かぷり、とお尻を甘く噛まれて、あまりのことに変な声が出た。
「や、まって……そんな、とこっ…んぁっ」
「今のは、シリル兄さんが悪いと思うんだ」
「うわっ!…そんなとこで、しゃべるな…っ」
おれの尻たぶを食んで、反対はむにむにと揉みしだくテオドールの瞳には、またいつの間にか再び獰猛な気配が宿っている。
先ほどまでの行為で、解れていたところが、ぐっと引っ張られて、ひくひくと疼く。
「つまり、シリル兄さんは、何をされてもいいくらい、僕のことが、大好きだってことだよね?」
「え…?……あっ…ん、ちが…っ…いや、ちがわない、けど…っ」
慌てふためくおれをいなしながら、テオドールはそのまま何のためらいもなく、蕾を舐めて、ちゅうっと強く吸い付いた。
「ぎゃっ!!…あ、きたない、テオ……あぁ、そんなとこ…っ」
「すごく、きれいだよ。ピンク色で」
色の情報とか、求めてない!!
ちゅるちゅると生々しい音をたてながら吸い上げられ、優しく温かな舌で舐められる刺激が、たまらなく気持ち良くて、それなのに物足りなくて、どんどんお腹の奥が熱く、疼いて、また欲しくなってくる。
「あっ…もう…また…あぁっ、ん、あっ」
また、わけがわからなくなっちゃうっ!
湯船の縁にぐったりと寄りかかるおれに、テオドールが後ろから身体を重ねてくる。
そして、耳元で、
「もう一回、いいでしょう?シリル」
と囁いた。
どくり、と一気に体温があがる。耳から甘い声が、そのまま脳を溶かしてしまいそう。
なんだ、この異様な魅了の力は…っ。
おれのハートにクリティカルヒットしたんだけど!!
「シリル……お願い」
ただ、名前を呼ばれただけなのに。ただ、名前を呼ばれただけなのにっ!
愛弟のしおらしさに加え、恋人の甘味成分まで加えてお願いされてしまえば、こんなの、最強じゃないか。無敵じゃないか。
少なくとも、おれには、抗える気がしない。
耳朶を食まれて、舐めあげられて、甘噛みされれば、もうダメで。いや、もうとっくにダメダメで。
とろり、と蕾から蜜が溢れて、足を伝うのが、自分でも分かった。
「おれ……わからなくなるのは、…もう、いやだ」
いつの間にか、訳も分からずに眠ってしまって、朝を迎えるのは、いやだ。
ちゃんとテオと抱き合って、その存在を確かめて、そういう認識をもったままで、一緒に眠りたい。
「うん。わかった……大丈夫だから、おいで」
甘く誘われて、いざなわれるままに、向かい合わせになって。テオドールを跨ぐように抱き締められて、つぷり、と侵入してくるテオドールをそのままゆっくりと、受け入れる。
ああ、もう。いいところ、満遍なく擦っていく。優秀過ぎる。これ、間違いなくテオドールの分身だよ。
「シリル、気持ちよさそう」
「あっ…ダメ、…やっぱり、名前…ん、あっ!」
「どうして?僕は、すごく嬉しいよ。二人の間に、これまでにない、もっと、特別な関係ができたみたいで」
下から遠慮なく突き上げてきて、さらに何度も刺激されて赤くぽってりと色づいている乳首を口に含まれる。ころころと、飴玉でも舐めるように転がされ、じんじんと快感に痺れてくる。
「ん、…あ、ダメ…きもち、いい……よくて、ダメ…」
頭、ふわふわしてきた。このまま、わからなくなっちゃう。
「大丈夫。わからなくなっても、記録してあるから」
「………え?…はぁ?!!」
「忘れたら、一緒に確認しよう」
とんでもないことを言う。
記録って何だ。確認って何だよ。
まさか、これまでも記録してたとか言わないよね?!?!
ぐっと奥を突き上げられて、息のつまるような快感がびりびりと全身に走る。
「あ、ダメ…きもちいい、これ…っああ、ぁっ!」
「ダメじゃない。いい、て言ってよ」
「だって……、あした、しごと……あ、ひぁっ」
「仕事は、ちゃんと有給申請してあるよ」
え?いつの間に?
という疑問は、嬌声になって、言葉にならない。
「あ、あぁっ…でも、テオは…?……テオ、しごと…いいの?」
「こんな状況で、僕の仕事まで心配してくれるの?嬉しいな。
でも、大丈夫だよ。僕、仕事、辞めたから」
「……え?はあ??!!…それ、どういうっ…あ、あ、もう…んんっ!」
辞めたって?!仕事って……王太子の側近を辞めたってこと??え、あれって、そんな簡単に辞められるもんなの?!
ああ、考えないと、いけないのに。気持ちがよくて、全然思考がまとまらない。
「いずれにしても。
あなたは、ただ、気持ち良くなっていれば、良いってことだよ」
顎をとられて、そのまま深く口づけられる。唇を割って入ってきた生温かい舌が、歯列をなぞり、上顎をくすぐる。舌と舌が擦れあって、ぬるぬると唾液が混ざって、それをされると気持ち良くて、口が開いちゃう。
全部、すごく気持ちがいい。
「はぁ……、あ、テオ…ん、んぅっ…あ、あぁ」
あ、そこ、だめ。内側の奥、強く擦られると、ぞくぞくして、またすぐにいっちゃう。
「…あっ!ん、テオ…っ!しぬ……あ、だめぇ……しぬ…っ!」
知ってるか?
心機能によっては、性行為って制限されるんだからな。制限されなくても、そんな相手はいなかったけど。
でも、本当に、死ぬんだぞ。あり得るんだぞ、腹上死!
「死なないよ。僕があなたを死なせるはずないでしょう。
……ああ、蘇生の精霊術があるのは、シリル兄さんでも、知らないよね」
ええ!?なんて!?!本当に??
なんて、疑問は当然言葉にはできず、思考するにも一瞬で、あっと言う間に悦楽に飲まれ、掻き消された。
そして、前後不覚になったおれは、案の定そのまま落ちて。次に、目を覚ましたのは、実に3日後のことだった。
死ぬほど熟睡した。
起きてまず、おれはテオドールに兄として……恋人として、これだけは言っておかなくてはならない。
「無断で録画したらダメだ」
「わかったよ。じゃあ、今度はちゃんと許可をとるね」
ならよし。………んん?いいのか?えーっと…………。
まぁ、とりあえず。記憶が曖昧な部分に関しては、テオが「うーん……すごく、可愛かったよ」というので、確認はしない方向で、忘却の彼方へ。
いつか、確認したい時が来たら、……まぁ、ないと思うけれど。そのときは確認しようと思う。もちろん、一人で。
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