49 / 90
47.クッキーは進化した
しおりを挟む
ここはヴァン家のレストランだったらしい。手広く商売をしているのは知っているけれど、飲食店も経営していたのか。
「へぇ……ここ、ダニエルの店だったのか」
「そこそこ有名なはずなんだが」
「ごめん、興味なくて」
おれは、流行り廃れに興味がない。
「ぐっ……んんっ、自然と抉ってくるから、防御できねぇっ」
何やら、胸を押えて苦しむダニエル。
あ、やっぱりダニエルも体調悪い?
「予約を取ってもらって、ありがとう。息抜きになったわ」
「いやぁ、こっちこそ、願ったり叶ったりだよ。
“恵みの乙女”とフォレスターのご両人に来店してもらったとなれば、箔がつくからな」
あ、やっぱり予約を捻じ込んだんだ。
まさか支配人に直接交渉していたなんて。どうりでいい個室だと思った。
「それに、シリルにも用事があったからな」
「え?おれ?」
「いやぁ……実はだな。前にシリルからもらった精霊力の蓄積器なんだけどよ」
「ああ……あれね」
精霊力の蓄積器とは、おれが開発したもので自分の精霊力を貯めておくことが可能で、持続して精霊力を放出、利用できる装置だ。
元々は生育に持続的に高濃度のマナが必要な薬草の栽培のために、おれが開発したものだ。
実はこれ、おれがクッキーのナッツに精霊力を込めていた手法とその原理を研究した結果、開発に成功した装置だったりする。
ダニエルが常々、商品の品質保持……特に精霊薬の保管ために持続したマナの供給が必要だけど、運搬過程で常時それなり精霊力を供給し続けることが大変だと言っていたので、使っていなかった一つを彼に提供したのだ。
「実は……紛失しちまったんだ」
「紛失……」
「すまん。せっかく、譲ってくれた貴重なものを……」
「ふーん……」
「落とし前はきっちりつける。どうしたらいいか教えてくれ」
落とし前って。まるで切腹でもしかねない沈痛な表情で頭を下げるダニエルに、
「また、必要なの?いるならあげるけど」
おれはそう返答した。
「かるっ!え!?……かるっ!!マジか!!?」
ダニエル慌て過ぎじゃない。若干キャラ変わってる。
「だって、別に作るの自体はそんなに難しくないよ、あれ」
材料は特殊だけど、そもそもダニエルから購入した物品で作ったものなので、更に必要となれば、そろえるのは簡単だろう。
「あ、これ……あれだな。
自分には簡単すぎてどんだけすごいことかも、それがあるのがどんだけ便利かもわかってねぇやつか」
いや、簡単とかすごいこととか便利とかいう話じゃなくて、いるならあげるよ、て言ってるだけなんだけど。
「結局は、盗難にあった、ということだよね?」
「はっきりしないが、おそらくな。厳重に保管してたから、間違って廃棄ってーのはありえねぇ……多分、内部の人間の仕業だ。くそっ」
「そうか……それは、ちょっと…良くないかもしれないね」
おれが作った精霊力の蓄積器は、おれが研究室で使っている2つと、ダニエルに譲った1つの3つしかまだ存在しない。当然公にはなっていない技術だ。
「ああ。あんな風に精霊力の蓄積、利用が可能になったらだな。精霊力の売買の可能性も出てくるからな」
例えば、献血のようなものだと思ってもらえばわかりやすい。もし、献血が金銭や権力でもって可能な行為だとしたら、それはもう臓器売買と一緒だ。
つまり、金銭や権力などの強制力で精霊力を搾取、利用できる可能性があるということだ。
「以前から考えちゃいたんだがよ。その辺の法整備もしとかなきゃ、ヤバいだろうってな」
「そうだな。個人利用なら、と思っていたけど……何かしら取り締まる制度が必要になってくるな」
「あー……今の時間、テオドールは自分の政務室にいんのか?」
「いや、今の時間は王太子殿下の政務室にいると思うよ。テオドールも忙しいから、おれでできることなら代わりに聞くけど。
ああ、でも領地をまたいだ窃盗被害の調査や法整備なら、直接した方がいいか」
フォレスター領のことや精霊医薬学の分野以外は、おれは完全に専門外だ。
王太子殿下やその側近であるテオドールに話を付けた方がいいだろう。
「いや、法整備についてはもう申請してるし、窃盗被害の調査はヴァン家が総力を挙げてんだがな。
これはシリルが作った貴重なものを紛失したっていう最重要事案だ。だからおれが直接テオドールに話をつけに行く必要がある。そのために、わざわざ正装してきた」
「どういうこと?」
正装しているのは、店に出るためじゃなかったのか。なんでテオドールに謝罪する必要があるんだ?
「以前、シリルの私物を持ち込んだやつがテオドールに——」
「ちょっと!」
ダニエルの言葉をミアが遮って、さらに彼の口を両手で塞ぐ。
「ダニエル、あなた死にたいの?」
「ちょっと、待って。おれの私物を持ち込むって、どこに?」
さっきから話が良く見えないんだけど。
「ああ、ほら!ばっちり聞こえてるじゃない!」
「意味は分かってねぇから、大丈夫だろ。大体、過保護過ぎんだよ。面倒くせぇ」
ミアの手を引き離すと、ダニエルはじっとおれを見た。睨むような、見定められるような視線で、上から下までまじまじと見つめられて居心地が悪い。
はぁ、とダニエルは大きく息を吐く。
「まあ、色々需要があるって話だ」
「需要……」
それはつまり、おれの精霊力的な意味か?それとも研究の資料か何かだろうか。
「とにかく、他から知られる前にテオドールに真摯に謝罪しとかないと。
特に今回は内部の人間が関わってるようだから。早急に対応しないと、うちの商会の存続に関わってくるってわけだ」
「なるほど………?」
「どういう目的で盗んだわかんねぇけど、シリル狙いってのが一番ヤバい。これは間違いない」
「いや、どう考えてもおれ狙いは一番平和だろう?」
どう考えたって、臓器売買の方がヤバい。
「はぁ……お前って、本当に何も分かってねぇんだな……」
ダニエルは苦い表情で眉を顰めると、盛大に溜息をついた。
この残念なものを見るような眼差しには覚えがあって、あのミアがおれをジト目で見てくるときの呆れたような表情と同じだ。ふとミアを見ると、やはり同じような表情をしていた。
ミアもダニエルも、おれに対して失礼過ぎない?
おれ、そこそこミアにもダニエルにも色々と協力していると思うんだけど。
「シリルはもっと危機感を持った方がいい。あんま、隙見せんな。じゃなきゃ、悪いのに食われちまうぞ」
昼食を食べに来ているのに、食われるとはどういうことだ。
理解できずに困惑するおれをよそに、ダニエルは苦笑すると、大きな荷物を立派な馬車に積んで、レストランを超特急で後にした。
「ねえ、シリル」
「なに?」
「ダニエルってさぁ、シリルのこと………いや、いいわ」
「え?なんだよ。気になるじゃないか」
言いかけて止めるとか、嫌がらせだ。
食い下がってみるものの、それ以上ミアは話す期は無いようで、「テオドールは知ってるのかしら、まあ、知らないわけがないか」と言いながら、出されたハーブティーを飲んだ。
「シリル、美味しかった?」
「美味しかったよ」
おれの答えに満足げに顔を綻ばせるミアは、ちゃんと19歳の女の子にみえた。
噂の調査のついで、という名目で食事に誘われたおれだけど、その食事もついでだったようだ。
話題について会話した時間の長さを考えれば明解だ。
相談に乗ってくれた年下女性に食事代を払わせるのも恰好がつかないので、ここはおれがお会計をさせていただく。
いやはや、さすがは人気店だ。結局おれは、心配代を現金で払うことになった。
「へぇ……ここ、ダニエルの店だったのか」
「そこそこ有名なはずなんだが」
「ごめん、興味なくて」
おれは、流行り廃れに興味がない。
「ぐっ……んんっ、自然と抉ってくるから、防御できねぇっ」
何やら、胸を押えて苦しむダニエル。
あ、やっぱりダニエルも体調悪い?
「予約を取ってもらって、ありがとう。息抜きになったわ」
「いやぁ、こっちこそ、願ったり叶ったりだよ。
“恵みの乙女”とフォレスターのご両人に来店してもらったとなれば、箔がつくからな」
あ、やっぱり予約を捻じ込んだんだ。
まさか支配人に直接交渉していたなんて。どうりでいい個室だと思った。
「それに、シリルにも用事があったからな」
「え?おれ?」
「いやぁ……実はだな。前にシリルからもらった精霊力の蓄積器なんだけどよ」
「ああ……あれね」
精霊力の蓄積器とは、おれが開発したもので自分の精霊力を貯めておくことが可能で、持続して精霊力を放出、利用できる装置だ。
元々は生育に持続的に高濃度のマナが必要な薬草の栽培のために、おれが開発したものだ。
実はこれ、おれがクッキーのナッツに精霊力を込めていた手法とその原理を研究した結果、開発に成功した装置だったりする。
ダニエルが常々、商品の品質保持……特に精霊薬の保管ために持続したマナの供給が必要だけど、運搬過程で常時それなり精霊力を供給し続けることが大変だと言っていたので、使っていなかった一つを彼に提供したのだ。
「実は……紛失しちまったんだ」
「紛失……」
「すまん。せっかく、譲ってくれた貴重なものを……」
「ふーん……」
「落とし前はきっちりつける。どうしたらいいか教えてくれ」
落とし前って。まるで切腹でもしかねない沈痛な表情で頭を下げるダニエルに、
「また、必要なの?いるならあげるけど」
おれはそう返答した。
「かるっ!え!?……かるっ!!マジか!!?」
ダニエル慌て過ぎじゃない。若干キャラ変わってる。
「だって、別に作るの自体はそんなに難しくないよ、あれ」
材料は特殊だけど、そもそもダニエルから購入した物品で作ったものなので、更に必要となれば、そろえるのは簡単だろう。
「あ、これ……あれだな。
自分には簡単すぎてどんだけすごいことかも、それがあるのがどんだけ便利かもわかってねぇやつか」
いや、簡単とかすごいこととか便利とかいう話じゃなくて、いるならあげるよ、て言ってるだけなんだけど。
「結局は、盗難にあった、ということだよね?」
「はっきりしないが、おそらくな。厳重に保管してたから、間違って廃棄ってーのはありえねぇ……多分、内部の人間の仕業だ。くそっ」
「そうか……それは、ちょっと…良くないかもしれないね」
おれが作った精霊力の蓄積器は、おれが研究室で使っている2つと、ダニエルに譲った1つの3つしかまだ存在しない。当然公にはなっていない技術だ。
「ああ。あんな風に精霊力の蓄積、利用が可能になったらだな。精霊力の売買の可能性も出てくるからな」
例えば、献血のようなものだと思ってもらえばわかりやすい。もし、献血が金銭や権力でもって可能な行為だとしたら、それはもう臓器売買と一緒だ。
つまり、金銭や権力などの強制力で精霊力を搾取、利用できる可能性があるということだ。
「以前から考えちゃいたんだがよ。その辺の法整備もしとかなきゃ、ヤバいだろうってな」
「そうだな。個人利用なら、と思っていたけど……何かしら取り締まる制度が必要になってくるな」
「あー……今の時間、テオドールは自分の政務室にいんのか?」
「いや、今の時間は王太子殿下の政務室にいると思うよ。テオドールも忙しいから、おれでできることなら代わりに聞くけど。
ああ、でも領地をまたいだ窃盗被害の調査や法整備なら、直接した方がいいか」
フォレスター領のことや精霊医薬学の分野以外は、おれは完全に専門外だ。
王太子殿下やその側近であるテオドールに話を付けた方がいいだろう。
「いや、法整備についてはもう申請してるし、窃盗被害の調査はヴァン家が総力を挙げてんだがな。
これはシリルが作った貴重なものを紛失したっていう最重要事案だ。だからおれが直接テオドールに話をつけに行く必要がある。そのために、わざわざ正装してきた」
「どういうこと?」
正装しているのは、店に出るためじゃなかったのか。なんでテオドールに謝罪する必要があるんだ?
「以前、シリルの私物を持ち込んだやつがテオドールに——」
「ちょっと!」
ダニエルの言葉をミアが遮って、さらに彼の口を両手で塞ぐ。
「ダニエル、あなた死にたいの?」
「ちょっと、待って。おれの私物を持ち込むって、どこに?」
さっきから話が良く見えないんだけど。
「ああ、ほら!ばっちり聞こえてるじゃない!」
「意味は分かってねぇから、大丈夫だろ。大体、過保護過ぎんだよ。面倒くせぇ」
ミアの手を引き離すと、ダニエルはじっとおれを見た。睨むような、見定められるような視線で、上から下までまじまじと見つめられて居心地が悪い。
はぁ、とダニエルは大きく息を吐く。
「まあ、色々需要があるって話だ」
「需要……」
それはつまり、おれの精霊力的な意味か?それとも研究の資料か何かだろうか。
「とにかく、他から知られる前にテオドールに真摯に謝罪しとかないと。
特に今回は内部の人間が関わってるようだから。早急に対応しないと、うちの商会の存続に関わってくるってわけだ」
「なるほど………?」
「どういう目的で盗んだわかんねぇけど、シリル狙いってのが一番ヤバい。これは間違いない」
「いや、どう考えてもおれ狙いは一番平和だろう?」
どう考えたって、臓器売買の方がヤバい。
「はぁ……お前って、本当に何も分かってねぇんだな……」
ダニエルは苦い表情で眉を顰めると、盛大に溜息をついた。
この残念なものを見るような眼差しには覚えがあって、あのミアがおれをジト目で見てくるときの呆れたような表情と同じだ。ふとミアを見ると、やはり同じような表情をしていた。
ミアもダニエルも、おれに対して失礼過ぎない?
おれ、そこそこミアにもダニエルにも色々と協力していると思うんだけど。
「シリルはもっと危機感を持った方がいい。あんま、隙見せんな。じゃなきゃ、悪いのに食われちまうぞ」
昼食を食べに来ているのに、食われるとはどういうことだ。
理解できずに困惑するおれをよそに、ダニエルは苦笑すると、大きな荷物を立派な馬車に積んで、レストランを超特急で後にした。
「ねえ、シリル」
「なに?」
「ダニエルってさぁ、シリルのこと………いや、いいわ」
「え?なんだよ。気になるじゃないか」
言いかけて止めるとか、嫌がらせだ。
食い下がってみるものの、それ以上ミアは話す期は無いようで、「テオドールは知ってるのかしら、まあ、知らないわけがないか」と言いながら、出されたハーブティーを飲んだ。
「シリル、美味しかった?」
「美味しかったよ」
おれの答えに満足げに顔を綻ばせるミアは、ちゃんと19歳の女の子にみえた。
噂の調査のついで、という名目で食事に誘われたおれだけど、その食事もついでだったようだ。
話題について会話した時間の長さを考えれば明解だ。
相談に乗ってくれた年下女性に食事代を払わせるのも恰好がつかないので、ここはおれがお会計をさせていただく。
いやはや、さすがは人気店だ。結局おれは、心配代を現金で払うことになった。
1
お気に入りに追加
357
あなたにおすすめの小説
推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!
華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
婚約破棄された俺の農業異世界生活
深山恐竜
BL
「もう一度婚約してくれ」
冤罪で婚約破棄された俺の中身は、異世界転生した農学専攻の大学生!
庶民になって好きなだけ農業に勤しんでいたら、いつの間にか「畑の賢者」と呼ばれていた。
そこに皇子からの迎えが来て復縁を求められる。
皇子の魔の手から逃げ回ってると、幼馴染みの神官が‥。
(ムーンライトノベルズ様、fujossy様にも掲載中)
(第四回fujossy小説大賞エントリー中)
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる