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《 First Epilogue 》― Marigold+Addicted to U ―

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 とまらない…一度亮の手でイッたばかりなのに、身体からは熱が引かず、反対に疼くようなむず痒さが身体の深い部分に澱のように沈んでいく…。

「あっ…もっと…もっと…。…もっと…奥まで…きてっ…!」

 羞恥も忘れて、必死で亮を強請る。

「桂…。俺が…欲しいか…?」

 はぁと熱の篭った吐息を乗せて、頬に宥めるようなキスを落とされる。
何度も自分が欲しいのか?と訊ねる亮…その言葉に亮に与えた傷を思って、涙が零れる。

 もっと…めちゃくちゃにして欲しい…自分が亮を傷つけた分だけ…もっと…もっと…もっと…。

 動かない彼に焦れて、亮の腰に足を絡めると、肉壁に亮のペニスが擦れるように厭らしく腰をくねらす。
その瞬間、内部で膨張する肉棒のくれた先端に、奥の一点をグリッと抉られ、咄嗟に息を止めて全身を走り抜ける鋭い快感に耐えた。
身体の奥で亮の怒張がびくびくと脈打ち、感じるポイントを緩く叩く刺激に、甘い鼻声が上がる。

「あぁ…はぅっ…んっ…んっ…ぁぁっ…!」

 久しぶりの熱い楔に亮の全てを感じたくて、あられもなく桂は亮をぎゅうぎゅうと締め付けた。

 飢えていたのは自分…。亮が欲しくて欲しくて…気が狂いそうになる。

「…桂っ!」

 桂の行為に亮が切羽詰ったような非難の声を上げた。

「だめだ…俺を…煽るな…」

 快感を耐えるように眉間を寄せて…ひどく艶めいた黒い瞳で睨む。
セクシーな亮の表情に、トクンと胸を高鳴らせた。桂は半身を起こして、亮の手を自分のモノに誘う。

「……我慢…できない…山本が…もっと…もっと…欲しい…」

 我慢なんてしたくなかった。思いの限り、亮を貪りたい…。

 亮がなぜか泣きそうな瞳で、桂の唇にキスを落とした。
乞われるままに、桂のペニスをきつく扱き、宝珠を掌で揉みしだく。待ち望んだ刺激に、あと桂が背を撓らせた。
反らした咽喉にきつく吸いつかれ、喘ぐまもなく亮に耳朶をしゃぶられる。

「俺も…もっと…桂が欲しい…。桂を…俺…壊しちまう…」

 体の中に響くような声で囁かれて、ゾクッと体が震えてしまった。

「壊して…俺を壊して…」

 夢中で亮の唇を貪りながら桂は亮を求めた。深く口付けを交わしながら、亮が桂の半身を抱きしめる。
きつく抱きしめたまま、狂ったように腰を打ち付けてきた。

「あっぁぁっ…ぁぁぁぁっ……!」

 望みのままに、亮に犯されながら桂は狂気のような快楽の中に身をゆだねる。
亮の腰の抽挿が激しさを増し、亮の掌が乱暴に自分を追い詰めていく。
意識が真っ白になりそうな快感の中で桂は嬌声を上げた。

「やぁっ…!やっ…!もうっ……もぅっ…いくっ…いくっ……!!」

 亮が桂の身体を抱きしめたまま、くっと息を詰める。
ぶわっと、身体の中で灼熱の奔流が弾けるのを感じた瞬間、桂もまた亮の掌に激しく逐情の証を吐精していた。

「…桂……」

 亮が肩口に顔を埋めて、欲情の籠もった声音で自分の名前を呼ぶ。
自分の中を満たす熱と自分を求める亮の声に、ジンと全身が包まれるような温かいものを感じて…幸せに満たされながら、桂は亮の胸の中で意識を優しい心地よさに沈めていった。



 
◇◆◇◆◇◆◇◆



 
 自分の腕の中で、柔らかい表情で、意識を失っている桂の頬に繰り返しキスを落とす。
以前も繰り返した、慣れたはずの行為…でもそれは明らかに以前と違っている。思って亮は微笑を零した。

 激しい交歓の余韻の中で、幸福感が全身を隅々まで浸透していくのを感じる。
気持ちを確かめ合って…こんな風に愛し合えて…どれだけの…幸せを俺は手に入れてしまったのだろう…。

 胸の中の桂の背を優しく擦りながら、亮は満たされた自分に少しだけ怯えてしまう。しかし、その怯えすら心地よいことに亮は気づいていた。

 愛しくて…何夜も求めて…やっと得た最愛の恋人…。

「…桂…愛している…」

 閉じられた瞼にキスしながら、亮は繰り返し睦言を紡ぎ続けた。
胸の中で息づく滑らかな肢体に、亮は込み上げる欲望を抑えきれなくなり始める。

「…くそっ…」

 自分の直情さに悪態をつきつつも、手は桂の肌を滑り、先程まで自分を飲み込んでいた蕾に指を差し入れる。

 クチュリと厭らしい音を立てて、従順に指を呑み込んでいく感触に亮は桂を揺起こそうとする。
でも…世の中、そうそう亮に甘くは無かった。

RuRuRuRuRuRuRuRu!

 まるでコメディのように絶妙なタイミングで無遠慮に鳴り響くスマートフォン。その音源が自分の物である事を認めると、亮はしぶしぶ桂の身体をベッドに横たえて、床に落ちているそれを取り上げた。

「…はい」

 憮然とした口調で出る。
聞こえてきた第一声は、それこそ容赦ない無遠慮な声…。

「いい加減にしてちょうだい!!汚さないでって言ったのに!」

 明らかに面白がるような、その声に亮は眉根を寄せた。それでも、自分に反論する権利は無いことに思い至って…。

「…悪い…」

 一応謝ってみる。
 電話口で、リナがクスクスと笑うのが聞こえてきて、亮は全て…まぁ、あの状況で…部屋から出てこなければ…予想はつく…お見通しなのに苦笑を滲ませた。

「…悪かった…すぐ、部屋出るから…。…あと、ありがとう」

 珍しい亮の礼に、リナは、そうね、と意地悪く返すと、またフフッと笑って付け加えた。

「まぁ、今回は許してあげる。私も、貴方の車借りたから。すっごく走りが良くて、気持ちの良いドライブだったわ。お陰で箱根の紅葉をみてこれたし」
「あぁ?」

 言われた意味が分からなくて間抜けな声を亮は上げた。それをさらにリナはクスクス笑いながら、揶揄するように言葉を継いだ。

「貴方の車、このマンションの駐車場に入れてあるから。帰りに管理人室に寄って。…鍵と…スーツのジャケットを預けてあるから。…それからね、あなた、道路にジャケット脱ぎ捨てるのは止めた方が良いわ。それに大事なキーをジャケットのポケットに入れておくのもね。盗まれちゃうわよ」

 リナの言葉に、情けなくて亮は天井を仰ぎ見た。何か言い返そうと思っても、当の携帯はさっさと切られてしまっていて、弁解の余地すらない。

「…仕方がないだろ…。桂が優先なんだ…」

 リナには聞こえやしないのに、亮はボソッと呟いて、次の瞬間ハハッと声を上げて笑った。笑いが込み上げて抑えることができない。
楽しくて…幸せで…おかしくて…亮は思う様、久しぶりに笑い声を上げた。

「…ん…山本…?」

 亮の笑い声に桂が目を覚ます。亮は笑いを滲ませながら恋人の頬に柔らかく口付けた。

「桂…帰ろう…。ここを出ろってさ…。撤収命令が出た」

 言いながら、桂の身体を抱き起こす。
亮の言葉に桂が大きく瞳を瞠った。しかし、次の瞬間、亮がたまらなく大好きな、その優しい笑みを零して、亮を見返すと、うん、と大きく頷いた。

 少しだけ涙で潤んだような桂の瞳にもう一度キスしながら、亮は優しく桂の手を取る。
桂の手から温かい温もりが自分へ伝わってきて、亮は握り返す桂の手をぎゅっときつく握り締めながら、もう一度明るい声で言った。

「さぁ…帰ろうぜ…。桂…」
 
 帰ろう…俺たちの場所へ…。
 そして、二人で立とう…。
 俺たちのスタートラインに…。
 そして…全てを始めよう…。
 
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