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Ⅳ.お腹いっぱいで幸せ編
28.僕、美味しい思いをさせたいんです③
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もう。ヴァルは一体、何を目指してるの?
僕にどれだけ美味しい思いさせるつもり?
「ま。変にかっこつけねぇで、この家に入ったときに、さっさと食っちまえば良かったんだよな」
「何言ってるの!ヴァルはいつでも、かっこいいよ!」
かっこつけなくても、いつもかっこいいから!
もちろんかっこつけてるヴァルも、最高です。
「そして、可愛くて、美味しくて、僕、大好きだよ!」
「………そうかよ」
はにかみ照れ顔、ごちそうさま。
「あー……っくそ。ニヤニヤしやがって。
だから、嫌だったんだよ。今すぐに忘れろ」
「ムリだよ」
竜の僕にも、それは不可能だよ。
話の内容もさることながら、きまり悪そうに説明するヴァルの赤くなった耳とか、皺が寄った眉間とか、頭をかく姿とか……全部残らず、僕の記憶に永久保存しちゃったからね!
「あとな、ルルド」
「なあに?」
「俺は可愛くねぇぞ」
「うんうん、わかってるよー」
ヴァルは、とってもイイ匂いで、お料理が上手で、手先が器用、美味しくて、逞しくて、強くて、紳士で、格好よくて、可愛いんだもんね!
「………お前、絶対、わかってねぇだろ」
「ええー?わかってるよー」
「……………」
「えへへ~、僕のヴァルは豪華だなぁ」
一度も二度も、何度でも美味しいんだから。
ん?なになに?なんでそんなにじっとりと僕見てるの?僕、何かついてる?
「………はぁ……まぁ、冷える前に食えよ」
「うん!」
ヴァルって、なんでこんなに可愛いのに、自覚が無いのがホント意味わかんない。
僕だけの秘密にしたいけど、どうしても自慢したくなっちゃうんだよねぇ。
さっき僕がお風呂から上がったときだってさ。
お風呂のドアからこっそりキッチンでお料理してるヴァルのことを、覗き見たらね。
これまで見たことも無いような穏やかな表情で、紫色の瞳をキラキラさせながら活き活きとお料理してるヴァルがいて。
鼻歌なんて歌ってたんだよ。
いつもしかめっ面で悪態ついてばっかりだったあのヴァルが。
僕、胸がきゅんきゅんしちゃったよね。
このお家で、誰にも邪魔されずにお料理するのが嬉しいんだね、よかったね、なんて思ってたら、ヴァルが作ってるのが全部僕の大好物ばっかりだったから。
僕のためにお料理するのをとっても楽しみにしてて、作りながらもすっごく楽しんでくれてるんだと思ったら。
そして、僕と一緒に食べるのを、楽しみにしてくれてるんだと思ったら。
飛んでいっちゃいそうに気持ちがふわふわして、ぎゅうっと胸が苦しくなった。
愛しいくて、たまらなくなった。
押し倒す勢いで思いっ切り抱き着いたら、「危なねーよ」なんて文句いいながら、タオルでわしゃわしゃと僕の髪を拭いてくれて。
ちょうどいい力加減でぽわぽわと気持ちよくなる中、タオルの隙間から見えたヴァルがとっても満ち足りた顔をしてたから。
また、僕の心が沸き立って、苦しいくらいにドキドキして、とっても幸せで。
一緒にお皿を並べて、お揃いのペアの食器を前にニヤつく僕を見てヴァルが笑ってて、それでまた僕は嬉しくなって。
「わあー……このスープもすっごく美味しい」
ヴァルはミルク系のスープの方が好きなのに、あえてのコンソメスープなのも、僕が好きだからだよね。
……で、このメニューの中で、生野菜を使ったのがないのは、きっと僕が予定を台無しにしちゃったからだ。
「むむう……」
僕だって、僕のやったことでヴァルが喜んでくれたらって考えてるだけで、考えて色々と準備してるだけで、楽しいし、幸せだもん。心がポカポカ温かくなって、嬉しくなっちゃうもん。
さらに、ヴァルが喜んでくれたら、嬉し過ぎてどうにかなっちゃいそうだもの。
それなのに、ヴァルのためにやってあげたいことすらやらせてもらえなかったら、とっても悲しくて、僕は何て役立たずなんだろうって思っちゃう。
…………まぁ、僕は基本的に役立たずなんだけどね。
僕はきっと、自分で思ってるよりもずっと、ヴァルの予想や計画を台無しにしちゃってる。
僕はそのたびに、僕に何かをしてあげようとしてくれてる、ヴァルの気持ちを踏みにじってるってことだから。
なんてことだろう。ごめん。ごめんね、ヴァル。
「なんだ、嫌いなもんでもあったか?」
「無いよっ!幸せをこれでもかってかみしめてるとこ!」
「なら良かったよ」
全然よくないし!そんな可愛い顔で、幸せいっぱいに笑っても、ダメ!
ヴァルはそれでいいけど、僕的には僕が絶対にダメ!
僕ばっかり美味しい思いするのは、絶対ダメだよ!!
「ヴァル、ここのお庭にも、お野菜の畑作ろうね!」
「は?………ああ、そうだな。お前の作った野菜美味いしな」
「っ!!……果物も……果物も、色々植えよう!」
「ああ、楽しみにしてるよ。ミカンの苗もらってきたしな。お前、好きだろ?」
「っ!!!うんっ!好き。ミカンもヴァルの大好き!任せといてよ!」
はああっ!もう、何なの!?何なの!!
僕がヴァルを喜ばしたいのに、僕が何かしようとするごとに、嬉しいのがいちいち何倍にもなって、返ってくるんですけど!?
うーん……こうなったら、僕、全力でヴァルの幸せを美味しく育てちゃうから!
僕にどれだけ美味しい思いさせるつもり?
「ま。変にかっこつけねぇで、この家に入ったときに、さっさと食っちまえば良かったんだよな」
「何言ってるの!ヴァルはいつでも、かっこいいよ!」
かっこつけなくても、いつもかっこいいから!
もちろんかっこつけてるヴァルも、最高です。
「そして、可愛くて、美味しくて、僕、大好きだよ!」
「………そうかよ」
はにかみ照れ顔、ごちそうさま。
「あー……っくそ。ニヤニヤしやがって。
だから、嫌だったんだよ。今すぐに忘れろ」
「ムリだよ」
竜の僕にも、それは不可能だよ。
話の内容もさることながら、きまり悪そうに説明するヴァルの赤くなった耳とか、皺が寄った眉間とか、頭をかく姿とか……全部残らず、僕の記憶に永久保存しちゃったからね!
「あとな、ルルド」
「なあに?」
「俺は可愛くねぇぞ」
「うんうん、わかってるよー」
ヴァルは、とってもイイ匂いで、お料理が上手で、手先が器用、美味しくて、逞しくて、強くて、紳士で、格好よくて、可愛いんだもんね!
「………お前、絶対、わかってねぇだろ」
「ええー?わかってるよー」
「……………」
「えへへ~、僕のヴァルは豪華だなぁ」
一度も二度も、何度でも美味しいんだから。
ん?なになに?なんでそんなにじっとりと僕見てるの?僕、何かついてる?
「………はぁ……まぁ、冷える前に食えよ」
「うん!」
ヴァルって、なんでこんなに可愛いのに、自覚が無いのがホント意味わかんない。
僕だけの秘密にしたいけど、どうしても自慢したくなっちゃうんだよねぇ。
さっき僕がお風呂から上がったときだってさ。
お風呂のドアからこっそりキッチンでお料理してるヴァルのことを、覗き見たらね。
これまで見たことも無いような穏やかな表情で、紫色の瞳をキラキラさせながら活き活きとお料理してるヴァルがいて。
鼻歌なんて歌ってたんだよ。
いつもしかめっ面で悪態ついてばっかりだったあのヴァルが。
僕、胸がきゅんきゅんしちゃったよね。
このお家で、誰にも邪魔されずにお料理するのが嬉しいんだね、よかったね、なんて思ってたら、ヴァルが作ってるのが全部僕の大好物ばっかりだったから。
僕のためにお料理するのをとっても楽しみにしてて、作りながらもすっごく楽しんでくれてるんだと思ったら。
そして、僕と一緒に食べるのを、楽しみにしてくれてるんだと思ったら。
飛んでいっちゃいそうに気持ちがふわふわして、ぎゅうっと胸が苦しくなった。
愛しいくて、たまらなくなった。
押し倒す勢いで思いっ切り抱き着いたら、「危なねーよ」なんて文句いいながら、タオルでわしゃわしゃと僕の髪を拭いてくれて。
ちょうどいい力加減でぽわぽわと気持ちよくなる中、タオルの隙間から見えたヴァルがとっても満ち足りた顔をしてたから。
また、僕の心が沸き立って、苦しいくらいにドキドキして、とっても幸せで。
一緒にお皿を並べて、お揃いのペアの食器を前にニヤつく僕を見てヴァルが笑ってて、それでまた僕は嬉しくなって。
「わあー……このスープもすっごく美味しい」
ヴァルはミルク系のスープの方が好きなのに、あえてのコンソメスープなのも、僕が好きだからだよね。
……で、このメニューの中で、生野菜を使ったのがないのは、きっと僕が予定を台無しにしちゃったからだ。
「むむう……」
僕だって、僕のやったことでヴァルが喜んでくれたらって考えてるだけで、考えて色々と準備してるだけで、楽しいし、幸せだもん。心がポカポカ温かくなって、嬉しくなっちゃうもん。
さらに、ヴァルが喜んでくれたら、嬉し過ぎてどうにかなっちゃいそうだもの。
それなのに、ヴァルのためにやってあげたいことすらやらせてもらえなかったら、とっても悲しくて、僕は何て役立たずなんだろうって思っちゃう。
…………まぁ、僕は基本的に役立たずなんだけどね。
僕はきっと、自分で思ってるよりもずっと、ヴァルの予想や計画を台無しにしちゃってる。
僕はそのたびに、僕に何かをしてあげようとしてくれてる、ヴァルの気持ちを踏みにじってるってことだから。
なんてことだろう。ごめん。ごめんね、ヴァル。
「なんだ、嫌いなもんでもあったか?」
「無いよっ!幸せをこれでもかってかみしめてるとこ!」
「なら良かったよ」
全然よくないし!そんな可愛い顔で、幸せいっぱいに笑っても、ダメ!
ヴァルはそれでいいけど、僕的には僕が絶対にダメ!
僕ばっかり美味しい思いするのは、絶対ダメだよ!!
「ヴァル、ここのお庭にも、お野菜の畑作ろうね!」
「は?………ああ、そうだな。お前の作った野菜美味いしな」
「っ!!……果物も……果物も、色々植えよう!」
「ああ、楽しみにしてるよ。ミカンの苗もらってきたしな。お前、好きだろ?」
「っ!!!うんっ!好き。ミカンもヴァルの大好き!任せといてよ!」
はああっ!もう、何なの!?何なの!!
僕がヴァルを喜ばしたいのに、僕が何かしようとするごとに、嬉しいのがいちいち何倍にもなって、返ってくるんですけど!?
うーん……こうなったら、僕、全力でヴァルの幸せを美味しく育てちゃうから!
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