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平穏で波乱な日々④ ※

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「なぜ……このようなことを、なさるのですか…んっ」
「何故?私が触れたいから、触れている。それだけだ」

 それが、どういう意味なのか。フェリには、やっぱり判断できなかった。
 辱しめ、というには手つきがあまりに優しい。性奴隷……などとして、わざわざ自分のような者を囲わなくとも、ジグムントならば相手などいくらでもいるだろう。

「嫌では、無いのだろう?」
「あ、…それは…ん、そう、ですが……」

 びっしょりと濡れそぼったフェリの花芯を撫でる太い指は、的確にフェリの快感を煽っていく。

「そなたも、触れてくれ」

 そう言って、己の屹立したものに、フェリの手を誘った。

 初めて見たときは、絶句して、身が竦んだ。数回対面した今でも、おどろおどろしいそれは、何か未知の生物のようで、見るのも触れるのも緊張する。

 自分のものとは色調も形状もまるで別の物体は、赤黒くて、太く、浮き出た血管が生々しい。あまりの雄々しさに、恐怖すら感じる程だった。

 指を絡め握りこめば、びくりとしなって、鈴口からあふれたものを纏わすように、ゆっくりと動かしていく。フェリの手がより小さく白く見えた。

 にちにちと湿った音が響いて、どんどん滑りが良くなって、握る力を強くする。それは脈を打って、さらに大きく力強くなった。

 フェリの与える刺激で、ジグムントの息が荒くなり、甘い吐息がフェリの耳を擽る。

 まるで、猛獣を手懐けたような、奇妙な征服感がフェリを満たした。

「ああ。フェリ」

 名前を呼ばれ、フェリは胸が詰まる。

「共に。いいだろう?」

 ジグムントは、フェリを自身を跨ぐように座らせて、腰をぐっと寄せた。フェリのものと自分のものを重ねて、フェリに握らせる。

「はぁ……ジグさまの…あつい…んっ」

 大きな手がフェリの手ごと全部を包んで、丁寧な手つきで、快感の場所を的確に刺激していく。
 ずくずくと溜まってくる快感に、フェリの手は完全に止まっているのだけど、ジグムントはそのまま一緒に握りこんで、上下に扱いた。

「あ、あぁ……だめ、です……あ、だめっ」
「何が、駄目なのだ?」
「また……さきに、…達して、しまいます……ん、あっ」

 フェリは、潤んだ瞳で、じっとジグムントを見つめ、「だって、もう我慢できません」と訴えた。その、いじらしさにジグムントはぐらりと欲望を揺さぶられる。

「かまわぬ」
「あ、…あぁ、あぅ…ジグ、さま…は、あっ!」

 フェリの訴えに、ジグムントの手は一層、激しさを増す。フェリの花芯が、硬く脈打つジグムントの猛りに擦れる度に溶けてしまいそうな痺れがフェリを襲う。規則的な律動が快感を押し上げてくる。

 ジグムントは、フェリの赤く艶やかな唇を奪い、口内を蹂躙する。舌の裏を擽ってやると、はふはふと喘ぐようにしながらも、必死に応えて、舌を絡めてくる。

「許す。いけ」

 短く、耳に吹き込まれ、フェリは一人、果てた。

 腰に纏わりつく悦楽に悶えながら、脱力する身体をジグムントにもたれる。

「んぅ…あ、…もうしわけ、ありません」
「何を謝る。達する時のフェリは……格別に艶美だ」

 感覚に溺れているときに、どんな表情をしているかなど、フェリは自分自身で全く把握していない。
 それをずっと見られていたなんて。信じられないほどの恥ずかしさに、かっと顔が熱を持つ。

「それに、まだ終わりではない」

 フェリは寝台に転がされ、うつ伏せに返された。
 そして、腰を落ちあげられると、四つん這いになった脚の間から、ぬるりと熱い猛りが差し込まれ、フェリの中心を擦り上げた。

「あぅ…ジグさまっ」
「フェリ。足を閉じよ」

 言われるがままに、ぎゅっと足に力を入れる。脚の間で熱いものが擦れて、じんじんと熱が生まれる。

 まるで、獣の交尾のような体勢に、肌と肌がぶつかって、渇いた音が部屋に響く。達して萎えていたフェリも、ぐりっと硬いものが強く抉っていくから、再び芯をもって立ち上ってくる。揺さぶられるたびに、ふるふると震えた。

「ふぅ…ん、あ、あ……あぁ、ジグさま…っ」

 ジグムントが高まってくるのが、触れる温度から伝わってくる。けれど、フェリの方が、今にも弾けそうだった。押し寄せてくる快感の波を、必死に耐えた。

「ふっあ、もう……また、……あ、あぁ…だめ…だめぇ……っ」

 ぐっと、ひときわ強く、弱いところを抉られて、フェリは再び達した。

 と、ほぼ同時に剛直が引き抜かれ、フェリの臀部に数回挟むように擦りつけられて。噛み殺したような甘い喘ぎが聞こえて、ぱたぱたと熱い欲が放たれた。フェリの背を白濁が濡らした。



 これが、何らかの罠であったら、フェリは完全に、ジグムントの手中にあることになる。
 けれど、フェリには、もう既に知ってしまったこの温もりと、快感を拒むことが出来なかった。

 駄目だ、と自分を諫めるのに、いざジグムントを前に、こうして触れられると、なし崩し的に許してしまう。

 それどころか。フェリはもう、ジグムントが与えてくれる熱を、求めてしまっている。

 ジグムントの意図がわからない。それ以上に、自分の気持ちがわからない。

 考えて判別できないことを、抱え続けることは、心を疲弊する。

 だから、フェリは愛玩動物として、この紅い獅子に愛でられているのだ。と、そんな風に、思うことにした。フェリには、それすらも、自惚れているように感じるのだけど。
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